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Fate/stay night - (2021/06/24 (木) 15:51:39) の編集履歴(バックアップ)



Fate/stay night

【ふぇいと すていないと】

ジャンル 伝奇活劇ヴィジュアルノベル
※DVD版

※復刻版
対応機種 Windows 98~XP
発売・開発元 TYPE-MOON
発売日 CD版:2004年1月30日 / DVD版:2006年3月29日
定価 【Win】8,800円(CD・DVD共通)
レーティング アダルトゲーム
備考 CD初回版には設定資料集「Fate/Side material」付属
オフィシャル通販特典に小冊子「Fate/side side materiale」付属
判定 良作
Fateシリーズ

概要

有限会社ノーツのゲームブランド「TYPE-MOON」の第1作。同名の同人サークルでビジュアルノベル『月姫』を製作したメンバーによる商業初進出作である。
『月姫』と同じ形式のビジュアルノベル作品であり、「18禁のアダルトゲーム」というカテゴリに属してはいるが性的描写は控えめで「ストーリー、設定面に比重を置いた伝奇活劇物」の色が濃い。
後年発売されたファンディスク『Fate/hollow ataraxia』も合わせた販売累計は約40万本にも及び、アダルトゲームの実販売数が集計されるようになってからは(2011年時点でも)最高の売上を誇っている*1
そのヒットの余波は凄まじく、本作発売当時はコミケを筆頭とする同人誌即売会をFate一色で埋め尽くし、普段アダルトゲームをプレイしない層にも「名前くらいは聞いたことがある」ほどの知名度を獲得する有名作の一つとなった。


ストーリー

現代。我々の生きる世界の裏で、かつて歴史の表舞台から追放された「魔術」をはじめとする異能の術は、人々の目を逃れて今なお存続していた。

日本の冬木市に住む主人公の衛宮士郎は、穂群原学園に通いながら日常を過ごしていた。
世話焼きの後輩である間桐桜、テンション高めでおっちょこちょいな隣人にして教師の藤村大河、堅物気味だがよき友人である柳洞一成…そんな人々に囲まれ、士郎は「正義の味方になりたい」といういささか奇妙な志と、「強化」と呼ばれるちょっとした魔術を扱える点以外は、概ね日常の側にいる人間として学生生活を謳歌していた。

しかし、彼の日常は、ある日突然非日常へと転落する。
夜の学校で偶然目撃した、青い槍兵と赤い外套の男。尋常ならざる力で戦う二人の異形を目撃した士郎はその戦いに巻き込まれ、青い槍兵に刺殺されてしまう。しかし士郎は学園でその名を広く知られる優等生、遠坂凛によって蘇生され、一命を取り留めた。
士郎はワケも分からぬまま一度帰宅するものの、執拗に彼を追い続けた青い槍兵により再び命を狙われる。
必死に防戦するが力量の差はいかんともしがたく、止めを刺されようとしたまさにその時、彼の前に一人の美しい剣士が現れた。

「問おう 貴方が私のマスターか?」

それは「聖杯戦争」と呼ばれる、万能の願望機を巡る戦いの幕開け。
衛宮士郎は「剣の騎士」のサーヴァント・セイバーを偶然とはいえ召喚してしまったことで、否応なくこの戦いに身を投じる事となる。
7人のマスターと、7騎のサーヴァント。彼らの聖杯に込める願いをかけた戦いが始まる…。


特徴

  • プレイヤーは基本的に主人公「衛宮士郎」の視点を軸に物語を追体験していくことになり、途中で出現する選択肢によってストーリー及びエンディングは変わる。
    • ストーリールートは主に3つあり、それぞれサブタイトルと話の核になるヒロインが異なる。ただし、それらは初めから全て自由に選択できるわけではなく、一つのルートの正式なエンディングを発見するごとに順次解放されていく。
    • すなわちゲームの進行は、 多彩な BAD・DEADエンド行きを除けば、実質一本道といっても差し支えない。第2ルートと最終ルートでは正式エンディングがGOOD・TRUEの2通りずつあるので、エンディングは計5つとなる。
  • 上記のとおり、ストーリーの骨子は、『仮面ライダー龍騎』・『ローゼンメイデン』等に見られる「自分の願いを叶えるために、人間離れした能力を持つ者同士が命を賭して戦う」という、アニメ・ゲーム等の業界ではポピュラーな展開である。しかし、シナリオ担当の「奈須きのこ」氏による一癖も二癖もある文章と歴史伝承を多々交えた設定により、既存のそういった作品とはまた異なる趣になっている。
    • 独特なファンタジー用語の解釈を散りばめたテキストと、重めで「厨二病テイスト*2」全開な表現が最大の特徴。全体的に複雑な傾向にある各キャラクターの心情もあいまって、「きのこ節」とも呼ばれる作風を世に知らしめた。

