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ガントレット - (2018/09/26 (水) 22:47:25) の編集履歴(バックアップ)



ガントレット

【がんとれっと】

ジャンル アクション・シューティング
対応機種 アーケード
発売元 アタリ(日本ではナムコが輸入販売)
開発元 アタリ
発売日 1985年
判定 良作

概要

  • 戦士、戦乙女、魔法使い、エルフの中から好きな種族を選び、朝方の東西線が真っ青になるくらいに、ジェネレータからわらわら溢れてくるモンスターを片っ端から倒し、下の階層へと突き進むゲーム。
  • 8方向レバーの2ボタン仕様。ボタンはそれぞれショットとマジック使用。また、本作は筐体にスタートボタンが無いため、最初にコインを投入後、マジック使用ボタンを押せばゲーム開始になる。

システム

  • 正方形のブロックで形成されたワールド(移動等は1ドット単位で可能)で、プレイヤーキャラの他にモンスターとそれを発生させるジェネレーターがある。
  • 目的
    • フロアの中にある先のフロアに進むワープゲートを探すことだが、ジェネレーターを放置すると敵がワララワと湧き増え続けるので、それを適宜潰すのが当面の目標になる。
    • ジェネレーターに数発の攻撃を当てれば壊すことができるが、完全に潰さない限りそこから敵は湧き続けるので容易に壊せる機会は多くない。
  • プレイヤーキャラの操作・攻撃
    • ショット
      • 基本の攻撃となる射撃攻撃。攻撃力と速度がキャラによって違う。
    • ファイト
      • 近接攻撃。体当たり状に敵に向かってキャラを押し付けると自動的に攻撃する。敵からも攻撃されるので被ダメージが嵩むが、ショットより攻撃の間がかなり早く与ダメージが多い(ウィザード除く)。
    • マジック
      • 一瞬フラッシュして画面内の敵・ジェネレーター全てに一様なダメージを与える。使用にはアイテムのポーションが必要で、持っている数だけ使える。威力はキャラの魔力(マジックの攻撃力)次第。ポーションにショットを当てることでも発動可能だが、威力はキャラの魔力より1だけ落ちる。

キャラクター

  • 筐体にレバー&ボタンが4つあり、更に色分けされている。この色分け毎に使用できるキャラは固定。よって被りは不可。
    • ウォリアー(赤)
      • ムキムキの戦士。ショットパワー(ショットの攻撃力)とファイト(直接攻撃の攻撃力)に優れ、ショットも判定が大きく当てやすい。防御も並にあるので、敵の群れに力で押し切れる攻撃型キャラクター。ショット速度・移動速度は最低であるが、基本の速さがそれなりにあるので、さほど問題でもない。高い攻撃力で早く敵を倒していけば、結果的にヘルス(HP)も温存できる。
      • ただし、魔力(マジックの攻撃力)が最低でポーションを使用しても最低限のダメージにしかならない。ショットの大きさもこのゲームでは重要な斜めの隙間撃ちができないというデメリットにもなりえる。アイテム保持はキー(鍵)優先にしたいところだが、マジックでしか倒せない敵もいるのが悩みどころ。
    • ヴァルキリー(青)
      • 女戦士。紅一点だが青色固定。ファイトはウォリアー並で防御力は最高。魔力・移動速度は並。ショットパワーは弱いがショットスピードは並なので、普段はそこまで問題ないと、欠点らしい欠点が無い防御寄りのバランス型。
      • ただしバランス型だけに、押された時に押し返したり、ピンチでの切り札となる手があまり無いということでもある。高い生存能力で普段は力を温存し、危機に対して投入できるかが鍵となる。
    • ウィザード(黄)
      • 魔法使いの老人。見た目通り魔力が非常に高く、マジックが凄まじく強い。魔法二連撃に残れる敵は最大耐久力程度のみで、一撃でも画面内を粗方片付けられるのが強み。ショットもパワーは並、速度は早いので、魔法を使わなくても攻撃力は高い。
      • しかしやはり防御力が非常に低く、ファイト・移動速度も低い。魔法ばかり使っていては、いくらパーティでポーションを回しても足りない。いかに適切に時期に適切な数だけマジックを使うかが鍵となる。当然ポーション回収・保持が最優先。
    • エルフ(緑)
      • 弓使いのエルフ(男)。移動とショットの速度に優れ、魔力も優れる。ファイトも並。
      • ただショット中心で行こうとするとショットパワーが低く、ファイト中心で行くには防御力が低い。マジックもウィザードほどには頼れない。追い詰められる前に処理したり、機動力を活かした位置取り&隙間撃ちでジェネレーターを潰したりなど、ウィザード以上に先を読んだ動きが求められる。

