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メダロット・navi カブト/クワガタ - (2023/11/14 (火) 23:01:50) のソース

*メダロット・navi カブト/クワガタ
【めだろっと なび かぶと/くわがた】
|ジャンル|戦略シミュレーションRPG|&amazon(B00005QF5H)&amazon(B00005QF5I)|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|発売元|イマジニア|~|
|開発元|ナツメ|~|
|発売日|2001年9月7日|~|
|定価|6,090円|~|
|配信|バーチャルコンソール&br;【WiiU】2016年6月15日/702円(税込)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|''システム全面刷新''、ロボトルはSLG式に&br()対戦バランスはやや悪し&br()バグ多め&br()難度は全体的に高め|~|
|>|>|CENTER:''[[メダロットシリーズリンク>メダロットシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
メダロットシリーズの外伝にあたる作品。&br()
今まではメダロットの外伝作品と言うと『パーツコレクション』シリーズという、ストーリー・パーツ収集の両面でナンバリング作品の本編を補完するROMが存在したが、これはナンバリング作品とは別の、完全新作である。&br()
システムの全面刷新や、ゲームやメダロットのデザインがメダロットおなじみのほるまりん主導ではなく、藤岡建機主導であることなどナンバリングタイトルと一線を画す存在であるこの作品は、当時非常にファンの注目を引き、けして少なくない人気を呼んだ。
&br()&br()
本作も今までのメダロットの例に漏れず2バージョンが存在し、登場メダロットなどに差異があるが、基本的な部分は変わらないためこの項目で全て取り扱う。&br()
以降作品名を『navi』と略す。
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**ストーリー
青空中学校1年B組の生徒である主人公カスミは、ある日、やっとこさ自分だけのメダロットを手に入れた。&br()しかし、運悪く彼はクラスの評判の悪い生徒たちにロボトルを挑まれ、なんとか退けるものの、メダロットの核であるメダルを奪われてしまう。&br()なんとか取り返そうと、中学校の「旧校舎」へと足を踏み入れるカスミ。&br()そこで彼は思わぬトラブルに巻き込まれ、偶然にも謎の宇宙メダロット・ミストラルを発見し、さらに一枚のメダルを入手することになる。&br()&br()宇宙メダロット発見の功績がたたえられ、彼とそのクラスメイトは、RR(ロボトルリサーチ)社の保有するオープン間近の宇宙テーマパーク「クラスター」に一足早く招待されることになった。&br()しかし、喜びも束の間。カスミたちを乗せたクラスターは突如制御を失い、''宇宙を漂流し始めてしまう。''&br()&br()宇宙漂流というSF映画のような展開に生徒たちは取り乱し、学級委員長、ニワカの制止も聞かずにバラバラになってしまった。&br()カスミはニワカに半ば強引に委員長の座を譲り渡され、クラスをまとめる役割を押し付けられることになってしまう。&br()&br()カスミは漂流するクラスターの中で、仲間をまとめるため奔走する。&br()&br()RR社社長、シデンの思惑とは?&br()襲い来る謎の組織、スペースロボロボ団の正体とは?&br()そして「宇宙メダロット」、ミストラルの正体とは?&br()&br()クラスメイトたちの生き残りをかけたクラスター内でのサバイバルが、今始まる。
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**特徴・評価点
***バトルシステム
-この作品においては、バトルシステムが従来の作品から刷新されている。
--ファンから非公式に「シャトルラン式ロボトル」と呼ばれていた3vs3方式から一転、本作は9×9マスのフィールドで5機のメダロットを操り、戦略SLGに近い戦闘(ロボトル)を行う。
--リーダー機の機能停止が勝利条件であることや、行動方法(うつ・なぐる・なおす、など)や攻撃内容(ソード、ライフルなど)などは従来型ロボトルと共通。

