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R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING - (2014/11/27 (木) 05:11:37) の編集履歴(バックアップ)


R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING

【あーるたいぷ すりー ざ さーど らいとにんぐ】

ジャンル シューティング
高解像度で見る
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 アイレム
発売日 1993年12月10日
分類 良作
R-TYPEシリーズ関連作品リンク


概要

  • 横シュー御三家の一角『R-TYPE』初のコンシューマオリジナル作品。
  • 過去2度に渡って争いを繰り広げた敵勢力、「バイド」の半ばチートじみた設定等の方向性は本作で決定付けられた。
    • それに関連して「ヲヤスミ、ケダモノ。BYE×2 BYDO」という印象的なキャッチコピーも作られた。*1
  • ゲームの出来は今でもシリーズ屈指の傑作として評されることが多い。

特徴

  • 2ループ波動砲重視のゲームバランス
    • 今回は新たに追加された2種類の波動砲「メガ波動砲」と「ハイパードライブシステム」がゲームの主軸に置かれており、従来よりもフォースの重要性は低下している。
    • 前作『R-TYPE II』で追加された2ループチャージはほとんど役に立たなかったが、今回は逆に1ループチャージが全く役に立たなくなっている。
      それに伴ってチャージに時間のかかる武器を使わせるためにゲーム展開が遅く、超威力の武器に合わせて一部の敵も異常に硬い。
    • いかに溜めていかに撃つかが攻略の主題となり、極めればフォース無しでラスボスの第一形態まで撃破可能である。
  • 相変わらず高い難易度
    • 前作アーケード版に及ばないとは言え、難易度は相変わらず厳しい。今回は「覚えゲー」の側面が更に色濃くなっているのが難しさに拍車をかけている。
    • 難易度選択は存在しないがプレイ中のランク変動があり、「装備」「残機数」「ノーミス継続時間」等により敵の動きが変わる場合がある。
+ 各ステージ内容
  • 1面「次元カタパルト」
    • 回転拡大収縮機能を活かし回転、移動する地形や、画面奥、手前にと動き回るボスが特徴的。
  • 2面「アシド・クリーチャー」
    • いかにもR-TYPEらしいグロテスクなステージ。無数に降り注ぐ消化液の雫により地形が溶けていく。消化液はビット等で防げる。
    • ボスの「ネクロゾウル」は攻撃を防ぐ手段が存在せず、さらに2ループチャージ以外の攻撃がほとんど通らない強敵。
  • 3面「重金属回廊」
    • 狭い地形の間を潜り抜けて行くステージ。序盤は斜め下、中盤は水平、終盤は斜め上とスクロール方向が変化していく。
    • ボスの「コース・グラブ」は常に背後を陣取っており、股下を潜らない限り背後からの攻撃に晒され続けなければならない。
  • 4面「ファイアキャスクファクトリー」
    • 中盤のシャッター地帯からが難関。
    • 天井のパイプから高速で流れ落ちる炎の塊と、絶妙なタイミングで開閉するシャッターをかわしつつ、瞬時にルートを決定しなければならない。
    • その先には中ボス「リクジオネータ」が待ち構えており、撃破後は来た道を逆走するハメになる。
    • ステージボス「幻獣666(トリプルシクス)」は画面端に沿って周回し軸が合うとビームを撃ってくるだけだが、背景のレールを移動する機雷が厄介。
    • ボスへのダメージが蓄積すると背景が回転し、機雷も合わせてレールごと回転、さらにボス自身も狂ったように素早くなるので否応なしに短期決着を強いられる。
  • 5面「バイオニクス・ラボ」
    • 障害物や地形に擬態したバイドが待ち受ける。耐久力も高く素早い動きで自機に迫るため対処に困る。
    • ボスの「ファントム・セル」は過去作品に登場したボスに擬態する。
  • 6面「電界25次元」
    • 最終面。終始ワームホールが漂い続ける虚数空間と異層次元での戦い。
    • 地形は虚実と実体化をくりかえし、ワームホールからは高耐久力のクモ型バイドが大量に湧き出てくる。
    • 全画面が地形に埋まり、ワームホールに重ならなければ抜けられない場面も存在する。
    • ラスボス「マザーバイド*2」は前述のクモ型バイドを次々と生み出してくることを除けば、それほど強敵ではない。 しかし、撃破後は4本の腕だけが残った第二形態に移行。パターンもクソもないガチ避けを強いられる。
  • 2周目は敵の耐久力やスピードが大きく強化されて復活パターンが非常に難しくなっており、ちょっとした油断が死に直結する。
    • 前述の4面も炎の塊がより複雑なルートを描くようになり、6面ではワームホールから出てくるクモ型バイドがスピードアップする地獄絵図に。