評価点

  • シンプルながら奥深いゲーム性と、上手くなるほどに長時間プレイできる成果のわかりやすさ
    • ひたすら先を目指すだけだが、ワラワラ湧く敵を倒し、その発生源たるジェネレーターをいかにして潰すか、などをキャラや状況で考えながら進めないとヘルスが無駄に減ってしまう。
      • 隙間を狙った斜め打ち、それがどこからなら出来るか、モンスターの壁を打ち崩すべきか、切り札のマジックを使うか、ポーションをショットで撃ってマジック発動させるべきか…など、無駄に拘るといつまでも敵が減らないが、適切に判断できるとあっさり進めたりする良好なバランス。
    • モンスターからダメージを負わなくても時間がたつに連れてHPが減少していく*1。回復手段には食べ物を取るほか、プレイ中にコインを投入するという若干えぐい手段もある。
    • 最大4人同時プレイが可能だが、回復アイテムである食べ物は攻撃すると消えてしまうものもあるため、折角取ろうとした食べ物を隣の盆暗に壊される、ということもある。
      もちろん時間経過分のHPは皆一様に減っていくため、下手しなくても食料の奪い合いになりやすい(人数が増えてもアイテムが増える訳ではないため)。そこで食料を壊そうものなら、どうなるかは容易に想像できる。
      只単に味方を増やせばよいという訳ではない所にもガントレットの奥深さを感じる。
  • 当時としては画期的なゲームシステム
    • 複数のプレイヤーが個別に参加・中断可能であり、その全員が時には協力しつつ、時には足を引っ張り合いつつ、プレイするシステム。
      • 現在でこそMMOとかモンハンとか協力型FPSなどあるが、当時は1人プレイや固定の2人プレイが前提のゲームばかりであり、途中参加・可能というだけでも画期的だが、プレイヤーが増えればいいという訳でもないという点も極めて特異的である。

問題点

  • デフォルト筐体での4人プレイの難しさ。
    • アップライト筐体(アメリカでは一般的な、立ったままプレイするタイプ)で4人プレイはやや無理がある。左右のウォリアー・エルフはほぼ横を見ながらのプレイになる。
      • 画面を低めの位置にして平らに近い角度にするなど工夫はされているが。
        日本では、当時一般的だったテーブル筐体に入れたバージョンも流通した。テーブルなだけに4方向からのプレイも問題なく、結構な数が出回ったので、こちらは見たことあるという人も少なくない。
    • また、海外でも汎用アップライト筐体向けに『TWO PLAYER ガントレット』がリリースされている。これは2人までしか同時プレイが出来ない替わりにキャラクター選択が可能になっている。
  • 緻密な計算によりエンドレスプレイが可能になってしまった事。
    • 時間によるライフ消耗型のゲームシステムでありながらまさかの実力による永久プレイが発覚してしまったのである。
    • これに関しては当時、日本のナムコからの報告によってアタリ側にも伝わっていたが、冗談半分で全く信用されていなかった為、急遽ナムコから送られてきたビデオテープのプレイ動画を見て仰天したらしいとの事。
    • これが原因で続編の『ガントレットII』の難易度が跳ね上がったとも言われている。もっとも続編は日本では正式稼働される事は無かったが。

総評

  • 決して簡単なゲームではないが、その奥深いゲーム性からやり込むプレイヤーが続出し、上級者ともなれば長時間これで粘るプレイヤーもいた。無論コインを出せばプレイ継続できるので、上手さの裏返しとしてコイン支出があり、その点でもわかりやすい。
  • 日本では海外作品でありながらもそこそこのヒットを生み、本場米国ではその人気の高さからいくつか続編も作られたほどである。*2

移植版

ジャンル アクション・シューティング
対応機種 メガドライブ
発売元 テンゲン
開発元 M2
発売日 1993年9月17日
定価 7,800円
判定 良作

概要(メガドライブ)

  • 1985年に発表されたアタリゲームズのアーケードゲーム『ガントレット』の移植版。
  • 傑作ゲームが8年たってメガドライブに移植された。
    • 国内初にして当時唯一の移植版だった*3。海外コンシューマーでは既にNES版が出ていたが、残念ながら国内のファミコン版は出ていない。
    • 携帯ゲーム機「LYNX」で出ていたが、内容はかなりアレンジされていた...というか、あれは3作目という扱いで、純粋な移植版ではない*4*5。その為にGENESIS版は『ガントレット4』のタイトルになっている。これは後述のクエストモードが4作目の扱いになっているからである。
    • ちなみにMD版発売当時までに海外で移植されたプラットフォームは上記を含め全13種という、海外での人気度からもそれがうかがえよう*6

評価点(メガドライブ)

  • マルチタップを使用した4人同時プレイも可能(当時の対抗機では不可能)な 超忠実 移植である。
    • これまた当然だが、アーケード版のように無理のある姿勢でプレイせずとも4人同時プレイが可能。
    • 移植版ではAC版になかったBGMが追加された。作曲者はなんと崎元仁と岩田匡治という超ビッグネーム。
  • 更にクエストモードを追加。
    • 4つのタワーをクリアし、更にキャッスルに挑む。それぞれのタワーなどはフロアに別れ、ワープゲート(階段)で移動。最深部にはボスがおり、倒すと平常時にHPが減らなくなるなどの便利装備・アイテムが入手できる。
    • セーブはパスワード式だが、2に対するZなど間違えやすい文字は使わないようにして、誤認や入力ミスが起きにくいよう配慮されている*7
    • 外にワープするアイテムは有償で購入できるほか、各フロアを攻略していけば1Fまで連結している階段を解放できる。
    • 完全攻略したフロアは、敵が居なくなり更に食料などのアイテムはあるというボーナスステージ的な構成になるため、攻略を進めるための体制を整えられる。が、外に出ず粘りすぎるとセーブ忘れていて…とか。
    • タワー等は外に出ればHPがMAXまで戻る。セーブも外に出ないとできないので、どこまで粘り冒険して、どこで撤退と判断するかも重要。
  • 当然であるがいくらでもやり込める。やりこみゲーなだけにありがたい。
  • 超忠実移植、良いBGMの追加、追加されたひと味違うモード、やりこみの阻害なし、と確実に良移植。それは多数あった移植作の中で、オリジナルのスタッフが唯一称賛したほどである。