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アンジェラス 悪魔の福音 - (2012/10/13 (土) 09:42:37) のソース

*ANGELUS 悪魔の福音
【あんじぇらす あくまのふくいん】
|ジャンル|ADV|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UM以降、&br;FM77AV、MSX2|
|発売・開発元|エニックス|
|発売日|1988年7月|
|定価|8,200円|

**概要
ホラーサスペンスADV。当時のエニックスのゲームと同様、外部からスタッフを募って作られた。

**ストーリー
長らく暗闇に閉ざされていた遺跡に、光が差し込む。開いた扉には三人の人影があった。三人は奥へと足を進め、やがて目的の場所へたどり着く。そこには台座にはめられた三つの青い石があった。躊躇する声が上がるが、ついに男達はその青い石を台座から抜き取り、遺跡を後にした。&br;ペルーでダム工事が行われようとしていた。その規模はかなりのもので、遺跡であるピラミッドを移転しなければならないほどだった。そしていよいよ落成式。工事を担当するバイエルン建設の責任者、シュミットが壇上に立つ。だが彼は挨拶の途中で、突如苦しみだし倒れる。やがて息を引き取った。だがその死に様は異様としかいいようのないもの。体中の欠陥が浮き出し、肌も緑に変色していたのだ。丁度同時刻、日本では美春という少女とそのペンフレンドであるアメリカ人のエイミが談笑を交わしていた。その時、ふとエイミが違和感を覚える。しかしすぐ彼女の顔色が変わり悶絶しながら気絶した。その様子はシュミットと同様、体中の血管が浮き上がり、肌の色が緑色になるという様相だった。ロンドン・ポスト社にブライアン・パールという記者がいた。彼は出張先から帰国途中の機上にあった。時間を持て余していた彼は、ふと隣の席の人物が気になった。どこか落ち着かない様子に、つい声をかける。その人物はガルン・ドッペルスという保険会社の営業部長だった。とりとめのない話をしていると、いきなり首を押さえて苦しみだす。その顔には血管という血管が浮き上がり、肌が緑へと変色していく。そして気を失ってしまった。ブライアン・パールは、これを切欠に、これらの異様な出来事の真相究明へと向かう事となった。

**特徴
-ホラーとしての特徴が存分に出ているADV。被害者の異様な死に様、曰くあり気な古い書物、謎の言い伝え、そして全ての鍵を握る青い石。ホラーらしいガジェットに溢れている。ロンドン、ペルーを舞台にし奇怪な事件を明らかにする。謎が一つ解けるほどにオカルト的な色合いが色濃くなるその展開は、まさにホラーサスペンスだ。
-演出にアニメを多用している。被害者が奇病によって様子が変わっていくシーンは特筆する出来。また会話シーンでは口パクをするようになっている。
-システムとしてはオーソドックスなコマンド選択式。コマンド自体も見る、話す、考えるなど基本的なもだけ。
-一度クリアすると、ストーリーを通して見る事ができるようになる。
-外部からのスタッフが参加している。ダーティペアのキャラクターデザイン、うる星やつらの作画監督をした土器手司、そしてドラゴンクエストの作曲を手がけたすぎやまこういちが加わっている。おかげでグラフィック、音楽共なかなかの出来。

**難点
-コマンド選択式の難点である、無駄な選択が多い。とにかくフラグの場所が分かりづらい。会話からフラグがどこにあるか推測し辛く、同じコマンドを何度も選択する事も多い。またフラグを立てたか確認するため、同じ会話を何度もする事も。しかもそれを、あちこちに移動しながらという手間のかかる場合もある。
-会話に時間がかかりすぎる。実際に話す時間に合わせたように、話してる間はコマンド選択が現れず、口パクの様子見るか台詞を読むしかできない。だが上記のように、何度も同じコマンドを選択する事も多いこのゲーム。分かりきっている台詞を表示されたまま待たされるのは、少々うんざり。
-ご都合主義的展開が気にかかる。序盤からして異様な死に様を、いきなりオカルトと結びつけようとする。いろんな手がかりも裏づけがハッキリしないものばかりで、それを主人公達は当然のように受け入れ話が進んでいく。
-未完。エンディングを迎えても一部の伏線は回収されないまま。しかもエピローグにいかにも続編がありますとでも言いたげなシーンが出てくる。しかし結局続編は発売されなかった。
--実際続編のタイトルは『ホーリーナイト』と決まり、またキャラクターデザインにZガンダムの北爪広幸、ゲーム音楽作曲家の古代祐三の参加など、ある程度話が進んでいたのだが…。

**総評
 良質なADVを多く作っていたエニックスのゲームとして注目を浴びた本作。オーソドックスな作りながらも、グラフィックやBGMなどでは安定した面を見せた。だがストーリーに少々粗があるのは残念な上、会話演出がむしろテンポを悪くしているのもいただけない。ただ、当時のホラーサスペンスとしては総合的にそこそこの出来で、評判はそれ程悪くなかった。そのいかにも話が続くかのようなラストは、多くのプレイヤーに続編を期待させる事となる。しかしながら、結局続編は出ずじまい。未完の物語となってしまった。