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Rez - (2014/02/12 (水) 21:58:00) の編集履歴(バックアップ)


Rez

【れず】

ジャンル ミッドナイト・ハイ・シューティング
対応機種 ドリームキャスト、プレイステーション2
発売元 セガ
開発元 ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ(UGA)
発売日 2001年11月22日
定価 7,140円(税込)
廉価版 PlayStation2 the Best:2003年7月10日/3,150円
配信 Xbox LIVE ARCADE:2008年1月30日/800マイクロソフトポイント
分類 良作

ガイヨウ

『セガラリー・チャンピオンシップ』『スペースチャンネル5』『ルミネス』などで有名な水口哲也プロデュースの3Dシューティングゲーム。
水口プロデュースの作品の中でも評価の分かれる問題作であり、人気はあるものの、今でもその評価は賛否分かれる。
LSD』をはじめとする、音と映像でプレイヤーに訴えかける数少ないゲームのひとつで、その層からは非常に歓迎され、かつ大ヒットした。

この記事ではこのゲームの詳細に触れていく。

キャッチコピーは「うって、ノッて、絶頂へ。」 「Feel it, don't think.ひたすら没頭せよ。」

なお、同性愛との関係は全くない(女性に惹かれる女性を意味する「レズビアン」の綴りはLesbian)。


ストーリー

遠い未来、増えすぎた人口、整理できないほど広がったネットワーク社会。
無秩序に拡大したネットワークシステムは増加するネット犯罪に対応の限界を迎えていた。

これに対し人類は、新たなネットワークシステムを構築。
その中枢「PROJECT-K」と、その根幹をなす人工知能「eden」が、完成に近づいていた。

しかし「eden」は、ネットに広がるあまりの情報の量に困惑し、自分の存在、すべての行為への疑問、そして矛盾によってスリープしてしまう。

プレイヤーは、システムによってビジュアライズされた電脳空間に「eden」を探す旅に出る。
ウイルスによって侵されたファイアウォールをハッキングし、「eden」を目覚めさせることができるか。



ソウサホウホウ ト ゲームノナガレ

  • このゲームで必要になるのは方向キーと2つのボタンのみ(デフォルトではAとB)。知っている方は、同じセガ製のシューティングゲーム『パンツァードラグーン』のシステムを簡略化したものと思っていただきたい。
    • Aボタンを押しっぱなしにして敵をロックオンサイトに収めると、敵をロックオンする。最大8体までの敵をロックオンでき、ボタンを離すとロックオンレーザーで敵を破壊することができる。また、耐久力を持つ敵は集中してロックオンすることができる。
    • Bボタンはオーバードライブ(いわゆるボム)。視界内の敵を一定時間無敵になりながらオートで攻撃し続ける。
    • このゲームに回避という概念はなく、相手からの攻撃はロックオンして撃ち落とすことで防ぐ。
  • プレイヤーには耐久力が設定されており、デフォルトでは1。0の時に攻撃を受けると死亡。
    • 耐久力はアイテムの取得で増える(後述)。
  • ステージは1ステージにつき10階層の「レイヤーレベル」で構成されており、プレイヤーは敵を撃破しつつ、道中で現れる「ネットワーク・オープニング」と呼ばれるオブジェを破壊することでさらなるレベルに進んでいく(レベルを進めなくてもゲームはクリア可能)。レベルが増加するごとにステージの風景は複雑になり、ステージ独特の世界を構築していく。ステージの最後に待ち受けるボスを撃破すればクリア。ボスの強さは道中でのプレイヤーの成績によって変動する。
    • 各ステージは、ラストステージと隠しステージ以外は実在した四大文明を模したものになっている。
+ ステージ詳細
エリア 楽曲 / アーティスト モチーフ ボス
Area1 Buggie Running Beeps 01 / 杉山圭一 エジプト文明 The EARTH
Area2 Protocol Rain / Mist インダス文明 The MARS
Area3 Creation the state of art / ケン・イシイ) メソポタミア文明 The VENUS
Area4 Rock is sponge / JOUJOUKA 中国文明 The URANUS
Area5 Fear / Adam Freeland
Boss Attacks (Remix)/ Coldcut and Tim Bran
生命の歴史 ?????
+ クリア後に開放されるステージ

