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BELTLOGGER 9 - (2016/09/23 (金) 10:03:49) の編集履歴(バックアップ)


BELTLOGGER 9

【べるとろがーないん】

ジャンル 3Dアクションシューティング

対応機種 プレイステーション
発売・開発元 元気
発売日 1996年11月15日
定価 6,300円(税別)
廉価版 PS one Books:2002年2月7日/1,800円(税別)
判定 良作

概要・ストーリー

 元気から発売された『キリーク・ザ・ブラッド』シリーズの流れを汲んだ、ステージクリア型のメカFPSであり、ホラーテイストのSFを舞台とした3D探索アクション。
 地球から遠く離れた資源採掘コロニー「ベルトロガー9」が突然救難信号を発信し沈黙。救援に駆けつけた統合宇宙軍は直ちに部隊のエースらを派遣し調査を開始するも、彼らを迎えたのは採掘コロニーとは裏腹な数々の兵器からの容赦ない攻撃だった。これにより部隊はなんとかコロニー内部に辿り着くも、αチームは半数が撃墜、βチームに至ってはパトリック・サルー軍曹を残し全滅という様相を呈した。
 プレイヤーはこの主人公サルー軍曹と、その乗機であるブロンクスを操作し、事件の解決と真相を知るべく謎の人物「ランツクネヒト」を追う事になる。

