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ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔 - (2021/05/06 (木) 22:03:49) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔

【どらごんくえすとそーど かめんのじょおうとかがみのとう】

ジャンル アクションRPG
対応機種 Wii
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ジニアス・ソノリティ(企画のみ)
エイティング
発売日 2007年7月12日
定価 6,800円
判定 なし
ポイント Wiiリモコンを剣に見立てる
プレイヤー自身が勇者になれる没入感
ハード初期ながら高品質なグラフィック
ゲームとしてはやや単調
ドラゴンクエストシリーズ


概要

『ドラゴンクエスト』の世界観を元に、Wiiリモコンを剣に見立てて画面に向かって斬りつけモンスターを倒していく体感アクションRPG。
同じ趣向の作品として、2003年にPnP機として発売された『剣神ドラゴンクエスト』がある。当wikiで執筆できないタイトルなので大まかな内容のみの解説となるが、専用のユニットをテレビに直接繋いで剣型のモーションセンサーコントローラーを振ってプレーしていくもので、本作はその進化版と言える。

特徴・システム

  • 基本的にはWiiリモコンを剣に見立てて振り、スライムを始めとする『ドラクエ』お馴染みのモンスターたちを倒していくゲーム。
    • リモコンの振り方によって、縦斬り、横切り、斜め切り、突きなどが可能。モンスターたちの配置や種類によって最適な斬り方を選ぶ必要がある。
    • Bボタンを押すと盾によるガードが可能な他、必殺技やアイテムを使用することで有利に戦闘を進められる。
  • ゲームは戦闘画面の他、街や城の移動も基本的に主人公の一人称視点で進行する。
  • 『剣神』から順当に進化した点。
    • ステージ開始時に仲間を1人だけ連れて行くことが出来る。
      • 仲間は呪文・特技で主人公をサポートしてくれ、ナンバリング作品同様に作戦で大まかな指示を出すことも出来る。任意のタイミングで呪文・特技を使わせることも可能。
      • 仲間にもレベルがあり、レベルが上がると新しい呪文・特技を覚える。主人公と協力して放つ合体技も用意されている。
    • (バリエーションが少ないという問題はあるものの)装備を変更できるようになり、武器と盾はゲーム中の表示に反映される。
      • 武器・盾はオーソドックスな物以外にも、「攻撃・防御時のSEが変わる」というネタ的なものや、「敵ごとに設定された弱点を突くことで一撃で倒せる毒針」「防御できる範囲が狭いが絶対に壊れない*1オリハルコンの匙」といった超上級者向けのものも用意されている。
      • 装備の組み合わせによってはステージクリア時にボーナス点が入る。
    • 『剣神』では回復アイテムを入手するとその場で自動的に使ってしまったが、本作では回復アイテムをストックして好きな時に使用できる(但しストック出来る数には制限がある)。
      • 回復アイテムは町の道具屋で買うことも可能。ナンバリング作品でお馴染みの福引きもあり、福引きを回す時の演出は無駄に派手なので一見の価値あり。
  • 日本において初のボイス入りのドラクエである(海外版では『8』が初)。
    • 声優も山寺宏一や藤原啓治といったベテランが多い。
    • 戦闘に参加する3人の仲間キャラには小西遼生、松田賢二、木下あゆ美という本職声優ではない俳優が起用されているが、彼らの共通点は「特撮ヒーロー番組でヒーロー役を経験していること」。「戦う声」をアフレコするのに慣れているというのが起用の理由であり、実際彼らの演技は他の声優陣に全く見劣りしない。

評価点

  • 『ドラクエ』の勇者になった気分を味わえる。
    • Wiiリモコンを振って戦うという文字通りの「アクション」RPGである他、一人称視点ということもあり、自分がモンスターたちに剣を振るって戦う勇者になったのような没入感を味わうことができる。
    • 効果音などは原作を元にしているため、『ドラクエ』の雰囲気はしっかり出ている。
  • グラフィックが良い。
    • Wii用ソフトとしては比較的初期の作品だが、グラフィックのクオリティは現在の観点からみても十分鑑賞に耐えうるレベル。
    • スライムをはじめとしたモンスターはいずれも質感が描きこまれており、コミカルさを残しながらもリアリティがある。
    • 背景も綺麗で、遠くはピントが合わずボケて見えるというような細かい演出も没入感を高めてくれる。
  • 「敵を斬る楽しさ」はしっかり継続・進化している。
    • 縦横斜めの4箇所しか斬れなかった『剣神』と比べると斬り方の自由度が増している。
  • 音楽はすぎやまこういち氏ではなく、『ロックマン』や『エリア88(AC版)』、『マジックソード』などの楽曲を手掛けたことで知られる松前真奈美氏が担当している。すぎやま氏自身が直接指名しただけあってなかなか高評価。
    • すぎやま氏曰く、「メロディーの書ける作曲家を探した」とのこと。
    • すぎやま氏が担当していない理由は、氏は世界観を探る目的でテストプレイをしてから作曲に入ることを心がけており、本作はwiiリモコンを振り回すという操作システム上、高齢によってテストプレイができない為。
    • 但し、すぎやま氏の曲も既存曲が数曲ほど流用されている。

