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探偵 神宮寺三郎DS きえないこころ - (2016/08/23 (火) 12:40:42) の編集履歴(バックアップ)


このページでは、NDS『探偵神宮寺三郎DS きえないこころ』及び続編の『探偵神宮寺三郎DS 伏せられた真実』,『探偵神宮寺三郎DS 赤い蝶』を取り扱う。



探偵神宮寺三郎DS きえないこころ

【たんていじんぐうじさぶろう でぃーえす きえないこころ】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 アークシステムワークス
開発元 ワークジャム
発売日 2008年4月24日
定価 3,800円(税別)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
セーブデータ 3個
判定 良作
探偵神宮寺三郎シリーズリンク?

概要(きえないこころ)

コマンド選択式の探偵物ADV『神宮寺シリーズ』の第12作目。
前作『いにしえの記憶?』同様、本編はモバイル版からの移植作5篇と新作の表題作『きえないこころ』の計6篇、さらに「謎の事件簿」6篇が収録されている。

ストーリー(きえないこころ)

神宮寺の元に訪れた松田武史は、妹・沙織が20年前に自殺した原因の調査を依頼する。
調査を進める中、神宮寺は沙織が生前書いていたという詩に秘密があると突き止めたが、松田は突然依頼の取り消しを申し出る。
やむなく申し出を受ける神宮寺のもとに、今度は学校の備品が傷つけられるという別の事件の調査の依頼が入る。

収録作品(きえないこころ)

  • 『6枚の犯行』
  • 『亡煙を探せ!』
  • 『アオイメノリュウ』
  • 『キトの夜』
  • 『四角の罠』
  • 『きえないこころ』
  • 他、謎の事件簿6話分。
  • ライターは、『6枚の犯行』『亡煙を探せ!』『キトの夜』『四角の罠』の4作が小高和剛氏、『アオイメノリュウ』が坂本豊和氏。モバイル版神宮寺三郎シリーズの初期は、この二名が脚本を務めることが多かった。
    • その後、小高氏は『ダンガンロンパ』シリーズなどのライターとして活躍している。
    • 表題作・新規収録作である『きえないこころ』はスタッフロールからライターが読み取れず、作者は不明。

システム(きえないこころ)

  • TPS(トークプロファイルシステム)
    • 会話中に相手の様子を観察して相手から話を引き出すための行動を選択するミニゲーム的なパート。
    • 前作『いにしえの記憶』では実装されていなかったが本作から復活。
      ただし、TPSがあるのは表題作『きえないこころ』篇のみ。
  • サーチシステム
    • 脱出ゲームのように詳しく調べたい所をタッチ(またはカーソル)で指定して捜査するシステム。
      こちらも表題作『きえないこころ』篇でしか使用されていない。こういう操作は携帯アプリには不向きだからだろう。
    • こちらも『いにしえの記憶』には実装されていなかった。
      探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件?』や『おさわり探偵 小沢里奈』などの先行タイトルにも似たようなシステムがあり、DSの推理ADVにおいてはあって当然なシステムではある。
  • 推理システムが無くなった
    • 前作ではプレーヤーが任意のタイミングで捜査結果を整理出来る「推理システム」が存在したが本作にはなく、結果、「整理する」コマンドを行う場面でかなり遡った事柄を思い出さなくてはならなくなった。

評価点(きえないこころ)

