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カイザーナックル - (2017/04/12 (水) 11:49:21) のソース

*カイザーナックル
【かいざーなっくる】
|ジャンル|対戦格闘アクション|#image2(genesama.png,title=どう考えても無理…(泣))|
|対応機種|アーケード(F3システム)|~|
|販売・開発元|タイトー|~|
|稼動開始日|1994年|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|''I'm a perfect soldier!''&br;格闘ゲーム史上最強最悪のラスボス&br;中ボスと表ボスも鬼畜&br;そもそもCPU戦自体が凶悪&br;BGMや一部EDは好評、対戦バランスも悪くはない|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
格闘ゲームブームの頃に出た作品のひとつ。身も蓋もない言い方をすればタイトー版[[ストII>ストリートファイターII]]((実際、「和也」のキャラ設定(空手使いの主人公で、女にモテたいのが参戦理由)やエンディング、ジェネラルの件などストIIのパロディ・オマージュを意識して作られたのは事実だったようだ。))。~
当時はそれほど注目された作品ではなかったが、後に時代が進みインターネットが普及すると、本作に秘められた「''格闘ゲーム史上最強のラスボス''・ジェネラル」の存在が本作の知名度を上げる要因となる。

**特徴
-基本的なルールやシステムはほぼストII同様。ストIIと同じく弱中強のパンチ・キックの6ボタン制である。
--だが、本作ではパンチ同士・またはキック同士で2~3ボタン同時押しを行うことで、強攻撃より上の「超攻撃」「激攻撃」が存在するというなんちゃって10ボタン制。本作の特徴的な部分の一つ。

-パワーゲージ的なシステムとして「クラッシュゲージ」がある。
--ダメージを受ける度に溜まっていき、満タンになると必殺技を当てた時に画面全体に渡る派手なエフェクトと共に必殺技の威力がUPする(必殺技を当てるとゲージが空になる)。
---クラッシュゲージMAX必殺技を当てると、初回でエネルギーフィールド(地面のモヤモヤや電撃・炎などで表現される)が出現。各キャラごとに対応する必殺技が1種類以上あり、それをエネルギーフィールド上で出すと普段と見た目・威力・性質の異なる技が出せる。背景が徐々に崩壊していくという効果もある。
--いわゆる超必殺技、「最終奥義」は体力が減った時に使用可能。こういった大技の要素ははSNK式に近い。

-風変わりな点としては、2本取った時の勝利後のボーナススコア表示画面で「診断結果」という項目がある。
--戦い方の評価のようなもの。一見スロット形式のランダムに見えるが、実はちゃんと傾向があり、弱い攻撃を多く当てて倒すと「絶対安静」などの軽い結果が、強い攻撃を決めて倒すと「''即死''」などと悲惨な結果が出やすくなる。

-キャラクターは9人+CPU専用キャラが3人の12人。
--キャラクターデザインは主にアニメ方面で活躍している結城信輝。他の格ゲーと比べるとアニメっぽい軽いタッチのキャラクターが多い。

-BGMは『[[メタルブラック]]』で知られるZUNTATAのYack.氏が担当。
--ちなみにプレイヤーキャラクターの一人「マルコ」(異常に発達した肉体を持つ人造人間だが精神は赤ちゃんレベルで言葉は喋れない)はZUNTATAのOGR氏が声優を務めている。

**評価点
-一癖も二癖もあるキャラ
--「女の子にモテたいがため空手を始めた大学生(和也)」「サンバダンサーを目指す少女(ライザ)」「本物の忍者の血筋を引くにも関わらずバイトでスタントマンを努める忍者(月光)」等、特徴的なキャラばかり。「行方不明の親を探す居合い道場の娘(梨花)」「恋人を救う為に戦う暴走族のリーダー(バーツ)」はまだまともな方。

-豪華な声優陣
--主人公の和也役の矢尾一樹((「やってやるぜ!!」「ダンクーガ(技名)」と叫ぶなど声優ネタがある。))をはじめ島津冴子や置鮎龍太郎など、当時の格闘ゲームとしてはなかなか豪華な声優陣を使っている。

