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トム・クランシーシリーズ スプリンターセル
【とむ・くらんしーしりーず すぷりんたーせる】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Windows 98~XP プレイステーション2 Xbox
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発売・開発元
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ユービーアイソフト
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発売日
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【Win】2003年2月22日(日本語マニュアル版) / 5月30日(完全日本語版) 【PS2/Xb】2003年11月27日
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定価
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【Win】7,140円(日本語マニュアル版) / 10,290円(完全日本語版) 【PS2/Xb】7,140円
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廉価版
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【PS2】ユービーアイソフトベスト:2005年7月7日/2,940円
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分類
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良作
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概要
アメリカの作家故トム・クランシー氏が監修を務めたステルスアクションゲームシリーズの第一作目。
ステルスアクションの名作『メタルギアソリッド』シリーズとは似て非なるゲーム性やグラフィックの美しさが高く評価され様々な賞を獲得、シリーズ化が行われた。
同じトム・クランシー原作・監修の『レインボーシックス』『ゴーストリコン』などと世界観を共有している。
Xbox,WinとPS2,GCで内容が少し異なる。
ストーリー
2003年、NSAは情報漏洩や国際テロに対抗するための諜報組織サードエシュロンを極秘裏に設立した。
2004年、旧ソ連グルジア共和国にて突如消息を絶ったCIAのエージェント2人の捜索任務がサードエシュロンに下される。
CIAはこの程、グルジアに独裁体制を敷くニコラーゼ大統領の内偵を行っており、さらにグルジアの軍部は活発な動きを見せているという。
サードエシュロンは優秀なエージェントであるサム・フィッシャーにこの任務を任せるが……。
システム
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ゲームは三人称自由視点による3Dアクションを基本としており、カメラは自由に動かすことが可能。
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一本道のステージクリア型で、プレイヤーは秘密工作員 サム・フィッシャーとして以下の要素などを活用して「暗闇に紛れて敵に発見されずに目標を達成すること」を目的に行動する。
アクション
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二段ジャンプ、はしごや壁・天井のパイプを登るなど様々なアクションが可能で、その中でも特徴的なのが股割りことスプリットジャンプである。
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これは、左右が狭い通路などで使用できるアクションで、一方の壁に向かってジャンプした後、再度ジャンプボタンを長押しすると両足を突っ張って壁の上で静止する事が出来る。
この状態から、敵が下を通った時に飛び降りれば敵を気絶させられ、両手が開いているのでそのまま銃を使う事も出来るようになっている。
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他にもしゃがむ事で足音を消したり、壁蹴りで高所に移動するといった事が可能。スティック操作の出来ないWin版ではマウスホイールで移動速度の微調整も可能となっている。
攻撃・人物に対する行動
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武器として銃は存在するが、サムは銃弾を3,4発受けると倒れてしまい、また、銃の操作はそれほど使いやすくは作られていない。また、メディカルキット型で自動回復はない。
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これは、このゲームが敵を倒すことを目的としていないからでライトを破壊して明かりを消すといった目的で使用される事が多い。
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また、銃に取り付けるガジェットとして気絶用の弾や錯乱用カメラなども存在するが、装備できる数は非常に少なく、射程距離も短い。
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上記の理由から、敵をスルーするか、敵を倒す必要がある場合は気づかれないように敵の背後に忍び寄り殴り倒して気絶あるいは拘束というアクションがメインとなる。
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拘束した敵からはドアロックのパスワードを聞きだしたり、網膜センサーに押し付けて扉を開くといった事が出来る。倒した敵を放置すると怪しまれるため、倒した敵を隠す事も必要となる。
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はしごなどを登り敵の上を取りドロップ攻撃で気絶させることもできる。
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気絶・拘束を行わずにスルーする場合は敵の視界に入らないようにするか、空き缶などのオブジェクトを投げて敵がそれに気を取られている間に先へ進む。
ガジェット
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様々なガジェットを使う事が出来る。
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基本装備としてナイトヴィジョン、サーマルヴィジョン機能の付いたマルチスペクトラムゴーグルがある。暗闇にまぎれて敵の目を欺くために必須の装備となる。
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緑色のレンズが3つ付いた外観をしており、ナイトヴィジョンへの切り替え時には「チュイーン」という音がする。この装備は以後スプリンターセルシリーズのトレードマークとなっている。