-まず、ターン開始時にお互いのメダロットにはメダルのレベルと脚部の「推進」の値に応じて「AP」が供給され、移動、攻撃、全ての行動にこのAPを消費する。ターンは両軍共通で、「推進」が高い機体、及びリーダーから素早く行動を行うことが出来る。
--行動やパーツにより「AP消費は少ないが、性能は低い」「AP消費が激しいが、性能が高い」などの差異があり、機体構築や攻撃の際には攻撃面に関連した性能だけでなく、AP関連の事も考える必要がある。
--フィールドに敵・味方陣営に2個ずつ、計4個設置された「ジェネレーターポイント(GP)」の上に立つと、ターン開始時、通常よりも多くAPが供給される。&br()また相手チームのGPの上に立つと次ターン開始時、1つにつき25%相手チームの供給APを減らすことができる。一部の敵メダロットはこちらのGPを狙ってメダロットを行動させるため、「GPを守るように味方を配置する」「GPの上に味方を立たせてGP占拠を防ぐ」「相手の行動を防ぐためにGP占拠を狙う」などのGP関係の攻防が重要になってくる。
--なお行動して余ったAPは必殺技であるメダフォースのゲージ「メダフォースゲージ」に加算されるため、低APで行動しつつゲージ貯めという戦法も可能。

-『navi』だけの攻撃として、「ショック」「バキューム」が存在。前者は相手にヒットすると相手をはじき飛ばし、後者は相手を吸い寄せる。
--ゲーム内容に合わないと判断されたのか、「ホームシック」は削除。

-今作のフィールドも「砂漠」「道路」などメダロットおなじみのものだが、今作はひとつのフィールドに複数の地形が混在しており((二脚有利の「森」と「草原」の組み合わせなど、実質的には1地形しかないフィールドもある。))、地形の有利不利がない「浮遊」「戦車」系脚部の重要度が増している。
--脚部と地形の相性で機体の動きや行動成功率にも影響を及ぼし、地形ボーナスは非常に重要。

***戦闘以外
-クラスターは名前のとおり、多数のブロックで構成されたブドウのような宇宙ステーションで、プレイヤーはこの最下層から出発し、ブロックを「解放」して行くことが最初の目的。
--ブロックは最初は何らかの原因で正常な機能が阻害されており、プレイヤーがブロックの機能を解放することで異常が取り除かれ、進行することが可能になる。ブロックを元に戻す為に必要なのは、もちろんロボトル。

-ある程度ゲームが進むと「''スペースロボロボ団''」という敵勢力が登場する。彼らは解放されたブロックを占拠し、閉鎖してくる。閉鎖されたブロックから先には進めないため、プレイヤーは道中で仲間になったクラスメイトをブロックに配置することでスペロボ団の侵攻から防衛しなければならない。
--クラスメイトを配置することでメダロットを生産できる、「生産ブロック」も存在。生産したメダロットは入手することができる。また一部機体はクラスメイト達が所有するメダロットの後継機であり、生産後クラスメイト達に手渡され使用機体を後継機に換装することも。

-ブロックを巡る戦いの中で、プレイヤーは「はぐれメダロット」と遭遇する場合も。

-''藤岡建機のキャラ・メダロットデザイン''。
--前述した通り、本作のキャラ・メダロットデザインはコミックボンボンで『メダロッターりんたろう!』を連載していた藤岡建機が手掛けた。キャラクターデザインでは『[[メダロットR]]』に続いての起用となる。
--従来のほるまデザインに見慣れたメダロッターたちには衝撃的なデザインがちらほら。 人型から逸脱したデザインの機体は序の口、''「変形すると定型を失い液体となる機体」'' ''「元素記号の集合体にしか見えない機体」'' ''「もはや変形の枠を超え、全く別の姿に形を変える機体」''など、多くの個性豊かな機体が度肝を抜いた。
---付記しておくと、これら個性的なメダロットやキャラクターの多くは、本作に参加した様々なデザイナーによる原案を藤岡氏がまとめてクリンナップしたものがほとんどである。
--藤岡氏の代表作『メダロッターりんたろう!』はほるま版とは異なり、より子供向きな内容で、それでありながらお色気展開もあったりとこちらも人気が高い。
---過去シリーズやアニメ版にも、藤岡版メダロットの登場人物やメダロットも登場しており、プレイヤーからの認知度も高い。
-もちろん本作には『navi』独自のメダロットだけでなく、過去作・他メディアに登場した人気機体達も登場する。
--カブトムシ型・クワガタムシ型メダロットの登場数が全シリーズの中で一番多い(しかし、シリーズで一番メジャーであろう「メタビー」「ロクショウ」はいない)。この辺は本編クリア後のお楽しみ。
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**問題点
では、なぜこの作品は後世に語り継がれる名作たり得なかったのか?

