【ふぇいと すていないと】
ジャンル | 伝奇活劇ヴィジュアルノベル | ![]() ※DVD版 |
![]() ※復刻版 |
対応機種 | Windows 98~XP | ||
発売・開発元 | TYPE-MOON | ||
発売日 | CD版:2004年1月30日 / DVD版:2006年3月29日 | ||
定価 | 【Win】8,800円(CD・DVD共通) | ||
レーティング | アダルトゲーム | ||
備考 |
CD初回版に設定資料集「Fate/Side material」付属 公式通販特典に小冊子「Fate/side side materiale」付属 |
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ポイント |
燃えとグロが交差するシナリオ 以後一大ジャンルとなる歴史人物を利用した 聖杯戦争 |
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判定 | 良作 | ||
Fateシリーズ |
少年はその日、運命と出会う―――
有限会社ノーツのゲームブランド「TYPE-MOON」の第1作。同名の同人サークルでビジュアルノベル『月姫』を製作したメンバーによる商業初進出作である。
『月姫』と同じ形式のビジュアルノベル作品であり、「18禁のアダルトゲーム」というカテゴリに属してはいるが性的描写は控えめで「ストーリー、設定面に比重を置いた伝奇活劇物」の色が濃い。
後年発売されたファンディスク『Fate/hollow ataraxia』も合わせた販売累計は約40万本にも及び、アダルトゲームの実販売数が集計されるようになってからは(2011年時点でも)最高の売上を誇っている(*1)。
そのヒットの余波は凄まじく、本作発売当時はコミケを筆頭とする同人誌即売会をFate一色で埋め尽くし、普段アダルトゲームをプレイしない層にも「名前くらいは聞いたことがある」ほどの知名度を獲得する有名作の1つとなった。
現代。我々の生きる世界の裏で、かつて歴史の表舞台から追放された「魔術」をはじめとする異能の術は、人々の目を逃れて今なお存続していた。
日本の冬木市に住む主人公の衛宮士郎は、穂群原学園に通いながら日常を過ごしていた。
世話焼きの後輩である間桐桜、テンション高めでおっちょこちょいな隣人にして教師の藤村大河、堅物気味だがよき友人である柳洞一成…そんな人々に囲まれ、士郎は「正義の味方になりたい」といういささか奇妙な志と、「強化」と呼ばれるちょっとした魔術を扱える点以外は、概ね日常の側にいる人間として学生生活を謳歌していた。
しかし、彼の日常は、ある日突然非日常へと転落する。
夜の学校で偶然目撃した、青い槍兵と赤い外套の男。尋常ならざる力で戦う二人の異形を目撃した士郎はその戦いに巻き込まれ、青い槍兵に刺殺されてしまう。しかし士郎は学園でその名を広く知られる優等生、遠坂凛によって蘇生され、一命を取り留めた。
士郎はワケも分からぬまま一度帰宅するものの、執拗に彼を追い続けた青い槍兵により再び命を狙われる。
必死に防戦するが力量の差はいかんともしがたく、止めを刺されようとしたまさにその時、彼の前に1人の美しい剣士が現れた。
「問おう 貴方が私のマスターか?」
それは「聖杯戦争」と呼ばれる、万能の願望機を巡る戦いの幕開け。
衛宮士郎は「剣の騎士」のサーヴァント・セイバーを偶然とはいえ召喚してしまったことで、否応なくこの戦いに身を投じる事となる。
7人のマスターと、7騎のサーヴァント。彼らの聖杯に込める願いをかけた戦いが始まる…。
キャラクターの魅力
「燃え」と「グロ」が織りなすシナリオ
魅力的な聖杯戦争
多彩に設定された世界観
戦闘シーンの演出
一服の清涼剤「タイガー道場」
主人公の性格
+ | ネタバレ |
テキスト・シナリオに癖がある
+ | Heavens feel詳細: 超ネタバレ注意!! |
一部キャラに関しては批判的な意見が多い
+ | ネタバレ |
衛宮士郎の義父の実娘、イリヤスフィールが非攻略キャラであること
キャラクターの見せ場
エロ要素のアンマッチ
+ | アダルトゲームとして発売された理由 |
「選択肢」のシステム面
単独の作品として見た場合、設定の整合性が取れていない点が多い(*17)
本作品はビジュアルノベルとしては高い評価がなされていることが多く、同ジャンルにおいての一つの重要ポイントとなった作品であることに疑いの余地はない。
それは後述する関連作品の多さにも現れているが、FD、PS2移植版、アニメ版、前日譚、設定資料集、そして外伝及び非常に多岐にわたる関連系列作品(≠続編)などが出ており、そしてそのうちのどれからFateに関わったかによってプレイヤーの感情が左右されることもあり、賛否両論点になりうる要素が非常に多い作品となっている。
めくるめくシビアな奈須ワールドに魅せられた方や、テンプレ通りのファンタジーな作品に飽きた方にこそ本作は読了されるべきだろう。
【ふぇいと すていないと れあるたぬあ】
レーティングがCERO:C(15歳以上対象)に相当する一般向け版。
なお、[Réalta Nua]とはアイルランド語で「新しい星」を意味する。