-ZUNTATAらしい良質なBGM
--演出としての要素としては申し分のないクオリティ。後述するジェネラル戦のBGMが特に分かりやすく、~
対戦開始前の演出にて静かで重い雰囲気の環境音風から始まり、試合開始でメロディが流れBGMが盛り上がっていく…~
が、実はその曲の1ループは短いため「プレイヤーが瞬殺されてもBGMを1ループは聞ける」というニクい設計になっている。

-真のラスボスであるジェネラルも、そのキャラクター自体はなかなか評価されている。外見はまさしく格ゲーのラスボスらしい悪役然とした姿ではあるが、性格は意外にも紳士的なのだ。
--午後のティータイムをどのような状況下でも欠かさず取る習慣を持つ他、プレイヤーキャラの一人である人造人間のマルコで見事EDを迎えると、彼の願いである「''人間になりたい''」という夢を密かに叶える人格者としての一面を見せるなど、ただの悪人では無いことが事が判明する((尤も戦闘用人造人間を作る組織の幹部だし、現実の正規軍でも人道は(ry))。~
人間になったマルコと教育係の女性科学者を、窓際から眺めているジェネラルと科学者の会話シーンに於けるジェネラルの台詞に「''たまには良いではないか。夢、憧れ、それらを手にするための努力を彼はしたんだ。怪物が人間になる? ふっ・・・子供じみたおとぎ話だ。だがこんな世の中、おとぎ話が現実になってもいいとは・・・思わないかね? 大体、お前こそ、そうするつもりで男の子のクローン体など用意したのではないか?''」という会話をしており、懐の深さが垣間見える。
--その他トーク力にも優れているキャラとして有名であり、例を挙げると
---「''I'm a perfect soldier''」
---「''女性の身で戦いとは、感心しませんな。近頃の女性はやんちゃで困る。''」
---「''この辺で引き揚げさせて貰うよ。私も少々疲れたし、そろそろティータイムなのでね!''」
---と、余裕過ぎる台詞((男キャラに勝った場合、結構酷いけなし方をしていたりもするが…。))がジェネラルの存在感を強める要素となっている。
--プレイヤーキャラ達(+中ボスたちも)の大会参戦理由はジェネラルへの復讐などではなく、ほぼ全員「ある個々の目的があり、そのために優勝賞金1000万ドルが欲しい」というもの。要するにジェネラル本人への恨みは特にないこともこれに拍車をかけている。((主人公の和也に至っては「ヒマつぶし+女にモテたい」という煩悩真っ盛りな理由での参戦である。最もこれがジェネラルにはお冠だった節があるが))

**問題点
***ゲームバランスの問題
''CPU戦そのものの難易度が高すぎる。''
-比較的序盤のCPUでも当たり前のように超反応や凶悪なアルゴリズムを持ち、迂闊に攻撃を振ると簡単に潰され反撃される。
--そのためパターンを構築は必須、苦手なキャラとは前半のうちに戦う、など対策をしっかり立てないとまず先に進むことすら難しい。
---CPU戦では最初の対戦相手を選べるが、CPU梨花は一人目の対戦相手に選択するのが定石とされる。~
後半に出てきてしまうと、極めて高い頻度でこちらの攻撃に合わせて無敵必殺技の「居合斬」を出し、カウンターしてくるため手がつけられなくなる。梨花は飛び道具を持っていないため、隙を作るような動きをしにくいのも一因。

