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三國志戦記 - (2019/11/08 (金) 10:05:13) のソース

*三國志戦記
【さんごくしせんき】
|ジャンル|タクティカルシミュレーション|&amazon(B00005UPL9)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売・開発元|コーエー|~|
|発売日|2002年2月14日|~|
|定価|7,140円|~|
|判定|なし|~| 
|ポイント|連鎖の爽快感とifストーリーが売り&br()バランスの悪さや冗長さも目立つ|~|
|>|>|CENTER:''[[三國志シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
三国志を題材としたシミュレーションゲーム。~
本作は三国志シリーズ本編とは違い、戦略・戦術といった戦争要素に特化した作品である。

プレイヤーは「曹操軍」「孫策軍」「劉備軍」の3勢力からプレイする勢力を選択し、戦争パートと戦略パートを繰り返してエンディングを目指す。~
戦争パートにおける戦法の連鎖と、戦略パートにおける多種多様なifシナリオが大きな特徴。

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**システム
''三國志シリーズとの違い''
-''内政の概念が存在しない''。人材登用も非常に簡略化されている。
-基本的に完全自由に戦略を選べる三國志シリーズと違い、''目標とその期間が定められている''。プレイヤーはその制限の中で戦略を組む。

''ゲームの流れ''
-プレイヤーは「曹操軍」「孫策軍」「劉備軍」の3勢力からプレイする勢力を選択し、各章で定められた目標を達成していく。
-各章で定められた目標は「○○を○ターン以内に占領する」といったもの。戦略パートで部隊を動かし、戦争パートは都市ごとに定められた専用マップで行う。
-戦争パートで敗北してもゲームオーバーにはならないが、戦略パートでその章における目標を達成できないとゲームオーバーとなる。
-エンディングは各勢力に4~5個用意されており、戦略パートでの決断によって変わる。一度見たエンディングや章間のイベントは自由に視聴可能。

''各武将に設定された能力''
-武将の基本能力は「統率」「武力」「知力」の3つ。これに加え、武将ごとに「特性」「階級」「兵科」「戦法」が決められている。
--「統率」「武力」「知力」の基本3能力は、その武将の攻撃力に影響する。
---戦法には統率系戦法、武力系戦法、知力系戦法の3種類が存在し、各戦法の攻撃力はその武将の各能力に相応して高くなる。
--「特性」は各武将が1つ持つ特殊能力のようなもの。
---戦争パートで役立つものもあれば、戦略パートで役立つものもある。
---例えば張飛の特性「万人敵」は部隊戦意(後述)が80以上で武力系戦法が使い放題になる。
--「階級」は各武将の将軍位であり、高いほど兵士数、すなわちHPが大きい。
---階級を上げるには戦争パートにて功績を挙げることが必要になる。
---階級が上がるごとにその武将の基本3能力が上昇する他、新たな兵科・戦法を覚えることがある。
--「兵科」は各武将に用意された選択可能兵科。階級が上がると新たな兵科を覚えることがある。
---特定の兵科でなければ使用できない戦法も存在する。(弓兵が無ければ戦法「乱射」が使えないなど。)
---階級が上がる際に、武将の基本3能力の内どれがどれだけ上がるかも、その武将が選択した兵科によって異なる。
--「戦法」は各武将が戦争パートにて使える必殺技のようなもの。「階級」が上がると新たな戦法を覚えることがある。
---戦法は単に敵を攻撃するだけでなく、敵味方の位置を変えたり、味方の戦意を上昇するものなど多岐にわたり、これを連鎖させることが重要になる(後述)。
---各武将が覚える戦法は予め決まっており、特定の階級になると覚えさせることができる。

''戦略パート''
-戦闘部隊を編成し、各章で定められた目標を達成できるようそれらを派遣する。敵味方の部隊同士が同都市に位置すると、戦争パートに突入する。
-各章で定められた目標は''複数存在することがある''。プレイヤー自身の決断によって展開が分岐し、結果的にエンディングも変わる。
-部隊だけでなく「密使」を派遣することもできる。同盟を結ぶ際や人材を登用する際に用いる。
--各武将には個々に「友好武将」が数人定められており、在野武将とその都市にいる密使が友好武将であれば、その武将を登用できる((友好関係は一方通行でも良い。))。
--章によっては、敵勢力と戦争するか同盟するかを選べる。同盟する場合も密使を用いる。
--特性「工作」を持つ武将を密使として派遣すると、戦場に有用な建設物を最初から建てた上で、自身も工作兵として戦争パートに参加できる。