クリア後はスコアアタックモードが解禁される他、以下のステージが特定の条件を経るごとに解禁される。

エリア 楽曲(アーティスト) モチーフ 備考
Lost Area F6-G5 / ebz 特定のモチーフなし 『単純でありながら、そこには本質がある。忘れてはならない場所』
アンビエントな音楽の中進行する、無機質なステージ
Trance Mission P-project / oval スコアもクリア条件も存在しない、異質なステージ。
次々と切り替わる色彩と音楽の中、気の向くままに敵を破壊し続けるループステージ
Direct assault 通常ステージの連戦 隠しステージを除く全ステージを通しプレイし、スコアを競う
Boss Rush 今までに挑んできたボスと連続で戦っていくモード
  • 敵を撃破するとアイテムを落とす場合がある。アイテムは青色の プログレスアイテム と、赤色の オーバードライブアイテム が存在。
    またスコアアタックモードにのみ、スコアをアップさせる緑色の ポイントアイテム が出現する。
    • プログレスアイテムを規定数取得するとプレイヤーの形態が変化し、耐久力が1増加する。ODアイテムを取るとオーバードライブ回数がストックされ、最大4回分ストックできる。



トクチョウ ト チョウショ

  • このゲームはとにかく視覚と聴覚に訴えかけるような内容になっている。
    • 水口氏の提唱する「音楽と光をゲームに融合させる」作風が大きく現れている。
  • ワイヤーフレームで構成された世界は、まぶしい色彩に彩られている。レベルが進むごとにワイヤーフレームはより複雑化し、独自の世界を構築する。
    • 国内外から集められたアーティストの作り出す音楽もレベルが進むごとに音が加わり、最初は単調であったものが、次第に音楽の形をなしていく。
      • 敵を撃破すると音と光が生まれ、プレイヤーはまるで音楽を奏でているかのような感覚を味わえる。
      • プレイヤーの操作が上達してくるとプレーヤーの動き、映像、効果音がシンクロし独特のグルーヴ感が生まれ、効果音はテクノミュージックのようになり、プレイヤーに対して陶酔感を生み出すようになっている。
      • リズムに合わせて勝手に体が動き、自然にこのゲームに没頭していく。このような工程を経て、プレイヤーは次第にこのゲームをプレイすることで快感を得るようになるのである。
  • 各エリアの最後に立ちはだかるボスの攻撃手段は非常に多彩かつ個性的。
    • プレイヤーをボス自身の内部に取り込んで攻撃を仕掛けるもの、幾重もの防壁と防衛手段でプレイヤーを弱点まで到達させんと阻むもの、そして自身の姿を柔軟に変化させプレイヤーを翻弄するもの…非常に彼らには攻略のしがいがある。
  • 音楽や映像に重きをおいたゲームではあるが、肝心のゲーム部分もお粗末ではなく、シューティングゲームとしてみても完成度は高い。
    • やり込み要素も豊富で、スコアを競うスコアアタックモードや、全ステージを通してプレイするダイレクトアサルト、そして隠しステージと一通り揃っている。