''CPU専用の凶悪キャラ''
-プレイヤーとして使えるキャラクター9人(同キャラ戦含む)全員を倒すと登場するのが、中ボスの''ゴンザレス''と表最終ボスの''アステカ''。
--ゴンザレスは、先ほど挙げた『ストII』で例えると''超強化されたザンギエフ''。プレイヤーキャラの通常技が何も届かない間合いからでも吸い込めるという、格闘ゲーム史上最大級の投げ間合いを持っており(通常投げでも画面半分ほどという常識外れっぷり)、スキを見せれば即座に投げてくる。その上ガードしても不利になる無敵移動兼攻撃技も持っている。
--アステカは、同じ例えをするなら''超速化されたバルログ+ブランカ''。攻撃速度が異常に速く、見切るのが非常に難しい。リーチも長く必殺技も高性能。凶悪だが、中ボスのゴンザレスよりは有情との声が強い。
--この二人が凶悪に強く、真ボス・ジェネラルに会う前の高い高い壁となっている。チートで使うとジェネラルに圧勝できるレベル。
--この二人も含め、ノーコンティニューかつ6回以上の2本ストレートボーナスを取っている状態でアステカを倒すと登場するのが…ある意味伝説となっている真のラスボス、''ジェネラル''である。
---ちなみにアステカを倒す前に対戦を1回でもしていた場合、条件を満たしてもジェネラルは出なくなってしまう。

***最強の尖兵・ジェネラル
まずは各種技の性能を一覧にして紹介する。
|飛び道具|一度に前、斜め、上の3方向に分身を発射する(前のみのものもあるが)。&brジャンプでよけられない上、こちらの飛び道具で相殺といったことはできず、一方的に貫通される。&br隙は非常に少なく、飛び道具→歩いて追撃、が連続ヒットするほど。|
|スライディング|ガードしても3回連続ガードさせられるうえ、相手の方が有利なため反撃不可。&brモーションは非常に素早く、画面半分以上を平気で滑ってくる。&br攻撃判定も滅茶苦茶強く、連発されるだけでも脱出困難。|
|ワープ|発動直後から移動終了まで完全無敵の前方移動技。終わり際に攻撃を重ねてもガードされる。&br技モーション全体が短く、反応して技を出すことさえ難しいほど。|
|投げ|ゴンザレスほどではないが、投げ間合いがかなり広い。大抵のキャラの足払いの範囲外からでも投げられる。|
|通常技|攻撃力・リーチ・発生・隙、どれも非常に優秀。強攻撃でも小技並みの振りの速さ。|
|基本性能|攻撃力・防御力・機動力、どれもとっても平均以上。ジャンプスピードも速く、咄嗟に対空技を出すのは困難。|
|超反応|ラスボスだけあり、CPUの超反応とアルゴリズムはチート級にまで極まっている。|
|コンボ|永久コンボ、即死連続技、気絶確定コンボをCPUが平気で使ってくる。|

待っても即死、攻めても即死させられる。このように最強と謳われるだけの鬼畜的な強さにより、ジェネラルの体力ゲージは減らすことすら困難なレベルなのである。~
本作ではプレイアブルキャラの性能がボスに比べて高いとは言えないため、更に難易度が高くなっている。~
唯一の攻略法は「''タイミングよく起き上がりに足払いを重ねる''」であるものの、タイミングがシビアであり難しい。勝率が少し高くなる程度である。ジェネラルを倒した動画が動画サイトでUPされていることから、「あながちクリア不可能ではなく、練習すれば撃破可能である」とする声はなくもないが。~
「''武龍''」なら「''強龍気斬''」の空振りからの足払い奇襲で、他のキャラよりは比較的簡単に打開可能であることが判明している。

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**総評
ただでさえ高い難易度、凶悪な中ボス2人組、さらに極悪なラスボスの存在などにより、極めてクリアが困難なゲームとして一部で恐れられている作品であり、その凄まじい難易度で格闘ゲーム史にその名を刻んだタイトルである。~
ただし、ジェネラルやゴンザレスは知っているがゲームのタイトルは知らないという人も多い他、タイトルまでは知っていても主人公キャラの名前である「和也」の名前を知っている人は少ない。(下手をすると梨花の方が有名なレベル)~
この事実から、本来の対戦シーンを盛り上げた存在には当てはまりにくい作品とされる。