一部のキャラを除きTVアニメ版準拠でフルボイス化が実現している他、CGやBGM、タイガー道場のパターン等が追加されている。
ストーリーもヤバめの表現がマイルド調整されている点とラストエピソードの追加以外は目立った改変は行われておらず、致命的な不具合や改悪点も無いため、総じて良移植に分類されるだろう。
余談だが、PC版の時点で圧倒的なボリュームと台詞数なので、主要キャラを演じた声優が
「タウンページ並みに分厚い台本を数冊渡された(要約)」
という旨のエピソードを雑誌のインタビューで答えていたとか。
+ | ネタバレ |
+ | ... |
世界観
その後の展開
ネタバレの是非
+ | ネタバレの一例 |
アニメ版
+ | 詳細 |
原作版『Fate』
*1 一般的にアダルトゲーム界隈では「5万本で大ヒット」とされる。
*2 山田風太郎氏による天草四郎や宮本武蔵を現世に蘇らせ争うという怪奇小説。後に映画化されたり、石川賢氏によるコミカライズがされるなど人気を博した。詳細は省くが、本シリーズをプレイした後で見ると興味深い物がある
*3 「格好をつけた文章」と言う意味。本来の意味からすれば誤用だが、ネットの一部ではすでにこのような文章を厨二病扱いする文化が定着していた。
*4 少しややこしいが、英霊をもとにしてサーヴァントが構成されている…ということ。
*5 『月姫』の人気投票でも、金髪ヒロイン・アルクェイドが4連続で1位を獲得していた事も大いに影響しているだろう
*6 『月姫』の敵役のネロ・カオスや、『メルブラ』で本格参戦した七夜志貴なども男性キャラとしては異例の人気の高さを誇る
*7 それまでの2ルートではあまり示唆されていない。強いて言うなら、彼女に何らかの秘密がありそう、という予想が立てられる程度の描写があるのみ。
*8 一応、彼女がメインとなるBAD扱いにならない特殊ENDも存在するが、扱いはほぼBADENDと変わらない上に、彼女が救われない事に変わりはない。
*9 「今までの信念を貫く」選択肢もあるが、それを選ぶとバッドエンド。このEDもそれなりに人気はあるが。
*10 ゲーム内のタイガー道場や、ファンディスクの『hollow ataraxia』において、そのスタンスが垣間見える。
*11 他ルートエンディングは「クライマックスから少し後」だが、本ルートエンディングは「それから数年後」となっている。
*12 資料集ではデザイナーの武内崇氏からもこう評されている。
*13 作中でも彼の行動を阻止しなければ、それこそ大量虐殺が起こっていた為。
*14 実のところ彼は全ての元凶である黒幕ポジションに近い為、外道なのは当然と言えるのだが、彼は一部のルートにしか登場しないうえにそのルートでの最期も罰や制裁を受けるといった感じではないのも大きいかもしれない。
*15 「Heavens Feel」に於いて、間桐桜が想いを寄せる衛宮士郎に対し、わざわざ彼女の近くで彼と密着し、桜と再会した際にまるで突き放す様な言動をしたことで非難が集中している。実際、作者である奈須きのこ氏のお気に入りだと公言しているキャラクターなので、「彼女を優遇したが上に、他のキャラの扱いが酷くなっている」という厳しい意見もある。
*16 その幼い容姿が引っかかったらしい。今でも容姿ロリのキャラは何かと槍玉にされるが、当時は規制対象に成るか否かの瀬戸際であったため、先を見越した姿勢をとるメーカーもあった。ニトロプラスの「デモンベイン」については前作が18禁だったにもかかわらず、次作ではキャラ絵が刷新されただけでなくヒロイン「アルアジフ」の頭身が高くなり、尚且つ全年齢対象の作品になっている。
*17 ここでは本作の前後にわたる複数の別作品を通して行われた設定の整理は考慮しないものとする
*18 資料集などで幸運が非常に高い場合に回避できることがあると説明されたが、この時点での回避した人物の幸運パラメータは高いとは言えない。
*19 資料集等では「いわゆるオーバーキル(ゲーム的に表現して敵の最大HPの数倍分のダメージを一度に与えている)」と形容されてはいるが、今なお厳密な解釈が難しい事柄の一つとされる。
*20 TYPE-MOON全体の10周年人気投票でも、もう1人の人気ヒロイン・凛(4位)を僅かに上回る票数で3位を獲得している。直近の関連作であるFate/Zeroに登場せずこの順位は凄まじい。
*21 『Fate/hollow ataraxia』発売後に行われた第2回人気投票では5位、関連作品『Zero』で大きく取り上げられた直後に行われた携帯サイトでの『TYPE-MOON女性キャラ人気投票』では並み居るヒロイン格を抑えて4位、公式サイトの『TYPE-MOON10周年人気投票』では200キャラ中8位。
*22 当時は設定が固まっていなかったセイバー回想パートのキャラは声優やデザインが大小変更。モードレッドは『Fate/Apocrypha』、それ以外もスピンオフドラマCD『Garden Of Avalon』と『Fate/Grand Order』で大幅な肉付けがされている。
*23 このため、当該シーンが描かれた第二章はPG12指定となっている。
*24 当初の公開予定は3月28日だったが、新型コロナウイルス流行の影響により延期。