-ひとつに、''ゲームバランスの悪さ''がある。
--これだけのパーツ数が存在するのだから仕方ない面はあるが、どのパーツも平等に戦場に立てるとは言い難い。メダロット草創期から受け継がれる問題だが、明らかに「上位パーツの下位互換」としか思えないパーツは決して少なくない。
--パーツだけでなく、行動に関しても使えるもの・使えないものの差が存在するため、必然的に対人戦や効率の良いストーリー攻略を考えるとパーティメンバーや機体構成は固定されてくる。
--特に格差は補助系の行動に顕著で、「AP増加」や「フォースアップ」など、シンプルかつ特をする能力もあれば、範囲内の味方メダロットを、『全員』強制的に使用者の周囲に移動させる「全員集合」や、相手の動きを制限できるが使用者が射程の外側(内側)に動くと解除されてしまうため、使用者の動きも縛ってしまう「範囲内(範囲外)固定」など、扱うにはひと工夫必要な能力は多い。
---ただし、後述のバグで本来の機能を発揮していない「プラス症状クリア」などを除けば「使いどころのない行動」は少ない。上記の「全員集合」も「引き寄せられる側はAPを使わずに長距離を移動できる」ため一種の移動手段として使える他、前線に出すぎて孤立した僚機を呼び戻す手段として使うことができるし、「範囲内(範囲外)固定」も確実に相手を近づけさせない、または離脱させない手段として使える。
--ほかにも、レベルの高さが「メダフォースの修得」「AP供給の高さ」「防御&回避の成功率」などメダロットの強さの比重を大きく占める為、相対的にレベルドレイン((相手のレベルを吸収し、自分のレベルに変える。吸収したレベル分機体は強化される。))の価値が上昇。対戦では必須パーツになるほどの猛威を振るった。
--また、高火力の一部攻撃がゲームバランスにヒビを入れるレベルで突出して強い。やりこみが進むと、後述するバグも相まって戦略性が薄れ、パワーがモノを言うゲームバランスに評価がシフトして行った。
---特に一部の射撃攻撃は「スコープ」と呼ばれる射撃を強化するパーツを装着することで、命中率とクリティカル率が一挙に高められ、相手機体によっては実質回避不能、かつ当たれば1~2パーツを1発で破壊できる凶悪な攻撃となる。
--メダロット定番の「デストロイ」(パーツ破壊攻撃。今作では、回避や防御ができない相手のパーツを確実に破壊する)の中にも、クリティカルヒット時''貫通する''など強力なものが存在。酷いものでは''4パーツ中3つを破壊するぶっ壊れた威力を発揮する。''
--インフレしているのは攻撃面だけでなく、一部の設置・補助系の行動も地味に壊れているものがチラホラ。&br()代表的なのは設置行動「フォースプラント」(設置対象が行動するたびにメダフォースを増加させる)で、一部は熟練度次第で、一回の行動で30~50ものメダフォースを増やしてしまう。このために、メダフォース使用のハードルも従来作に比べて低い。

