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ICEY - (2021/01/25 (月) 05:58:05) の編集履歴(バックアップ)


ICEY

【あいしー】

ジャンル アクション
対応機種 Windows 7/8/10
OS X Lion 10.7
Nintendo Switch
PlayStation4
iOS(8.0以上)
Android(4.1以上)
発売元 X.D. Network(心动网络)
開発元 FantaBlade Network(幻刃网络)
発売日 【Steam】2016年11月17日
【iOS/Android】2017年10月19日
【Switch】2018年5月31日
定価 【Steam】1,180円(税込)
【Switch】1,000円(税込)
【iOS】370円
【Android】320円
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング  CERO:A(全年齢対象)
IARC:7+
備考 ダウンロード専売
PS4版は日本未発売
判定 良作
バカゲー
ポイント ナレーションがメインディッシュのフル"メタる"アクション
1000円とは思えぬ作り込み
「崖から飛び降りるのが目的のゲームなんて聞いたことあるか!?」


概要

中国のゲーム会社が開発・発売した2Dアクションゲーム。
女性型アンドロイド「ICEY」が襲い掛かる敵マシンを破壊しながら、「ユダ」に支配された世界を救いに行くというシナリオ。
作りはオーソドックスな2D横スクロールアクションゲームとなっており、素早いアクションと刀状の武器で敵をスタイリッシュに切り捨てていくのが特徴。

メタ視点のナレーションが笑いを誘う、第四の壁をぶち壊せ

『ICEY』は横スクロール型2Dアクションゲームだ。君はナビゲーターの指示に従い、ICEYの目を通してこのゲームの世界の真相を解き明かさなくてはならない。

しかし、その真相は――『ICEY』は横スクロール型2Dアクションゲームではないかもしれないし、君はICEYの目を通して世界を見ることも、世界の真実を解き明かすこともないかもしれない。

『ICEY』の本質はメタ要素にこそある。プレイヤーはナビゲーターの指示に抗い、「ゲームとは」「真相とは」といった命題と向き合うことになる。『ICEY』の中で、君が演じるのはICEYであり「君自身」ではない。

しかしそれすらも絶対ではなく、君は「君自身」を演じ、「君自身」としてICEYを操作することもできる。

そう、これはアクションゲームの皮をかぶった罠なのだ。

さあ、今こそ物語の真相を解き明かす時だ。

ICEY,I SEE。

(ダウンロードページより引用)

システム

  • 基本的には道中に現れる敵を倒しながら先へと進み、最終的にラスボスであるユダの討伐を目指すのがこのゲームの目的となる。
    また、本作はステージを進めていくに従ってナビゲーター(CV:下野紘)によるナレーションが入るようになっており、後述する評価点に記載している内容により、ゲームプレイに作業感を感じにくくなっている。
  • 弱・強攻撃とジャンプ、ダッシュなどを備えた横スクロールアクションとなっており、道中のセーブ地点を調べる事で技の新規習得と強化が可能になっている。
    • どの技も最初はLv1又はLv0(未収得)となっており、敵を倒したりして獲得したお金を使ってLv3まで強化することが出来る。HPやバリアゲージの強化も可能。
    • また、弱攻撃は移動上と共に入力すると空中攻撃に移行する切り上げが行える、ダッシュは全方向に入力可能である等、ステージ内を縦横無尽に駆け回ることが可能となっている。
  • ICEYはバリアを纏っており、バリアゲージが尽きない限り仰け反らず、受けるダメージも少なくなる。
    ただし、バリアは一部の攻撃を受けると即ゲージが0になってしまう。
    また、敵の攻撃に合わせてダッシュすれば攻撃を回避することが出来、成功するとスロー演出がかかる。また、場合によっては追加入力で反撃を食らわせる事も可能。
    • 減少したバリアゲージやHPは、敵を追い詰めた際に頭上に表示されるボタンを入力してトドメを刺す「コア攻撃」を行うことで回復できる。この回復量も勿論強化可能。
    • また、この方法でトドメを刺した際に出現する結晶は弱攻撃ボタン長押しで画面内全体攻撃に使用することが出来、結晶の数が多くなるほど威力が上がる。
  • また、PS4のトロフィーに当たる「実績」も用意されており、その内容が下記の評価点にも繋がっている。

