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ネットハイ - (2018/03/31 (土) 17:39:46) の編集履歴(バックアップ)


ネットハイ

【ねっとはい】

ジャンル アドベンチャー(爆発炎上バトル)
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 マーベラス
開発元 グルーブボックスジャパン
発売日 2015年11月26日
定価 パッケージ版:6,458円
ダウンロード版:5,378円(共に税8%込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作


概要

カプコンの『逆転裁判シリーズ』シリーズのフォロワー作品を目指して製作されたマーベラスの新規ADV。*1
ネット世界を舞台にした討論バトルで、「リア充の嘘を暴く」ということをテーマにしており、インターネット上の様々な媒体を通してゴシップを集め、リア充たちの嘘を暴いて爆発炎上させていく。
…と聞くと、現実世界の「炎上」のような不愉快でバカそのものの内容を想像されるかもしれないが、本作の物語はそういったものとは全く異なる、まさに「王道」と呼ぶべき内容になっている。
キャラの造詣や演出などは、アニメ『天元突破グレンラガン』『キルラキル』などを思い浮かべるデザインとなっている。

物語

インターネットが高度に発展した日本の架空都市が舞台。
そこでは「健全なコミュニケーションの推進」を目的にして、政府公認SNS:「ツイイッター」のフォロワー数によって市民権が決定される階級システムが導入されていた。
弱者が這い上がる唯一の希望は、自分と特定の他人のどちらがより社会的に貢献しているかを本人同士で議論して、最終的に観客に勝者を決めてもらう公開討論ショー「ENJ(エンジョイ)バトル」のみ。
これに勝利すれば相手のフォロワーを根こそぎ奪えるため下克上も夢ではない。しかし負ければ基本的人権さえ奪われ社会的に抹殺される。
万人に公平なチャンスを与えるというお題目のENJバトルであったが、実際には他人の弱みを晒して貶めることが横行する「炎上社会」が訪れることになった…
そんなディストピアにおいて、フォロワー数4という被差別民の主人公「俺氏」は、ある事件をきっかけに立ち上がり、高性能ナビゲーションAI:「シル」と共に、格差社会の享受者たるリア充たちを全て倒すべくENJバトルを挑んでいくことになる。

