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Fate/EXTRA CCC - (2017/05/14 (日) 22:26:46) のソース

*Fate/EXTRA CCC
【ふぇいと/えくすとら しーしーしー】
|ジャンル|対戦型ダンジョンRPG|&amazon(B00BMIXNSK)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売元|マーベラスAQL|~|
|開発元|TYPE-MOON、イメージエポック|~|
|発売日|2013年3月28日|~|
|定価|通常版:6,279円 / ヴァージンホワイトボックス:10,479円|~|
|廉価版|PSP the Best/2014年1月30日/ 3,065円|~|
|レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|システム・演出は前作からの正統進化&br()前作シナリオの不完全燃焼・キャラの掘り下げを痒いところまで届かせた&br()ストーリーはやや前作プレイ済み前提&br()''続・ラスボス(裏)が色んな意味で危ない''|~|
|>|>|CENTER:''[[Fateシリーズ関連作品リンク>Fateシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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*概要
『[[Fate/EXTRA]]』の外伝的続編。~
前作はFateシリーズ本編とかなり血色の違う番外編ということもあり色々と賛否が分かれたが、概ね好意でFateシリーズファンに受け入れられた。~

作品のテーマは「少女の情念、そしてエロス」。~
そのためなのか、対象年齢がCERO:D(17歳以上対象)となっている(前作はCERO:B)。~
また「桜」が物語の鍵となっており、前作にも登場した『[[Fate/stay night]]』からのキャラクター「間桐桜」がキーパーソンとなっている。~

主題歌は分島花音の「サクラメイキュウ」。~
そして本作では「魔法少女まどか☆マギカ」「化物語」で有名なシャフトが担当したオープニングアニメが収録される。制作監督は新房昭之。~
選択した主人公の性別によってオープニングアニメのVer.が変化する。~

前作データ引き継ぎ特典として、主人公のコスチュームに「体操服」が手に入る(男女でデザイン変化あり)。

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*ストーリー
電脳世界における聖杯戦争は終わりを告げたはずだった。~
"桜"がカギを握る、書き換えられたもう一つの電脳世界の物語、淫靡で妖艶な物語が、いま幕を開ける。~
~
物語の舞台は前作同様、月の聖杯が創り上げた霊子虚構世界「SE.RA.PH(セラフ)」。~
しかし今作では、霊子コンピュータのエラーによって世界そのものの在り方が変異。~
主人公達は、書き換えられた電脳世界の謎を解くために戦いに身を投じていく。~

#region(一部キャラクター簡易紹介)
:''主人公(男/女)''|私立月海原学園に通う生徒。2年A組に在籍している(男・女いずれかの性別を選択。)&br()今回は名前入力時のセレクトボタンでデフォルトネーム有り。前作コミカライズ版からの逆輸入で「岸波白野」(男女共通)。ニックネームは男で「キシナミ」、女で「はくのん」となる。

:''セイバー''|難易度:スタンダード。剣士のサーヴァント。最も優れていると言われるクラスの名に恥じない、バランスのよい戦闘力をもつ。その態度はまさに唯我独尊。
:''アーチャー''|難易度:テクニカル。弓兵のサーヴァント。基本能力はさほど高くないが、投影能力でスキルを強化して戦う。皮肉屋で徹底した現実主義者。
:''キャスター''|難易度:マニアック。魔術師のサーヴァント。魔力に特化したクラスで、正面対決ではサーヴァント中最弱と言われている。毒舌だが、主人公には忠節を誓っている。

:''ギルガメッシュ''|難易度:チート。名を隠さない金色のサーヴァントで、無限の武器で敵を圧倒する実力の持ち主。能力に裏付けされた自信に満ちている。

:''間桐桜''|月海原学園に通う1年生で、保健係の少女。
#endregion
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*評価点
''EXTRAの補完''
-前作は諸事情によりTYPE-MOONのメインライターたる奈須きのこ氏はあくまでシナリオ監修という立場だったが、内部で色々あったのか発売目前にしてシナリオ担当となる(結果発売予定日から大幅の延長となった)。その結果色々と奈須氏としても納得いく修正が出来なかったらしく、その不満はプレイしたファン側でも如実であった。
--今作は最初からシナリオを奈須氏が担当。そして外伝という位置づけの通り、前作本編の合間に起こった出来事という時間軸のなかにて展開される。