評価点

キャラクターの魅力

  • どのキャラクターも独自の個性を持ち、良い味付けがなされている。しかもルートによって大きく描かれ方が違い、3つのルートを用いてキャラの心情が深く掘り下げられている。そのためメインキャラといえる「7人のマスターと7騎のサーヴァント」は誰もが人気が高い。
    • その中でもやはりメインヒロインの1人であるセイバーの人気は抜きん出ており、人気投票となるとFate勢でまず1位に輝くほど。その人気ぶりは奈須氏に「そんなに金髪美人が好きか」と叫ばれとか*3
    • 男性向けアダルトゲームであるにもかかわらず、男キャラの人気も高いのも異色といえる。男性キャラの1人であるアーチャー(遠坂凛のサーヴァント)に至っては、人気投票の度にヒロインを差し置いて高順位にランクインしている。
    • それぞれのマスターの人間関係は姉妹、兄妹、クラスメイト、教師、片思いの思い人など、主人公衛宮士郎を中心に複雑で絡み合い、人間ドラマを演出している。
    • サーヴァントにはTRPGを意識したキャラステータス画面が用意されていて、能力解説などが記載されている。歴史上及び伝説上の人物ということで、背景や生い立ちもしっかりとしている。
      • ただ単に歴史上の人物をそのまま使っているわけではなく、あくまでも Fateシリーズのキャラとして 、オリジナル要素や歴史的な解釈も混ぜながら巧みに仕上げている。それがまた本作の特徴となっている。
      • 具体例を挙げれば本作のヒロインのセイバーはとある伝説上の人物を「女性」に変更しており、作中の世界ではそれに準じた伝説が残されていると変更されている。この女性化も伝承や史実を世襲しながら変化しており、ある程度違和感の無いようにしてある。
    • またサーヴァントは生前に悲劇的な生涯を送った英霊が多い。前世の記憶を保ったまま現代に召喚されるため、その過去の背景を世襲しており、そこから戦う理由も個々に設定されている。
    • マスター・サーヴァント以外のキャラもしっかりキャラクターが練り込まれている。本編ではあまり出番のないキャラでもファンディスクなどでエピソードが与えられているため、埋没しているキャラは事実上いなくなった。

「燃え」と「グロ」が織りなすシナリオ

  • 少年誌のような熱いバトル展開、そしてアダルトゲームという媒体をフルに使用して描写されたグロ要素。二つの要素はミスマッチしながら、"戦争"と題されるものの残酷を表現しつつ、他には無いオリジナリティを発揮している。
  • 上記の作られた人間関係、二点三点する展開、驚嘆の真実などなど最後の最後まで引っ張れる脚本力は見事というほかない。

魅力的な聖杯戦争

  • 映画や小説の『魔界転生』をオマージュして作られたという聖杯戦争の設定は非常に秀逸。
  • 過去の英雄達の霊を 使い魔 (サーヴァント)として共に戦い、最後一人の生き残りを賭けて争う」という緻密に練られた設定と世界観に多くのファンが熱中した。
  • その中でも好評を得ているのが、 サーヴァント (使い魔)として召喚されることになる英霊*4の設定である。
    • キリスト教圏内に歴史的な知名度があれば史実での実在、非実在の有無は関係ない・『セイバー』、『ランサー』など得意戦術に応じたクラスの仮名と能力傾向を与えられ生前の名前は隠す・宝具という生前の逸話や伝承からなる武装/必殺技がある、というよく作られた設定はFateシリーズの魅力の一つとなっている。
    • 特に過去の英霊の真名は最初は隠されているが、伏線があり、物語を進めると序々に明かされるという部分が、世界史マニアや歴史マニアなどを魅了。そこから「真名当て」という推理小説のような楽しみ方が行われる事となった。

多彩に設定された世界観

  • 聖杯戦争以外の設定も秀逸であり、魔術や道具、技術などもそれぞれ練られた設定を与えれられている。魔術に至っては非常に細かく、何故魔術師が生まれたのか? というところから作られている。
  • また、本作の多くのキャラクターに多大な影響を残す10年前の事件(第4次聖杯戦争)の構想がすでに出来上がっていることもわかる。これを抽出した単独作品がその後の『Fate/Zero』である。

戦闘シーンの演出

  • 複数の攻撃エフェクトCGを連続して切り替える、立ち絵を躍動感ある動きで移動させる等して、アニメーションとビジュアルノベルの間に位置する臨場感の妙を生み出している。
    • 意外にもそれまではカットイン、小コマ、ホワイトアウトなどの手法がほぼ全てだったADVにおいて、特に戦闘シーンを含む臨場感のある演出は頭打ちに近かった。そのような情勢で生み出された本作の演出は、ADVにおける新しい演出の形を示したと言える。
      Fate発売以降、いわゆるバトルありのノベル作品において本作に倣った演出スタイルを取り入れた作品が増加したことから、その影響の大きさが窺える。

一服の清涼剤「タイガー道場」

  • 本編では殺し合いをしているため全般的に雰囲気は重い。当然ながら生死を分ける場面で選択肢を間違えたら即アウトとなる。
    この正規エンディングに至らない打ち切りを経た場合、「タイガー道場」という本編と全くテンションの異なる救済コーナーが登場する。
    • 名目上はバッドエンドの原因をプレイヤーに告知するコーナーなのだが、その真骨頂は明らかにタイガー&ブルマ(それぞれ本編に登場するキャラによく似た誰か)のはっちゃけたショートコントである。
      その内容はルートのネタばれ上等&メタ発言全開、おまけに他所のゲームのネタまでありとカオスの極み。それが全てのバッドエンドごとに作られているため種類もかなり多く、挙句の果てに全て発見すると特典映像・ストーリーのまとめまで解禁される。
      「(褒め言葉として)スタッフは力を入れる所を間違えてるだろう」と言われることも多い。
    • アダルトゲーム界隈では選択肢過多やバッドエンド過多は批判されがちなのだが、本作の場合はタイガー道場を緩衝材・兼隠し要素のトリガーにすることで好意的な評価へと昇華させているといえる。
    • ちなみにTYPE-MOONではこの類の要素は本作が初というわけでもなく、同スタッフ製作の同人ゲーム『月姫』の時点で存在していた。やけに凝った趣向も含めて。