特徴・評価点

  • 概要からは想像できないほど王道なシナリオ
  • 本作のテーマは「リア充の嘘を暴いて爆発炎上させる」というものである。
    そのため、本作のライバルキャラクターである「リア充」は、ネット上にて、必ず虚勢を張った偽の姿で登場するのだが、バトルが進むにつれ正体を現していき、最終的には当初とは似ても似つかぬ惨めな姿が「特定」されることになる。
  • しかしながら、本作の主人公はそれを馬鹿にするようなことはせず、むしろ「どうして本当の自分の姿を誇らないのか」と肯定する。
    それを聞いた元リア充たちは、主人公に感謝の意を告げ、自分の在るべき場所へと帰っていく…というのが、本作の基本的な流れである。
  • よって、本作にはクリア後に嫌な気分になるようなエピソードは何一つとして存在せず、「爆発」「炎上」などといった言葉からは想像も付かないほど、読後感が良くなっている。
  • 「ネット世界での討論バトル」というコンセプト
  • 本作は、要するに『逆転裁判』タイプのテキストゲームなのであるが、
    「ネット世界を舞台に」「リア充を爆発させる」というテーマで、他とは一線を画している。
  • 世界観の根底となる、「ツイイッター」はもちろんとして、他にも飲食店レビューサイトやボーカロイド・ニコニコ動画など、
    実在のネット文化をモチーフとしたものが数多く登場する。
  • また、会話の節々には、ネット世界で流行ったネタが数多くちりばめられており、それに関連したCGまで出現する始末である。
    • この手の「ネットネタ」と言うと、他のゲームでは制作者の受け狙い・自己満足と敬遠されることも多いが、
      本作ではネット世界が舞台ということもあり、抵抗感をそこまで感じさせない。
    • 正直なところキャラデザの見た目通りにアニメファン向けというよりオタクカルチャー系のゲームなのだが、
      取り扱われる「炎上」ネタはアニメやゲームのコミュニティ特有のネタは薄く、むしろ「リア充的なもの」が多い。
      政治、宗教、差別絡みの炎上ネタは皆無なので、そういうのに不快感を持つ人も安心してプレイできるだろう。
  • 単純なバカゲーで終わらない物語構成
  • 本作のメインテーマは、「ネット世界を舞台としてリア充の嘘を暴く」というものであるが、
    その軽薄さとは裏腹に、多くの社会問題を彷彿とさせるような話題も存在する。
  • 例えば、本作でもよく起こる「炎上」という現象に対して、主人公は一貫して否定的な立場を取る。
  • またメインシナリオは、最終的に思わぬ方向へと発展していく。
  • こういった、一概に奇作だと割り切れないところも、本作の魅力の一つであると言えよう。
  • 魅力的なキャラクター
  • 本作では、主人公勢に加えて合計7人の「リア充」が登場し、全7章構成で物語が展開されていく。
    その全てを紹介したいところだが、長くなりすぎる上に設定上ネタバレが必須になるため、メイン3名のみを紹介していくことにしよう。
  • 主人公:「俺氏」 CV.石川界人
    • 年齢=彼女いない歴の21歳フリーターという、典型的非リア充。体力もないコミュ障のオタク。ただし、意外と口と頭は回る。
      本作では、ひょんなことからリア充たちに戦いを挑んでいくことになるが、
      その行動理念は「大切な人を守るために戦う」という熱血漢そのものであり、主人公として相応しいキャラクターになっている。
    • バトル時などはテンションを上げる機能によってイケイケだが、普段は気弱。
    • ちなみに重度のオタクであり、初めてできた自分の好きな物について語り合える親友との会話時は「デュフフ…」とニヤけ、
      その度に女性陣から「キモい」と突っ込まれている(約一名、ある意味大好評だが)。
    • 「俺氏」は当然ながらハンドルネーム。名前は最後まで明かされない。
      これは、自分は「誰でもない誰かであり、どこにでもいてどこにもいない、声なきその他大勢」に過ぎないということで、
      自分の名前を名乗らないからである。要するに某掲示板などで見られる「お前ら」ということだろう。