-ゲームバランスだけでなく、本作は難易度も若干高い。特に後半になると難易度は大きな曲線を描いて上昇する。
--従来型のメダロットと比べて操作の手順や操作メダロット数、覚えるべきシステムが増えたため、navi独自のセオリーに慣れないと序盤でも苦しい戦いを味わうハメになる。看板機体であるカブト・クワガタ系メダロットを入手した時のイベント戦が2vs1なのを始めとし、序盤から「ジェネレーターダウン」と呼ばれる供給APを大きく下げる敵が''潜水脚部以外相性の悪い「海」フィールドで登場する''((相手チームの主力は全員潜水脚部。対してプレイヤーは、通信交換を除いてはこの時点で潜水脚部を入手することは難しい。ただしこの戦いの少し前のブロックで潜水脚部持ちの水泳部のクラスメイトが仲間になる。))など、理不尽というほどではないが序盤から敵は割と殺しにかかってくる。後述の仲間に関する問題が重なるのも厳しい。
--システムを理解し、序盤を乗り越えればしばらく楽な戦いが続くが、後半から真の敵の正体が発覚する終盤戦にかけての難易度は''メダロッターの間で語り草となるほどの難易度である''。
---まず終盤戦の前哨戦として戦う名無しスペロボ団員の使用するメダロット「アクエリアス」「ライブラ」が強力であり、終盤戦に突入した多くのメダロッターがここで出鼻をくじかれる。アクエリアスはクロス攻撃((設置行動で「セット」し、攻撃行動「ファイア」で発動する強力な攻撃。セットしないと発動できないため一手間かかるものの、その威力はレーザーなどの光学系に匹敵する上に貫通する。))を有する上に全体的に装甲が厚く、加えてライブラはアンチエア・アンチシー((対空攻撃・対潜攻撃。前者は「ひこう」タイプの脚部を装備するメダロットに、後者は「せんすい」タイプのメダロットに大ダメージを与える。貫通能力を持つ上、対象となる脚部に対しては成功率上昇の恩恵があり、出された場合まず回避することはできない。))を使用してくるためチーム全体の火力・防御力が高いものになっており、対策なしだとまず袋叩きにされてやられてしまう。&br()一応この二機に関してはわかりやすい攻略法が存在するため、対策法さえわかればある程度楽に倒すことはできる。だが、この二機が霞むほどの強さを持つ強敵との連戦が、終盤にはさらに控えている…。
---真の黒幕である宇宙メダロットたちは本当に壊れたスペックの機体が多い。&br()後述のゼロスーサイドを除き「通常時はあまり強くないが、パワー変形すると高い性能になる」という特性を持っているのだが、本来なら「スペックは強力だが変形にメダフォースを消費する」というメリット・デメリットのある強さであったはずが、後述の変形バグのせいで''ほぼリスクゼロの強さ''となってしまっている。
---特に「火力と中~長距離に対応する射程を兼ね備えた2種のソードが強力なモノクルジアナ」「高性能の未満防御((まもる行動。射程内にいる味方が攻撃を受けた時代わりに攻撃を受け、相手の攻撃力が一定以下なら攻撃を無効化。))でこちらの攻撃を潰しつつトラップをセットして攻撃自体も封じる上、自身の耐久力も高いトリプテラ」は凶悪。取り巻きのプーパビートル・プーパスタッグも同じく「パワー変形で強くなる」機体なので、放置しているとどんどん不利になっていく。
---4機の宇宙メダロットを退けた後に立ちふさがる、ラスボス前最後の強敵「ゼロスーサイド」の強さは特に有名。&br()その強さはメダロッターの間では「『2』のゴッドエンペラー並」と言われるほどで、多くのメダロッターにトラウマを植えつけた。
---ゴッドエンペラーと違い圧倒的火力を持つわけではないし、開幕からメダフォースMAXなどのラスボス特権を使っているわけではないのだが、''機動力と防御力を兼ね備えるハイスペックな本体性能''に加えて、先ほど紹介した強武器''レベルドレインを搭載しているのが大問題''。ゼロスーサイドはレベルドレインで丁寧にチーム全員のレベルを奪ってしまう上、一度奪われたレベルは取り返せないため、レベルドレインを妨害できないと相手とかなりのレベル差がある状態で戦うハメになる。メダフォースは使えなくなるし、攻撃の成功率と威力も落ちる。
---これだけのレベル差があると半端な攻撃は当たらなくなり、当たったとしても強固な装甲とリーダーにかかる防御力補正のおかげでかすり傷にしかならない。「リーダーを倒す」という正攻法での勝利は難しく、当時は多くのメダロッターが苦戦させられた。
---現在では「レベルドレインを受ける前提で、取り巻きのメダロットが変形する前に攻撃を当てて変形を封じ、タイムアップでの判定勝ちを狙う」「回数ドレインでゼロスーサイドのレベルドレインの回数を奪ってレベルドレインをさせない」「回避不能や停止系格闘で回避を封じて撃破を狙う」などある程度安定して倒す攻略法が確立されているが、それでもなお多くのプレイヤーを苦しめる強敵中の強敵である。
---当然ながらラスボスも強い。これまでのメダロットではあまり見られなかった「回復行動を主体にしたラスボス」であり、恐ろしいことに変形すると装甲(HP)が340というおぞましい数値になる上に''威力99で貫通する回復・復活・蘇生を使ってくる''。しかし攻撃に関しては取り巻きのメダロットに依存しているため、ゼロスーサイドに比べればまだ有情である。
--カブト・クワガタのVer.間での難易度差も顕著。もはや伝統というべきか、開始当初からアンチエア・アンチシーを使えるクワガタ版のほうが楽に攻略できる。