賛否両論点

主人公の性格

  • 先にも少し触れたが、プレイヤーは士郎と視点や心情を共有しつつ選択肢を選んで物語を進める。
    それ自体は他のゲームでも見られる光景だが、彼は無個性型の主人公ではなく、作中のヒロインをして「歪んでいる」と言わしめる程に自己犠牲を厭わぬ献身的な性格の持ち主であり、そのような彼の歪みとそれの変化は実質的にこの物語の主題として、3ルートを通じて描かれる。
    • そんな彼に自己を投影できるプレイヤーや、彼をある程度容認して物語を進められるプレイヤーには問題ないが、馴染めない人には相当厳しい。個性派主人公のゲームは概ね人を選ぶものなので、好みの問題と割り切って考えられることもある。
      と言っても作中を見ればわかるが、基本は常識人であるためそこまで偏ってるわけでもない。
+ ネタバレ
  • 初めにプレイするルートでは「単独行動をして捕まる」を二度も繰り返すことになる*5が、そうしないと飽きた敵が殺しに来るDEAD ENDが組まれている。聖杯戦争の戦闘を経験した状況でのこの流れは非難されやすいポイントの一つになっている。

テキスト・シナリオに癖がある

  • テキスト量が多く、全てのルートをクリアするのにかかる時間は平均でも60時間以上と言われており、ノベルゲーとしてはかなり長い方である。
    • 後発の『Realta Nua』ではフルボイスが実現しているのだが、ボイススキップをしなかった場合プレイ時間はさらに膨れ上がる。
  • 好意的に受け止めた人が多い一方で、一見厨二病(誤用)のようで、かつ回りくどい表現で構成されるテキストの連発に否定的な評価を下す人も多かった。
    • もっとも『幽☆遊☆白書』や『BLEACH』等の週刊少年ジャンプの大ヒット漫画でも使われていた手法であり、それを百も承知で作られた本作にとっては当然の結果である。ちなみにアンチが多い点も本作品と共通している。
  • そんなテキストで構成されているので当然と言えば当然だが、シナリオへの評価も毀誉褒貶が激しい。
    それとは別に「Heavens feel」と題された、とあるヒロインを主軸にした最後のルートに関しては、特にその展開から好みが分かれる傾向にあった。
+ Heavens feel詳細: 超ネタバレ注意!!
  • 簡単にまとめると、聖杯戦争の根底事情が今まで以上に明かされ、他ルートと全く毛色の異なる展開が目白押しのルート。 一見すると他の2ルートを否定してしまうような展開、全体的な雰囲気が暗い、また説明が他のルートと比べて多く時間が掛かる点などが主に評価を分けている。

Heavens feelの主な賛否両論点

ヒロインに関わるグロテスクな要素

  • ルート中盤で、このルートのヒロインが抱えている重大な真実と絶望(加えて、暗躍する黒幕の存在)が初めて明かされる*6。このHFルートでのみ判明するヒロイン周辺の設定は正にこのゲームで描かれた聖杯戦争の根幹をなす設定がある程度含まれている。
    詳細は伏せるが、その内容は18禁であること以上にインモラルかつグロテスクなものである。その時に見せる彼女の変貌/豹変ぶりも、このルート、いわんや奈須きのこ作品において外す事はできないほど有名であり、これについていけないプレイヤーも少なくなかった。
    それまでの2ルートにも殺し合いやエロはあったものの、それらと全く方向性の違うグロ要素が突然現れるため、18禁指定のゲームとはいえグロが無理な人は注意すべきであろう。なお、この部分に関しては外伝(全年齢作品)である『Fate/Zero』でも詳しく触れられている。

他ルートでこのヒロインが救われてない可能性の示唆

  • ヒロインの隠された真実を知ると、他のルートで自分なりの答えや幸せを見出した主人公及びそのパートナーのエンディングでは、彼女は真実を秘めたまま救われずに終わる可能性を暗示させられてしまう。
  • 要するに、今までのハッピーエンドに泥が塗られてしまう可能性が存在する。一応関連書籍などでこの辺りの決着が数年後に着けられ、彼女が救済される事は示唆されているのだが、このように本シリーズには事後発売された書籍などに解説を託した要素がこの時点でも多く存在する。

他ルートでの出番の少ないヒロイン

  • 彼女は他の2ルートでスポットライトの当たる機会が少なく、中盤あたりで事実上フェードアウトしていた。彼女の事情もあるが他の2ルートのヒロインは自分のルート以外でも縦横無尽に活躍しているのに対して、最終ルートでしか彼女にスポットは当たらない。このことが彼女になかなか愛着を持てないプレイヤーが居る理由となっている。