評価点

  • ナビゲーター(CV:下野紘)の存在
    • 本作をバカゲーたらしめる根幹の要素であり最大の評価点。
      ゲーム中ではチュートリアルが終わると指示を出してくるようになるのだが、ダウンロードページの概要にも書かれている通り、 本作はナビゲーターの指示とは異なる行動を取った際の反応を楽しむのが醍醐味となっている。
      ナビゲーターをおちょくるのが主目的のゲームだ」とまで評するレビューも存在するほど。
      • 例えば「ICEYは崖の端にある制御装置を起動して橋を架けた」というナレーションが入るシーンで橋を架けずに崖に落ち続けるとナビゲーターが次第にいらついていき、三回目で「君は何を考えているんだ!? ストップ、ストーップ!!」と静止が入り 「そもそも君は、これがアクションゲームだと言うことを分かっているのか!?」と第四の壁を越えてプレイヤーを長々と諭した上で、再度制御装置を起動するように促してくる。
        しかし、それも無視してもう一度落ちるといよいよ ゲームのステージを改変した上で宝箱まで用意してナレーションに従わせようとしてくる*1
        ……と、 こんな要素が全てのステージどころか、チュートリアル直後のモノローグの時点から散りばめられており、ナビゲーターの発狂シーンやキレ芸シーンだけ切り取っても一時間近いボリュームがある。終始妥協の無い下野氏の演技は、とても1000円の格安ゲームとは思えない程。
        ナビゲーターの指示が前フリにしか聞こえなくなってきたら、いよいよあなたは立派なICEYプレイヤーです。 ICEYの世界へようこそ。
      • また、仮に「指示に反した行動」が分からないとしても、メニューの「実績」の項目を見ればその内容が一目瞭然になる親切設計。 そしてナビゲーターのはっちゃけぶりもどんどん悪化加速していく。
        ただし、一部の実績においてはどこに行けば達成できるかはノーヒントである。
      • 「指示に反した行動」の結果の中には製作途中の映像や『鯉 - KOI』『』の紹介といったものも。
      • ちなみに、終盤には「◯◯を使うな」という指示をしてくるシーンがあるが、指示に従ってその行動をせずに一連のシーンを切り抜けると(声のテンションはいつもの調子だが)賞賛してくれるというものもある。
    • 下野氏の声が分からないという人のために補足しておくと、『ラーゼフォン』の神名綾人、『バカとテストと召喚獣』の吉井明久、『SKET DANCE』の椿佐介、『END OF ETERNITY』のゼファー、『進撃の巨人』のコニー・スプリンガー、『鬼滅の刃』の我妻善逸など、「少し鼻が詰まったような少年声と はっちゃけ具合 」に定評のある声優である。
  • サクサクスタイリッシュなアクション
    • 直線で高速移動できるダッシュ、スピード感のある攻撃、派手なエフェクトなど、戦闘も高い完成度でまとめられている。
      • アクションが苦手な人でも、とりあえず地上や空中で攻撃ボタンを連打しつつ画面の指示に従ってトドメのボタンを押すだけでカッコ良くICEYを動かす事ができる。
    • 非戦闘時は空中ダッシュが半永久的に行えるので道中の移動もすこぶる快適。小さな穴を飛び越えられず何度も落ちてしまう、という心配も無用。
  • 1000円という価格の安さ
    • 上記のナビゲーターの件もそうだが、本作は2Dアクションゲームとしてもかなり作り込まれており、1000円以上の価値は十分にあると言える。
      • iOS・Android版は僅か 300円台 で購入可能。……最早恐ろしさすら感じる安さである。