-また戦闘以外にも、ゲームの仕様に起因する問題がある。
--本作には、''エンカウントというものがない。''そのためレベル上げや、メダロットの醍醐味のひとつであるパーツ収集に大きな障害が発生している。
--レベルを上げるには「序盤、イベントで敵が無限湧きするブロックでストーリーを進めず、無限湧きする雑魚メダロットを倒して経験値を稼ぐ」「わざとブロックの侵攻を許し、そのブロックの敵(スペロボ団)を倒す」という面倒な手順を踏まなければならない。そのため、迂闊に全ブロックを制覇すると敵にブロックを奪われなくなり、''レベル上げが不可能になってしまう''。
--上記の手順を把握していれば大した問題でもないのだが、通常エンカウント方式のロボトルに慣れているユーザーは面食らう形となった。
--クリア前は多くのクラスメイトと一度しか戦えないうえ、敵のほとんどは使用メダロットの決まったスペロボ団員or野良メダロットなので、自分用のメダロットを構築するのも一苦労。「クリアするまで、最初に貰えるグランビートル/ソニックスタッグとその後継機しか使わなかった」というプレイヤーも多い。
--ストーリー後半になると一行はクラスターを離れてしまい、ボスとの連戦のみが行われる一本道の展開になる。こうなるともうクラスターには引き返せずエンカウントも無いため''レベルが低いまま進むと詰む''可能性も。
-パーツに関しても従来作に比べて揃いにくく、どうあがいても一プレイでは完成できないメダロットも多数存在する。
--クリア前のストーリーでは多くのクラスメイトと1~2度しか戦えないため、どうあがいてもクリア前に一式を揃えるのは不可能。そのうえ戦う機会が極端に少ない or ストーリーの途中で別機体に乗り換えてしまう敵メダロッターも多く、''どうあがいても一周では完成しないメダロットが従来作に比べて多い。''パーツコンプのためには''ROMを2つ用意して、リセットを繰り返して周回する''必要がある。
--クリア後にはクラスメイト・スペロボ団幹部とは自由に戦える為、時間さえかければ一式は簡単に揃えられる。しかし、ヒヨリやソーナンズの2人、レイニーやニワカなどストーリーの途中で後継機に乗り換えてしまうメダロッターの使用機体はクリア後は後継機で固定されてしまう。当然、乗り換え前の機体を一式入手したければROMを複数用意しての通信交換が必須になる。
---終盤のボスなど入手可能なパーツを全部集めるとしたら、''両バージョン合わせて16周する''必要がある。幸運にもパーツトレードが出来る友人がいたとしてもかなり時間がかかるだろう。
--また、ヒヨリの「ブレザーメイツ」や「ナビ・コミュン」など、''どうあがいてもパーツを入手できない機体''も存在する。
---こういうものは従来のナンバリングタイトルならば「パーツコレクション」で補完されるのだが…出る予定があったのだろうか?
--普通に手に入るパーツについても、戦闘が長いため単純に収集に時間がかかるのに加え、ロボトルに出撃させられる機数が3機から5機になったため欲しいパーツの入手確率も減少(1/12→1/20)、勝ち取ったパーツが、新しいパーツか持っているパーツか、勝利画面で確認しにくい…といった問題がある。