-Fateシリーズ原典である『Fate/staynight』のメインヒロインの一人であった間桐桜はEXTRAでも登場していたが、そちらでの役割はほぼ端役同然であり、ボイスも無く、はっきりいってあまり良い待遇ではなかった。だが、今回その立場はCCCの真のヒロインと言って間違いない大役へと躍進を遂げた。
--それでいて、かねてから「腹黒い」「報われない」「暴走ネタキャラ」と二次創作は勿論公式からもあまり良い扱いでなかった彼女であるが、今回はその「純真さ」「一途な良い子」っぷりが実に際立っている。旧来からの彼女のファンにはとても好評となった。
---ちなみに「腹黒い」「報われない」「暴走ネタキャラ」に該当する、桜と非常に密接に関わるキャラも本作では登場している。

-前作からのファンの強い要望であった「パートナーのサーヴァントともっと親密な関係になりたい・触れ合いたい」というものは勿論きっちり叶えられている。~
これによりサーヴァントの背景の掘り下げはより深くされ、またとても親密な関係となるイベント・各自EDなども用意された。

-テーマ的にも女性キャラがクローズアップされる事の多い本作だが、前作では詳しい描写のないままに死んでいった男性キャラの考えや信念なども掘り下げられており、本作ではきちんと見せ場が用意されている。完全な脇役はいないと言って良いレベル。
--見せ場らしい見せ場という意味では、むしろ男性キャラの方が印象深いほどである。
--前作からある程度出番の多かったキャラに関してもコミカルな人間臭さがクローズアップされたりしている。

''四人目のサーヴァント、ギルガメッシュ参戦''
-発売前からファンの目を引いた要素の一つ。それがstay nightからのキャラクター「ギルガメッシュ」を自分のサーヴァントとして使えるということである。
--「事実上最強のサーヴァント」として名高く、加えて基本的に悪役側のボスを務めてきた彼をまさか味方側で見ることができるとあり、その話題性はとても高かった。
--唯一前作からいたサーヴァントではないということもあり、彼だけシナリオもところどころ変更され、前作のプレイヤーにとって新鮮味がありながら違和感が少ないという配慮になっている。
---ただしその変化部分がかなりクリティカルな知識を前提としていることもあり、一周目で選択するのは非推奨。ゲーム中では触れられないが、公式のインタビューではスタッフが「二周目以降の選択」を勧めている。「チート」の評価は難易度というよりストーリーによるものといっていい。

''ダンジョン探索・戦闘の正統進化''
-前作ではダンジョン(アリーナ)内でセーブ不可で、加えてダンジョンから一度出たらシナリオが勝手に進んでしまいもう前のダンジョンフロアには行けないという、一方通行かつあまり油断の出来ないシステムであり、長時間のレベル上げや探索がワンミスの死亡により泡と消えるというシビアさであった。
--このシビアさが良いという意見もあるにはあったが、やはり不満の方が多かったようで今作では変更されている。
---各フロアに全回復ポイントが設置され、それがセーブポイントも兼ねるようになった。これにより事故死の心配は格段に減った。
--クリアしたフロアも後日また行けるようになった。これにより探索の見落としが尾を引くことはなくなった。
---ただし一回目の探索ではとれなかったアイテムがそのフロアクリア時にとれるようになったのに勝手に帰還してしまうという状態が今作からある。分かっているのにその時とりに行けず一部とりに戻らなくてはならないという面倒さも出来てしまった。
-前作で出来なかった雑魚からの逃走も可能になっているが、手順が開示されていけばほぼ使われなくなる。

-やや戦闘の演出が地味とされていたが、それらも順当なイメージで強化された。
--サーヴァントの台詞以外どちらも同じだった完封時のEXTRAターン演出は一回目(3ターン目)と二回目(6ターン目)で違いが出来、各アタック・ガード・ブレイクのアクションやセリフもターン数に応じて色々とバリエーションが増えた。
--一部別技なのに動きがまったく同じと指摘されたセイバーのスキル技や設定の割には技のレパートリーが少ないというアーチャーだったが、各スキル演出の強化・差別化や技の増加等により、それらはそこそこ改善された。