特徴・評価点

  • 基本はステージ内に配されたフロア専用のキー(key)モジュールを探索し、次のフロアへのゲートにセットする事で1ステージクリアとなる。機体のデュラビリティ(耐久値)が0になったり、一撃死の罠を受けたり、各ステージの時間制限を過ぎるとゲームオーバー。
    • 乗機であるブロンクスはいわゆる人型作業機械だが、高性能コンピュータ「ソーマ」の搭載を始め、様々な対応モードを持つ。これによりコロニー内部の設備が使用可能で、かつ軍隊らしく戦闘用の武装やエネルギーによる防御システムなども搭載している。プレイヤーはこのブロンクスを最大限活用し、フロアに残されたデータを収集し、迫り来る戦闘メカを排除しながら攻略する。
  • 武器
    • ブロンクスは下記5種類の武器を初期装備している。この内、ドーゲンボム以外はカテゴリであり、ステージ内でいずれかのカテゴリーに属する新たな武器を入手する事ができる。各カテゴリ内でも「弾速」「連射性」「1回の発射における弾数」により差別化されており、必ずしも後で入手するものほど有用とは限らない。多くは事件によって発生した戦闘に用いられるはずだったもので、その幾つかは救援に来た宇宙軍へ託すメッセージと共に隠されている。
      • ライフル・・・直線的な弾道を描く汎用武器。弾は敵が頻繁に落とすので、弾切れで詰むことは滅多に無い。
      • レーザー・・・機体のエネルギーを使用して発射する武器。威力や自動照準範囲はライフルに劣るが、機体のエネルギーは時間で少しずつ回復するため、乱発さえしなければ弾数は無制限*1。なぜか自動追尾機能のあるレーザー兵器もある。
      • ミサイル・・・照準を合わせた対象をロックオンし、発射後に自動追尾する。威力が高く、命中時と爆風の2回攻撃判定がある*2が、弾数が少なめ。
      • ランチャ・・・ミサイルと同じく対象をロックオンする。機体上方向に射出し対象に落着、爆発でダメージを与える迫撃砲のような存在。地上から建屋の屋上にいる敵を倒すなど、他の武器では狙えない位置にいる敵向け。
      • ドーゲンボム・・・着弾後に巨大な爆風で大ダメージを与える。使い所を間違えるとプレイヤーも巻き込まれて一瞬でゲームオーバーになるほどの強力な武器である。ゲームを通して数個しか入手できない貴重な存在。
  • 防御
    • ○ボタンを押している間、機体エネルギーを急速に消費しながら完全無敵のバリアを張る。その間、攻撃はできないが移動は可能。本作では狭い通路での戦闘や追尾ミサイルなど、敵の攻撃を回避困難な状況が多いので必須の機能である。使用するエネルギーはレーザーと共用なので、残量に注意。
  • 各種アイテム
    • 重要アイテム以外では、あちこちにある消費型のアイテムが数多い。いずれもPAUSEメニュー画面から、任意のタイミングで使用可能。
      • デュラビリティやエネルギーを回復させるモジュール・最大値を上げるモジュール
      • WPA・・・武器を1段階ずつ強化する。
      • SAPU・・・機体のダメージ耐性(ライフル、レーザー、ミサイル、物理)を一つ選んで強化する。
      • シールドビット・・・一定時間無敵になる。
      • スターシェル・・・暗いフロアを明るくする照明弾。
      • バンガー・・・設置して数秒後に爆発する時限爆弾。隠しルートを塞ぐ、脆い壁などを壊せる。
    • アイテムは全てステージ持ち越しで、かつ、ゴリ押しプレイではアイテムが枯渇して行き詰まるゲームバランスのため、ゲームクリアの道のりにおいて温存すべき箇所などの戦略も必要になってくる。
    • WPAとSAPUで補強する箇所はプレイヤーが選択できるため、愛用する武器や苦手な攻撃への耐性を見極めて割り振る必要がある。
  • オプションユニット
    • 6枠のスロットに、レーダーやスヌーパースコープ(赤外線スコープ)などを適宜装備するシステム。ゲームを進める内に、エネルギーの回復効率を上げたり、移動速度を上げるオプションなどを入手できる。
    • なお、赤外線トラップは複数個所あるが、赤外線発信地点を記憶しているなら未使用でもきちんと突破できるようになっている。
  • その他システム
    • キーコンフィグなどは詳細に設定可能。デフォルトの操作感は概ねアーマード・コアシリーズ旧作などの3Dアクションシューティングと同じで、R1L1での平行移動やR2L2での視点上下となっている。
    • ストーリーの会話ログがゲーム中で参照可能であり、会話中に出てくるパスワードなどを聞き漏らしたり忘れたりしても安心。パスワード自体も基本的に4文字と覚えやすく(セキュリティ的にはどうかと思うが)、また周回プレイ時にも変わらないためストレスがない。
  • ステージ・フロア
    • ステージは当時としてはグラフィックの質が高く、前方の視界距離はやや短めながら高フレームレートで滑らかに描写。処理落ちはほぼない。
    • 数は全22ステージとボリュームもあり、かつ個性的な設備やギミックがあり飽きさせない。作業ベイや公園、生活、居住区などフロア毎に大きく異なる特徴もある。
    • 多くは通路や建造物内の探索、スイッチの制御、作業リフト間の乗り移り、障害物避けなど三次元的なアクションなどをメインで行う。
  • シナリオ
    • ステージを攻略していく事で明らかになる事件の全貌や、ランツクネヒトと名乗る人物との因縁など、SFを題材にしたゲームとしては素直な構成で完成度が高い。
    • 沈黙したコロニーの中、人のいない不気味な空間での様々な演出も非常に良く出来ている他、主人公の所属する部隊の母艦シーカーとのやり取りで明らかになっていくセンチネル計画、コロニーごと破壊という最終手段すら却下する軍上層部がひた隠しにする真実、出撃前に予定にないコード*3を実行された意味など、様々な伏線も良く出来ている。仲間の死や同型機との対決などランツクネヒトへの怒りも合わさって熱い展開もある。
    • ストーリーを強調する要素として、作業員や住人たちが残した、ベルトロガー9が沈黙する前の状況を伝えるレコードカードが存在する。この中には当時作業員たちが封鎖したゲートを開放するためのパスワードや、次のフロアで進むためのヒント、果ては事件前後の住人の様子を示す痕跡やエグいものまで様々なものが収められている。
      • 世界設定の表現に一役買っていると共に事件究明のヒントにもなっており、無駄なものはほぼ無い。
  • BGM
    • 曲としてはあくまで雰囲気に特化しており、基本的に重く、暗く、不気味さの演出に終始しているが、それだけに演出としての側面では完成度は高い。数箇所あるボス戦でのBGMもリズムこそ早くなるものの空気は損なわれていない。
    • 本作で唯一ゲームミュージックらしい曲はラスボス戦のみで、メインテーマを織り交ぜた唯一の「熱い」曲調は演出も相まって人気高い。
  • 周回プレイ
    • クリアデータを引き継いで最初のステージから再度遊ぶことができる。
      • オプションやデュラビリティ・エネルギー上限は引き継がれないが、WPAによる武器強化はそのまま引き継がれるため、簡単に様々な武器を最大まで強化できる。SAPUによる耐性強化も増加分の50%を引き継ぐため、例えば「最初のステージから○○耐性を100にして完全無効」といった事がやりやすくなる。
      • なお、アイテムも引き継がれるが、ドーゲンボムなどの一部の貴重なアイテムもそのままなので、前周で使い切ってしまうと入手が困難になる。
    • 余談だが、本作の特殊な裏技を使用するには、特定の時間内で全クリアしたデータが必要になる。これには周回プレイは使えない。

