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はつゆきさくら White Graduation - (2023/05/18 (木) 00:59:47) のソース

*はつゆきさくら White Graduation
【はつゆきさくらほわいとぐらでゅえーしょん】
|ジャンル|アドベンチャー|CENTER:&amazon(B007F3SEN0,image);|
|対応機種|Windows XP/Vista/7|~|
|発売・開発元|SAGA PLANETS|~|
|販売元|ビジュアルアーツ|~|
|発売日|2012年3月30日|~|
|定価|8,800円(税別)|~|
|配信|2013年10月11日/6,477円(税別)|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|判定|なし|~|
|>|>|CENTER:''SAGA PLANETS四季シリーズ''&br;Coming×Humming!! - ナツユメナギサ - [[キサラギGOLD★STAR>キサラギGOLD★STAR -moonlight serenade in autumn-]] - ''はつゆきさくら''|
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#contents(fromhere)
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**概要
株式会社ビジュアルアーツのブランドから発売された作品。~
テーマは「卒業」を題材とした学園青春系アドベンチャー。

**シナリオ

 「河野初雪」は、白咲学園3年生。進学校には珍しい不良学生。
 卒業が危ないと言われ、今日も嫌々授業に顔を出す。
 今年最初の雪が降った12月。
 初雪は旧市街の一画で、真っ白なドレスを着た美しい少女に出会う。
 雪に降られながら、少女は一匹のウサギを探して街をさまよっていた。
 一夜の不思議な出会い。
 そして数日後。学園にドレスの少女、「桜」が転校してくる。
 最後の冬へ、初雪を連れて行くために。
 めぐる春夏秋冬。
 終わる1095日。
 やがて冬を越えて、春が訪れる頃。
 ついに積もることのなかった雪の思い出を抱いて、
 少年は立ち尽くす。
 『初雪から桜まで 卒業おめでとう』

ご覧のとおり、公式HPやパッケージを確認すると、一見ごくありふれた学園モノに見える。

#region(しかし、その実態は…)
-本作にはもちろん「卒業」要素が絡んでいるが、その骨子は「ゴースト」という異形の存在をメインテーマとした、~
学園モノの面をかぶった&bold(){ホラーファンタジー}である。~
各シナリオではそれにちなんだ陰惨や鬱屈としたシーンが盛りだくさんで、何よりも「&bold(){ゴースト}」という~
特異な存在が確立しているため、直接的な恐怖等の描写が多い。~
ちなみにこの実態が明らかになるのはプロローグの前半部。プロローグ最終盤では&bold(){驚愕の事実}が早々と判明する。~
ある意味宣伝詐欺とも取れるが、このブランドはファンタジー物を多く輩出しているため、そこまで不自然ではない。~
後述するが、このギャップも、本作の魅力の一つといえるのだが。
#endregion

-シナリオ進行は下記の通りに進む。

-プロローグ
--個別ヒロインルート ※この内、何人か攻略すると続くヒロインおよびおまけルートが解放される。
---最終ルート

-尚、本項ではシナリオに関する核心については全て未記載とする。その中には序盤で判明する事実も含むが、~
そういった要素を知らない状態でプレイすることが推奨されているからだ。~
シナリオや設定について前知識が欲しいと言う人は、Wikipediaの当該項目を参照のこと。

**登場キャラクター
#region(クリックで開閉。)

-河野初雪(かわのはつゆき)
--主人公。シナリオ項にもあるように、不良じみた言動が特徴の男子生徒。
--喫煙はしないが、一時期は学生の身分でありながら、ケンカや飲酒に明け暮れていた&bold(){筋金入りのワル}である。
--素行も良いとは言えず、ヒロインには&bold(){セクハラ発言、暴力(暴行はしない)、罵倒}など日常茶飯事に行なっている。
--しかし、そこはさすがの主人公、義理人情は結構深く、舌打ちしながらも協力するときは非常に頼りになる。
--要するに&bold(){ツンデレ}である。どうでもいいが、スイーツと焼肉が好き。

-玉樹桜(たまきさくら)
--突然転入してきた、謎の少女。ネムという奇っ怪な兎を連れている。
--二身一体攻撃と評して、ネムを使った一発芸をよくする。バニー!
--激情すると何故か方言が出る。地元が田舎なのだろうか。
--おでん、その中でもがんもどきには並々ならぬ愛情を持つ。
--シモネタに対しては「&bold(){(`ェ´)ピャー}」と過剰に反応する。
--素性は不明なのだが、誰とでも別け隔てなく付き合える明るい性格。