他のルートとは異なる主人公の選択

  • 以前のルートでメインヒロインを貼り続けていたキャラが、Heavens Feelに限り主人公の敵に回る上に絶対に助けることが出来ず、自身で手を下す選択をせねばならないため、それまでのルートで彼女に強い愛着を持ったプレイヤーの中にはこの選択を受け入れがたいものとする人も少なくない(一応、彼女がメインとなるBAD扱いにならない特殊ENDも存在するが、扱いはほぼBADENDと変わらない上に、彼女が救われない事に変わりはない)。
  • またヒロイン以外にもこのルートでは前のルートで活躍していたキャラが次々に死滅していく展開でもあるため、そこで雰囲気が暗くなってしまって合わないという人もいるようである。
  • また、このルートのヒロインの真実を知った主人公(≒プレイヤー)は彼女の為にこれまでの2ルートで見せたものとは異なる決断をする事になる*7のだが、それはこれまでのシナリオの主人公の信念を一見否定するようなものであった。
    • ルートごとに状況が独立している上、他のルートとはその様相や展開があまりに異なるので、選択が異なる事自体は自然では有るが、 プレイヤー(≠主人公)だけはなまじ他ルートのことを覚えてしまっているがために ついていけなかった…という場合もありえる。

最終ルートらしからぬ展開

  • 詳細なネタバレは省略するが、上記の展開故にグランドフィナーレが「全ての仲間、ヒロインが生き残るわけではない」ことに微妙な後味を残すプレイヤーも存在する。最終ルートであるがゆえにこれまでのルートで救済されていなかったキャラクターが救済されると期待したプレイヤーも居たようである。
  • このルートで全ての謎が解明されるため「本ルートのトゥルーエンディングが本作の真のエンディング」と思うプレイヤーも少なくないが、製作側は「あくまで全てのルートの可能性が等しく存在する」と言う旨の言葉を残していた*8
    とはいえこれまでのルートでは前述のように本当の解決は数年後に持ち越される点、エンディングの演出*9が唯一異なる点などから、やはりこのトゥルーエンドが文字通りの正史だととられやすい。
    • 最終ルートだからこそのどんでん返しの連続で、プレイヤーは意表をつかれ、実際にその点を評価し、好意的に受け止めているプレイヤーも存在する。
      しかし、HFルートまでに数十時間プレイしてきて愛着も沸いて来たキャラの急激な方向転換、そして前述したような別離に対して、「ついていけない」プレイヤーもまた少なくない。

問題点

一部キャラに関しては批判的な意見が多い

  • 独自の個性を悪い方向で発揮しているキャラも多少いる。特に間桐家の人々はどいつもこいつもアクが強い。
    • その代表がワカメの蔑称(愛称?)で呼ばれる「間桐慎二」である。日常における彼は主人公の学友なのだが、弱者を見下したり乱暴する描写が目立つ上に、主人公に対して高圧的な態度をとってくる。唯我独尊が透けて見える一方で権威主義な傾向があり、作中で何度もサーヴァントの威を借りるシーンが存在する。いわゆる、小物キャラである。
    • とあるヒロインのルートでは、それまでのルートでは明かされなかったその悪辣な所業が明らかになる為、そのヒロインが好きな人は勿論、そうではない層からも殊更に叩かれている。
    • こんな性格になった理由はルートの1つで明らかになるが、それでも 「同情の余地はない」 *10 「死んで当然」 という意見が大勢であった*11。しかしその小物ぶりが逆に愛嬌となっており、後日談や外伝では「ワカメ」の愛称で個性的な扱いを受けることになる。実際に劇場版Heaven’s Feel公開後は彼の境遇を理解し、哀れむ意見も増えてきている。 またゲームより数年後に出た漫画版およびファンディスク『Fate/hollow ataraxia』では「良さ」を感じさせるエピソードも導入されている。
      + ネタバレ
    • プレイヤーに嫌われる悪役というのは、物語などにとってはむしろ長所になりうる。にもかかわらず彼が何故これほどの批判に晒されるのかと言えば、 ルートの一つの最終決戦においてこの小悪党を主人公達がわざわざ助けねばならない ため。嫌いな人はもちろん、そうでない人にとってもカタルシスの大きな欠如が問題となる。
      もっとも、それ以外のルートでは外道な悪党の末路に相応しい死に様を見せる為、プレイヤーの溜飲を下げてくれる展開はきちんとある。
      • また、このルートでは救出された後に改心した事が示唆されているため、全く救いが無いわけでもない。
    • 嫌われがちな理由の中でも特に大きな要素として、彼はほぼ完全な悪役の立ち位置であるにもかかわらず、主人公が自分の親友のように扱い続けるという不満もある。
      明らかな悪行や主人公自身への辛辣な態度を見せ続けるのに、「あいつにも良いところはあるんだ」と主人公は主張しかばい続ける。
      なお、彼が本編中で実際に「良いところ」を見せるシーンは一幕たりともない。良いことをした過去の回想だとか、主人公が彼を気に入ったきっかけだとかの描写すら皆無。
      • なまじ主人公が友人として擁護し続けている相手のため、悪党の末路にふさわしい最期を遂げるシーンですら、すっきり喜べないという難点まで持つ。
  • 余談だが開発段階では慎二と主人公が同盟を組みヒロインのマスターと敵対するルートもあったらしいが「野郎のデレなんざ誰得」と言う理由でバッサリカットされたらしい。
  • 因みに、慎二と桜の祖父である間桐臓硯も、慎二ほどではないがよく批判される。実のところ彼は全ての元凶である黒幕ポジションに近い為、外道なのは当然と言えるのだが、彼は一部のルートにしか登場しないうえにそのルートでの最期も罰や制裁を受けるといった感じではないのも大きいかもしれない。