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その他には、ピッキングツール、レーザーマイク、カメラ妨害装置、ドアの向こうが見れる光ファイバーカメラなどがある。
また、銃に取り付ける装備には、発射したところにカメラを設置し偵察できるスティッキーカメラや、敵の気絶用のガスグレネードなどもあるが、上記の通り個数少ない。
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画面右下のHUD(OPSAT)には現在地の明るさを視覚化したステルスメーターがあり、このメーターが左に行くほど敵に見つかりにくくなる。
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暗がりでじっとしていれば敵がすぐ近くを通ってもぶつからない限りは気づかれる事はない。
評価点
リアルさを追求したステルスゲームと攻略選択の幅の広さ
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潜入するために必要な様々な要素が拘って作られているため潜入作戦の雰囲気は抜群。
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ドアの鍵をピッキング、敵を拘束して網膜スキャンを突破、暗証番号を自分で入力、カメラやライトを破壊して死角を作り出す、超小型カメラを使って扉の向こうの様子を探るなど非常に現実的。
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敵の反応もリアルで、音に反応するのはもちろんサムの影を見つけると警戒したり、逆に無警戒の時は口笛を吹いたりと様々な行動を取ってくれる。
作業に熱中していると手元しか見えず後ろを通っても気づかれなかったりと視覚も現実的。また、警戒する敵を周囲のオブジェクトを投げて誘導する事も出来る。
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敵をすべて殲滅するもよし、その気になれば本当に一切敵に見つからずに行動出来る攻略の幅もある。
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また、非常に難易度が高いが、ゲームを通して1人以外はノーキルでクリアすることができる。
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多数のアクションとステルスシステムから難しいイメージがあるが、ゲーム開始直後のトレーニングで基本的なチュートリアルが行われる。
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メニュー画面にあたるOPSATでは現在の目標、入手した暗証番号などをまとめているため、入手したパスワードを忘れる事はない。
美麗なグラフィック
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グラフィックで賞を獲得したことからも分かる通り、当時としては美麗なグラフィックが話題を呼んだ。
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特に最大の特徴である光と闇の対比には力を入れており、序盤から大型のファンから差し込む光の束など印象的な画作りをしている。
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光と影が直接ゲームに関わってくるため、グラフィックとゲーム性が両立している。
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また、当時としては珍しいぶつかるとその通りにはためくリアルな布がつるされているところがある。
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家庭用版ではXbox版を基準として開発されており、こちらも美しいグラフィックが評価された。
緻密に練り上げられたストーリー
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小説家トム・クランシー監修のゲームであり緻密に考証を重ねた世界観、ストーリーの評価が高い。
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ストーリー途中にはニュース番組の形式で情勢の変化がリアルに描かれるようになっている。
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各キャラクターもサムをはじめ皆個性的。真面目でシリアスな場面でも所々ジョークを挟むことで重くなりすぎずに緊張感を持たせている。このあたりはハリウッド映画のノリに近いと言えよう。
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本編ではちょっとした会話で済まされた内容も、OPSAT内に情報が蓄積される事で詳細を知ることが出来、重厚な世界観を窺う事が出来る。
ベテラン声優陣による主要登場人物の日本語吹き替え
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本編は日本語吹き替えで、主要登場人物は主人公のサム・フィッシャー役に玄田哲章、アーヴィング・ランバート役に池田勝、アンナ・グリムスドッティア役に田中敦子など洋画の日本語吹き替えでおなじみのベテラン声優陣が担当している。
問題点
攻略ルートが完全な一本道
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分かれ道などもなく、一度通ったチェックポイントを戻る必要もないため、やらされている感がある。
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ただし、これは意図したものであり、ステージで迷子になって快適なゲームプレイを阻害しないよう配慮された結果である。後のシリーズでは攻略法の選択肢が増えた。
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マップ画面は存在するが、かなり簡素なためどこがどうなっているのか把握するのが困難。
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前述のようにOPSAT内に情報が蓄積されていくが、作戦前のブリーフィングはないので、まずOPSATを開いて情報を把握する作業が必要となる。
難易度の調整不足と(ほぼ)ノーキル難度の異常な高さ
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全体的な難易度は高めで、難易度設定ごとの差はあまりない(敵の警戒の仕方が変化する……といった事はない)ため2周目でもプレイ感覚は変わらない。
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また、ステルスへの比重が大きく、正面からの銃撃戦に向かないシステムであるにも関わらず、一度に複数を相手に銃撃戦を強いられる場面が3回ほどある。