-前作では全回復ポイントがあるか否かという程度の違いだった難易度設定だったが、今作では行動パターンの開示数・アイテムの入手率の上がるSWEET/従来通りのNORMAL/敵の体力・攻撃力が上がるMANIACの三段階に設定されあt。この為初回がよりプレイしやすくなった他、周回プレイ時それなりにやりごたえが出来た。

-戦闘のコマンド選択にはオート選択も可能。選択すると開示されている行動に対して勝てる手をを、不明な手に対してはランダムな手を設定する。
--レベルが低く敵の行動パターンが開示されていない内はある意味バクチ行為でしかないが、レベルが十分ある時点でのの雑魚戦での手間は格段に減った。

''コスチュームチェンジ''
-主人公とパートナーのサーヴァントの衣装にレパートリーが出来、マイルームのクローゼットで着せ替えが出来るようになった。
--サーヴァントは大きく分けて「今作での衣装」「前作での衣装(ギルガメッシュ以外)」「現代風衣装」「水着」「最終決戦用の衣装」と四~五種類。
--主人公は「今作での衣装」「前作での衣装」「水着(一周目クリア後入手)」、そして前述の前作引き継ぎ特典の「体操服」。更にカラー変更出来る「眼鏡」と、「手袋(男)」「靴下(女)」のアクセサリー付となっている。
---これらを着せ替えることで視覚的にも周回プレイに飽きが来にくくなった(シリアスなシーンで水着姿というセルフムードブレイカーな事も可能)。

''やりこみ要素''
-ラスボスはルート分岐により二体存在しており、やり込み甲斐が増した。
-隠しボスも三体に増え、それらは自分のサーヴァントにより相手とやりとりが変化したりする為、毎回新鮮味が沸く。
-レベルを上げたサーヴァントのレベル引き継ぎが二周目より行われるようになった。前作ではレベル1からのやり直しであった為、必然これも嬉しい。
-数は多くないがCG閲覧モードも搭載されており、EDのCGも引継ぎ可能。

''男女主人公とサーヴァントのシナリオの多彩分岐''
-主人公の性別や選択したサーヴァントによるキャラクター達の受け答えや主人公自身の反応に差異が増えた。
--前作では女主人公は男主人公の流用感が強く、あまり女の子扱いされているとは言い難かった(今作でも作中で「男らしい」と呼ばれたり女子とデートする作戦をやらされたりするが)。
---しかし今作では女主人公によるシナリオ内の変更が大幅に増えた。女の子らしい恥じらいやときめきをしたり、特定のサーヴァントと組み合わせるとシナリオの変更が如実になったりする。
--前作からのサーヴァントの一人であるセイバーは性別に区別なく人を愛するキャラであり、それもあってか主人公がどちらの性別だろうがシナリオや台詞的にはアーチャーやキャスターに比べると差異が殆ど無かったが、今作では男女で台詞に結構差異があり周回で違いを楽しめる。
-上記でも述べたが各サーヴァントでのグッドエンディングがそれぞれ用意されており、加えてもう一つそれらとは別の、トゥルーエンドが存在するという豪華さ。
--ちなみにそれぞれのボスイベントの敗死時に戦闘リトライしなかった時のバッドエンドも用意されており、これらも結構凝っている(これは前作からだが)。
--上記EDに該当しないノーマルエンドも存在し、これが前作のエンディングに当てはまる内容となる。
---といっても各サーヴァントエンドのイベント部分を取り除いた簡素なものである。元々前作があまり救われない結末だったことが原因か。

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*賛否両論点
''より「TYPE-MOON」的なシナリオ''
-前作のシナリオは、別のライターが執筆したものを奈須氏が書きなおしたものであるため、粗こそ多いものの比較的万人向けのシナリオであった。
-今作のシナリオは奈須きのこ氏が最初から執筆しているため、粗は少なく出来は良いのだが、その一方でより''TYPE-MOONファン向け''とでも言うべき、癖の強いシナリオになっている。