イリヤが非攻略キャラであること

  • 彼女はシナリオ全体でも重要な位置を占めると同時にファンの人気も高い。そのため、彼女が非"攻略"対象であることには首を傾げる者も少なくない。
    • ただ実は、当初イリヤルートは「4番目のルート」として存在していたが、製作の長期化・同人から商業への作品仕様変更*12に伴ってボツになってしまい、展開の一部がHeavens Feelルートに統合されたという経緯がある。このこともHFルートが賛否両論となる原因の一つである。TYPE-MOONは大手ブランドの割に人員がそれほど多くないため、マンパワー的に取りうる選択肢は限られていただろう。
    • その後DVDリマスター版や全年齢版(PS2)、分割DL版が出された際も結局追加されることはなかったが、これもまた、前述のマンパワーの問題に加えて一度HFルートに統合してしまったため新ルートとしての独立化が難しいという事情もある。
      • 個別ルートの有無とは関係なく、HFルートにおいてもイリヤはすでに重要な役目を果たすキャラとして完成されている。衛宮士郎の恩人である衛宮切嗣とイリヤの繋がりもここで明かされるため、当ルートの士郎にとってもイリヤの存在は大きい。
      • そういった事情を鑑みてもなお、ファンにとっては「ルートを追加して欲しい」と言う意見が絶えなかった人気キャラではある。ファンの希望もTYPE-MOONの事情も、どちらも納得がいくものなので難しいところであるが…。

キャラクターの見せ場

  • 各キャラクターの見せ場はルートごとに分散されているため、ルートによってはほとんど活躍せずにフェードアウトすることがある。全ルートで例外なく活躍するといえるのは主人公と遠坂凛だけ。
    • また、その遠坂凛のルート「Unlimited Blade Works」は「主人公ルート」とも言えるほど主人公にスポットが当てられたルートであるため、彼女の「ヒロインとしての出番」は少ない。「主人公の仲間としての出番」なら十分なので、決してキャラとして冷遇されている訳ではないが、その辺りが後述の「実用性」面での批判に繋がっているとも言える。

本来の意味での実用性

  • エロ要素はほとんどないに等しいため、「実用性」を期待した層からはあまり良い評価は得られなかった。
    • ただしこれは発売前から予想されていたことであり、本作発売前に「エロゲだがエロの比重が重くない」作品もチラホラ現れていたため仕方の無いことだと言えるか。もっとも「燃える」「感動する」という部分にシナリオの力点が置かれているため、「半端なエロ要素のせいで燃えに浸れない」とエロ要素が邪魔扱いされることすらある。
    • それを抜きにしても、第1ルート最初のエロシーンは場違い感があり「もう少し何とかならなかったのか」と言う意見も強い。作中でも随一の燃えシーンの後に挿入され、エロシーンを挟んで再び燃えシーンに突入するため、かなり浮いてしまっている。
+ アダルトゲームとして発売された理由
  • 同人サークルで月姫を発売した当時、「とりあえず手に取ってもらうにはエロがある方がいいだろう」と判断したからである。つまりハナからエロスは度外視しているのでしょうがない、というだけのことである。
  • なぜこうなったかというと、当時の日本のPCゲームは「アダルトゲームでなければ商業流通に乗せづらかった」というとんでもない事情が蔓延していたため。
    この頃になるとマルチプラットフォームやローカライズ版を除くと、一般向けPCゲーム業界は「日本ファルコム」「工画堂スタジオ」他数社というレベルまで落ち込んでいた。そのファルコムも2007年の『空の軌跡the3rd』をラストに販路を失い、零の軌跡以降プラットフォームをPSPに移行せざるを得なかったほど。 有名メーカーの作品ならともかく、同人時代の名声があったとはいえ当時は新規ブランドに過ぎなかったTYPE-MOONの作品は、エロが無ければ「売れない」どころか「売らせてもらえない」事態になっていた可能性まであったのだ。

「選択肢」のシステム面

  • 本作における選択肢は基本的に「話が続く」か「バッドエンド直行」がほぼ全て。
    • 戦闘中の生死を分ける決断ならばそれもやむをえないが、これから戦いに赴く準備段階で二択・三択があり正解以外はすべて詰み、といったこともままある。
      • さらにその選択肢も選択すればどうなるか、といった点が予想しづらく、タイガー道場でヒントをもらっても「じゃあどれを選べばそうなるのか」はわかりにくい。結果として二択なら選択しなかった方、三択なら総当りで進むしかない。
    • タイガー道場自体もファンサービスやコントの面では高評価だがテンポが悪くなる、という批評もある。
      • スキップもできるが、コンプリート時の隠し要素があるので埋めざるをえない。