      (ただし、本名はちゃんと裏設定として決まっているらしい)
  • ヒロイン:「シル」 CV.内田真礼
    • 本作の主人公をサポートする、NEXUS社の高性能ナビゲーションAI。いろいろとグレーゾーンな名前だが、これはこれでちゃんと意味がある。
      人工知能にも関わらず、人間世界に関して興味を持っており、様々な行動によって物語を動かしていく。
      普段は主人公のことを罵りつつも、物語が進むにつれ確かな信頼関係を築いていき、要所要所で助けてくれるヒロインである。
      また、罵倒しつつも当初から主人公に好意的であり、一緒に映画を見た際はデートみたいだと喜び、敵の色香に惑うと容赦ない罵倒を叩き込んでくる。
    • 一方で、主人公のアカウントを勝手に使用してインフラを掌握したり、他の端末に自身をダウンロードして彼女の意思抜きでは操作不能にしたりと、
      ロボット三原則ガン無視の行動をやらかす場合もあるため、時にポンコツ扱いされる。
      ENJバトルのサポート機能も、下手をすると法に触れることもありうるものもある。
    • かわいい。
  • 進行役:「MC」 CV.ゆかな
    • 「マスター・オブ・セレモニー」。が、専らMCとしか呼ばれず、度々適当な言葉(「Maji de Cawaii」など)をあててくる。本作のバトルパートで司会進行役として登場する。
      ENJバトルの仕掛け人であり、人間には格差がないとならないと強い信念を持っていて、バトルの敗者にはコミュニケーション能力がない弱者として人権そのものを奪い、
      逆に勝者には倫理観などなくなるほどの富と権力を与える。
    • だが当の本人は勝ち組や負け組みという仕組みの外側にいる「絶対的司会者」を標榜している。
      その性格は、自分が楽しめれば他人のことなど顧みないという残忍な愉快犯である
    • 主人公の「大切な人」の全てを奪った諸悪の根源とも言える存在だが、物語の進行と共に、ある理由で動いていることが発覚する。
      ライバルでありながらも第2ヒロインと言っても過言では無い存在となっており、本作の世界観に大きな影響を与えている。
  • これらのメインキャラクターによって交わされる軽妙な会話は、笑いあり熱さあり涙ありというものであり、
    本作の親しみやすさを大きく上げてくれている。
  • その他、敵リア充たちにも「意識高い系起業家」「ヌーチューバー*2のお姫さま」「カリスマギャル」「有名ボカロP」「イケメン肉食系アイドル」「IT企業CEO」など多彩な人物が登場する。
    • 敵も倒してそれで終わりというわけではなく、その後は主に友人キャラクターとして、主人公に協力をしてくれるようになる。
    • 一見女性キャラとの親交に重きが置かれていそうだが、どちらかと言えばそれは後述のリア充体験に委ねられており、
      寧ろ本編は男性キャラとの友情を描くシーンが多い。男女問わず魅力的なキャラが揃っている。
    • 声優陣にも、アニメ・ゲームなどで実績のある人々が選ばれており、全てハマり役だと好評である。
  • 本編とは外れた小芝居やチュートリアルでは、リア次とヒリ也というマスコットキャラによる掛け合いがあるのだが、これまたカオス。
    • まず、声優がガチャピンとムックという時点で驚愕に値する。そして、リア充&非リア充全開で会話を繰り広げるのである。
      画面にも書かれているのだが、アドリブ会話ということで表示されているテキストをちょくちょく無視して喋ったりもする。
  • ちなみに、モブキャラはまともな絵が用意されておらず、交通標識に描かれていそうな平面キャラを無理矢理立体化している
    • 一応それぞれに外見的特徴があり、恰好などは分かるようになっている。口も目もないが。
    • これは、SNSでよくある「自分の写真やアバターをプロフィールに設定してない人」の比喩でもある。
    • モブキャラ以外にも対戦相手のパートナー、さらに 重要人物の一人 の店長まで平面キャラになっていたりする。
    • そのくせ、CGなどにも容赦なく登場する。もちろん、その2.5Dとでもいうべき有様で。