モンダイテン・サンピリョウロンテン

  • このゲームはLSD等と同じく、非常に「プレイヤーの感性に左右される」タイプのゲームである。
    • そのためプレイヤーの感性によって神作にも鳥よけにも転ぶ、極端な賛否両論作品となった。
  • シューティングゲームとして
    • ゲームとしてやれることが少なく、遊びの幅は狭い。
    • 昨今の3Dシューティングと違って、精密な狙い撃ちや部位破壊はさほど要求されず、基本的に「ロックして撃つ」だけのため、歯ごたえがなく飽きやすい、という人もいる。
    • 敵弾が見にくく、いつ撃たれたのかも分かりにくい。気が付いたらいつの間にか被弾していた、ということも。これは視点移動の仕様の弊害でもある。
    • 敵をガンガン撃って爆発させたり、アイテムをガンガン取得したりする普通のシューティングゲームの方が、よほど快感を得られるという人も少なくない。
  • 賛否両論のラストステージ
    • ラストステージであるArea5だが、これまでのエリアとは毛色の違う異色の構成となっており、プレイヤーの間でも賛否が分かれている。
    • よく言われるのが「曲のテンポが遅く、ステージ進行がだるい」というもの。Area5の道中BGM「Fear」は今までのステージとは違うローテンポな楽曲となっており、ステージ進行もBGMのテンポに合わせているためこれまでのステージのようにスピード感がない。
      そのため、一部のプレイヤーからは「だるい」「ダレる」などの否定的な意見もある。
      • Area5は賛否両論ではあるが「Fear」という曲の評価自体は高い。「スルメ曲」「聞いているうちに癖になる」と好評である。本作のファンからは「Area5あってこそのRez」という声も多い。
    • 中盤〜後半はこの中で、敵が物量でこちらを圧倒してくる。そしてArea5には耐久力の高い敵が多く、オーバードライブを計画的に使わないと敵の物量に押し負けることもある。
    • 道中だけでも長いArea5だが、道中突破後はさらにArea1〜4のボスを模倣した中ボスと連戦するボスラッシュが待ち構えている。集中力が切れたが最後、弾幕で押してくるボスに圧し殺される。
      • ボスの攻撃内容も苛烈で、「触手を画面の左右いっぱいに伸ばし弾幕を発射、視点移動しないと見つけられない弾丸を放ってくるEARTH*1」「耐久力の高い壁型の弾丸連射→画面中に無数の小型の弾丸をばらまくというパターンを繰り返してプレイヤーの精神を擦り減らすMARS」「オリジナルと同じように形態を変化させながら攻撃し、ある程度耐久力を減らすと追尾弾を短いスパンで連射するパターンに移行して指を酷使させるURANUS」など、最終面に相応しい強さでプレイヤーを追い詰める。
    • そしてそれらのボスを倒すと、最終ボスであるEdenに挑むことができる。
      • このEdenもEdenでダルい要素が多く、「弱点の周囲にあるリングを破壊して弱点を露出」→「弱点から放たれるミサイルの弾幕をかわしつつ弱点の体力を削る」→「以降リング破壊→弱点攻撃の繰り返し」というパターンで体力をゼロにする、という攻略法が求められるのだが…。
      • リング破壊後に放たれるミサイルの弾幕は本当に量が多く、全弾を撃ち落とすには指をかなり酷使する必要がある。その量たるやミサイル発射に合わせてODを使っても何発かミサイルが残るほど
      • そして弱点の体力を削ると、そのたびにEdenが謎の背景をバックに踊るムービーが流れる。当然ムービーの間は操作不能であり、スキップも出来ないのでかなりテンポが悪い。
      • Edenは弱点の体力が減少するのに応じてボディが構成され、頭からスタートして最後には人間の上半身が完成する。最初のムービーでは生首が踊るので、ちょっとしたホラー。
  • 隠し要素であるダイレクトアサルトも当然ながら長丁場になり、ラストステージを含めるとクリアには約1時間程度の時間を要する。また、「隠し要素がただのステージの通しプレイ?」と批判されることもある。
    • 一応ダイレクトアサルトにしかない要素として「ステージの色調が変えられる」オプションがあるが、隠しボスなどの要素はない。



