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スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神F COFFIN OF THE END
【すーぱーろぼっとたいせん おーじーさーが まそうきしんえふ こふぃん おぶ じ えんど】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション3
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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ウィンキーソフト
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発売日
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2014年8月28日
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定価
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通常版/ダウンロード版:7,120円 数量限定生産版:10,930円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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分類
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良作
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スーパーロボット大戦関連作品リンク
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概要
評価点
シナリオ
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本作は、舞台である「ラ・ギアス」が序盤からいきなり世界が崩壊の危機に瀕している。そのため前作までと異なり、ハードかつシリアスな展開が終始描かれている。
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長らく正体不明であったヴォルクルス教団の首魁「ヨーテンナイ」や、結局前作では姿を見せなかった「ギゾース・グラギオス」、そして「三邪神」の本体である「巨人族」が満を持して登場。魔装機神、およびシュウたちと熾烈な争いを繰り広げる。
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過去作では拠点となっていた神聖ラングラン王国が謎の結界に包まれ、時を同じくして全世界に「マグゥーキ」と呼ばれる怪物群が大量発生したという設定のため、序盤は主人公部隊であったアンティラス隊ではなく、ライバルであり協力者でもあり、魔装機神シリーズのもう一人の主人公でもある「シュウ・シラカワ」らが中心となっている。従来とは異なる部隊構成で進めていくことになるためマンネリの打破に一役買っている。
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前作まではアンティラス隊が絶対的な正義として描かれていたが、今作では他国からどれほど脅威であったかが、新キャラを中心に語られることになる。もちろん敵対することはない。
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全世界が怪物の脅威にさらされており、秩序もほぼ崩壊しているため、前作までの平和ボケした民衆の姿はどこにも見られない。味方陣営も同様で、アンティラスショップなどに代表される従来の緊張感の足りない雰囲気から一転、かつてない苛烈な戦いに身を投じる事になる。目的が明確化されているため、話が脱線することはない。
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調和の結界やラングランの始まり、ゼルヴォイドの正体やヴォルクルス教団の全貌、神祇無窮流の剣士ガエンが記憶を失い教団に所属していた背景など、多くのユーザーが注目していた要素が明かされており、まさに完結編にふさわしいスケール。
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新キャラクターも魅力溢れる面々が揃っている。ストーリーの発端は、攻霊機「レイブレード」に乗りこみ戦うことになる地上人「サキト・アサギ」の視点より展開され、マサキら魔装機神が加入するまでは彼とシュウのW主人公と言った形になる。2における「ツレイン・ザン・レカニバン」の役割に近いのだが、彼と異なり従来のキャラに埋もれることなく、かと言って活躍を喰う事もせず、一人のキャラクターとしての魅力を如何なく発揮している。
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それ以外の「アルメラ共和国」のメンバーも好人物揃い。リーダーシップを備え、メンバーの中心となる「エリシア・ゼフィール」、ラ・ギアスに慣れないサキトを優しくフォローする「フィリス・ジャラヴ」と「ティール・カーヴェイ」、皮肉屋で厳しい印象を与えつつも、常に軍人として周りのフォローを怠らない地上人「ライオネル・ニールセン」。いずれも初登場でありながら、しっかりと物語に馴染んでいる。
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なお、アルメラ共和国の魔装機は、地上人召喚事件によってもたらされた地上の技術を積極的に取り込んでいる。その結果、後述のヴァルシオーガが誕生し、制式魔装機にはユニバーサルコネクターが採用されており、「G・レールガン」や「レクタングルランチャー」など、パーソナルトルーパーの武器を装備している。フォルムもパーソナルトルーパーと魔装機のハイブリッドを思わせるものとなっており、新しさを感じさせられる。また、ライオネルは『告死鳥戦記』に登場する企業「ダニエル・インストゥルメンツ」にかつて所属していたことが明かされている。
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また、「テューディ・ラスム・イクナート」、「アーマラ・バートン」、「ムデカ・ラーベンス」といった、かつて自軍を苦しめた面々も仲間入り。敵であった時は苦戦した分、頼もしい活躍を見せてくれる。
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特にアーマラは「第2次スーパーロボット大戦OG」で死亡したと思われていたため、生存そのものと魔装機神への参戦と、二重の意味でプレイヤーを驚かせることとなった。
