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*RPGツクールMZ 【あーるぴーじーつくーる えむぜっと】 |ジャンル|RPG制作ツール|&image(https://cdn.cloudflare.steamstatic.com/steam/apps/1096900/header_japanese.jpg?t=1605725716)| |対応機種|Windows 8.1/10 日本語版(64bit版)&br;Mac OS X 10.13以降|~| |メディア|ダウンロード専売|~| |発売元|Degica|~| |開発元|エンターブレイン(KADOKAWA)|~| |発売日|2020年8月20日|~| |定価|8,778円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| //前作ユーザーとしては良作という判定かは微妙なところだと感じましたが、 //本作を一作品としてみれば、良作の前作を踏襲している作品であることから判定としては良作としました。 |ポイント|完全新作といえるかは微妙なところ&br;前作ユーザーにとってはかなり割高|~| |>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 PC版RPGツクールの第8弾。2020年6月11日に発表され、同年8月20日に発売された。~ 基本的なシステムは前作である『[[MV>RPGツクールMV]]』を踏襲しつつ新機能が加えられている。 PC版RPGツクールとしては初のダウンロード専売であり、パッケージ版の発売はない。 ---- **新機能 基本的なシステムは前作と同様であるため、新機能のみを列挙する。 #region(新機能の一覧) -アニメーションの設定が外部ツールである「Effekseer」を用いて作成する形になった。 --これにより3Dパーティクルエフェクトを扱えるようになっている -移動ルートにプレビューが表示されるようになった。 --イベントコマンドの「移動ルート設定」においてどのように動くかのプレビューが表示されるようになり設定しやすくなっている。 --特に移動ルートが長い場合において、想定外の移動を起こしにくく、また修正しやすくなった。 -その他のイベントコマンドで以下の点が改良されている。 --文章の表示において名前欄を表示できるようになった。 --条件分岐の「ボタン」で「トリガーされている」「リピートされている」が選択できるようになった。 ---トリガーされている、はボタンを押した瞬間のみ条件を満たしたという判定であり、リピートされている、はボタンを押しっぱなしにしている場合でも条件を満たしたという判定である。 --指定位置の情報取得の「場所」にイベント、プレイヤーが追加された。 ---プレイヤーがいる場所などを利用したイベントが作りやすくなっている。 --マップのスクロールに「完了するまでウェイト」が追加された。 --ピクチャの移動に一定速度、ゆっくり始まる、ゆっくり終わる、ゆっくり始まって終わるの設定が追加された。 -マップエディタにおいてレイヤーを手動で切り替えられるようになった。 --なお、『MV』と同様の操作をしたければ自動にすれば構わない。 -キャラクタージェネレーターでパーツ単位の位置の調整が可能になった。 -コモンイベントの上限が2000になった。 -画面解像度やフォントサイズをデータベースで設定可能になった。 -デプロイメント時に上書き防止機能がついた。 --前作では誤ってプロジェクトデータに上書きしてしまい以後の編集が出来なくなるケースがあった。 -サウンドデータはogg形式のみでよくなった。 -イベントモードに切り替えた際にマップのイベントリストが表示され、そこから直接編集出来るようになった。 -タイムプログレス戦闘(いわゆるFFのATB)が選択できるようになった。 --従来のターン制と任意で選択可能。また、タイムプログレス戦闘の場合、コマンド選択時にも他のキャラクターのゲージが溜まるアクティブとたまらないウェイトから選択可能。 -スマホでプレイしやすいユーザーインターフェースの導入。 --キャンセルやメニューを開く等の操作がしやすくなっている。 -オートセーブが追加された。 --マップの移動、戦闘後に自動でセーブされるスペースが用意された。 -プラグインコマンドが選択式になった。 --わざわざコマンドを打ち込まずに選択式で呼び出す形式に変更された。パラメータと同様引数の入力も分かりやすくなっている。 -プラグインの上下関係等を設定できるようになった。 --これにより、○○がないと××が動かない、といった設定を記述しておくことで、プラグイン画面で注意として表示させることが出来るようになっており、利用者に分かりやすくなっている。 -プラグインに配布元URLを表示させることが出来るようになった。 -コアスクリプトのバージョンを選べるようになった。 --後のコアスクリプトだと上手く動かない場合には敢えて低いコアスクリプトを使うことも可能。 #endregion **評価点 -''前作からのデータ引継が可能'' --ツクールシリーズとしては『[[2000>RPGツクール2000]]』から『[[2003>RPGツクール2003]]』でデータ引継(コンバート)が出来たが、それ以降の作品としては初のコンバート機能の実装である。 --ただし、規格が変わっているアニメーションデータや、プラグインデータなど一部のデータについては引継不可となっている。 -''新機能については基本的に評価点'' --移動ルートのプレビューや、プラグインコマンドの仕様変更についてはプラグインで変更しようがない部分であるため純粋に高評価である。 --デプロイメント時の上書き防止については前作で泣きを見た人が一定数おり、前作の問題点の一つとして指摘されていることからありがたい修正といえる。 --他の新機能の大半(タイムプログレス戦闘、オートセーブ、名前の表示欄等)については前作の時点で有志によるプラグインが作成されてはいるが、公式で実装されたという点では評価点と言っていいだろう。 ---タイムプログレス戦闘についてはフロントビューで行うことも出来るため、2003と違い「素材を用意するのは大変だが、FFのような形式にしたい」というプレイヤーにとってもハードルが低くなっている。 --もっとも、「Effekseer」の利用が必須となったアニメーションデータについては賛否両論がある。詳しくは後述。 -''前作の問題点は一部解消している'' --JSのマニュアルはある程度は充実しており、一応プラグイン初心者にも配慮した記載がされるようになっている。 --散々だった前作のサンプルデータと比べれば、旧作レベルには回復している。 --オーディオファイルの対応形式が減ったのは前作から変わりないがogg形式だけ用意すればよくなっているので多少はマシになっている。 **賛否両論点 -''アニメーションデータの作成が「Effekseer」必須となった'' --これまでデータベースで作成可能だったアニメーションデータであるが本作では外部ツールである「Effekseer」を使って作成する必要がある。 --公式でも謳っているとおり、Effekseerを使うことでこれまでよりも美しいアニメーションを作成することが出来る。ただ、必須となってしまったことから、これまでのノウハウは全く活かせなくなってしまっている。 --実際、Effekseer自体は慣れれば美しいアニメーションを作ることが出来るが、ハードルは決して低くないのが難点である。 **問題点 -''&color(#F54738){前作からの進化が乏しい}'' --『MV』を持っていない人にすれば全く関係ないが、既に持っている人にとっては大きな問題なのが、前作からの進化がほとんどないことである。 --やや乱暴に本作について説明すれば『MV』に新要素に記述した内容を加えた……それだけといっても過言ではない。 ---ちなみに上記新要素については基本的に全て公式ページに記載がされている。公式ページに記載された内容が新要素の全てといってもおおよそ間違っていない。 --新要素は評価点でも述べた通り「好評であるが、''既に有志のプラグインによって再現出来るものが多い''」といった状態であるため、既に前作を持っているプレイヤーであれば本作の新要素はあまり魅力的には移らないだろう。 --『[[VX>RPGツクールVX]]』→『[[VX Ace>RPGツクールVX Ace]]』のように一見マイナーチェンジに見えるような作品であっても、実際に新作ツクールが出る際には前作から大きく変化していることが多い((例えば、VX→VX Aceでは今のツクールには欠かせないダメージ計算式や特徴の実装、キャラクター生成(本作におけるキャラクタージェネレーター)などが追加される等かなり大きな変更点がある))ため、余計に本作の前作との類似が気になってくるところであろう。 --好意的な解釈をするのであれば、前作の時点でツクールとしては一つの完成点に到達した、ということなのだろうが、それならば敢えて新作を出さずに有償アップデートで対応する手もあったはずである。 -''先祖返りした仕様はそのまま'' --前作で先祖返りしてしまったイベントページの作成数が1/5に減ったり、マップサイズが1/4に減ったり、敵キャラのレーティングが1減った仕様は相変わらず継続である。 **総評 『RPGツクールMV』の正統進化……というよりは、『RPGツクールMV』に新要素を少し加えたアッパーバージョンといった表現がしっくりくる一作である。~ 『MV』と比べれば当然機能が追加されており、元々使い勝手の良い『MV』のアッパーバージョンである本作はツクール初心者が手に取るのにピッタリであることは疑いようがない。~ ただ、前作を既に持っているツクラーが本作を手に取るべきか、という観点から見れば、~ ツクールシリーズの基本価格としてはやや安価だが、そうはいっても9,000円弱といった費用と新機能のバランスはお世辞にも釣り合ったものとはいえない。~ 従って、既に『MV』を持っているプレイヤーを引きつけるほどの魅力が本作にあるか、というと残念ながら微妙と言わざるを得ない点には注意されたい。 ---- **余談 -PC版ツクールとしては初の初期税込価格が10,000円を下回った作品であり、前述の通りパッケージ版が発売されていない作品としても初である。 -本作の発売を機に『2000』『[[XP>RPGツクールXP]]』『VX』『VX Ace』の4作品のサポートが2021年1月24日にサポート終了されることが発表された。 -本作の発売直前には予約キャンペーンで本作を買うと、前作である『MV』をプレゼントするというキャンペーンが実施されていた。%%操作感はほぼ同じなので予習にはなるのだろうか。%%