アーティスト

  • 本ゲームに参加した国内外のアーティストたち。その一部を紹介。
杉山圭一
セガに所属し、社内外で活躍する作曲家。「ニュールーマニアぽろり青春」「ブリンクスシリーズ」を手がける。
ケン・イシイ
プロレス通・YMOチルドレンとしても知られるテクノ・ゴッド。概要に挙げた『LSD』においても楽曲を提供した。
Adam Freeland
独自レーベル「Marine Parade」を運営するほどのビッグネームで、ジャンル「ニュー・スクール・ブレイクス」の先駆け。アルバム「Now and them」が有名。
oval
ドイツのテクノ音楽ユニット。ノイズミュージックのジャンルで活躍し、独特な手法でその名を知られる。
  • いずれのアーティストも、超一流の強者。豪華すぎるほどの顔ぶれである。



ソウヒョウ

本作はその独特なゲーム内容から人気はある程度獲得したものの、売れ行きは伸びず一部ではワゴンに放り込まれることもあった。
LSDなどと同じく、非常に肌に合う人合わない人を選ぶゲームであることが災いしたのだろう。
しかし、水口の提唱する「音楽と光をゲームに融合させる」作風が高次元で完成された本作は、数多のゲームの中でも突き抜けたセンスと異彩を放っており、前衛芸術的な観点としてはまごう事無き名作である。
後に同氏がリリースする「ルミネス」などの作品が肌にあった人間ならば、買って間違いはないはずだ。

Feel it, don't think.ひたすら没頭せよ。



ヨダン

  • クリア後は『Beyond』といういわゆる公式チートが解禁される。内容は同社製の『パンツァードラグーン』の『パンドラボックス』に酷似しており、ゲーム開始時から最終形態を選んだり、無敵ON/OFFなどが可能。
    • Beyondではプロデューサーつながりか、プレイヤーキャラクターとしてモロ星人が使用可能。もちろん『チュー!』をはじめとするボイスも聞ける。ただし耐久力0扱いなので一発被弾で終了。
  • 本作品には、このゲーム(とスペースチャンネル5 パート2)に連動するためだけに作られたトランスバイブレーターと呼ばれる周辺機器が存在。これはゲームに連動して振動するだけのシロモノ。
  • また、このゲームの開発の際、水口氏とスタッフは相当な試行錯誤を重ねたようだ。ここでその一部を垣間見ることができる。
  • 2002年度欧州アルス・エレクトロニカ・インタラクティブアート部門、日本の経済産業省デジタルコンテンツグランプリ・エンターテインメント部門サウンドデザイン賞、文化庁メディア芸術祭特別賞の三つを受賞している。審査員からは「演奏するように気持ちのよいシューティングゲーム」と評され高評価だった模様。
    • このゲームには美術理論家ワシリー・カンディンスキーの提唱していた「シナスタジア(共感覚)理論とレイブ体験の融合」を実現する試み、という側面があった(スタッフロールにも「カンディンスキーの魂に捧げる」の一文がある)。
  • 2008年には『Rez HD』としてXbox LIVE ARCADEに移植。HD画質を活かしたグラフィックで、ワイヤーフレームはジャギの見当たらないくっきりした線となり、美しさがさらに増した。なお、PS2版でのトランスバイブレーターは、2P以降のコントローラーで代用できる仕様。
  • 2010年になり、水口氏はE3でこのゲームの発展形/続編のような『Child of eden』と呼ばれるタイトルを発表。会場で実演を行い、Best of E3を受賞した。
    • 2011年10月6日に無事発売を迎え、さらなる映像美とキネクトを使っての斬新なプレイはかつてのRezファンの多くを満足させた。
  • 『Rez』は、イギリスの有名なテクノポップバンドUnderworldの1993年のヒット曲でもある(最近ではロンドンオリンピックの開会式でも使われていた)。
    音楽の方向性や不思議な世界観に本作に通じるものがあるため、しばしば関連性が指摘されるが、製作者は無関係と言い張っている様子。名曲なので興味があるならこちらも聴いてみよう。

Feeling now!

この動画を見て、少しでもゲームの雰囲気を感じとって欲しい。