自機の性能

本作の自機「R-9Φ ラグナロック*3」はR-TYPEシリーズ最強の一角に挙げられる程、性能が全体的に強化されている。

9種類のレーザー

  • 前作で追加された灰色と緑色のアイテムはなくなり、従来の赤、青、黄の3種に戻った。
    • ただし後述の3種のフォースによりレーザーの性能も異なるため、レーザーは全部で9種類に増えている。前後に同時発射するレーザーや地形にめり込むレーザーなど性能も多彩。
    • 今回は波動砲の補助的な意味合いが強いこともあって、前作までのように赤レーザー一択に縛られる必要は無くなった。

2種類の波動砲

「メガ波動砲」と「ハイパードライブシステム」の2つのチャージモードをいつでも切り替えられる。

  • メガ波動砲
    • 攻撃範囲、威力ともに絶大な波動砲を撃ち出す。前作の拡散波動砲と同じ2ループチャージを要する分、破壊力は抜群。
    • 弾速は非常に速く、撃った瞬間自機の後ろにいる敵にも当たるほどの巨大な攻撃範囲を持ち、あらゆる地形や敵を貫通し、さらには敵弾まで消滅させる
    • 敵弾消去判定が自機の周囲を覆いつくすほど巨大なため、状況によってはフォースを超える防御能力を発揮できる。
  • ハイパードライブシステム
    • HYPERモードに切り替え(BEAMゲージの表記がHYPERに変わる)、2ループチャージ後に解放すると一定時間のあいだ「ハイパードライブモード」が発動。
    • 波動砲の単発威力こそメガ波動砲に及ばないが、連射可能。殆どのザコやボスを短時間で粉砕することも容易くなる。
    • 貫通力はないが当たると炸裂するため、障害物の内側にいる敵にダメージを与えられる事も。
    • 更にビットを1つ以上装備していれば光って自機の周囲を回転するバリアーとなってくれる。
    • ただし、ハイパードライブ終了後は機体の冷却のため(ゲージにHEATと表記される)ゲージの赤いバーがなくなるまで波動砲をチャージ出来なくなる。

補助兵装の強化

今回はゲーム開始時に3種類のフォースの中から1つ選んでプレイすることができる。実質的に難易度選択を担う面も大きい。

  • ラウンド・フォース
    • 従来の形状で、レーザーの内容も無印と変わらない。
    • フォースセレクト時に「For Ace」と書かれている通り、玄人向けの性能。設定上でも旧式のフォースで「現在は一部のエースパイロットが好んで使う程度」と記述されている。
    • ラウンドフォース選択時に限り、ハイパー発動中(オートボタンを使わず)ショットボタンを自力連打する事により、ハイパー状態を通常より長く持続させる事が出来る。
  • シャドウ・フォース
    • ビット開発者たちの叡智を結集した完全人工のフォース。
    • フォースの呼び戻し速度が他2つと比較して圧倒的に速く、スピーディーな合体をこなせる。
    • レーザーがどれも強力な上に、全方位に攻撃可能な2機のユニットをビットとは別に標準装備していることもあって合体中の火力は驚異的。
    • 設定上ではバイド体を一切使用していないはずだが、何故かバイド係数がラウンド・フォースより高い。
  • サイクロン・フォース
    • 破壊力を重点において開発された新型フォース。フォース分離による体当たりを主軸に置いており、波動砲重視のゲームバランスと相性が良い。
    • 分離中は独楽のように高速回転し、周囲を回転するサイクロニックビットがイオンリングを形成、攻撃範囲と防御範囲が拡大する。
    • 遠隔操作が可能で、フォース呼び戻しの最中に(自機との合体を介せずに)引き離しが可能。
    • 合体中のレーザーも決して弱くはなく、特に青レーザーのスプラッシュレーザーは火力、範囲共に強力。
    • 他のフォースと比較してバイド係数が高く、高い破壊力はそれによって得られたものであるらしい。
  • ストラグル・ビットは敵弾防御能力が強化されたビットである。しかし黄色の通常弾は相変わらず防げない。
    • 従来通り赤レーザー時に援護射撃する他、サイクロン・フォースの黄レーザー装備時にはサーチレーザーで援護する。
    • ハイパードライブ時には敵弾防御能力がさらに強化され、黄色の通常弾はおろかフォースでも防げない攻撃を防いでくれる事も。
  • 追尾ミサイルは誘導性能はそのままに攻撃力が強化されたエレクトロン・ミサイルになった。2つ取ると発射間隔も短くなる。