-共にメダロットで戦うクラスメイトは強さの格差が激しく、使い所に困るクラスメイトも多い。
--多いのが「メダルとパーツの相性・熟練度が一致しておらず、メダロットの真価を引き出せていない」クラスメイト。しかもこの条件に当てはまるクラスメイトが、ゲーム序盤から頻出する。パーツに対応する熟練度がなくとも行動自体はできるのだが、その性能はガクンと落ちてしまう。
--代表的かつネタによくされるのが、ヒロイン・ヒヨリの愛機ブレザーメイツ。彼女は初期から使える仲間で、序盤の戦いの要である攻撃の命中率を上げる補助行動「索敵」が使えるのだが、なんと''装着しているザウルスメダルに「まもる」の熟練度がないため失敗しやすい''。このメダルのミスマッチは後継機であるブレザーマルチとの相性の兼ね合いでしょうがないのだが((ブレザーマルチは変形前はブレザーメイツと同じ回復役なのだが、変形することで格闘攻撃メインの攻撃役になる。そのため、「なおす」と「なぐる」「がむしゃら」の熟練度を持ったザウルスメダルとは相性が良好。))…。
--他にも射撃系のメダロットであるバグスティンクにうつ・ねらいうちの熟練度がないメダルを積んでいるゴウセツ、格闘系の機体であるバルチャーになぐるの熟練度がないメダルを積んでいるヘクト、使用メダロットがメダチェンジ後に取れる行動との相性を一切考えていないメダルを積んでいるヒョウガやシデンなど、この手の仲間は割と多い。
--熟練度関連の問題を除いても純粋に使いにくいクラスメイトも多く、「両腕が相手のパーツを指定できずランダム性のある妨害行動『使用不能』で、しかも頭部が使い所が極端に限られるなおす行動『蘇生』、その上メダルに『なおす』の熟練度がないメグミ(ランプライト)」「使用メダロットは妨害行動に特化しているが、加入初期は対応する熟練度が低すぎて妨害がほとんど成功しないハロウ(カネハチまーく3)とキコウ(イカテン)」「『デストロイ』が使えるが消費APが多すぎてレベルを上げないと使用さえできず、パワー変形しても『継続リペア』『蘇生』という地味な回復技しか使えないシンキロウ(ドメスティック)」などは相当レベル・熟練度を上げないと実戦に耐えない。
--メダルと機体特性が一致しているクラスメイトも、メダロットが使いにくかったり、決定力不足だったりと、ゲームシステム慣れしないと使いづらい仲間が多い。癖のないメダロットを使う仲間に限ってメダルと機体特性が一致していなかったりと、なかなかに歯がゆい。
--結局、様々なクラスメイトが仲間になった後も、クリア前はブロックの防衛にクラスメイトを配置しなければいけないこともあって、最序盤で仲間になるヒヨリ(ブレザーメイツ)と、癖のない射撃・格闘タイプで熟練度も一致しているフブキ(トレミー)、ミゾレ(シックルカッター)に頼って進行することになりがち。後は防衛に余裕があるときに、全熟練度が一致しており、かつ高威力のレーザーが使えるアマミヤ(ブラックレスター)、「海」系の地形に対応できるスポーツ女子3人組、頭部の「重力制御」のおかげで地形相性を問わないコウズイ(イエロークリック)あたりをフィールドの地形次第で起用するくらい。
--クリア後、自由にレベリングできるようになるとほとんどのクラスメイトは使い道が見えてくるのだが、クリア後のやりこみ要素の乏しさもあってクラスメイト育成は「やりこみ」の領域に片足を突っ込むことになる。
--ストーリーの途中で、自分の組んだメダロットを戦闘時パーティに加えられる「ロッチボール」と呼ばれるアイテムが手に入り、これで僚機の問題も解決…と思いきや、ロッチボールの操作するメダロットは''AIの制御下に入り、プレイヤーは指示を下すことは出来ない''。従来作のように自分のメダロットを全て自分の手で動かすことはできないのだ。
---一応メダルの「ローテーション(行動パターン)」を綿密に設定することである程度思ったように機体を動かすことはできるが、それでも操作の大部分はAIに任せなければならない。AIの挙動には癖があるので、思ったように動いてくれないことはザラにある。
//自機以外全員ロッチボールでも戦闘はできるぞ
//AIのローテーションは戦闘中何回でも設定しなおせるので、毎ターン設定を直すことで、大まかな移動の指示、使用するパーツ、特殊行動は指示できる。

-ほかにも、今作の問題を語る上で避けて通ることが出来ないのは「''バグ''」
--代表的なものとして、「''変形バグ''」の存在は欠かせない。
---変形後の推進の値の変化が適用されず変形前の脚部の推進値をそのまま引き継ぐ・パワー変形がメダフォースが0になっても解除されない・変形していた機体を蘇生するとバグる((グラフィックがバグり、変形後のはずなのにパーツが破壊されていて取れない行動がある))・頭部パーツ回数設定ミス((変形前の頭部が「装備するだけで効果を発揮する行動」の場合、変形後の頭部にあたる「ドライブA」の使用回数が0になってしまう。))など…変形に起因する問題が数多く、このために長所を殺されたメダロットも少なくない。
---よりによって宇宙メダロットのうちの一機「ディティラノ」がこの変形バグの被害者で、変形すると「ドライブB・Cで強化された、強力なドライブAのショックで攻撃できる」はずが、変形前の頭部が装備するだけで効果を発揮する「敵影感知」なので回数が設定されておらず、変形すると''何もできない木偶の坊と化す''。変形しなければいいのだが、CPUはバグを考慮せずに2ターン目に必ず変形してしまうので、強敵揃いの宇宙メダロットの中では実質ボーナスステージになってしまっている。
--バグというより仕様ミスだが、敵にかかっているプラス症状を解除する行動「プラス症状クリア」は、''味方にしか効果が無い。''
--ほか、「横一閃ゾンビ」((メダフォース「横一閃」で2体以上敵を倒すと、二体目に撃破されたメダロットがティンペット(骨組み)のまま撃破されずに残り、しかも頭の装甲値(HP)が残り255という状態でフィールドに留まる怪現象。))「戦闘回数カンスト」((戦闘回数が255を超えると再び1に逆戻りしてしまう。))など、ゲームに深刻な問題を及ぼすことは無いが、多くのバグが存在する。

