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FRAGILE ~さよなら月の廃墟~ - (2016/06/29 (水) 11:41:39) の編集履歴(バックアップ)


FRAGILE ~さよなら月の廃墟~

【ふらじーる さよならつきのはいきょ】

ジャンル 廃墟探索RPG
対応機種 Wii
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 トライクレッシェンド
発売日 2009年1月22日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
周辺機器 要ヌンチャク*1
判定 良作
ポイント 人類最後のボーイ・ミーツ・ガール
練り込み不足のゲームシステム


概要

  • FRAGILEは「壊れやすい」という意味の英語。海外版のタイトルは『FRAGILE DREAM』となっている。
    • 本作はフルボイスなのだが、EU版はコンフィグでボイスを英語と日本語の2種類から選べる。
  • 「月の廃墟」とあるが舞台は地球の日本である。

ストーリー

いまからほんの少しだけ先の未来――
人類は滅び
地球は、廃墟と、青い幽霊たちの星になっていた。
主を失った世界は、緩慢に、
しかし確実に赤茶けて酸化していった。
そしてすべてが、静かに緑の中にうずもれようとしていた。
生き延びたほんの一握りの人々は、
仲間を探し、朽ち果てた世界をさまよい旅を続けていた。
自分の声だけが空しくこだまする世界で。
それでも、かすかに感じる、誰かの気配を追いかけて。

(公式HPより)

システム

  • 懐中電灯
    • 本作は薄暗い廃墟を探索するために懐中電灯を使用する。wiiリモコンにより懐中電灯で照らしたい方向を示す必要がある。
      • 主人公は懐中電灯を向けた方向が正面になるように回転するため、戦闘中も懐中電灯の向きに注意を払う必要がある。
  • 魔法のない第三者視点のARPGである。
    • 幽霊や思念といった敵と物理で殴りあうアクションゲーム。
    • 経験値が貯まると主人公のHPと攻撃力が上る。
    • 見下ろし型ではないため、主人公に隠れて敵キャラが見えないことも多々ある。
  • 本拠地と呼べる場所がない
    • ゲームの開始地点には次ステージ以降は戻れない。
      • ゲームの進行には支障がないが、ストーリーを把握するにはちゃんと資料室の本を調べておく必要がある。
    • 基本的に「焚き火」というセーブポイントを渡り歩く。
      • 焚き火で休んでいるとランダムでアイテム屋が移動販売に来る。
      • 敵のドロップアイテムは拾った直後は「謎のアイテム」となり、「焚き火」中に鑑定することとなる。
      • カバンのアイテムと手持ちスロットのアイテムの入れ替えは「焚き火」中でしか行えない。
        壊れた武器を捨てることすら「焚き火」中でしか行えない。

評価点

  • 臨場感のある廃墟探索
    • 幾度もロケを繰り返したというだけあって、各廃墟はリアリティが突き詰められている。
    • 廃墟探索中はBGMはなく、マップの地点によって靴音の響き方までこだわったという努力は本物である。
  • 丹念な背景の描き込み
    • ゲーム発売前に廃墟の落書きを公募するキャンペーンが有ったが、それ以外にオフィシャルの落書きも多数あり、廃墟を彩っている。
      凝ったデザインの小物も多数、効果的に転がっており、廃墟感を増している。
  • 物悲しいサイドストーリー
    • 主人公は「おじいさん」から貰った「青い宝石」の効果によりアイテムの残留思念を読み取ることが出来る。この能力を使って、アイテムに秘められたサイドストーリーを読むことが出来る。
      • 特に「クロシェット」のサイドストーリーは複数で物語が完成する為、相応の苦労を有するが最後の展開は必聴の価値あり。
    • 本編は主人公の回想という形をとっており、要所要所で現在の主人公のセリフが挟まれるのだが、現在の主人公の最後のセリフは特にやるせない。
    • 落書きにもメッセージが込められたものがある。
      • 後半に手に入るアイテムで、さらに隠された落書きメッセージが読めるようになる。 (ただし、そのアイテムの説明文の通りプレイヤーにある程度の覚悟が必要である。)