''戦争パート''
-敵味方の部隊同士の直接対決が各都市で定められた専用のマップ上で行われ、基本的に敵の総大将の兵士数を0にした方が勝利となる。
-敵の兵士数を減らすには直接攻撃の他、戦法を使用する必要がある。
--戦法は敵部隊を移動させたりといった様々な付加効果を持つが、単独での威力は直接攻撃に毛が生えた程度であり、一度使うとなくなってしまう。
--しかし戦法の影響を受けた敵味方部隊に、さらに別の味方部隊が戦法をかけられるような位置関係があると、''戦法が連鎖する''。
--基本的にはこの戦法連鎖を狙って部隊を動かす。連鎖はその数が大きいほど効果が大きくなってゆく。結果的に敵部隊を壊滅させれば、戦法も回復する。
--また、軍師は「連環」という敵部隊への戦法予約のような特殊行動ができる。これを用いると全く離れた場所での戦法連鎖も可能となる。
-各部隊には「戦意」というパラメータがある。
--この数値が高いと特定の武将特性が有効になったり、攻撃力が上がったりする。
--部隊の行動順もこの戦意の高さで決まるため、戦意を上げる効果のある兵糧庫や戦法の存在は重要になる。
-兵科の一つである建設兵は、戦場に建設物を建てることができる。敵の侵入を防ぐ策や周囲の味方部隊の戦意をターンごとに上げる兵糧庫など数種類存在する。
-軍師は各ターン初めにランダムで「秘策」を使えることがある。その強力さや使える頻度は軍師の知力の高さに比例する。

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**評価点
''戦法連鎖の爽快感''
-戦法が連鎖した時の爽快感は抜群。敵兵士の撃破数がどんどん加算されていき最終的にカンストする様は圧巻。
-戦法が多く連鎖するとそれに伴ってクリティカルの発動確率も上昇してゆく。クリティカル発生時のBGM変化などの演出も爽快感を際立たせてくれる。

''三国志好きにはたまらないifストーリー''
-プレイヤーの選択によって英雄達の歴史が変わってゆくのも本作の大きな特徴であるが、三国志ファンのツボを衝いた展開が用意されている。
--曹操軍の最難関エンディングを見るためのどんでん返し展開、小覇王孫策が存命していたら…というif展開、さらに意外にも単なるハッピーエンドではなく切ない終劇を見せる劉備軍最難関エンディングなど、ifストーリーの内容は非常にクオリティが高い。
--中でも非常に評価が高いのは曹操軍における『''&color(red){赤壁に勝て}''』と題されたifストーリー。
---史実にて赤壁の戦いで敗北し中華統一の夢が破れた曹操だが、敗北後に曹操は「郭嘉がいたならばこのようなことにはならなかった」と漏らしたという。
---このifストーリーでも曹操の船団は赤壁にて呉の周瑜により焼き討ちとなるのだが、そこから三国志ファン感涙の展開を見せる。ぜひ自身の目で見ていただきたい。

''最終決戦を盛り上げるBGM''
-長い戦いの果てに最終決戦に臨むのだが、その際のBGM「[[決戦>http://www.youtube.com/watch?v=7S1PpXnBf-0]]」が非常に評価が高い。
-このBGMは続編の『[[三國志戦記2]]』でも使用されている。

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**問題点
''ダルい戦争パート''
-戦争パートが基本的に長い上に多い。戦略パートにおいて1都市進むごとに戦争パートに突入することもザラ。
-戦法ムービーの事前スキップ設定ができない。戦法ムービー自体はよくできているが、やはり何回も見ていると飽きる。毎回スキップボタンを押すのは面倒。
-最初の陣形選択の際に好きな武将の並びができない。
-ほとんどの兵科が、川・山・森がある場所で極端に移動力が下がる。特に騎兵系がひどい。結果的に川・山・森の影響を受けにくい歩兵系兵科持ち武将の優遇にも繋がっている。

