【しお】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション4
Nintendo Switch
Windows
発売元 【PS4】Shanghai Kena Information Technology Co., Ltd.
【Switch/Steam】Coconut Island Games
開発元 Coconut Island Studio
発売日 【PS4】2018年8月23日
【Switch】2018年8月23日
【Steam】2017年5月5日
定価 【PS4】1,320円(税込)
【Switch】1,296円(税込)
【Steam】1,180円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 スルメゲー
ポイント 死にゲーながら繰り返しに耐え得る快適なプレイ感
日本語翻訳がめちゃくちゃ過ぎてストーリーは理解不能


概要

中国のデベロッパー、Coconut Island Studioによる2Dアクションゲーム。
「ジャンプ」と「手に持ったランタンを振る」以外はマップ中のNPCや重要アイテムを調べる程度の操作しかないシンプルな設計ながら、クリアできそうでできない絶妙な難度設定とリトライの快適さでやめられない中毒性を産んでいる。

特徴

シンプルで直感的な操作性

本作はジャンプ操作を主体とした2Dアクションであり、前述の通り、その操作体系は非常にシンプルである。
ゲームは大きく4ワールドに分けられた全88のステージ制となっており、各ステージは「スタートポイント」「宙に浮いた提灯」「エンドポイント」で構成されている*1
提灯に重なる位置でランタンを振るとプレイヤーキャラクターは自動で再ジャンプし、これを駆使して各提灯や足場を渡り歩きながらエンドポイントへ到達するとステージクリアとなる。
基本的にはエンディングまでこれの繰り返しであり、一度感覚を掴んでしまえば操作感でストレスを感じることはないだろう*2

やりごたえのある難度

ゲームは基本的に、連続でいくつもの提灯を飛び越えていくアクションで構成されており、そこに後述の地形ギミックや罠が関わってくる。
即ち、プレイヤーによる「ジャンプ軌道の制御」と「ジャンプを行うタイミングの判断」がモノを言うゲームデザインであり、要所要所で精密操作を要求されることになる。
それゆえ、ある程度アクション慣れしていないと進行困難どころか挫折を迎える可能性がある*3
難所を越えた先に達成感を得られるかは人それぞれだが、もしそうしたデザインを肯定的に受け入れられる人ならば適性があるかもしれない。

様々な仕掛け

ステージ中には以下のような仕掛けがある。

  • チェックポイント
    • 長めのステージにおいて中間ポイントの役割を持つ。
    • 通常、ステージ中で死亡した際はスタートポイントに戻されるが、チェックポイント通過以降で死亡した際はその通過地点からの再プレイとなる。
  • 移動する足場(リフト)
    • ジャンプアクションの定番。水平移動、垂直移動、円周移動がある。
  • トゲ、トゲ玉、トゲ水車
    • 触るとミスとなる、これもまたジャンプアクションといえばのギミック。当然、リフトの軌道上によく現れる。
  • 火の玉
    • 一定間隔で直線方向に飛んでいく火の玉。
    • スーパーマリオブラザーズの城の面におけるクッパの炎をイメージすればほぼ間違いはないが、ランダム性はなく、時には複数の火の玉で隊列を伴って飛んでくる。
  • 斑点模様つき提灯(スイッチ提灯)
    • ジャンプ用ではなくスイッチとしての役割を持つ提灯。
    • ランタンを振った際にジャンプせず、振りモーションを繰り返したまま滞空するようになっており、一定時間それを行うことで一部の壁が除去されたり、次の順路へと続く提灯が出現したりする。
    • ステージの全体、または一部を覆っており、霧の中にあるトゲ玉や一部の足場は視認できない。
    • 特定の提灯を起動することで短時間晴れる場面もあるし、逆に提灯の起動によって霧が発生するステージもある。
  • 突風
    • 一定時間おきに直線方向へ強烈な突風を発射する穴。この突風に触れると即時ミスとなる。
    • 当然、提灯によるジャンプ軌道間やリフトの経路途中などのニクいところにある。
  • 吸引
    • 特定ポイントでは常に強力な吸引が働いており、プレイヤーキャラクターが近づくと高速で引き込む。
    • これを用いることで通常不可能な軌道でジャンプできるが、タイミングを誤ると引き込まれた先でトゲに当たることも。
  • 水路
    • 一定方向に水が流れ続けており、操作をしていなくてもプレイヤーキャラクターが自動で進んでしまう。
  • 雨と傘つき提灯
    • 一部ステージでは常に雨が降っており、それに濡れた提灯はランタンを振っても反応しなくなる。
    • 一定周期ごとに傘が差され提灯が灯るようになるギミックや、マップ左端から右端に向けて移動する雨よけを追うように進むステージがある。