  • シナリオ全体は安定の神宮寺クオリティ。
    • 新作は小学校を題材に複数の事件を扱っており、20年前の事件が起きた学校には当時の関係者の子供が通っている等、多重に絡まった複雑な人間模様を見せる。
      • 一見単純なような事件の背景にも別の意図が隠されており、最後まで二転三転する。
    • また『キトの夜』はモバイル作品の中でもひときわ評価の高い作品。
      • たまたま立ち寄ったバーで知り合ったエクアドル人「ホセ・レアスコ」と何故か気が合って一晩飲み明かした神宮時だが、翌日の事件捜査中にホセと再会し、なし崩しで一緒に捜査をすることになる。
        二人の友情とハードボイルドな展開から、他のゲームにはなかなかない「神宮寺らしい」作品として仕上がっている。
    • 他にも犯人の告白から始まる『6枚の犯行』、神宮寺が行方不明になり洋子・熊野視点で話の進む『亡煙を探せ!』、神宮寺とは正反対な相棒と組むことになる『アオイメノリュウ』、物語の締めが素晴らしい『四角の罠』と、バラエティに富んだラインナップである。
  • 本作でもパスワード機能は搭載。
    • いつも通りのジュークボックス(サウンドテスト)やヒント機能、物語に絡んでくるエクアドルや大阪の紹介などこちらも楽しい。
  • ムービーの向上
    • オープニング及び各章冒頭のムービーの演出が前作に比べてやや洗練された。
    • ただし、前作同様に途中に挿入されるムービーには、ムービーにする必要性が無いと思われるシーンが散見され、結果的に作品のテンポが阻害されている。
  • セーブデータのリセット機能の追加
    • 前作はパスワード解禁後はそのままだったが、DS版では本作からセーブデータのリセットが出来るようになった。

問題点(きえないこころ)

  • UIの操作性が低下
    • コマンド選択画面ではバックログを見れない。
      • 早送りしすぎた時や、次どこ行くんだっけ?と確認したい時などの必要な時に使えない。
    • メッセージを送るためのタッチ操作を受け付ける画面上のエリアの面積が狭くなっている。
    • コマンド選択の場面でコマンド選択後に、選択した選択肢にチェックマークが入る表現が挟まることでもっさりしたテンポになっており、緊迫した場面を台無しにしている。
  • やはり新作が少々短め
    • 表題作『きえないこころ』篇は他の短編シナリオよりは長めなもののやはり短めな作品。全部合わせれば値段からすれば十分すぎる量ではあるのだが。
    • 『神宮寺三郎シリーズ』は選択肢や行き先をシステム側で的確に絞ってくれる事が多いのだが、表題作に限ってはそのようなことがなく、しかも意味なく街をぶらつかないとゲーム内の時間が進まない箇所があり、プレイ時間を水増しされているように感じる。

総評(きえないこころ)

過去のコンシューマ作品のリメイクばかりとなってしまった前作と異なり、本作はモバイル新作シナリオ+完全新作シナリオのみとなっている。
モバイル版もプレイしている熱心なファンには新要素が少なめで少々物足りないが、そうでない神宮寺三郎ファンには是非お勧めしたいシナリオ集となっている。

余談(きえないこころ)

  • 本作に収録されている『キトの夜』は2011年にAndroidアプリとしても無料配信されている。気になる人はそちらで触れてみるのも良いかもしれない。
    • ただ携帯アプリを単純に移植しただけなので、画面が小さかったり、音量調整に不具合があったり、操作性が悪かったり、使い道のないパスワードが残ってたりと、ちょっと残念な移植になってしまっているが。

探偵神宮寺三郎DS 伏せられた真実

【たんていじんぐうじさぶろう ふせられたしんじつ】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 アークシステムワークス
開発元 ワークジャム
発売日 2009年3月19日
定価 3,800円(税別)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
セーブデータ 3個
判定 良作

概要(伏せられた真実)

コマンド選択式の探偵物ADV『神宮寺シリーズ』の第13作目。
前作同様、本編はモバイル版からの移植作5篇と新作の表題作『伏せられた真実』の計6篇、さらに「謎の事件簿」6篇が収録されている。

ストーリー(伏せられた真実)