賛否両論

  • ストーリー
    • 後述の通り、最初から考えてなかったり回収されなかった伏線がある。特に主人公についてはかなり謎が多い。(度々話される過去話、遊園地での他キャラとの会話シーン等本当に「匂わせる」程度)
      • 一方で世界観上での事件や現象については終盤辺りで伏線が回収がされており、レンやシンについてはコミック等で補間がされている。
      • 尚コミック版については時系列の関係上主人公以外のキャラの存在自体がネタバレの為クリア前に読むことはお勧めしない。
    • 行く先々で思念体が現れる展開が孤独感を薄れさせているとの指摘もある。
    • 終盤に世界の真相に迫る超展開がある。オカルトチックな世界観ではあるが、わずかな登場人物だけでストーリーが展開するためプレイヤーによってはおいてけぼりを食うことも。
      + ネタバレを含むため注意
      • オカルトさを好む人は某ゾンビサバイバルゲームの一作目終盤のような肩透かしを食うかもしれない。
      • 序盤の「青い石」の力で幽霊や思念が見えるようになったという説明などを通じて、本作がオカルトものであるかのようにミスリードしているフシはある。
      • 一応文明自体は昭和時代を連想させる一方で「P.F.」の存在、そして科学力が異常に発達している等、勘の鋭い人は本作の世界及び事の元凶がどういったものなのかある程度気付けるようにはなっている。
      • 説明書、雑誌等でも紹介されていた「シン」は終盤でやっと登場する。
      • シンについてはコミック版を見る前と後とで印象が大分変わると思われる。
  • エンディング
    + ネタバレ
    • レンとの別れが示唆されている。苦労した末に会えたキャラクターでありながらわずかなやり取りのみを残して別れが示唆されるので報われない印象もある。
  • ダムステージの水増しぶり
    • ステージの中でも最大級の規模を誇るが、内部では 暗く代わり映えのしない通路を延々移動させられる羽目になる 。リアルと言えばリアルなのだが・・
  • 戦闘がある
    • 発売前には既に問題視されていたシステムであり一応世界観上でちゃんとした理由はあるにはあるものの、その懸念を晴らせたとは言い難い。
      • アクションゲームとしてはさほど難易度は高くないものの、回避行動もなく物理で殴るだけの単純なシステムのため単調になりがち。
    • 無駄にカッコいいモーションで棒系武器を振り回し(しかもボタンを押すタイミングでモーションが変わる徹底ぶり) チャージ攻撃可能な武器で力を溜めると 主人公が光る …などゲーム的な演出が少々ある。
      • 武器は大抵オモチャかそこらで拾えるものだが、カテゴリ毎の最強武器は一転して「らしい」ものとなることが更に拍車を掛けている。
    • これらの要素を気にするかしないかで評価は変わってくるだろう。

問題点

  • 煩雑な諸システム
    • 戦闘システムの不自由さ
      • 上述の通り、カメラワークとリモコン操作が一体のため、視点の切り替えが煩わしい。
      • ロックオンシステムがない。
      • ボウガンを使うときは懐中電灯を持てないため、暗い場所では使いにくい。
    • 雑魚が厄介
      • マップのある地点を通過した時に規定数の雑魚敵が同時に発生するシステムなのだが、主人公を囲むように出現するため背後を突かれやすい。
      • 雑魚は再湧きする場合がある。
        このため、せっかくの廃墟探索ゲームなのに、雑魚を倒した後でゆっくり廃墟を見て回るという事が出来ないことにも批判が多い。
    • 武器が壊れる
      • ランダムで武器が壊れる。運が悪いと雑魚1匹倒しただけで壊れることも。タイトルの「FRAGILE(壊れやすい)」とは武器のことだったのか…?
      • 武器が壊れた場合、手持ちスロットに予備の武器を入れておかないと他の武器に持ち替えられない。しかし、手持ちスロットの制限が厳しいため、予備の武器を常備するとアイテムが拾えなくなるというジレンマがある。
    • アイテム屋の登場がランダム
      • アイテム屋は3回に1回の頻度でしか現れず、任意のタイミングでアイテムが買えない。さらに登場時のムービーはスキップ出来ないため逆に休みたいだけのときに現れる煩わしさもある。
    • ミニゲームの難易度が高い。
      • 特にクロウとの追いかけっこは判定が厳しく、クリアするのにかなり骨が折れる。
  • やりこみ要素の少なさ。
    • 今世紀のゲームとしては珍しく クリア特典が存在しない
    • アイテムをコンプリートしても何も起こらない 。そのため、純粋な意味での収集以外のやり込み甲斐がない。

余談

  • ヒロインの服装の露出度が高く、さらに「はいてない」疑惑もある。
  • ゲーム中で語られなかった幾つかの事柄について、その部分の設定は最初から考えられていないことが後の開発者へのインタビューから判り、ファンをがっかりさせた。
  • 電撃マ王とのコラボレーション企画としてコミックが連載された。内容は本作の後日談であり、セトとレンの関係を補完するものとなっている。

総評

本筋のストーリーは王道のボーイ・ミーツ・ガールなのだが、サイドストーリーは概ね鬱展開である。
惜しみない描き込みで表現される廃墟の臨場感は申し分ないものの、
必然性の薄い戦闘要素と不自由なシステムが足を引っ張っているのが悔やまれる。