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**余談
-ジェネラルの強さについては様々な伝説・逸話が存在する。
--仕様書に「好きにして」と書いてあったのでプログラマーが好きにしたら慈悲の欠片もない凶悪な性能になった。飛び道具の隙が全然ないのは、モーションを設定するのが面倒だったため(元スタッフが個人的に立ち上げていたHP『KK MANIAX』より転載。現在は閉鎖)だという。
--ジェネラルのモデルは後に当事者が、『ストII』のベガを参考にした事を暴露している。
>あれはズバリ、ストIIのベガをパクりました(笑)、ベガも軍人でしたし。まあ、あっちは私設軍隊でしたから、こっちは正当な軍人で行こうという感じでした。(HP『KK MANIAX』より)
--かの『ゲーメスト』において攻略を放棄され、「気合いで何とか……」「今後の格ゲーにこんなラスボスが出ませんように」「ジェネラルを倒した人は連絡下さい」などと書かれる事態に。
--メーカーからも「EASY設定で稼動させて下さい」との通達が出た。''だがそれでも強さは相変わらずで、何の解決にもならなかった。''

-雑誌『闘劇魂』の特別企画にてジェネラル撃破に挑戦するというイベントがあった。~
有名プレイヤー「''パチ''」は当日がカイザーナックル初プレイだったにも拘らず、たった数時間の苦闘の末にジェネラル戦まで進出したが、結局最後の最後で地獄を見る羽目になった。「I'm a perfect soldier」「''ホントだよ!!!!''」
--そのジェネラル戦はかろうじて1発ダメージを与え、ストレートパーフェクト負けを逃れるのがやっとという惨敗ぶりだが、~
ゲーム自体の難易度の高さから初プレイ数時間でジェネラル戦まで行けた事、そして初見のジェネラル戦2ラウンド中で1発でもダメージを与えた事を賞賛する声もある。

//一部真偽不明。

-2008年に稼働した『すっごい!アルカナハート2』の隠しボス「パラセ・ルシア」は、その極悪な強さから「ジェネラルの再来」と言われた。((とは言え、すっごい!でのパラセは高レベル設定でさえなければ何回か戦えば勝てない敵ではない。ただし、容赦ない反応難の中下段コンボがあったり、高レベルだと体力MAXでも状況次第で即死のコンボを放ってくる。また、同3の家庭用版とその逆移植調整版のLOVEMAX!!!以降では文字通り再来レベルの強さに引き上げられた))
-一定条件を満たすと、梨花の''パンチラ''を拝むことができる。((梨花同キャラで対戦時、ファイナルラウンドにて残りタイムが一定以下の時に超必殺技の真空旋を放つと1/8程度の確率で見れる。))

**続編等
-一応、続編を匂わせる終わり方となっていた。
--ジェネラルを倒すと、背景の巨大モニターに謎の人物のシルエットが映り、「フッ…驚いたな。ジェネラルを倒すとは。今回はこれで手を引こう。だが忘れるな。''奴は尖兵にすぎん。''我々の力はこんな物ではないということをな。」という驚愕の台詞が流れる。
---しかし、次回作がお蔵入りしてしまったことから「黒幕自身が性能を上げようとしたら失敗し自滅した」とネタにされている。

-難易度を下げた『カイザーナックルEX』、マイナーアップ版の『断仇牙』がロケテストされたが、本作の鬼畜難易度ぶりが祟ったかどちらもインカムが上がらずお蔵入りに。結局続編が出ることはなかった。
--タイトー直営のゲームセンター(秋葉原のHEY)など、古典タイトルを扱うことが多い店舗ではそれらのロケテスト版がひっそりと稼働していることもある。
--『断仇牙』ではゴンザレス・アステカが性能を抑えられプレイアブル化、そしてジェネラルも大幅に弱体化されている。ジャンプスピードが大幅に遅くなり、勝手に飛び込んでくることが多くなったので対空処理できれば楽。

-本来の続編(カイザーナックル2)として企画されていたものが、途中で大幅に方向転換され、後の『[[サイキックフォース]]』の原型となった。スタッフも同じ。
-使われているBGMの一つ「SPLENDOR(バーツのテーマ)」が、アーケード版の『太鼓の達人11』に収録された。個人差が出やすいものの、最高難易度の「おに」で☆8(最高☆10)と、相当手心が入った難易度となっている。
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