単独の作品として見た場合、設定の整合性が取れていない点が多い*13

  • 分かりやすい例では「士郎の日常生活に関する独白」「心臓に必中するという設定の攻撃が回避されその理由が説明されない」*14「ある属性に特化しているから何とか実現出来た能力という説明がされたと思ったら他の属性でも使用可能」「一回(一瞬)の攻撃で何回も殺す」*15「ランクが1つ落ちると説明されていた偽物が本物と遜色ない上に最高ランクでないと突破できない肉体を貫く」「最優のサーヴァント且つ経験豊富であるセイバーの迂闊な行動の数々」「基本音速以上の速度且つセイバーの剣戟もしのげるキャラに対して一般人程度の強さ(それも一般人の中でも平凡程度とされる)の士郎が接近戦で勝利」など。
    • 他にも多岐に渡り過ぎて書ききれないが、一つ設定が出てきたら後にそれに反する設定が出てくるなんてことが多い……というのを超えて矛盾が出ていない方が珍しいレベル。

総評

本作品はビジュアルノベルとしては高い評価がなされていることが多く、同ジャンルにおいての一つの重要ポイントとなった作品であることに疑いの余地はない。
それは後述する関連作品の多さにも現れているが、FD、PS2移植版、アニメ版、前日譚、設定資料集、そして外伝及び非常に多岐にわたる関連系列作品(≠続編)などが出ており、そしてそのうちのどれからFateに関わったかによってプレイヤーの感情が左右されることもあり、賛否両論点になりうる要素が非常に多い作品となっている。
めくるめく奈須ワールドに魅せられた方や、テンプレ通りのファンタジーな作品に飽きた方にこそ本作は読了されるべきだろう。


Fate/stay night [Réalta Nua]

【ふぇいと すていないと れあるたぬあ】

対応機種 プレイステーション2
Windows XP~7
プレイステーション・ヴィータ

この商品はAmazon商品紹介機能をご利用いただけません。
発売元 【PS2】角川書店
【Win】ノーツ(TYPE-MOON)
【PSV】角川ゲームス
開発元 【PS2/PSV】ヒューネックス
【Win】ノーツ(TYPE-MOON)
発売日 【PS2】2007年4月19日
【Win】
Fateルート:2011年12月23日
UBWルート:2012年1月
HFルート:2012年2月
【PSV】2012年11月29日
定価 【PS2】通常版:7,140円 / 限定版:9,240円
【Win】各ルート2,940円
【PSV】パッケージ:6,300円 / ダウンロード:5,250円
(いずれも当時税5%込)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
廉価版 PlayStation 2 the Best:2009年6月1日/2,940円
PlayStation Vita the Best:2014年9月18日
パッケージ3,800円(税別)/ダウンロード3,500円(税8%込)
備考 PS2限定版にはPSP用ソフト『トラぶる道中記』が付属
Win版はAmazon専売
PSV版には『トラぶる道中記』と『トラぶる花札大作戦』のDLコードが付属。
判定 良作

概要(非18禁版)

一般向け(CERO:C相当)版。なお、[Réalta Nua]とはアイルランド語で「新しい星」を意味する。
一部のキャラを除きTVアニメ版準拠でフルボイス化が実現している他、CGやBGM、タイガー道場のパターン等が追加されている。
ストーリーもヤバめの表現がマイルド調整されている点とラストエピソードの追加以外は目立った改変は行われておらず、致命的な不具合や改悪点も無いため、総じて良移植に分類されるだろう。

+ ネタバレ
  • 尚、本作のパラレル設定のスピンオフ小説『Fate/Apocrypha』のラストシーンは本作のラストエピソードのオマージュとなっている。
  • PS2限定版にはPCファンディスク『Fate/hollow ataraxia』のミニゲーム『トラぶる花札道中記』の移植であるPSPソフト『とびだせ!トラぶる花札道中記』がオマケとしてついてくる。
  • 2011年12月23日から『[Réalta Nua]』を各ルートごとに分割、再編集したものがAmazonにてダウンロード販売されていたが、2016年現在は(それ以前から?)配信停止中。
  • 2012年に発売されたPSVita版はタッチ操作・トロフィー機能に対応している他、オーケストラ調にアレンジされた新規BGMも収録され原作BGMと切り替え可能で楽しめるように。各ルートのオープニングアニメムービーを『Fate/Zero』のアニメ版を手がけた「ufotable」が制作、曲を「earthmind」が担当。その出来の良さは評判となった。
    • 中でも好評となったのが上記で述べた桜ルートのオープニング「Another Heaven」。本ルートの雰囲気に非常にマッチしており、また「ufotable」による(劇場版を除き)桜ルート初にして唯一のハイクオリティなアニメーションムービーということもあって、再移植作でありながらファンの間で再び大きな話題を呼んだ。
  • 2015年に『Unlimited Blade Works』のTVアニメ化に合わせてスマートフォンでも本作が配信決定。「Fate(セイバールート)」は当初期間限定で無料配信という予定であったが、現在は無料期間が無期限延長となっており無料でFateルートをプレイ出来る。「Unlimited Blade Works(凛ルート)」「Heaven's feel(桜ルート)」は有料分割配信されている。
    • また、Best版以前のVita版にはミニゲーム『とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦』がプレイできるコードが同梱。『hollow ataraxia』Vita版にも同梱されているので、最後まで追うつもりならBest版の購入で問題ない。
      • こちらは登場チームが『Fate/Zero』を主としたスピンオフ作品のキャラクターに一新された完全新作となっている。
      • 原作PC版を除き特にこだわりが無ければ、携帯機で手軽に遊べ、Best版も発売されているVITA版か、セイバールートが無料となったスマートフォン版を選ぶのが現在もっともオススメ。