神宮寺探偵事務所に、小野寺清美と小野寺成美という美人姉妹が訪れる。
誘拐された父親、小野寺琢磨の身代金を、犯人が指定した場所まで運んで欲しいとの依頼だった。
何故探偵が?清美、成美の話では、誘拐犯からの指定で「現金は“探偵Jに運ばせろ”」とあったためだと言う。
なんとも不可解な話だが、依頼を受ける神宮寺。

(公式HPより)

収録作品(伏せられた真実)

  • 『イヌと呼ばれた男』
  • 『ふた色の少女』
  • 『命絶つ刻限』
  • 『託された指輪』
  • 『真偽の狭間』
  • 『伏せられた真実』
    • シナリオはプロデューサーの西山英一

システム(伏せられた真実)

  • 前作とUIのアイコンのデザインまで同じである。
    • TPSおよびサーチシステムがあるのは相変わらず表題作のみである。
  • ボタンのみでのプレイが可能となった。
  • 下画面が話す相手を選ぶコマンド選択画面の時に、上画面にどの人物かを示す矢印アイコンが出るようになった。

評価点(伏せられた真実)

  • グラフィックの向上
    • おまけのスタッフコメントにて、PS2作品並みの労力がかかったと語られている。
    • ムービーの向上
      • いずれも目をみはるような質ではないが、ほぼ全部のムービーが見る価値のある水準に引き上げられた。
    • CGの枚数増加
      • 本シリーズのこれまでのDS作品では登場人物の表情差分CGは表題作ですらTPS部分以外は少なかったが、本作では携帯からの移植作品にも表情差分CGがある。

問題点(伏せられた真実)

  • 表題作のシナリオの出来があまり良くない
    • 「伏せられた真実」では神宮寺が若干無能なところがあり、犯人にかなり振り回される。少しの情報からある程度の真相には気づくことの多い神宮司だが、本作はプレイヤーより気づくのが遅くなりやすいほど。
      • それでも携帯機の新作シナリオとしてはボリュームは十分で、事件内容自体は及第点だが、どうにも神宮司としては微妙な出来。
  • 表題作以外の収録作品が従来に比べやや短い
    • しかも、数篇は探偵物ではあるが推理物ではない。

総評(伏せられた真実)

事件の核心に迫ったと思った矢先に想定外の事実が判明し、いちから考え直さなければならないという神宮寺三郎シリーズおなじみの展開は踏襲されている。
収録された携帯アプリからの移植作品は本シリーズのDSの他作品と比べるとやや期待外れの作品が含まれるものの、表題作は本シリーズの過去作の中でもかなり長く、かつ入り組んでおり、本作の総プレイ時間は前作と同程度となっている。


探偵神宮寺三郎DS 赤い蝶

【たんていじんぐうじさぶろう あかいちょう】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 アークシステムワークス
開発元 ワークジャム
発売日 2010年9月30日
定価 3,800円(税別)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
セーブデータ 3個
判定 なし

概要(赤い蝶)

コマンド選択式の探偵物ADV『神宮寺シリーズ』の第15作目(14作目はPSP『灰とダイヤモンド』)。
新作の表題作『赤い蝶』と、既にDSiウェアにて販売されていた5作品の計6篇と、そしてDSiウェアに含まれていた「謎の事件簿」6篇が収録されている。

ストーリー(赤い蝶)

神宮寺探偵事務所を国会議員・佐伯正臣の秘書が訪れる。
「数日後に控えた資金パーティーを中止しろ…」そう要求する電話が“赤い蝶”を名乗る者からかかってきたのだと言う。
“赤い蝶”―それは20年前にあった東城産業爆破事件の犯人・檜山恵一が名乗った名である。
そして、檜山はその事件以後20年間行方をくらましていた。神宮寺は調査するが、檜山の痕跡は見つからない。
電話はただのイタズラか? それとも…?
次々と起こる爆破事件。20年前の爆破事件との関係は?そして“赤い蝶”の正体は―!?