-一部にギャグ要素が強い。
--特に序盤(第1章~第2章)に関してはかなりキツいレベルのキャラ崩壊がメインとなる。
#region
---第1章、第2章の顔は前作でマスター側として主人公の協力者となった遠坂凛とラニ=VIII。仮にも主人公とパートナーサーヴァント以外でいい感じの関係を築いたこの二名(特に凛はFateシリーズ通してのヒロイン)の扱いがのっけからこれである。ヒロインが続編や外伝でネタキャラ化するのはTYPE-MOONではよくあること((月姫の琥珀や弓塚さつき、メルティブラッドの白レンなどなど。))なのでこれに馴染んでいる濃いファンには気にならないが、馴染みのないライト層の一部やそういった作風をよく思わないファンからは疑問があがった。
#endregion
--第4章終了後にドシリアスな間章が入るのだが、直後の第5章前半もギャグ全開。盛り上がった心が一気に盛り下がるプレイヤーも。こちらは上ほどキャラ崩壊はしていないが。
--パートナーの一人・キャスターの最後に覚える新追加技が''完全にギャグ''な点はついていけない者も。
---主人公に告白しながらだが((台詞はコミカルではあるが、演出は格好良いため雰囲気を崩しすぎていない。))凛々しく攻撃する技のセイバー、stay nightからのファンには嬉しいサプライズ技であるアーチャー、本編の地上が舞台ではとても全力の表現が出来なかった分月の電脳世界で遠慮なく技を振るうギルガメッシュ等と違い、彼女のはもうシリアスの欠片もない。
---あろうことか魔術師のクラスの彼女なのに''物理技''である。前作から伏線があったネタの技で彼女らしいといえばらしいスキルなのだが、シリアスな戦闘中に放てば緊迫感は完全崩壊である。しかも強い。
---確かにキャスターはメタなギャグも自重しないキャラであるが、決める所ではシリアスに決めてくれるキャラでもある。だが戦闘中の技には、そのような「決め所」に合わせた配慮などない((自粛すれば良いのだが、ゲーム的にとても苦労する羽目になる。))。

-逆に、一部シナリオはとても暗い。
--元々Fateシリーズ全体がシリアスで多かれ少なかれ悲愴感があるシナリオなのも関係していると思われるが、本作でもちょっと後味の悪さを感じさせる箇所が多々ある。
--最後まで生き残れないキャラも敵味方双方に存在する。それでもそれぞれ見せ場が存在したり、何かしらの救いがあったりするのは幸いか。

-「迷宮を進むためには敵に回ったヒロインの隠しておきたい秘密を暴き立てていく必要がある」と言う趣旨は、若干悪趣味で好みが分かれる。
--また、そのヒロインを撃破した際には言葉責めによって完全に心を折り、成功するとヒロインのエロティックなイラストを見る事が出来る……と言うまるで脱衣麻雀のようなイベントがある。ギャグシナリオの後はともかく、シリアスなシナリオの後にも容赦なくこのイベントが挿入され、せっかくの盛り上がりが薄れてしまう事も。
---「エロが燃えを削ぐ」と言うのはある意味Fateの伝統ではあるが、そんな所を引き継いでどうするのか。
---物語が進むにつれて、言葉責めパートもシリアスになってはいく。が、全体がシリアスになるのではなく、序盤はギャグの流れで容赦なく笑わせに来るのに、選択肢をひとつ越えるごとに急激に雰囲気が重くなっていくという形である。後半では最後の最後で誤った選択肢を選ぶと、ヒロインが逆上し一気にゲームオーバーになる(3点のライフが一度に全て消し飛ぶ)事も。そしてエロはそのまま。

-ストーリー上のボスキャラクターのうち、約1名とラスボスを除くと、作中同一、もしくは容姿が類似したキャラクターと複数回戦闘することになる。そのうち三人はBBとアルターエゴと言って、内面に違いはあるものの同じ顔をしている。
--幾度もの戦闘を経て性格や背景まで丁寧に掘り下げられている反面、キャラを何度も使いまわしていると感じるプレイヤーも。

-ここまでを総括すると、ギャグとシリアスの間で上げて落としてを繰り返す流れが多いと言える。これが本当に好みが分かれる。
--Fateシリーズにおいても「hollow ataraxia」が同様の構造(コメディ主体の中に、おもむろにシリアスなイベントが入る)をしていたが、ここまで落差が強烈ではなかった。~
本作は''キャラ崩壊級のギャグ''と''悲劇的な展開''が同じ章に(場合によっては''同じイベントに'')混在する。ギャップを狙っているのだろうが、あまりに緩急が付き過ぎてついていけない所も。

