【ねっとはい】
ジャンル | アドベンチャー(爆発炎上バトル) | ![]() |
対応機種 | プレイステーション・ヴィータ | |
発売元 | マーベラス | |
開発元 | グルーブボックスジャパン | |
発売日 | 2015年11月26日 | |
定価 |
パッケージ版:6,458円 ダウンロード版:5,378円(共に税8%込) |
|
レーティング | CERO:C(15才以上対象) | |
判定 | 良作 |
カプコンの『逆転裁判』シリーズのフォロワー作品を目指して製作されたマーベラスの新規ADV。(*1)
ネット世界を舞台にした討論バトルで、「リア充の嘘を暴く」ということをテーマにしており、インターネット上の様々な媒体を通してゴシップを集め、リア充たちの嘘を暴いて爆発炎上させていく。
…と聞くと、現実世界の「炎上」のような不愉快でバカそのものの内容を想像されるかもしれないが、本作の物語はそういったものとは全く異なる、まさに「王道」と呼ぶべき内容になっている。
キャラの造詣や演出などは、アニメ『天元突破グレンラガン』『キルラキル』などを思い浮かべるデザインとなっている。
インターネットが高度に発展した日本の架空都市が舞台。
そこでは「健全なコミュニケーションの推進」を目的にして、政府公認SNS:「ツイイッター」のフォロワー数によって市民権が決定される階級システムが導入されていた。
弱者が這い上がる唯一の希望は、自分と特定の他人のどちらがより社会的に貢献しているかを本人同士で議論して、最終的に観客に勝者を決めてもらう公開討論ショー「ENJ(エンジョイ)バトル」のみ。
これに勝利すれば相手のフォロワーを根こそぎ奪えるため下克上も夢ではない。しかし負ければ基本的人権さえ奪われ社会的に抹殺される。
万人に公平なチャンスを与えるというお題目のENJバトルであったが、実際には他人の弱みを晒して貶めることが横行する「炎上社会」が訪れることになった…
そんなディストピアにおいて、フォロワー数4という被差別民の主人公「俺氏」は、ある事件をきっかけに立ち上がり、高性能ナビゲーションAI:「シル」と共に、格差社会の享受者たるリア充たちを全て倒すべくENJバトルを挑んでいくことになる。
基本的には、『逆転裁判』と同じものであり、いわゆる調査パートと対決パートを繰り返しながら、物語を進めていくことになる。
数々のミニゲームをクリアすることから、『ダンガンロンパ』的な要素(*3)も存在すると言えよう。
「リア充を爆発炎上させる」というフレーズからは想像も付かないほどの、まさに「王道」というべき推理アドベンチャーである。
システム面は、要は「逆転裁判」なのであるが、そのメインテーマの特殊性から、単純な模倣作と切り捨てることはできない。
決して粗が無いわけではないが、それを乗り越える熱さ・勢いを持った作品であると言える。
…やはり、「ネット世界を舞台にした討論バトル」ということで、どうしても人を選ぶ作品ではあるのだが。
加えて、このゲームのウリとなる「第一印象から想像が付かない部分」を全くアピールしない斜め下の広報ばかり行っていた(例えば「炎上」がテーマなので、ネット上で炎上しやすい芸能人を宣伝に使う、など(*5))事もあり、正しいファン層にアピールされず、売上も芳しくなかった。
この記事を読んで興味を持たれたのであれば、ゲーム冒頭の1章ほぼ全てが収録された体験版が配信されている(*6)ので、是非とも遊んでみてほしい。
それで何か感じるものがあるならば、プレイをされてもまず後悔することは無いはずである。それでいて、購買意欲を刺激するといういい意味で凶悪な体験版である。
プロデューサーの田中氏は元々閃乱カグラシリーズで雑務スタッフを行っていたため、ゲーム中にカグラシリーズのポスターなどの広告がちょこちょこ登場する。
推理アドベンチャーに近い内容のため、公式サイトでネタバレの自粛が呼びかけられている。紹介などする際は注意しておこう。
またプロデューサーによるクリスマス企画やバレンタイン特別企画が行われていたが、この時に微妙に値下げするキャンペーンがあったので今後このようなイベントがあったら値段が下がるキャンペーンが同じようにある可能性が高く、興味がある人はイベントの時期になったら安く買えるかどうかチェックしてもいいかもしれない。
なお、タッチパネルを割と多用するゲームでありながらもVITA TVに対応している。 タッチ操作のカーソルでの再現は若干面倒になるが、もともとの難易度の低さからすると丁度良いのかもしれない