(公式HPより)

収録作品(赤い蝶)

  • 『赤い蝶』
    • 本作にしか収録されていない
  • 下記5作品はDSiウェアにて先行リリースされていた。
    • 『椿のゆくえ』
    • 『明けない夜に』
    • 『果断の一手』
    • 『連鎖する呪い』
    • 『亡き子の肖像』
      DSiウェア版があるものは、DSiウェア版にのみオープニングムービーおよび追加CGがある。
      また、DSiウェア版のものには"CERO:B"のものがある。

システム(赤い蝶)

  • 『伏せられた真実』とUIのアイコンのデザインまで同じである。
    • TPSおよびサーチシステムがあるのは相変わらず表題作のみである。
  • ストーリー分岐は無い
    • 前作に当たるPSP『灰とダイヤモンド』にてストーリー分岐が採用されたが、本作では再び1本道になっている。

評価点(赤い蝶)

  • ボリュームが増加
    • 新作の表題作は前作の『伏せられた真実』と同程度のボリュームが有る。
    • 収録されている他作品も、『伏せられた真実』においてはややボリューム不足を感じたが、本作ではDSiウェアで販売されていたものを収録しただけあって質、長さともに前々作の『きえないこころ』レベルに回復している。

問題点(赤い蝶)

  • キャラ設定のブレ
    • CGのキャラデザインに統一感がない
      • 収録された個々のDSiウェア先行リリース作品及び新作の表題作との間で、大幅に変わっている。
        御苑洋子のキャラデザインは各作品ごとに別人レベルに。神宮寺三郎も表題作ではホリが深くなり過ぎている。
    • 「謎の事件簿」の人物設定に影響を受けている
      • 「謎の事件簿」の御苑洋子のように、本編でも御苑洋子が神宮寺に対してリスペクトを欠いたツッコミを入れている。
      • 同様に「謎の事件簿」の三好のように、本編でも三好がふざけた感じでクイズを出している。
      • これらの言動により、もともとの本編側の持ち味であるハードボイルドな雰囲気が損なわれている。

余談(赤い蝶)

  • 表題作以外はDSiウェア版がリリースされていた
    • DSiウェア版発売時は本作がリリースされることはアナウンスされておらず、DSiウェア版の購入者からは裏切られたという声がある。
      本作収録分はDSiウェア版からムービーやCGが減らされているという差別化が図られているが、本シリーズにおいてはグラフィック要素は作品の価値を左右する程の重要なポイントではないと思うのだが。また、本作においてそれらの収録作品のムービーなどが完全に削除されたわけでもなく、話が分かりづらくなったなどの弊害はなく、さらに前作同様に登場人物の表情差分CGまである。
    • 『亡き子の肖像』のDSiウェア版発売から本作発売までは1年経っておらず、廉価版としても早過ぎるのではないか。

総評(赤い蝶)

従来通りの『探偵神宮寺三郎DSシリーズ』の作風は保たれているものの、『伏せられた真実』よりも推理の比重は低くなっている。
特に収録作品の中には犯人が物語の中盤にて登場するという"ノックス十戒"に抵触する展開となっている作品や、非合法な組織の組織ぐるみの犯罪という"ヴァン・ダインの二十則"に抵触する作品があり、本作を本格推理物だと思ってはいけない。「謎の事件簿」のほうがむしろ推理問題となっているが、こちらは本編と異なるキャラ設定やノリについていけない人も。
ボリュームは『探偵神宮寺三郎DSシリーズ』中では最大となっており、ADVとしては良作である。

後の展開

  • 本作に収録された、DSiウェアにて先行発売されていた5作品は後に携帯アプリに移植された。
    携帯アプリではさらに4作品がリリースされたが、それらは現在のところコンシューマ機には移植されておらず、またワークジャムが携帯アプリ事業から撤退したため、携帯でもプレイが出来なくなっている。
    • 携帯アプリのみの4作品は3DS『探偵神宮寺三郎 復讐の輪舞』の作品リストにも含まれていない。