-「きのこ節」とも言われる癖の強い文章・シナリオ
--例えば、似た台詞を3回(あるいはそれ以上)繰り返すシーンが非常に多い。「言う事を聞きなさい。聞いて。聞けってば!」と言った具合。
---他の奈須きのこ作品でも多い文章だが、その多くは地の文であるため違和感は少ない。本作ではその形式上、地の文よりキャラクターの台詞が多いので、皆が皆不自然な繰り返しを口にするため、違和感が若干強い。
--前作が万人向けストーリーということで主人公のキャラクターも極力無個性で思考も比較的常識人…といった印象だったのだが、今作ではその個性が爆発しまくっている。
---特に中盤の脅威の精神力と行動力は最早プレイヤーの感情移入がちょっとついていけなくなるレベルに至る。TYPE-MOONの主人公らしくなったといえばそうなのだが。
--新キャラの行動や性格、イベント等に関しても、割とひねくれていたり、理屈じみていたりする事が多い。~
同じ奈須きのこ作品でも、「stay night」等と比べてかなり癖が強く、馴染めない人にとっては本当に馴染めない。「何故そんな行動を取るのか分からない」「何故そんな事を考えるのか理解出来ない」などと一度感じてしまうと、シナリオを楽しみにくい。~
特に重要キャラであるBBやアルターエゴなどは、非常にアクが強く好みが別れる性格にも関わらず、シナリオ(特に真ルート)において、強く感情移入を求める立ち位置に置かれている。

-総じて、''好きな人にとってはとても面白いが、苦手な人は最後まで馴染めない''、と言うシナリオになっている。~
もちろん、「それが良い」と言うプレイヤーも少なくないので、完全に問題点と断言してしまうことは不可能である。

''エンディングの分岐''
-それぞれ別個に幸せなエンディングが存在するとはいえ、''サーヴァントと間桐桜の両方を同時に幸せにする事は不可能''。最終的にはそのどちらかを選ぶ必要がある。
--さらに言えば、前作ヒロインである凛やラニへのエンディングは実質存在しない(一応、フラグ不成立時の通常エンドが前作ストーリーへと戻る内容なので、その先に前作エンディングが待っているとは言える)。

''裏ラスボスのヤバさ''
-表のラスボスもそれなりに少女の情念の恐怖やらなんやらを感じさせる者だが、''裏のラスボスはそんな生易しい奴ではない。''
--テーマのもう一つ「エロス」を突き詰め体現したに相応しい、淫靡で妖艶な立ち居振る舞いとラスボスとしての技の数々。冗談抜きで、''外でこのゲームをやるなら周囲に、家でも背後に誰もいないことを確認したうえで、裏ラスボス戦をやったほうがいい。''
---最終技である宝具についてはまさにこの為のCERO:Dと言っていい。作中のキャラの台詞曰く「最低最悪の宝具」。言いえて妙と多くのプレイヤーが共感したという。
--裏ラスボスの声優の熱演もあり、そのキャラクター性は大成功であるが、ある意味ドン引きものともいえるレベルである。

''成長システム''
-前作ではレベルアップ時に入手したポイントを筋力・魔力…等に振り分けるシステムがあったが、今作ではそのシステムは廃止され、能力値は自動成長のみとなった。
--前作では(特にセイバーにおいて)筋力優先強化が強すぎたりした他、キャスターの筋力を育てないと雑魚戦がどうしようもなかったりと、ポイント振り分け自体が正直上手く機能していたとは言えなかった。
---その為、なくなっても別に気にしないプレイヤーも多く、実際、今作は自動成長のみできちんとクリアできるゲームバランスになっている。
---反面、何かに特化して成長させる楽しみ等がなくなった為、成長システムは残して欲しかったと言う声も。