  • 余談

    • ルートへの賛否がヒロイン人気にも影響したのか、HFルートのヒロインにはメインヒロインなのに初期の人気投票でアーチャー(男)や自身のサーヴァントにすら負けたことがあるというネタがある。
      • それでも6位なので、人気が全く無いと言う訳ではない。そしてアーチャーも素で非常に人気の高いキャラである*16ため仕方ないと言えば仕方ない。何より人気が上位に及ばなかった背景にはそもそも全体的に出番が少ないからと言う、ルート賛否や彼女のキャラクター性と全く関係ない理由もある。
      • 実際、その後の人気投票では大きく票を伸ばしている*17
      • なお、こうした人気投票の結果とHFルートの賛否なども相まってか、長らく「ラスボス系ヒロイン」という半分ネタに近い扱いを公式からも受けられておりしばらくの間、派生作品では腹黒キャラとして登場する事も多かった。
        • 言うまでもなく、ファンからはこうした扱いに賛否が上がっており、この扱いに引いた新規ファンも見られている。
          現在はシリーズの展開に伴いキャラクターの見直しが大分進んだこともあってか、度を越したキャラいじりは控えめになっている。
    • ちなみに、後に連載が始まった『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』シリーズは、当時からイリヤの熱狂的ファンだったひろやまひろし氏が事情を受けて打ち出したパラレルワールドのスピンオフである。
      + ...
      • 平凡な女子小学生として暮らしていたイリヤが魔法少女として戦いに身を投じるスピンアウト。公式シリーズとは設定が違うと明言されているが、イリヤの背負った背景やシリーズ全体の設定を踏まえた上での脚色がなされており、謎の少女『美遊』やもう一人のイリヤ『クロエ』などのオリジナルキャラも現在はFateファンから概ね受け入れられており、今や連載9年以上、アニメも4シリーズ+劇場化が決まっているなどの長期シリーズとなった。
      • 『プリズマ☆イリヤ』はスマホゲーム『Fate/Grand order』でコラボを果たしており、あちら側準拠でのキャラの参戦も実現している。他、ニンテンドー3DSでゲーム化されたが結果は……。
    • 主人公の姉代わりの女性もまたイリヤと同様攻略不可能となっている。もっともそのキャラは非日常のシーンにほぼ絡まない上、ゲーム中のおまけで 「お前のルートなんぞプロット段階からない(意訳)」 ときっぱりと否定されているが…。
    • 現代で最も有名なエロゲとして『Fate』が挙げられることがある。
      • スマホゲーム『Fate/Grand Order』やアニメで新規のファンが増えたこともあり、「エロゲかどうかは知らないがタイトルは聞いたことがある」という人も多い。
      • また、それらの影響から本作及びFDの中古相場は変動しやすく、一時は定価を超えていた。18禁版はダウンロード版がないのも一因だろう。
        なおパッケージの売上はFDと合わせて40万本であるため、流通量はそれなりにあると思われる。
      • 2019年6月28日に『Fate/stay night+hollow ataraxia 復刻版』が発売された。こちらはダウンロードカードであり、Windows10まで対応している。
    • 2019年12月8日にNHN PlayArtとドワンゴが共同開発したゲームアプリ「#コンパス【戦闘摂理解析システム】」で後述に折りたたんでいる『Fate/stay night [Heaven's Feel]』枠からセイバーオルタとギルガメッシュが衝撃参戦。TYPE-MOON、又は原作がエロゲ作品の初参戦は衝撃を生んだ。これは第三章の映画宣伝も兼ねていたと思われる。

    世界観

    • 前作である『月姫』及び同作者による小説『空の境界』とは世界観が繋がっている…とされていたが、後の作品内で明かされた限りでも、一部キャラの立ち位置や世界全体の歴史などが大なり小なり異なる、所謂「平行世界」という関係にあることが明かされた。つまり共通する設定もあるが、基本的には別のものと思った方が良い。
      • この世界観、特にいわゆる「正史問題」にまつわる事柄は、後に型月なりの解釈を加えて『Fate/EXTELLA』『Fate/Grand Order』で重要ファクターのひとつとして取り上げられることになる。

    その後の展開

    • 公式には「ファンディスクである『Fate/hollow ataraxia』をもってFate関係の展開を終了し、新作に取りかかる」とアナウンスしていた。しかし、その後もTVアニメ、家庭用移植、漫画、派生ゲームとFate関係の展開ばかりが続き、新作『魔法使いの夜』は2012年まで発売延期を繰り返したため、「Fateばかり作ってないで新作を出せ」とTYPE-MOONファンから度々言われていた。
      • ただしいわゆる「曲芸商法」ではなく、あくまで同一ではない派生作品やメディアミックスを主力展開にしたに過ぎない。要するに終了したのは『Fate/stay night』の公式直系作のみと言っていい。
      • また、他のFateシリーズ関連作品も延期を繰り返していたため、新作の延期は一概にこのせいとは言い難い。それよりも、前述したTYPE-MOONの人員不足とライターの遅筆が原因であろうという見解の方が有力である。