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銃はレティクルが徐々に狭まっていって命中精度が上がるシステムだが、最大の状態でも当たり難い。確実に当てるにはかなり近づいて撃たないとならない。
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特に蛍光灯などを撃つ場合の当たり判定が狭い上に、発光部分も白いのでスナイパーモードでも判断がしにくい。
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前述の通り、ステルスゲームであり敵を倒すことが目的でないため、(ほぼ)ノーキルノーアラートクリアを目的とするプレイヤーが多いのにも関わらず、難度が非常に高い。
ほぼノーキルノーアラートクリアはやりこみ要素ともいえるが難度が非常に高いことには変わりはない。
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非殺生武器は射程距離が短く個数も少ない。
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背後からの気絶、拘束の有効距離が非常に狭く、敵の頭に息を吹きかけるほどに近づかなければならない。前述した通り、敵は他のステルスゲームに比べて暗闇に弱いのに対して異常なほどに足音に敏感である。敵が立ち止るまでは動作は難しい。
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足音に気づかれないようにするには、しゃがんでアナログスティックをわずかに倒して移動すればいいのだが「気づかれない速度で移動ボタン」などはなく、Xbox版において最大に倒した場合を6とすると1くらいの倒し方が必要。(4.5あたりですでに最高速度となる)移動は基本的に常にこのような感じである。
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ダッシュで気絶させることもできるが他の敵に気づかれやすい。
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初見では目視で確認しにくく出現を予測しづらく張り付きで偵察できない場所の敵から見つかることがある。(下にいるときに階段の上からや階段を降りると敵がこちらを向いているなど)
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ドアを開けるとそれがトリガーとなって敵がこちらに向かってくるので物陰に隠れるという場面があるが、すぐ近くにあるドアが勝手に閉まるまで開けたドアが閉まらずに敵に気づかれる。また、こちらに向かってくるまでの時間が短いため、ドアが閉まるかどうかがほぼ不確定要素になってしまうシステム的な問題がある。
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また、銃撃戦は1つめは個数の少ない非殺生武器で倒す、2,3回目は開始時にはわからない場所にある出口にダッシュする(そうしないとライフの関係で脱出不可能になる。暗闇にしても正確に撃ってくる)とという初見ではわからないものであり攻略情報なしでは気づきにくい。
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チェックポイントは多く失敗した時のやり直しはそれなりにしやすいが、非常に短い距離でチェックポイントに到達するところとそうでないところのムラは激しい。また、後述の問題もある。
システム関連の問題
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即ゲームオーバなチェックポイントの存在
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ある地点を通るとチェックポイントとなりセーブする形式で、また、ロードしても状況がリセットさせる仕様ではないため、即ゲームオーバーなチェックポイントが存在する。ミッションをはじめからやり直すしかない。
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例1)トラックの後を追いゲートを通る道の途中にチェックポイントがあるため、追いつけない状態のままセーブしてしまうとリカバーできない。
例2)警報回数に制限があり、通る警報が鳴る金属探知機を、必ず通らないとならないミッションで警報回数が上限に達していると詰む。
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アンバランスな音量
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敵は他のステルスゲームに比べて異常なほどに足音に敏感である。プレイヤーが足音として感知できないほどの音で気づくため細心の注意が必要である。
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プレイヤーが足音として聞こえるように設定することはできない。効果音最大 BGM音量0にしてもBGMはなるし効果音もあまり大きくならない。
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このような設定にかかわらず、飛び降りる時の音は非常に大きく、それなのに敵は気づかないなど音量バランスが悪い。
日本語版にまつわる問題
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このゲームは日本語吹き替えであるが、元の英語版に比べてモブ敵の音声は担当が少ないようだ。日本Ubiの方でバリエーションをつけようと思ったのかピッチダウンしたゾンビの様な低い声が多く使われる。しかし、その敵の別のセリフは普通の声ということが非常に多く整合性が取れない。
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敵は顔に何も身につけてないため、フルフェイスヘルメットのこもった声の表現というわけではない。
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すべての音声の吹き替えがされているわけではなく、モブ敵の一部のセリフが英語のまま。
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なお、サムの回復アイテムを使用した時の声も英語のままで、「Oh yeah」や「Woooo...」(下痢で唸るような音)など吹き替えの渋いの声とは似ても似つかない。
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全体的に録音品質が悪いのかエフェクトをかけてない部分でも音質はあまり良くない。
その他
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あるステージでは頻繁に数十秒のムービーが挟まれるが、スキップできないためゲームオーバーするたびに何回も見せられる羽目になる。
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ゲームプレイを通してムービーのスキップができる場所はない。