謎めいたストーリー

ゲームのシナリオはNPCによる一方的なセリフと、マップ中の隠し提灯などで得られる情報(「日記」や「手紙」としてメニューに追加される)でしか語られず、何が起こった世界なのか、どのような目的で進んでいるのか、そもそもプレイヤーキャラクターは何者なのかすら断片的な要素から考察することになる。
しかしいわゆる「雰囲気ゲー」というほど突き放してはおらず、一応、キャラクター間の関係性や過去に起こったできごと含め、全く何も解らないということはない。

評価点

  • 優れた再プレイ性
    • ジャンプアクションとしては難しい部類に入る本作だが、ミスした際はその場で「シュッ」とプレイヤーキャラクターが消失し、すぐさま画面がスタートポイント(チェックポイント)へ高速スクロール、ほぼノーウェイトで操作可能になるため、ミスしたことによる不要な間が存在しない。余計なジングルや変な演出もなし*4
    • 難関ステージでは何十回、下手すれば3桁レベルでミスすることになるが、この仕様ゆえダレずに挑戦を続けられるようになっている。
      • 何度も「難しすぎて詰んだ」と思わされた果てに、ふとギミックのタイミングと操作が合致しエンドポイントに到達した際の喜びはひとしお。
      • 残機という概念もないので、当然ゲームオーバー演出なんてものも無し。
    • 逆にリトライが素早すぎるせいで、移動入力しっぱなしなまま復活直後トゲに落ちるということもままあるが……
  • 切り絵のような幻想的なグラフィック
    • 中国を舞台にした民族的な建築物、森の木々、木造の橋、水車といったオブジェクトはいずれも平面的、且つ大味な輪郭で描かれており、ある種絵本の世界のような幻想的な雰囲気を構築している。
    • プレイヤーキャラクターが進むステージは現実とは切り離された夢の世界ということもあり、薄暗くどんよりした空模様、酒場から漏れる橙の光などは全体的に明度や彩度が低く、落ち着くような、同時に何となく不安になるような効果をもたらしている。
    • また、ワールド間で挿話的に存在する「少女が畦道を雨に降られながら歩く」マップも、少ない言葉数ながらどこか心に引っかかる印象的な場面となっている。
  • 各ワールドのボスステージ
    • 各ワールドの最終ステージは独自ギミックのある凝ったものとなっており、メリハリをつけるのに一役買っている。
      • 例えばワールド1の最終ステージは縦方向に飛び交う火の玉をかわしながらいくつもの提灯を連続で渡っていく構成だが、一定時間ごと、プレイヤーキャラクターのいるX軸に謎の光線が走り、それに触れてもミスするようになっている。
      • ワールド2最終ステージは仕掛け自体は前ステージで既出のものだが、NPCと競争するというシチュエーションになっており、このNPCの移動軌道に目を取られていると意外な難所となる。
  • 雰囲気を壊さない音楽面の効果
    • BGMはほぼ環境音楽的なもので起伏が抑えられており、SEも主人公のアクションに応じた最低限となっている。
    • しかし一方でワールド3の最終ステージはパーカッションのシーケンスとピアノによるリズミカルなものであり、高い難度と併せて高揚感を持たせるものとなっている。
  • 絶妙な設定のタイムアタック
    • ステージのエンドポイント通過時にかかった時間が表示されるが、どのステージにも「NPCが出したハイスコア」という体の最短クリア時間が設定されている。
    • このクリア時間が大変絶妙であり、特にハード難度では「あと0.01秒単位速ければ越えられたのに!」ということすらあり得るギリギリの時間設定となっている。
    • このNPCタイムの記録更新はクリアに影響しないもののSteamとPS4で実績(トロフィー)対象になっており、一度ハマれば熱くなること必至。
    • なおステージによってはただスタートポイントからやりなおすだけではほぼ更新不可能であり、その直前のステージのエンドポイントから走り続けることで(初速の立ち上がりをカットすることで)更新できるケースもある。

問題点

  • 異常に精度の低い翻訳
    • 日本語の翻訳があまりに酷すぎる。日本語設定で本作のストーリーを理解・考察するのは、クリアするより困難だろう。
    • その内容は機械翻訳の中でも酷いものであり、英語における「Right!(正しい)」が「はい! それは右です」と表示されるのは序の口。
    • 特に本作はノーマルエンドとトゥルーエンドがあり、ノーマル・トゥルー共通のNPCのセリフが若干のヒントとなっているのだが、支離滅裂すぎて何を言っているのか解らないまま終わってしまう。
+ その内容(一応最終ステージで見られるセリフではあるものの、最早何のネタバレにもならない内容となっている)