システム

基本的には、『逆転裁判』と同じものであり、いわゆる調査パートと対決パートを繰り返しながら、物語を進めていくことになる。
数々のミニゲームをクリアすることから、『ダンガンロンパ』的な要素*3も存在すると言えよう。

  • 調査パート
  • 本作の舞台となる「非比谷」の街を探索し、爆発炎上バトルで使えるゴシップ(証拠品)を集めるパート。
    基本的には総当たりの会話部分となるのだが、その他にも様々なミニゲーム的要素が登場する。
  • 燃料投下ツイイート
    • 作中に登場するSNS:「ツイイッター」に対して、わざと炎上するような文章を投稿し、情報を集める。
      間違えた書き込みを選ぶと炎上しなかったり、手の込んだ言葉で罵倒されたりする。
  • ライフログサーチ
    • その場所でつぶやかれたビッグデーターから必要な情報をサーチする。
      バトルに必要なゴシップ以外にも、有象無象な書き込みが行われている。
    • ちなみにENJバトルのソースとして認められない情報(というか違法)なので、バトルで直接その情報は使えない。
  • 導火線インスピレーション
    • それまでに集めた情報を整理し、新たなゴシップを生み出す。例によって、間違えた際には味のある台詞が返ってくる。
    • プレイ中、主人公の頭が何故か2Dアニメーションでぬるぬる動いている。
  • この部分は、基本的にはパートボイスであるが、要所要所でボイスによる演出が取り入れられている。
  • 爆発炎上バトル(ENJバトル)
  • 本作のメイン部分。リア充らが「自分はいかに社会へと貢献しているか」をアピールし、自身のフォロワーたちを奪い合う。
  • 基本的には、相手の発言に対して突っ込みを入れ、ここぞというところでゴシップ(証拠品)を提出する…という、
    『逆転裁判』と同じシステムだと考えていただければ良いだろう。
    • 裁判の証拠と違い、ネットで拾った「ゴシップ」に過ぎないので、誤情報・言いがかり・主人公の思い込みなど、時々不確定情報が混ざるのも特徴。
  • その他、本作オリジナルのミニゲーム的要素が存在する。
  • バトルの舞台は「ニヨニヨ動画」なる動画配信サイトで、それを見ているフォロワーたちのコメントが常時流れている。
    • 正直バトルにおける意味は大してないのだが、バトルの状況でコメントも変化するので見てみると意外と楽しい。時には弾幕が飛び交うことも。
  • あくまで評価基準は「フォロワーがどう思うか」であるため、理路整然とした言葉よりも大衆の感情に訴える短絡的な言葉の方が有効な時があるのも特徴。
    その為、時には一見正解とは言えないような選択肢が正解だったりする。
  • 民意先導スピーチ
    • 3つのフレーズを組み合わせ、爆発炎上バトルの視聴者たちに対して主張を行う。
      フレーズが正解なら、民意投票(○ボタン連打)が行われ、成功すれば相手からフォロワーを奪うことができる。
  • 捏造リベレーション
    • ゴシップを提出し、リア充の嘘を暴露する。
    • 選択肢を選ぶ場合や写真の場所を指定したりする場合もある。
  • 本音シースルー
    • 主人公が持つメガネに搭載されている特殊機能。相手の心の動揺から、真実に繋がる情報を引き出すことができる。
  • タイム・オブ・エクスプロージョン
    • 爆発炎上バトルを最初から振り返り、全てのゴシップを示して相手を爆発させ、真の姿を「特定」する。
    • 『逆転裁判』のカンガエルート、『ダンガンロンパ』のクライマックス推理に相当する大詰めのシークエンスだが、本作の場合は「トドメの必殺技」的な演出となっている。
      燃え盛る炎と熱いBGMをバックに一気に勝負を決める様は、プレイヤーのテンションも爆発炎上させる。
    • 決め台詞は「リア充め、爆発しろ!」。
  • これらの過程により、リア充たちの嘘が暴かれていくと、
    その度に「エクスプロージョンパーツ」と呼ばれる部分が爆発し、服装・装飾品などが変化していく。
    • ストーリーを進めれば自然と全ての謎が解ける『逆転裁判』や『ダンガンロンパ』と異なり、「エクスプロージョンパーツ」はプレイヤーの行動次第では取り逃す事もあり得る。
      全てのパーツを爆発させればバトル後の評価も高くなる。
    • また、「エクスプロージョンパーツ」の爆発状況はそれ以降のそのキャラの立ち絵にも影響する。
      パーツを残して勝利すると、以降はそのキャラは 部分的にリア充のまま 進む事になる。
  • そしてバトルの最後には、ネット世界の虚勢ではない、現実世界での姿が「特定」されるのであるが、
    その変化はどのリア充たちも意外なものであり、必見であると言える。
    • 直後、暴かれた嘘に幻滅するフォロワーたちのコメントが流れる。
  • 面白いのは、これらの「ネット上での嘘の姿」が、変装などをしている訳ではないにも拘らず現実世界でもそのままの外見として映っていること。
    キャラたちの本来の所持品や外見が、リア充フィルターでそのように見えているだけという状態なのである。
    • その為、あるキャラは真実の姿が別の場面でとっくに登場していたり、物理的にあり得ない現象を見せたり、といった場面が描かれる。
  • 爆発炎上バトルは原則としてフルボイスである。
  • リア充体験
  • 本作におけるおまけモード。
    バトルを終え、親交を深めた女性キャラクターたちと、タッチパネルを介したふれあいを行うことができる。
    このモードでのみLive2Dが使われている。
    • ちなみに、主人公はモテない非リア充であるが、これはコミュ障が大体の問題で外見はそう悪くない。
      その為、会話がまともに成立すれば(窮屈な環境から解き放ってくれたなどの恩義もあって)女子は好意的である。
  • 会話の中で選択肢を経て女の子との好感度を深めていき、それが一定回数に達すると、タッチパネルを使って女の子に触れることができる。
    • トロフィーの中には「胸(髪、ふともも)に100回触る」という条件のものがあったりする。
  • 失敗しても特にデメリットなどは無い。また、最初の1回を除いて、全てスキップすることもできる。
  • 成功すれば、「チートスキル」という、ゲーム攻略の助けになる能力を解禁することができる。