問題点

  • 難易度設定
    • 本作はプレイ開始直後に出てくる心理テストの結果でEASY、NORMAL、HARDのいずれかに勝手に決められてしまう。どういう回答をすれば自分の望んだ難易度でプレイできるかは半ば運任せ。
      • 難易度変更の手段も裏技めいており分かりにくい上、無駄に時間がかかる。手順に入ってしまえば望みの難易度に設定するのは簡単。
  • ストーリーが難解
    • 分かりやすくコミカルな小ネタとは裏腹に、メインのストーリー部分は意味深でシリアス、そしてかなり難解。
    • クトゥルフ神話が主軸となっているが、その全容はステージ間で挟まれる多数の詩文から推測していくしかない。ゲーム内で詩文を読み返す事もできないため、初見でストーリーの全容を理解するのはほぼ不可能。
      • とは言え本作は小ネタとアクションがウリなので、ストーリー部分は余り気にしなくても良い。いくつかのサイトでストーリーの考察もされているので、クリア後に興味を持ったら見てみるのも良いかもしれない。
  • ナビゲーターが鬱陶しい
    • 評価点と矛盾するようだが、ナビゲーターありきで製作されているため、彼のセリフが終わるまで待機していなくてはならない場面がしばしばある。特に2周目以降は聞いた話を何度も聞かされるので鬱陶しい。
  • 一部の翻訳が不自然
    • 海外制作のインディーゲーム*2である点と本作の値段を考慮するとある程度は仕方のない事だが、本作は下野氏のナレーションが自然な日本語になっているため、チュートリアルやメニュー画面でのややおかしな日本語がかえって目立ってしまっている。
  • 周回を要する実績がある。
    • 行動次第で2通りの展開があり、どちらのルートにも実績があるというもの。実績コンプには周回が必要。
    • 背反であることがわかりやすいものではあるが、気づかず無駄に探索してしまったプレイヤーもいるかもしれない。
  • ボス戦のテンポがやや悪い
    • 基本的にシールドをすぐに破壊してくるため、お供の雑魚の被弾が増える上、敵によっては掴み技による拘束時間が存在するのが原因。
      回避すれば改善可能だが、肝心の攻撃前の予兆モーションが短く、それを初戦で見切るのは至難の技。
      この予兆モーションの速度は難易度によって変化しないのが救いか。
  • UI関連
    • チュートリアルの操作説明が時間経過で消えてしまうのだが、上述の不自然な翻訳のせいで読みづらく、読み切る前に表示が消えてしまうものもある始末で、作中での再確認も不可能。
      Switchなら即座にスクショ撮影出来るのが救いか。
    • PC版とSwitch版で一部UIが異なる。
      代表的なものとして、攻撃ダメージ表記の有無が挙げられる。気にならないと言われればそれまでだが。
  • エンディング
    • ラスボスを倒すだけではノーマルエンドしか迎えられず、条件を満たす事で隠しステージが出現し、そこに進むと真のエンディングを迎えられる。それは良いのだが、真EDを迎えると隠しステージが消滅してしまい、データを消して一からやり直さなければ真EDが見られなくなってしまう。
    • 真EDでは初めて降幡愛女史*3によるICEYのボイスを聞くことが出来るのだが、このボイスは一つのデータにつき一度しか聞けないという事に。

総評

横スクロールアクションとして十分な完成度を誇っているが、それがナビゲーターという大量のお遊び要素によって唯一無二の存在感を放っている事は間違いない。
幾つか気になる点もあるものの、プレイ後の満足感は明らかに価格以上で、バグや不具合の類も演出を除いて一切存在しない逸品である。
下野紘氏のファンであったり、アクションゲームやメタ的なネタが苦手でないのなら、是非プレイして頂きたい。

余談

  • 東京ゲームショウ2016でベストインディーゲームのノミネートを獲得しており、PC版の高評価*4を受けて他機種でも続々と発売される流れとなった。
  • 尚、日本語音声は当初は実装されておらず、Switch版で追加されたのを境に他機種版でも続々と実装されるに至ったという経緯がある。
  • Windows/MacOS版は無料DLCである「UCEY's Awakening」が2017年2月27日に配信されている。内容はボスやザコ敵がウェーブ式で出現するスコアアタックモードなのだが、プレイするには1回トゥルーエンディングを見ることが条件となっている。*5