(コール - 最後に、あなたはまたここに来ます)
(xiの前であなたを待っています)
(あなたはそれに直接良いジャンプをしたい……)
ああ、我々は再び会います
イェので、それは運命でした
古い古いヤンは、あなたがこの男は本当に特別であると言う、あなたついて教えてくれました
彼はまた、あなたに伝えていない私に言った、独特で彼の顔を言いまた
(私は古いヤン、コールについて言う事を聞いてはいけません
(のみ旧ヤンヤン古い夢、存在しない目が覚めました)
ハッハッハ、古いヤンは、あなたはまだ多くの作業を持っていないとべました
これまでのところ、あなたは人のわずか2%以上のスコアを獲得しま
プレス0ボタンによると、ハハ
(あなたは、ああ、考えるように自分からその誰も手紙を必要としま)
(あなたは、ああ考える必要があります)
0ボタンを忘れないでください~

※脱字は原文ママ
※「0ボタン」について、フォントの都合としても「○ボタン」を意味するものと推測できるが、何と設定を他言語にすると全く違うボタンの話をしていることが解る。

  • 下手をすれば、日本人ですら英語か中国語でプレイした方が理解が早いかもしれない。
  • 結局納得が行くかは微妙なストーリー
    • 雰囲気重視のゲームにしてはテキスト量が多く、最低限主人公の周りで何が起きたのか推測はできるものとなっている。しかし決定的な説明はなく、更に上記の翻訳の低品質さもあり、確信を持てるかや納得がいくかというとやや難しいものと言える。
+ 加えてトゥルーエンドについて……(ネタバレ要注意)

タイトルである「汐」とは人名であり、収集要素の「日記」を書いた人物の娘であること、同じく収集要素の「手紙」を書いた本人であること、及び、母親の死や父親の失職、クラスメイトからのからかいなど悲惨な幼少時代を経たことが窺える。
それでもノーマルエンドでは父親と娘は再会し、以前は雨に降られて行けなかった「ランタン会」という行事にも共に行くほっこりしたものなのだが、トゥルーエンドは崩れ去った無人の家で一人座り込む汐のイラストと前後して……
「この夢…長いね…」
とのセリフが表示されて終わる。
即ち、どこかのタイミングで父親は娘を見捨てたか或いは帰宅が不可能になったかして、娘は現実世界を夢だと信じながらずっと父親の帰りを待ち続けている(ノーマルエンドの出来事すらもしかすると本当は無かったのかもしれない)、と思えるような終わり方となっている。

  • なお、PlayStationStoreの本作ページでは、以下のような紹介文が書かれているが、プレイを経て、トゥルーエンドを見た所で「汐」の意味がわかるかというと、すっきりそうとも言えないモヤモヤが残る。
難易度の高いチャレンジに、悲しく、秘密な物語が秘められています。
すべてが解き明かされると、「汐」の本当の意味が分かるようになるでしょう。
  • 一部の異常な難度
    • ハードで出現する隠しエリアは、本編クリア勢もてこずるいやらしい難度となっている。
    • 巨大すぎるトゲギミックや吸引ポイントを連続で利用するジャンプステージなどがその原因であり、かなりシビア、且つ状況に合わせた柔軟な操作を求められる。
    • また、収集要素である「手紙」についてはこれもまた超シビアにトゲの隙間を縫っていかなくてはならない。
    • これらはノーマルエンド到達に必須ではないものの、いずれも実績(トロフィー)に関与している。
  • 挿話マップの移動速度の遅さ
    • ワールド間で操作することになるマップではプレイヤーキャラクターが少女に切り替わり、歩行しかできなくなるが、この移動が非常に遅い。
    • イベントパートであるため演出の一環ではあるのだが、スキップ不可なうえ、ワールド最終ステージを通過すると自動で遷移してしまうのが厄介。
  • 収集コンプが不可能
    • 設定ミスにより日記が完全に埋まらない。
    • トゥルーエンド条件や実績(トロフィー)に関与していないこと、そもそも読んでもストーリーが完全に補完されるわけではないことが救いか。

総評

ストアの紹介文時点でローカライズの微妙さはにじみ出ており、またプレイ人口の少なさからWEB上でも情報が少ないためスルーしてしまいがちなタイトルだが、一度その妙味に触れてみると、練られたバランスと快適な操作性によってなかなかやめられないゲームである。
死にまくりはすれど、かと言ってクリアするだけなら理不尽さは少なく、2Dアクションに覚えのあるプレイヤーなら熱中できるかもしれない。

余談

  • ICEY』で特定のステージから本作の紹介シーンに行けるところがあったりする。