評価点

  • 優れたゲームバランス。
    • 最初から最後まで初見殺しだらけの本作だが、攻略法さえ分かってしまえば安定して抜けられる箇所がほとんど。
      一つ一つの難所の攻略法を確立していくことで、プレイヤー自身の腕の上達を実感できるようになる。
    • 前二作と比べて、死亡後の復活がある程度楽になった。
      • 本作のR-9は2種の強力な波動砲を持つので、初期状態でもある程度の戦闘力が確保されており、前述の通り理論上はフォース無しの状態でも突破可能。
    • 一部のボス戦を除き、高度な弾避け技術もあまり要求されない。道中における雑魚敵の攻撃は遅いので回避しやすく、弾幕に圧倒されることはまずない。
    • 新フォースは全体的に火力・使い勝手ともに優れており、STG初心者へのある程度の救済にもなっている。
    • 本作にはクレジットの概念が無く、何度でも再挑戦可能。初回プレイ時ではミス前提のゲームバランス故に何度もゲームオーバーになりやすいため、無限コンティニューは極めてありがたい仕様。
  • それまで補助的な意味合いが強かった波動砲が大体の敵を一掃できるほど強化され、以前よりも波動砲の必要性や爽快感が大きく増した。
    • メガ波動砲は例外なく地形を貫通し、射線上にいる敵を敵弾ごと瞬時に消し飛ばすことができる。一発逆転の切り札という実感を持ちやすい。
    • ハイパードライブを使えば、オーバーヒートという欠点に見合っただけの継続的な火力強化を図れる。次々出現する大量の雑魚敵を一掃したり、硬いボスを一気に削り倒していくのは爽快感に繋がる。
  • ステージのトリッキーなギミックと、スーパーファミコンの回転拡大縮小機能を使った演出が光る。
    • 特に1面はハードの機能を活かした演出が多い。
      • 背景から高速でR-9を追いかけ、画面手前に踊り出る大型雑魚敵の機動兵器。その内の赤い機体はR-9に気を取られて地形にぶつかって大破するという面白い演出もある。
      • 回転するなどして稼働する次元カタパルト施設では、本作でも特にハードの機能が活かされている。
    • 2,5,6面はバイドの異端性と脅威をひしひしと感じられる演出が多く見られる。生物系バイドのドット絵は生々しく描かれており、シリーズの魅力の一つでもあるグロテスクさが巧みに表現されている。
  • SFCのSTGにありがちな処理落ちがほとんどない。『スーパーR-TYPE』の反省が活かされたといえる。
  • BGMも安定して評価が高い。全編に亘って多用されたディストーションギターサウンドが特徴的。
    • 1面では初代『R-TYPE』の1面BGMのアレンジ、5面ボス戦では初代『R-TYPE』のボス戦BGMのアレンジが流れるなどファンサービス的な展開も。
      • 1面BGMのイントロは、ゲーム開始時のワープアウトデモとシンクロするように使用されている、短いながらも盛り上がる演出もあり。
      • ゲームオーバー・コンティニュー画面・エンディングにも初代BGMのフレーズが使用されているため、初代経験者へのサービス的な側面が強い。
    • 4面の重々しいハードロック調BGMは、面の難しさも相まって多くのプレイヤーの耳に残ったことだろうと思われる。