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**総評
本作はファミ通クロスレビューでシルバー殿堂を授与されており、実際、新機軸のロボトルや藤岡建機の各種デザインは一部のメダロッターから評価が高い。&br()が、実際にプレイしてみると無視できない問題点が少なくなく、また従来のメダロット的な要素が多く廃されているため、人を選ぶ作品でもある。&br()現在の評価は、あと一歩で名作になり損なった「惜しい作品」という評価が一般的で、欠陥を改善した次回作を待つメダロッターも少なくない佳作である。

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**余談
-本作はセーブに関して、記録時にGBA本体の電源に頼っている。そのため、電池の残量が少ない状態でセーブをしようとし、&color(red){「セーブデータが破損しました」}(通称赤文字)の一言に刻の涙を見たメダロッターは数多い。
-本作品は模型誌などで大々的にプッシュされ、イラスト集などが出る予定であったが、何らかの事情によりお蔵入りとなってしまった。

-メダロット発祥の地である雑誌『月刊コミックボンボン』で藤岡氏による漫画版(全1巻)が連載された。
//が、''短期(全7話)で打ち切られている''。~
//本作の連載の為、「メダロットのマンガが3本有るとバッティングするから」という理由で打ち切られたメダロットカードゲームのマンガが不憫である。
//打ち切りだったんですか?
--当初の予告では本編のコミカライズのような触れ込みだったが、実際は本作の事件少し前と後日談を同時並行で進めるストーリーで、独自性の高い内容になっている。また、主人公の設定を始め、本編と異なる部分もある。ゲームにあったようなコミカルなシーンも少ない。
---本編の事件については時折ダイジェストで軽く触れる程度だが、文学作品『星の王子様』の引用などによる演出で悲壮的に語られており、ゲームとも雰囲気が大きく異なっている。
--ゲーム本編を知らないと多少混乱する部分はあるが、過去シリーズでも語られることの多い「メダロットと人間の関係」などをテーマにした非常に深い作品である。藤岡氏の前作『りんたろう』がかなりハチャメチャな作風だった為、そちらに慣れ親しんだ人はギャップに驚くだろう。
---ちなみに最終回にりんたろう達が登場するシーンがあり、そこだけ雰囲気や画風が『りんたろう』風になっている。
//打ち切りではあるがテーマはしっかりと描かれており、''メダロット好きなら誰しもが読んだ神作である。''
--これに直接関係が有る訳では無いのだが、終盤クラスターのメインコンピューターnaviが人の心を理解するために、ナビコというメダロットを作る。
---naviとナビコには國府田マリ子氏によるボイスが当てられており、OPのタイトルコールとロボトル開始時、イベントの要所で聞くことができる。

-異色の外伝作として登場した本作だが、発売以降はイラスト集のお蔵入りを筆頭に冷遇が続き、これ以降のメダロット作品へのキャラクター・メダロットのゲスト出演も皆無だった。navi初出機体の再登場は、navi発売から''11年の時を経ての''[[『メダロット7』>メダロット7 カブト/クワガタ]]の発売を待つことになる。
--『7』では僅か2機だけのゲスト出演だったが、[[『メダロット8』>メダロット8 カブト/クワガタ]]では7機が復活参戦。さらに追加コンテンツ(DLC)では本作の看板であるグランビートル・ソニックスタッグが登場、他にもアシュトン、ウィンドクラップなどnaviファンには馴染み深い機体が追加参戦している。
//↑当時のメダカードマンガの作者の証言より
//どれのことを指しているんですか?
//↑「メダカードの漫画」って言ったら1本しかない。「男度胸」って奴。当時作者が自分のサイトで語ってた。

-2020年11月12日にNintendo Switchで発売される『メダロット クラシックス プラス』に本作が収録される。