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月面のアヌビス - (2013/09/21 (土) 17:06:31) のソース

*月面のアヌビス
【げつめんのあぬびす】
|ジャンル|サウンドノベル|~|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|イマジニア|~|
|開発元|アクセス&br()マルチメディアインテリジェントトランスファー|~|
|発売日|1995年11月22日|~|
|定価|11800円|~|
|ポイント|着眼点は良いんだけど…|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
イマジニアから『[[ざくろの味]]』と同時に発売された、世にも珍しい双子サウンドノベルの片割れ。~
ただし開発元は異なる。

**ストーリー
未来、月面に研究所が建設された時代。~
若き研究者である圭介と香織((共に名前は変更可能。))は、日本人としては初めて、研究所に滞在する事になった。
何事も無く到着し歓迎を受ける2人だが、そこで事件が起こり…。

**特徴
-当時は「サウンドノベルと言えばホラーかミステリーがメイン」という時代だったが、本作は月面の研究所を舞台とした近未来SFものである。

-隠しパラメーターとして「性格」が設定されており、ゲーム初期の選択肢によって、主人公の性格が「普通」「慎重」「臆病」「ふざけた」の4種類のどれかに決定する。
--特定の性格でないと見る事の出来ないエンディングも存在する。

-何らかのエンディングに辿り着いた後は、『[[かまいたちの夜>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/41.html]]』の様に、章単位で読み返す事ができる。

-登場人物は『かまいたちの夜』『ざくろの味』同様シルエットで描かれているが、一色ではなく服の模様や顔の表情なども影で表現されている。

-リアルタイムの時間制限があるシナリオが存在する。
-''作中に、とある形で「ざくろの味」という単語が登場する''。因みに『ざくろの味』にも本作のタイトルが登場している。

-全ての結末をコンプすると、ヒロインの視点による隠しシナリオをプレイできる。
--これはメインシナリオの舞台裏的存在で、同シナリオに登場した謎の敵キャラクターの正体が明かされる。

**問題点
-「特定の性格でないと見られない結末」は基本バッドエンドで、性格システム自体はユニークだが活かされていたとは言い難い。

-説明書の登場人物紹介には詳細な設定が書かれているのだが、特に活躍もしない頭数キャラが何人もいる上、シナリオごとにキャラの設定自体が大きく変わる為にあまり意味をなしていない。

-ヒロインの名前を変更しても、章題ではデフォルト名のまま。

-『ざくろの味』と違って、パーセンテージによる達成率表示は無い。
--とはいえあちらにはない章単位の読み返し機能はある。同時に開発していたなら両方搭載できなかったのだろうか?

-ソフトのタイトルである「月面のアヌビス」という言葉は、ゲーム中には特定のシナリオのみに登場するのだが、''そのシナリオにはバッドエンドしか存在しない''。

-サスペンス風のシナリオでは、バッドエンドの1つで犯人のネタばらしがある。

-最後に出現するヒロインシナリオは、途中で4本のルートに分岐するのだが、''トゥルーエンドはその内1つだけで、あとは全部同じバッドエンドに繋がる。しかもトゥルーエンドにしてもラスト近くまで殆どバッドエンドと展開が同じ''。

-ショックシーンの演出に繰り返し「ガーン」というSEが使用される等、チープな演出が目立つ。

-月面基地が舞台という設定のためかグラフィックは取り込みではなくドット絵。それはいいのだが、無機質感を狙ったのか、何故かどの背景もほぼ同系色だけで描かれている。
--特に舞台となる基地の通路や室内のシーンは殆ど同じ黄土色系で統一されており(たまに青系もあるが)、プレイの大半は延々と黄土色の画面を見続ける事になる。

**総評
-題材がSF・時限シナリオやキーワード入力・ヒロイン視点のシナリオなど、意欲的な要素を盛り込んだソフトだったが、あまり話題にならない不遇な存在である。
--システムの出来は間違いなく『ざくろの味』より優れているのだが、そちらが分かりやすいキャラクターや''トラウマものの描写''等でカルト的な話題が有るのに対し、こちらは地味なグラフィックや登場キャラといったサウンドノベルとしては良くも悪くもパンチの足りないソフトである事が原因だろう。
--とはいえ、当時のノベルゲーとしてはけして悪い出来ではないので、話のタネにプレイしてみるのも一興かと。