問題点

  • 推理ゲーとしては簡単すぎる。(Ver1.00)
    • 本作最大の問題点。この手の推理ADVは、その推理の難易度がゲームとしての面白みに直結する要素となっている。
    • しかしながら本作では、「突っ込みを入れる場所が赤字で示され」「証言のたびにゴシップが3個前後まで絞られ」「メニュー画面でヒントを聞く事が出来る」という至れり尽くせりの状況になっており、ハッキリ言ってゲーム性が皆無と言えるレベルにまで達してしまっている。
    • 前述のお助け要素である「チートスキル」も、お遊び以外で使う場面は無い。
  • Ver1.04での難易度調整
    • アップデートにより、「アピールの赤字が消える」「一部のゴシップ名が変更される」という難易度上昇の処置が為されたが、「難しい」というより「分かりづらい」場面が多くなった。
  • バトルの性質上、主人公は遠回りをしながら真相に辿り着くのだが、プレイヤーには割と途中で真相に気付き易い作りにもなっている。
    • そのため、「プレイヤーは結末が分かっているのに、キャラクターはいちいち遠回りする」と言うのがもどかしく感じる事も有る。特に2~4話はヒントが露骨過ぎて多くのプレイヤーが後半のバトル開始前に真相に気づいてしまうにもかかわらず、主人公は勘違いを元に遠回りしてしまう。
  • ややバグが多い
    • ゲーム本体のバグにより、それなりの頻度でエラー落ちをすることがある。特に報告が多いのが、2章のクリア時。
    • アップデートにより、その大半が改善されているので、今からプレイする人はパッチ推奨である。
      • その他、誤字脱字や、文章とボイスが一致しないなどの不具合も有る。こちらはあまり修正されていない。
  • 操作面でのテンポが悪い
    • 最初期のバージョンでは、○ボタンを押した時の文字送りのテンポがあまり良くない。
    • また、序盤では多数のチュートリアルが挿入されるのだが、その際にいちいち寸劇が挿入され、ゲームの進行が中断されてしまう。チュートリアルが入るのは大体燃えるシーンなので、水を差される事この上ない。
      • その後のアップデートで、前者に関しては完全に改善された。体験版に関しても、Ver.1.01のパッチが配信されているため、新規にプレイされる方はそちらを適用されるべきだろう。
      • 後者についても一応、簡易チュートリアルの追加などの配慮が行われている。ただ、簡易チュートリアルを選ぶとやり直さない限り寸劇が見られないので、心理的にそちらを選びにくい。
  • 仕方の無いことであるが、この手のゲームの宿命として、「1回クリアすれば終わり」となってしまう。
    • 一応、プレイ時間としては20時間程度と、このジャンルの作品としては決して短すぎるというものではない。
    • ただし、全てクリアして、改めて振り返って気づくこともあるので、確かめてみるのも手である(主にシル関係)。
      • また、「取り逃したエクスプロージョンパーツを回収する」「わざと間違ってその選択肢の反応を楽しむ」と言うやりこみ要素も有る。
  • 「ネット文化特有のコミュニケーション」がテーマということで、どうしても合わない人が存在する。
    • ネット文化といってもインスタグラム・フェイスブック・LINEなどの「万人向け」のSNSでウェーイってやってる程度のリア充では理解不能なネットスラングが多発する。
      この作品は5ちゃんねる・ふたば・ツィッター・ニコニコ動画などの「オタク受け」するSNSのノリをある程度知っていることが前提である。
      ただしその逆に、合う人にとってはとことん合うタイトルではある。
    • さらに言えば発売された時期で散見されたネット文化の闇を茶化す話なので、5年10年立つとピンとこないネタが多数となる可能性が高く、その頃には「時代を感じる」作品になっている事が想像に難くない。本作に限らずネットや流行のサブカルチャーを扱う作品全てに当て嵌まる事だが。
    • 一応、用語等はゲーム中で「TIPS」として確認できるうえ、専門知識が必要となる類でも無いため、致命的な問題にはなっていない。
      • ただし、このTIPSも大体ネタや皮肉込みで茶化した斜め方向の解説となっている。「面白い」と取るか、「真面目にやって欲しい」「癇に障る」と取るかでこれもまた評価が分かれそうな所(まともなのもあるが)。
  • 一部、シナリオが不明瞭。
    • 基本的に「やりたい展開を行う・シーンを見せる」事を優先して「その間の整合性」はやや後回しとなっているため、一部不明瞭な点、良く考えるとおかしい点などが存在する。
    • 特に最終話はかなり駆け足気味で、キャラやシナリオの掘り下げが不足している。クライマックスに相応しい熱い展開は有るのだが。
  • 一部のトロフィー条件が理不尽
    • 一日三時間、七日間連続でプレイする」という、(まともにプレイすると)このトロフィーの為だけに生活を犠牲にすることでしか取れないであろう、厳しい条件が存在する。
      • Vitaは長くとも30分で強制的にスリープする*4ので、放置は出来ない……ように見えるが、実はギャラリーでBGMを流しているとスリープしないので、この状態にしておけば放置は可能。ただ、それに気づかないと面倒で、気づいたとしても本体を無駄につけっぱなしにしなければならない。
      • ちなみにこのトロフィー名は「見事なまでの非リア充」。非リア生活を強要するようなトロフィーを設定しておいて、このトロフィー名はいかがなものか。