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*問題点
''前作未プレイ者への配慮の中途半端さ''
-続編にして外伝である本作だが、シナリオは『前作のキャラクター達がほぼ続投し時間軸も前作の真っ只中に起きた出来事』ということもあり、前作の中盤までのストーリー情報を持っていないとかなり置いてけぼりにされる。
--主人公やそのサーヴァントは勿論、前作キャラクター達も前作での記憶が事情により一部を除きおぼろげである……と言う設定で、ある程度未プレイ者への配慮が伺えるのだが、その配慮はあまりに中途半端。はっきり言うといきなり今作からプレイすることはお勧めできない。
---「会話やシナリオは前作の内容を前提としているが、その内容は詳しく語られない」「キャラは思わせぶりに思い出すが、プレイヤーに対する説明は一切無し」と言ったシーンが非常に多い。一部のキャラの動機や行動は前作の内容を前提としているため、前作のストーリーを知らないと「このキャラはなぜこんな事をしているのか」「このキャラは一体何を言っているのか」と言う疑問が尽きない。
---その一方、「ネタバレ配慮しているっぽいが、バレバレで全く無意味」と言うシーンも多い。例えば、本作ではネタバレを避けるためか、味方・敵を問わず前作から登場したサーヴァントの真名は(時々一人称で思いっきり言っちゃっているキャスターと前作同様最初から名乗っているガウェインを除き)最後まで一切明かされず、それについての会話は全体的にぼかして語られる。が、宝具やプロフィールが思いっきり開示されて正体がバレバレとなるため、配慮の意味を為していない。
---今回新規参戦のギルガメッシュを除く、前作からの使役サーヴァント三人の主人公へのいきなりの好感度の高さも、前作未プレイ者にとってはちょっとついていけないかもしれない。
--逆に前作プレイ済のプレイヤーからすると、未プレイ者への配慮のせいで不自然に語られない部分が有るため少しモヤモヤする。
---「サーヴァントの生前の話」を語りながらも、そこで絶対に名前を出さない、など。
-前作未プレイ者にとっても既プレイ者にとっても、どっちつかずで中途半端になってしまっている。いっそ完全にネタバレを解禁してしまった方が、どちらにとっても親切であっただろう。

''前作プレイヤーにとっての物足りなさ''
-前作に登場した多くのキャラクターが本作でも登場するのだが、登場しないキャラも結構いる。
--魅力的なキャラが多い作品だけに、チョイ役でもいいから出て欲しかったと考えるファンも少なくない。本作は続編であると同時にファンディスク的な要素も強いため、なおの事。
--なお、前作キャラの一部不在の影響から、本作では聖杯戦争における基本7クラスのうち、2クラスが登場しない。また、新規サーヴァント三騎のうち二騎がランサーと、バランスも悪い。

''戦闘における非改善点''
-演出面は、スキルの演出強化や新技追加などを行い多少は良くなっているのだが、改善されていない点も多い。
--前作で問題となった、多段ヒット技における「やられボイス連呼」については、何故か改善されていない。「程度があろう!程度があろう!程度が程、程、てて程度があろう!」「おのれぇ!おのれぇ!おの!お、お、おおおのれぇっ!」と言った間抜けな悲鳴が緊張感を削ぐ。
-システム面は、「オート」と「逃走」の追加、その場リトライの実装のみ。欠点は改善されていない。また、経験値を稼がなければならないので「逃走」を使用する事はまずない。
--その場リトライに関しては「ダンジョン中で死んでもすぐに復帰出来るので面倒さが無くなった」とも「どうせ死んでもすぐ復活出来るので緊張感が無くなった」とも取れる。なるべく死なないように自分で心がければ緊張感を保てるが、判明分以外を適当に行動選択して死んだらやり直し、の方が手間はかからない。
--総じて、「多少問題点は減ったが、ゲームとして面白くはなっていない」と言った所。特に前作プレイヤーにとっては、二作(×周回数分)同じシステムの戦闘をやらされる訳で、飽きも来やすい。