-あずま夜(-よる)
--ピンク髪の後輩キャラ。アイススケーター。
--髪の色のせいか、初雪にやたら「&bold(){淫乱}」扱いされるアワレな少女。実際淫乱なのかは…やればわかるさ。
--当初は好感度は高かったが、途中の騒動で&bold(){地の果てまで落ち}、ルートまでは中くらいまでに回復する。
--ノリツッコミが激しい。そして中の人の特長なのか、よく声色が変わる。
--ヒロインの中では結構まとも(そして不運キャラ)である。

-東雲希(しののめのぞむ)
--進路相談委員長(という名のパシリ)。おっぱい要員。
--最序盤では大人しめの少女だったが、初雪の(歪んだ)影響を受けて言葉遣いが妙ちきりんに変わる。
--例:兄がいるけど、全然似てない&bold(){ぜ}。&bold(){俺}と初雪は、切っても切れない友情で結ばれてるん&bold(){だぜ}。~
要するに、初雪から「男らしさ」というものを受け継いだ結果。ちなみに、この口調は最序盤を除いて一貫して使うようになる。
--で、当の初雪にとっては、おっぱいだけを心配されている。本人はどうでもいいらしい。だがおっぱいには罪はないらしい。

-小坂井綾(こざかいあや)
--初雪の1つ上の先輩。カンテラという喫茶店のバイト仲間。
--ボーイッシュでさばさばとした、どこか読めない先輩。ちなみに1浪しているため、初雪には「浪人」と呼ばれている。~
あくまで言葉遣いが中性的であって、容姿はスタイル抜群の和風が似合いそうな美人。
--攻略ヒロインではあるのだが、話の本筋にはあまり絡まず、モブのような立ち位置。~
なぜそういう立場なのか、それは彼女のルートをプレイすれば全て判明する。

-シロクマ
--見た目とか印象が白く、何故かロシア人扱いされたため、こう呼ばれている。本名ではない。
--白咲学園を目指す、ヒロイン中最年少キャラ。体型もロリ系体型である。
--中の人の演技もあってか、極めて特異なキャラ。シロクマのモノマネをさせられたせいでのアダ名なのだが、~
肝心のモノマネが「ぐるるるしろ!」。&bold(){意味がわからないよ。}
--尚、他にもクマ関係のモノマネを強要されるが、テキスト具合((よくある、音読するのが不可能な類(くぁwせdrftgyふじこlp等)。それでもしっかりと何とか言葉らしくアフレコされているため。))を見ると、声優のアドリブのような気がしてならない。
--こんなナリでも、本人の(学力的な意味で)スペックはそこそこ高い。

下記、非攻略キャラ

-東雲妻(しののめさい)
--希の実兄。メガネが似合う剣道部部長兼生徒会長。
--当初は河野のことを警戒していたが、誤解であると知るやいなや友好関係を結ぶ。%%たまに暴走するが。%%
--妹が攻略ヒロインでありながらも、妹のへっぽこキャラに呆れているせいか、あまり愛情が感じられない。
--というかこの名前は&bold(){どういう意味}なんだろうか。

-久保完(くぼたもつ)
--1年前、とあることがキッカケで初雪に対して対抗意識を燃やすようになった少年。
--しかしながら、童顔に低身、おまけに高めのハスキーボイスのせいか、ナメられっぱなし。
--白咲ヤンキースという不良チームを組んでいる。%%肝心のメンバーがやる気ないけど。%%

-室屋透(むろやとおる)
--久保とつるんでる白咲ヤンキースの一員。バスケ部主将で、飄々とした性格。
--敵を作らないタイプで、誰とでも付かず離れずの距離感で付き合える男。

-竹田直子(たけだなおこ)
--白咲ヤンキースの一員。年上キラー。舌っ足らずな口調が特徴。
--バンドのボーカルを担当しており、作詞もこなす。

-金崎恵(かねざきめぐみ)
--白咲ヤンキースの一員。遊んでるような風貌だが…。
--竹田からは「ザキ」と呼ばれている。

-来栖三木(くるすみき)
--進路相談委員の担当。教師なのだが、結構いい加減で放任主義。
--口調も綾以上にボーイッシュ。

-ラン
--初雪の世話を見ている少女。非常に明るく、初雪の母のような姉のような存在。
--得意技はジャイアントスイング。(公式HPにも何故か書かれている)