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なお、前作レギュラーキャラで本作で出演できなかったのは、実質ゲンナジーと二択であった「トレイス・ハイネット」と、エリアル王国の「アドバーザリー部隊」のみ。残りのキャラは全員続投している。
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後半にさしかかった時点で、魔装機神が自軍に復帰。マサキが主人公としての活躍を見せる。後述するように、今作のサイバスターは歴代最強の性能を誇っており、設定面でも優遇されている。終盤は、マサキを筆頭に、シュウ、サキト、そしてエランの四人を主役とし、最大最後の決戦に臨むことになる。
システム
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前作よりさらに進化した戦闘アニメーション
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本作初登場となる魔装機のアニメーションは本家スパロボに勝るとも劣らないレベル。斬撃、射撃とも屈指の派手な演出が魅力。敵対するマグゥーキ、巨人も、生体兵器ならではの不気味さと力強さを見せつけてくれる。
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魔装機神シリーズでは今回が初のHD化となるシュウの愛機グランゾンは、全ての武器の演出を一新されていて、その美麗さは強化形態にあたるネオ・グランゾンのどの武器も凌駕する出来栄え。3に登場しなかったことがグランゾンに思わぬ幸運を招いている。
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難易度、戦闘システムの調整
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3作目の理不尽なまでの難易度の高さを反省し、敵の高性能長射程兵器は軒並み撤廃され、威力も2に近い調整がなされている。そのため、むやみやたらと撃墜されることはなくなっている。耐久力こそ過去作を上回っているが、今作は味方の戦力も充実しているため、詰むという事はほぼなくなっている。
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3では何故か消滅していた「複合型」の技能も復活。つけられるスキルの数は4つが限界なのは変わらないが、より育成の自由度が増している。援護に対する仕様も改善。きちんと1ターンにスキルレベルの数だけ使えるようになった。
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また、前作、前々作と、やたらにPNを消費する武器が存在していたが、本作はそれが緩和され、初代魔装機神と似たような数値に落ち着いている。それに伴い、MGも無意味な数値ではなくなり、育成する意義が大幅に上昇した。
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CPUの思考レベルも前作のような弱者に集中攻撃を仕掛けるような鬼仕様ではなくなった。
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引継ぎ要素の改善
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3作目は、何周プレイしようとも、資金、PPの引継ぎが50%固定、さらに資金は最高値が1000万なので、何周しても500万しか持ちこせず、PPに関しても、使い続けなければどんどん持ちこせるポイントが減少されていくため、周回のモチベーションが削がれてしまっているという問題があった。今作では2周目の引継ぎが75%、3周目以降は100%の引継ぎが行えるため、周回プレイに対するストレスも解消された。
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機体同士のバランス格差の修正
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シナリオの面で記述した通り、魔装機神の加入は中盤以降となる。しかしその分、従来以上に性能が引き上げられており、ポゼッション可能ターンも1~3ターンから3~5ターンに延長させられているため、加入直後から大暴れさせられる。
武装もIIIで入手できたものはすべて使用可能。さらにサイバスターは、物語の中で最強の武装である「アカシックノヴァ」を取得。歴代最強のサイバスターとして猛威を振るう。他の魔装機神やネオ・グランゾン、レイブレードの強化形態であるレイブレードHB、そして終盤に加入するゼルヴォイドも卓越した力を誇っており、ラ・ギアス7大超兵器という異名を持つに至っている。
他にも、セニアの新たな機体として運用されるデュラクシールやイスマイルの後継機であるネーゼリア、『第2次OG』からゲスト出演となるガリルナガン、ヴァルシオン・タイプCFの改良機となるヴァルシオーガなど、かつて自軍を苦しめたボス級のロボットが続々参戦、豪華極まりない顔ぶれとなっている。
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さらに下位精霊と契約した魔装機たちも、強力な専用スキルや合体攻撃を習得できたり、特殊効果付きの武器が搭載されていたりするため十分強力。場面によっては魔装機神に劣らぬ働きを見せる。また、今作では前述した「7大超兵器」を代表とした主役級のユニットはほぼ強制出撃で、それに加えて7機前後の魔装機が出撃できるため、出撃枠が固定になることもない。
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戦闘台詞が豊富
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戦闘時の特殊台詞が非常に多い。ザコ敵からボスまで、戦闘相手を問わず用意されている。
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同じマグゥーキでも、その強弱で台詞が変わるという徹底ぶりである。『OGDP』と同じように、同じ敵相手でも進行度によって変化する事も。
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イベント戦闘時は大抵、専用の台詞が入る。サキトVSグラギオス、シュウVSヨーテンナイ、そして、マサキVSラスボスの戦闘時の台詞はまさに感動もので、一見の価値あり。
問題点・賛否両論点
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後半の敵対種族「巨人」のバリエーションが少ない。