総評

「リア充を爆発炎上させる」というフレーズからは想像も付かないほどの、まさに「王道」というべき推理アドベンチャーである。
システム面は、要は「逆転裁判」なのであるが、そのメインテーマの特殊性から、単純な模倣作と切り捨てることはできない。
決して粗が無いわけではないが、それを乗り越える熱さ・勢いを持った作品であると言える。

…やはり、「ネット世界を舞台にした討論バトル」ということで、どうしても人を選ぶ作品ではあるのだが。
加えて、このゲームのウリとなる「第一印象から想像が付かない部分」を全くアピールしない斜め下の広報ばかり行っていた(例えば「炎上」がテーマなので、ネット上で炎上しやすい芸能人を宣伝に使う、など*5)事もあり、正しいファン層にアピールされず、売上も芳しくなかった。

この記事を読んで興味を持たれたのであれば、ゲーム冒頭の1章ほぼ全てが収録された体験版が配信されている*6ので、是非とも遊んでみてほしい。
それで何か感じるものがあるならば、プレイをされてもまず後悔することは無いはずである。それでいて、購買意欲を刺激するといういい意味で凶悪な体験版である。

余談

プロデューサーの田中氏は元々閃乱カグラシリーズで雑務スタッフを行っていたため、ゲーム中にカグラシリーズのポスターなどの広告がちょこちょこ登場する。

推理アドベンチャーに近い内容のため、公式サイトでネタバレの自粛が呼びかけられている。紹介などする際は注意しておこう。
またプロデューサーによるクリスマス企画やバレンタイン特別企画が行われていたが、この時に微妙に値下げするキャンペーンがあったので今後このようなイベントがあったら値段が下がるキャンペーンが同じようにある可能性が高く、興味がある人はイベントの時期になったら安く買えるかどうかチェックしてもいいかもしれない。

なお、タッチパネルを割と多用するゲームでありながらもVITA TVに対応している。 タッチ操作のカーソルでの再現は若干面倒になるが、もともとの難易度の低さからすると丁度良いのかもしれない