問題点

  • 操作の複雑さ
    • 現在でこそ多くのプレイヤーが問題なく操作するL2R2ボタンによる視点上下だが、1996年当時としては先進的で操作が難しい。翌年発売された初代『アーマード・コア』でも同様に慣れるまで修練を必要としたように、本作でも慣れるには時間を要する。
    • ただ、本作では戦闘中に視点上下を頻繁に必要とする機会は少なく、基本的には足場の乗り継ぎなどで使うためそこまで苦になる程ではない。
  • 武器のバランス
    • 難点という程ではないが、メインで使用するライフルの弾数が少々余り気味。一部の連射ライフルで無駄遣いしない限り普通にプレイしていても途中でカンストする。このためヒュドラ*4以外のレーザを使う機会があまりない。
      • レーザー武器はライフル耐性を持つ敵に対して極めて有効なのだが、敵の残り耐久値を表示するオプションの入手が中盤以降なため、「面倒だからミサイルでゴリ押しすればいい」といった事になりやすい。
    • ランチャの存在が空気。上方向に発射という性質上、天井の低い通路の探索が多い本作では使う機会に恵まれないばかりか、着弾までかかる時間が長い上、移動しない敵にさえ外す事がある。
  • 少々取っ付き辛いストーリー
    • SFに縁があれば完成度の高いストーリーではあるのだが、根幹設定の一つであるピックマン症候群の「宇宙の穴から放出される思念波が人間の負の思念に作用し、外因性精神分裂症にかかり発狂したりする」といった説明はSFというよりもオカルトに感じられてしまう事も。
      • 変に比喩表現を用いず「脳の一部に物質的に作用する宇宙線」と説明していた方が良かったのではないだろうかと悔やまれる。
    • 他にも、システム攻撃を受けたことで基地を制御するニューロAIが「アルツハイマーを発症した」という解説も、人によっては失笑モノかもしれない(比喩にしてもズレている。しかも、システムを設計した科学者自身のセリフである)。
  • エンディングテーマ
    • 主人公とヒロインの声優によるデュエット曲。ゲームの雰囲気に合っていないという声が大きい。

総評

『アーマード・コア』シリーズ等、今なお名を馳せている3Dアクションシューティングに先駆けて登場した本作は、時代を考えればその完成度は破格。SFを舞台にした一つの陰惨な事件をミステリーに昇華したストーリーにも定評があり、知名度は低いが間違いなくPS前期における良作アクションの一つである。


余談

  • 本作は各ステージの最初にブリーフィングデモがあるのだが、PS2・初期型PS3でプレイすると、長めのデモは途中で途切れてしまう。よってステージの目的が分からず困る場合がある。
    • レコードカードにも収録されておらず、どうしようもない。

後の展開

2008年8月13日ゲームアーカイブス配信。
ただしボタン数の関係で視点上下操作に難がある模様。