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暗闇に潜むシステムは重要ではある一方、ステルスメーターが左寄りなら画面では丸見えでも見つからないため違和感がある。
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といっても索敵状態になると足音を察知し真っ暗闇だろうと正確に銃を撃ってくる。
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他にもサムが装備しているゴーグルや背中の機械が常に緑色に光っているため、バレバレにしか見えない点もよく指摘される。
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これも意図されたものであり、発光がないとプレイヤーが主人公を視認することが困難になってしまうため。
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壁張り付きのアクションがあるが、カメラアングルはあまり考慮されていないため見づらく、慣れるまでは難しい。
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カメラが一周することはできず、サムの正面にカメラを回すことができない。
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敵の仕掛けたタレットのハッキングが少しわかりづらい
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詳細
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最初は
タレットをハッキング
となっており●がオン、◯がオフ。IFFというのは敵味方を区別して攻撃する機能。無効にすると見境なく攻撃するようになる。
ちなみに解除はタレットの動作を止める。
この状態で、IFFを無効にして、敵を攻撃できるようにするには
タレットをハッキング
としなければならない。
そもそも、敵がタレットを設置する場合の動作としてタレットをオン、IFFをオンとするはずであるから
タレット
となるはずである。
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天井のパイプに登っていてもこちらを向いている敵に発見されたりする。
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垂直なパイプや天井のパイプに登れることになっているが、天井や壁面共に登れないパイプが複数存在する。
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最近のアクションのできる範囲に近づいたらボタンインストラクションがあり該当するボタンを押すと自動的にアクションを行うタイプでなく、手が触れたらアクションをするタイプのためつかめないのか分かりにくい。そしてジャンプの音で敵が警戒する。
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ミッション開始直後にジャンプアクションを強制されるパートがある。落ちたら即死の上にゲームプレイを通してほとんど使用の機会がなく操作性があまり良くない二段ジャンプが要求される。
総評
『メタルギアソリッド』シリーズと似ているようで全く別物のゲーム性や、光と闇を強調したグラフィックが高い評価を得た良作アクション。
難易度が高いため何度もやり直して突破口を探していくゲームであるが、それだけにクリア出来た時の爽快感は満点。
現在でも色褪せない面白さを持つタイトルである。
シリーズ一覧
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スプリンターセル パンドラトゥモロー
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2005年発売。Windows対応のシリーズでは唯一ダウンロード販売が行われていない。
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スプリンターセル カオスセオリー
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2005年発売。グラフィック、ゲーム性の強化が行われ高い評価を得た。Xbox版は初期シリーズ唯一のXbox 360におけるゲームオンデマンド配信タイトル。
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Splinter Cell: Essentials
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スプリンターセル 二重スパイ
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2007年発売。マルチエンディングの採用など、新機軸を打ち出した。
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PS3・XBOX360・PC用とそれ以前のハードでゲーム内容がかなり異なる
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スプリンターセル コンヴィクション
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2010年発売。ゲームシステムの変更やストーリーの展開からシリーズの転換点となり高い評価を獲得した。一方、主人公が存在することが前提となっていることなどが賛否両論を生んだ。
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スプリンターセル3D
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2011年発売。3DS。『カオスセオリー』の移植。
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Tom Clancy's Splinter Cell Classic Trilogy
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2011年発売。PS3。『カオスセオリー』までの初期3作のHDリマスターセット。日本未発売。
余談
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海外ではGC版、GBA版も発売。GBA版は横スクロールアクションになっている。
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暗闇を利用するゲームシステムはアイドスが製作した『Thiefシリーズ』と共通している。
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『Thief』は剣や弓矢を使う盗賊が宝を手に入れる事を目的とするFPSのため、似通ってはいるものの雰囲気やプレイ感覚はかなり異なる。