    ネタバレの是非

    • 長期シリーズ化された作品の常だが、本作品単体ではネタバレ警戒がなされている要素でも、後発の派生作品などであっさり公然化してしまっているケースが多い。特に引き合いにされるのは衛宮士郎とアーチャーの繋がりだろう。
    + ネタバレの一例
    • 本作におけるアーチャーの正体及び衛宮士郎との繋がりはFate界隈では一般常識となっている事が多い。今から本作に興味を持つ人なら、まず間違いなく彼の正体を知っていた上でプレイを始める事になるだろう。
      • TVアニメ『Unlimited Blade Works』の時は、アーチャーの真名を知らない新規ファンと既存ファンの間でネタバレの是非による摩擦を生む事となった。
      • そしてスマホゲーム『Fate/Grand Order』においては本作に登場する全サーヴァントの真名がナチュラルに明かされている。『Grand Order』から本作に興味を持った人にアーチャーのネタバレを伏せても、効果は全くないだろう。
        • 一方でこの真名公開を逆手に取ったギミックも存在している。
    • 他にも遠坂凛と間桐桜の繋がり、イリヤと衛宮切嗣・衛宮士郎の繋がりなど『Zero』や『プリズマ☆イリヤ』などで公然化されている設定も多い。

    アニメ版

    • 本作はアニメも複数作成されている。
    + 詳細
    • 第1作(Fateルート)
      • 2006年1月から同年6月にかけてスタジオディーンによって製作された。全24話。ファンからは「ディーン版」と呼称される事がある。
      • 『Fateルート(セイバールート)』を主体に、原作では描写されなかったとあるサーヴァント同士の戦闘や、Fateルートでは出番がほとんど存在しない陣営との交戦などのオリジナルパートが追加されている。当時としては作画水準は高いものの、オリジナル要素の影響もあってかファンからは多少賛否はあるが、新規層の取り込みには成功した。
      • Fateシリーズで初めて声優がついた作品でもあり、本作の主要登場人物(サーヴァントとマスター含む)のCVは本作から10年以上変わっていない*18
      • 現在Fateシリーズのメディアミックスを担当しているアニプレックスとは関わりのないアニメなので、公式の場で語られる事は少ないが、後述の『ufo版UBW』と並んでFateシリーズに触れる初心者向け作品として挙げられている。
    • 劇場アニメ第1作(UBWルート)
      • 2010年1月23日に劇場公開された。『UNLIMITED BLADE WORKS』ルートの劇場化だが、映画1作(約2時間)で終わる故にカットされた展開も多くファンからの評判はいまいち芳しくない。
      • しかし本作のメインビジュアルを担当した山中虎鉄氏は後に『Fate/Grand Order』に参加し、前半期ラストボスのデザインを担当することになる。
      • 流石に映画作品だけあって作画は高レベルで纏まってはいる。
    • テレビアニメ第2作(UBWルート)
      • 『劇場版空の境界』『Fate/Zero』を担当したufotableによって、分割2クールのテレビシリーズとして放送。1stシーズンは2014年10月4日から12月27日まで、2ndシーズンは2015年4月5日から6月28日まで放送された。合計25話。
      • 発売から10年経ったが故のオリジナル描写も多いが、ボリューム不足は改善され概ね好評。エピローグとして、原作では語られなかった『時計塔』での士郎と凛の日常が語られており、『Zero』に出たとある人物も成長した姿で登場。ブルーレイ特典ではアナザーエンディングも映像化されている。
    • 劇場アニメ第2作(HFルート)
      • 引き続きufotableにより、今まで表沙汰にされてこなかったHeavens Feelルートの初映像化が成されている。全三章。
        • 全年齢である『[Réalta Nua]』準拠ではなく18禁版準拠のストーリー描写となっており、アニメシリーズでは初となる濡れ場も描かれ話題を呼んだ。*19
      • 第一章『presage flower』は2017年10月14日に公開。第二章『lost butterfly』は2019年1月12日に公開。第三章『spring song』は2020年8月15日*20に公開された。

    原作版Fate

    • 本作の原案になった未完・未公開の小説。『Fate/Prototype』は、この原案の要素をより多く反映させた別個の派生作にすぎない。
      • 高校生時代の奈須きのこ氏が、『ゲッターロボ』等の作者である石川賢氏の漫画『魔界転生』(山田風太郎氏の小説が原作)に触発されて、友達に見せるために書いていたものである。他には氷室冴子氏の小説に憧れていたとも。タイトルは「Fate/○○」の形式で恥ずかしい単語が並んでいたとのこと。
      • こちらの主人公は女性で、サーヴァントのアーサー王は男性。ランサーが仲間になったりアーチャー(ギルガメッシュ)に言い寄られたりと、女性向け作品としても違和感ない程の構成。
      • 『Fate/EXTRA』に登場するサーヴァントクラス「セイヴァー」(剣士のセイバーではなく救世主)も、大本は原案から存在していたアイデアである。