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マグゥーキの派生は豊富なのに、終盤のとりを飾る巨人族は雑魚が一種類、中堅が一種類、族長を補佐する幹部も一種類と派手さに欠ける。
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分岐、話数が少ない
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本作は1周当たりのシナリオの総数は普通の版権スパロボ並だが、ルート分岐がわずかなものにとどまっているため、総話数は59話と少なめ。
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シリーズ過去作では大きく変わるストーリー分岐も魅力の一つだったが、その個々では矛盾も生まれるため、「一つのゲームのED」としてはどれとも言い切れない形だった。
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本作はシリーズ最終作という事でEDを一つに絞った結果と思われる。
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また、シリーズ化した2以降では「過去作の全ルートを通った」という形をとったために矛盾も生まれてしまっており、続編でそこをぼかすことでごまかす手法は問題視されていた。
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魔装機神シリーズは終了とはいえ、OGシリーズへの出演はありうるので、こういった矛盾をなくす形にしたのだろう。
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謎のまま終わってしまった伏線の存在
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今作の敵は、ヴォルクルス教団、及び巨人族にほぼ全て集約されている。その弊害で、前作までのヴォルクルス教団と関係しない伏線のほとんどが、ストーリー上では回収されないまま終わってしまっている。シュテドニアスとラングラン関連は、実際に舞台になるためにある程度回収されているが、バゴニア、エリアル、ラーダット関連はほぼノータッチ。エンディングで一応の展開は明かされ、無事である事はわかるのだが、2よりその存在が示唆されていた「オーガイン」は今回も結局出ずじまいであり、落胆したファンは多い。ほぼすべて丸投げの2と3よりはマシだが、それでも全体的な伏線消化率は半分以下といったところ。ちなみにそのほとんどが、3でばらまかれたものである。
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敵の属性の偏り
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今作敵勢力を占める敵機は多くがいずれも無属性。つまり、属性同士の有利不利があまり生かされない。前作のように特定の属性だけが有利という格差はなくなったが、味気ないとする声も。
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このため「無属性の敵に対して攻撃力+20%」というガエンのスキル「亡魔征討」が猛威を振るう一方、「無属性以外の敵に対して格闘武器の攻撃力+10%」というツレインのスキル「猪突猛進」は使い所が非常に少なくなってしまっている。
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「3」からの使い回し
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「3」に登場した機体のほぼ全てが既存の武器による戦闘アニメを使い回している。
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また、本作の売りとなる新キャラ、アルメラ共和国組の殆どには新曲が用意されているが、従来作のキャラクターは基本的に3と同じBGMである。
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シリーズのメインキャラクターデザイナー河野さち子氏は『第2次OG』発売前にシリーズの開発から離脱しており、過去に氏の手掛けたメインキャラには新規の全身イラスト、バストアップ絵などが存在しない。主人公マサキの全身絵に到っては2002年のGBA版OG1の際に描き下ろされたものがそのまま流用されており、OGシリーズに出演したキャラ以外は、1996年のシリーズ第一作の際に描き下ろされた原画をそのまま流用するという、ゲーム業界の通例ではいささか広報宣伝的に宜しくない事態が発生している。
総評
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ストーリー、システム共に芳しくなかった前作から一転、いい意味でスパロボらしい展開と結末を迎える事が出来た魔装機神最終作。
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前作の悪評とPS3のみに絞ってしまった影響か、売り上げは前作よりさらに落ちてしまっておりシリーズとして袋小路に入ってしまったため、今作でシリーズを畳んだのは英断ではある。
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しかし今作はOGシリーズとも密接なかかわりを見せており、「第3次OG」への橋渡しともなっている。序盤の展開に新キャラを据えることと、難易度を調節することでプレイもしやすくなっているので、サイバスターやグランゾンの活躍を見たい人には是非、本作をお勧めしたい。
余談
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主人公機の一機「攻霊機レイブレード」という名称は某ゲームにそっくりであるが、関連があるわけではない模様。
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本作の限定版特典であるブックレットは、設定ミスが散見される残念な出来になってしまっている。
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どうにも編集を担当したライターが過去作のあらすじやストーリーの一部を誤解したまま書いてしまったようである(主人公マサキが召喚された本編開始と地上人の召喚開始時期の混同、ラングラン成立の時期、地底世界の兵器体系等)。また2と3以降で公開された設定の多くは、世界観紹介に反映されていない為、誤解を招く内容が多い。