賛否両論点

  • 簡単に剣を振れるようになったこと。
    • 専用剣型コントローラーで遊ぶ体感ゲームである『剣神』は、腰を使って素早く振らないとうまく認識されないほど判定がシビアだった。それに比べると、本作は座ったままでのプレイが可能なほど認識が優しくなった代わりに、上述のポインターをロックしないといけない仕様などにより「実際に剣を振っている臨場感」はダウンした。
    • もっとも、『剣神』は本作以上に相当量の体力を消耗させられるので、ハードルの高さが緩和されたとも言える。

問題点

  • ゲーム自体のボリュームが少ない。
    • ストーリーが短く、大体20時間程度で終わる。
      • ストーリー自体もこれといって目立つような代物ではなく、良くも悪くも殆ど話題に上がらない。
    • 町はひとつだけ。
      • 施設は整っているが、町の構造がかなり複雑で分かりづらい。
    • ステージ数も8つと少ない(これは『剣神』のステージ数と同じ)。
      • ただし隠しボスはちゃんと存在している。種類も多い。
  • 文字通り一本道のダンジョン。
    • 敵が登場するダンジョンは文字通り一本道で、まっすぐ進んでいくと決まった地点でエンカウント、バトルが終わるとまた一本道……を繰り返すだけでかなり単調。進路分岐の少なさも相まってやる気がそがれる。グラフィック自体はかなりの水準な為惜しいところ。
    • 尤もスコアによる評価がある為、エンカウントをランダムにすると「ボスの所に辿り着くまでのエンカウント内容次第でスコアがかなり変動してしまい、ハイスコアを狙う上で運要素が大きくなる」という別の問題が発生する可能性があるが…。
    • 他にも全体的に自由度が低く、武器強化などの選択肢も少ない。
  • 操作性の悪さ、特に突きが出しにくい。
    • 説明書やチュートリアルなどでは、突きの出し方は「Wiiリモコンを素早く突き出す」と説明されているが、実際にはゆっくり突き出すようにしないと縦斬りと誤認されてしまう。
    • 画面の中央以外の場所を斬りたい場合はポインターで斬りたい場所を指してAボタンでロックする必要がある。それを行わないとどこを斬っても「画面の中央を斬った」と認識されてしまう。このせいでミニゲーム「スライム100*2」の難易度が『剣神』の時よりも高くなっている。
    • 必殺剣が強力になればなる程リモコンを振る必要があるのでプレイヤー自身の体力をかなり消費する。
  • ロードが頻繁に入る。
    • だいたい一回5秒程度。それほど問題ではないレベルだが、頻繁にロードが入る上に一々「Now Loading...」と表示される為次第にストレスになる。

総評

Wiiリモコンを剣に見立てて剣戟……という誰もが思いつくであろう題材を、『ドラクエ』の世界観に載せた一作。
操作にはややクセがあるものの、ポインターをロックする機能や、リモコンの振り方をマスターすれば、純粋に剣戟アクションとして楽しめる。
他にも評価システムなどのやりこみ要素が意外と充実しているなど、単体で見れば悪くない出来であり、サードパーティとしては売上も良かった。
しかしゲームとしては、基本的に戦闘を繰り返すだけなため、単調さも否めない。『ドラクエ』本編のような壮大なボリュームややりこみ性は期待しすぎず、あくまでWiiリモコンを使った体験アクションと割り切ってプレイするべきだろう。


その後の展開

  • 2017年3月17日から同年の9月3日まで開催されたユニバーサルスタジオ・ジャパンの期間限定イベント「ドラゴンクエスト・ザ・リアル」では、剣神及び本作のシステムをベースに戦士に僧侶や魔法使いといった様々な職業になりきれるアトラクションとして昇華させている。
  • 2018年4月27日よりVR ZONE SHINJUKUにてシリーズ初のVR対応作品「ドラゴンクエストVR」が稼働開始。システムの関係で本作及び『剣神ドラゴンクエスト』の流れを継ぎ更に発展させた内容になる可能性が高い。