不評点・賛否両論点

  • とにかく初見殺しが多くて、知らないとミスを連発しやすいため、人によっては理不尽さを抱く可能性がある。
    • 特に凶悪なのが4面。難所である迷路地帯を抜けた末、それを逆走する展開は、苦労して中ボス撃破までたどり着いたプレイヤーを絶望へ叩き込むシリーズの難所の一つとして有名*4
  • 2ループチャージに重きを置かせることによるゲーム展開の遅さ。家庭用オリジナル作品であることも相まって、インカムを重視するため素早いゲーム展開が求められていた前作までと比べると全体的にゆっくりとした展開が目立つ。
    • 1面後半や5面後半が顕著で、敵がしばらく出てこない「間」が長い。
    • 他にも1面のボスは登場からしばらくダメージを与えるチャンスがなく、ただ動くだけで簡単に回避できる攻撃を一方的に避け続けなければならない。
  • 消せる弾、消せない弾が不明確。
    • 前述の通りビットは通常ショットで破壊できない敵弾も防げるようになったが通常弾は防げない。
      • しかしハイパードライブ中のビットはフォースやメガ波動砲でも防げない4面中ボスのレーザーをかき消せる。
    • 他にも二周目3面の3WAY砲台が真ん中の弾だけ貫通弾だったりと、攻撃を防ぐ手段が安定せず明快さに欠ける。
  • 無意味なスコアとエクステンド。
    • 簡単に見つかる永久パターンで簡単にカンスト達成できてしまう。残機もいくらでも増やせる。
    • というか元々コンティニュー回数が無制限な上にリトライポイントも変化がないため、残機そのものが無意味である。

総評

前二作とは違った家庭用ならではのゲームバランスは賛否が分かれる所ではあるが、パターン構築といったR-TYPEらしい楽しみは健在。
グラフィックやBGMの出来も良く、完成度の高い作品。SFCのSTGの中では特に有名な部類に入る。
また、無限にコンティニュー可能という点では、ある意味R-TYPEシリーズの中では初心者に対して良心的な作りなのかもしれない。

その後の展開・余談

  • 本作は後にGBAに移植(海外のみ)されているが、自機や敵弾の当たり判定がデカい上バグが多い、BGMが原形を留めていない、開発元が非公式エミュを使って移植したなどの多くの問題点により、劣化移植では済まされないクソゲーと評価されている。
  • 本作の自機は肉体年齢を14歳で固定された23歳の女性を機体に直結するという設定*5。古今東西様々なゲームがあるが、ここまで倫理的にトチ狂った設定を持つ作品は珍しい。R-TYPEシリーズ特有の恐ろしい裏設定の中でも代表格といえよう。
  • 本作の自機である「R-9Φ ラグナロック」は『R-TYPE FINAL』にも出演(こちらでは「R-9/0」という表記)。ハイパードライブシステム(『FINAL』ではハイパー波動砲という名称)を使用してもオーバーヒートしなくなったが、波動砲1発辺りの威力の減少、メガ波動砲のオミット、装着可能なフォースはシャドウ・フォースのみとやや弱体化が目立つ。
    • 一方、メガ波動砲を受け継いだ後継機「R-9/02 ラグナロックII」は、最大7ループチャージするとほぼ全てのバイドを一撃で葬るギガ波動砲を装備。そのクソ長いチャージ時間を活かすためにサイクロン・フォースも装備しており、『FINAL』最強クラスの機体のひとつとして君臨している。
    • 補足するとFINALにおける波動砲とフォースの組み合わせは特定の機体を除いたほぼ全てが固定である。また同作のサイクロンフォースは造形がおざなりで分離しても高速回転してるように見えず、おまけに周囲を回転するサイクロニックビットの色を間違えるというミスまでやらかしており、外見再現度には疑問符がつく。