#endregion

**評価点
-質の高いシナリオ
--学園物に前述したジャンルを織り交ぜておりながらも、笑いあり涙ありのシナリオは非常に高評価。~
矢継ぎ早にシナリオは進んでいくが、その間のメリハリがしっかりしており、プレイしていてストレスを感じない。~
新島夕氏単独によるシナリオ、および企画だったからこそ、成し得た賜物((ただし、本作を最後に氏はビジュアルアーツを退社している。))だろう。
-質の高いBGM
--特異なジャンルを孕んでいるせいか、BGMには幻想的なものが多い。プロローグのOPは「男と女」のようなBGM。~
挿入曲もイベントに合った構成となっている。
-主人公・初雪
--紹介欄にも書いたが、非常に素行が悪いが、悪に立ち向かうときはプレイヤーですら遠慮してしまうぐらいに~
完膚なきまでに(言葉はもちろん、力でも)打ちのめすため、痛快さが心地好い。~
問題点のようにも聞こえるが、親しいキャラに対してはしっかりと「照れ隠し」という描写がはっきりしている。
-秀逸な演出効果
--シナリオの山場や佳境では、上記で挙げた三項目が一気に画面上で組み合わさり、~
物語の山を一気に盛り上げる。特にその際のBGMの挿入のタイミングが絶妙といえよう。
-魅力ある、個性豊かなキャラクター
--どのキャラも一癖も二癖もあり、それがたとえ白咲ヤンキースのような脇役であっても、&bold(){誰かしらに見せ場シーンが存在する}。~
どのキャラも無駄、不要という要素が皆無で、活かせるものは全てふんだんに活躍する。

**賛否両論点
-ある瞬間に、共通の決め台詞が存在するが、決め台詞がカッコイイというか&bold(){シュール}なものなので、これは好みが分かれる。

**問題点
-リソースの少ないCG
--立ち絵の種類が少ない。特に、夜のダンス衣装は背景がしっかり切り抜かれていない立ち絵のように見えてしまう。

-キャラCGについて
--多数のデザイナーを起用しているせいか、絵柄に統一性がない。しかも、同キャラなのにまるで別人のようなものまである。

#region(分かりやすい例として)

//|CG1|CG2|
//|&image(kurusu1.jpg,https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/1980/600/kurusu1.jpg,width=500)|&image(kurusu2.jpg,https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/1980/601/kurusu2.jpg,width=500)|
|夜の優雅なスケート姿|あれ? 幼くなった?|
|&image(yoru1.jpg,https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/1980/598/yoru1.jpg,width=500)|&image(yoru2.jpg,https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/1980/599/yoru2.jpg,width=500)|

名誉のために記述するが、同一人物である。

#endregion

--また、シナリオの最中に割り当てるCGが少なかったのか、背景が真っ黒(または真っ白)なシーンが多い。


-攻略順について
--あるキャラを最初に攻略しないと、他のシナリオにおいて謎が生じる。一応最速で攻略は可能だが、事前情報なしで気づいたプレイヤーはどれだけいるだろうか。

-声優の使い回しが多い
--当界隈では珍しいことではないが、何かとモブキャラの声に既視感を感じてしまう。特に多いのが妻とシロクマ。~
双方特徴のある声質のため、余計にそう感じること請け合い。

-決め台詞がキャラによっては棒読みだったりするため、緊張感のあるシーンに水を差す。

**総評
完成度の高いシナリオにより、本作は2ちゃんねるのエロゲー業界板の人気投票において&bold(){最多優秀部門および人気1位}を獲得した。~
非公式かつネット投票によるものなので、萌えゲーアワードのようなものに比べると賞歴と呼べるものではないが、~
厳正なるルールに則ったものなので、信ぴょう性に関しては保障できる評価といえよう。~
冒頭にも記載したが、本作の魅力はパッケージの第一印象と、中身のギャップが大きく関わっていることが含まれる。~
本作をクリアーした人は、もう一度パッケージ表紙を見てみることをオススメする。~
興味がある人は、既に過去の記憶となっているはずの「卒業」という人生の過渡期を、本作で思い返してみてはどうだろうか。

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**移植・再販
-2017年3月23日にプレイステーション・ヴィータ、2019年12月19日にプレイステーション4で発売。
また2023年6月29日にNintendo Switch版も発売予定。
--移植を担当したのはエンターグラム。

-2022年12月23日に『はつゆきさくら10周年アニバーサリーエディション』が発売。
--ゲーム内容に変更はなく、新規ASMR音声などが同梱されている。