''賢くないAI''
-COMは部隊の配置、編成、戦法の使い方が下手。
--基本的に戦法の連鎖は狙わず、闇雲に戦法を使用してくる。
--中盤~終盤にかけては連鎖を意識した部隊配置をしてくるが、戦法の発動条件を満たしてなかったり、ミスで不発に終わる事が多々ある。
--他にも「移動の早い騎馬兵を突出させ部隊を分散させてしまう」「意味無く城内に入り出られなくなる((城は門から入れるが出る時は門から出られない。城壁を越えられるのは歩兵・建設兵などごく一部。))」「誰も寄らない場所に建設物を建ててしまう」等。
--1周クリアするたび武勲が引き継がれるので部隊は強くなるが、AIは強化されない。

''戦法のバランスの悪さ''
-一部の戦法があまりにも便利すぎる。
--具体的には遠方の敵を問答無用で引き寄せる「挑発」「陥穽」が代表的。むしろこの戦法を持っている武将がいなければ大連鎖はほぼ不可能といっていい。
--他には最大9部隊の複数部隊に問答無用でダメージ+混乱状態を付加する「火矢」が強力。特に最終決戦で良くある攻城戦では、城の外からこの戦法を持つ武将で攻撃すれば無傷で攻略可能。
--逆にいえばこういった強力な戦法を持つ武将が敵にいると非常に厄介。味方部隊が問答無用で敵陣に引き込まれたりする展開はストレスでしか無い。
-強い戦法もあれば、逆に使い辛い戦法も存在する。
--発動に地形条件が加わっている「水計」「落石」などの戦法は、当該地形が含まれるマップが少なく使い辛い。
---発動条件が厳しい事もあってか効果は高いものの、他に発動条件が容易で高い効果を発揮する戦法がいくらでもある。

''便利な武将の偏り''
-武将が覚える戦法は予め決まっており、しかも前述のように異常な強さの戦法が存在する。従って、戦争パートで有用な武将は自然と限られてくる。
--特に「挑発」「陥穽」系以外にも有用な戦法を多数覚える田豊や、特性「工作」を持つ武将の中でも頭一つ抜けた沮授はメインキャラクター達と同等かそれ以上に強い。
--また鄧艾は登場こそ遅いものの特性「殊勲」のおかげで成長が異常に早く、かつ基本能力や戦法も優秀なのでどの勢力でもレギュラー候補となる。
--逆に基本的な能力が高くても「単騎駆」のような強力な特技を持たない武将や、地形によって移動制限を受けやすい騎兵系の兵科しか覚えない武将は不遇。

''人材登用の簡略化''
-本作の人材登用は基本的に友好武将の派遣で行う。友好武将さえいれば登用できるので、そこに駆け引きの妙は一切無い。
-これだけでも気になるプレイヤーはいるだろうが、本作はそれに加えて''戦争で捕虜にした武将を問答無用で自勢力に組み込むことができる''。
--戦争で捕虜にするためにはその武将の階級に応じた連鎖数で撃破することが必要なのだが、慣れれば趙雲・張遼・甘寧といった有名武将もかき集めることが可能。
--ちなみにこれは敵味方問わず通用するので、自軍の有能な武将が前述の「挑発」などの戦法で敵陣に引きこまれた揚句、大連鎖を食らって捕虜になり寝返ってしまうということもありうる。

''微妙な武将能力評価''
-コーエーの武将評価がまだ甘い時期の作品であっただけに、楽進・韓当・陳武・丁奉など過小評価な能力の武将がチラホラいる。
-内政の概念が存在しないため、主に政治面で活躍した陳羣・顧雍・張昭・馬良などが総じて「知力だけがちょっと高い雑魚」と化している。

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**総評
三国志ファンには堪らないifストーリーなどは特筆すべき評価点なのであるが、やはり全体的なバランスの悪さや冗長さは目立つ。~
しかしゲームシステムの根幹的な部分はありそうでなかった個性的なものであり、本家三國志シリーズとはまた違った作風を楽しめる。~
非常に伸び代を感じさせる作品である。

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**その後
-続編として『[[三國志戦記2]]』が存在する。

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