''性別ごとのテキスト差異の微妙さ''
-女主人公にすると、キャラとの関係に不自然さが出てくる。
--男主人公の場合多数の女性キャラクターからの好意が自分に向けられるという「まあギャルゲーとかでよくある光景か」とまだ納得出来るが、それがそのまま女主人公でもほぼ適用されてしまう。
--「王子様」と呼ばれたり、「男同士の会談はやっぱり盛り上がるんですね」と男性陣に含められて言われる女主人公の心境は一応本編でもフォローが入っているが、それでもちょっと解せないものがある。
---単純に「男性主人公の時とあまり反応が変わらない」だけなので、所謂ガールズラブな「''百合ゲー''」っぽさは表面的にしか存在しない。
--女性キャラクターからの好意はさておき男性キャラクターの女主人公への反応はというと、「''人物としては敬愛しているが異性としての好みじゃない''」と全員に遠回しにだがすっぱりシナリオで言われる始末。
---パートナーの男サーヴァントはアーチャーとギルガメッシュがおり、一応好感度は上がっていき恋人のような雰囲気にもなるがアーチャーは「''娘や妹のようなもの''(それを僅かに超える感はあるが)」「''女性なら誰でも優しくする''」なスタンスだったり、ギルガメッシュに至っては「''容姿は好みからかけ離れている''」とここでもすっぱり。乙女ゲー的な何かを期待していたプレイヤーは少し肩透かしを食らった感があった。
---特に、アーチャーの個別エンディングが問題である。詳しい事はネタバレになるので書けないが、結局「アーチャーという存在の彼」を幸せにすることは出来ずに終わる。まして女主人公にしてもまったく甘い終わり方ではない。これには前作からFateを知り、アーチャーとそれなりに甘酸っぱい関係を見せられてきた為本作でそれと同等かそれ以上の何かを期待した女性ファン勢(特に二次創作方面)に賛否両論となった。…これはstay nightから繋がる彼の生き方や思想そのものが幸せになれない原因であるのだが、それでもせめて彼と一緒に未来を歩む主人公が見たかったという意見はある。一方のギルガメッシュはなんだかんだで主人公と明るい未来を進んでいく終わり方なのだが。
-ただし、完全に二人称を差し替えただけにしかなっていない前作よりはマシである。

''周回プレイにおける不親切さ''
-周回プレイに対するやりこみ要素は増えたが、既読スキップなどはプロローグを除き一切なく、サーヴァントの会話部分以外目新しい部分が少なくなりがちで周回プレイに対するモチベーションを保ちにくい。
--会話の高速スキップは可能だが、既読かどうかは構わずスキップしてしまい、注意しないと新サーヴァントを選んだ際の会話変更部分を見逃してしまうため非常に使いづらい。また、会話以外の部分(移動など)はスキップ不可。
---気づいた段階でバックログで文章は確認できるが、ログでは音声は再生されず表情も表示されないとあって、普通に読み進めるのに比べて盛り上がりに欠ける。
--プロローグだけはスキップ可能で、すぐ本編に入れる。他のシナリオにもこの要素を追加してくれれば……。
-戦闘も、周回プレイなどで行動が全て開示された時点で雑魚戦は負けようがなくなり面倒な経験値稼ぎになってしまうが、その作業を怠るとボス戦で勝てない……と言う前作の問題点が改善されていない。これについては、戦闘システムと密接に関わりすぎて改善が難しかったのもあるだろうが。
-ルート分岐に関しても、「もう1つのルートは、通常ルートの途中にイベントが挿入される(ごく一部のシーンとクライマックスのみは変更)」と言う形を取っているため、ルート分岐に関わらないイベントシーンは毎周回ごとに見なくてはならない。
#region(※中程度のネタバレを含むので注意)
-周回プレイにおいて中盤のとあるイベントが非常につらい。
--詳細は伏せるが、普段の歩行速度より遅いスピードでただただひたすら前に歩くだけのイベントがあり、10分近くはただ前に進む必要がある。
---シナリオと初見プレイの上では納得のイベントであり、その直後の展開も含め非常に盛り上がるイベントではあるのだが、シナリオが分かった上でプレイする2週目以降にはただただ退屈な苦痛の時間になってしまっている。
--2週目以降にイベントスキップでもあればまだ良かったのだが…。
#endregion
--周回プレイに関しては、「何周も繰り返していろいろなテキストを読んでいく事が前提」のアドベンチャーゲームの要素が強く、「2周目が有っても、あくまでやり込みレベル」のRPGの要素と噛み合っていない、と言えるかもしれない。実際、2周程度ならばまだ、(上記のネタバレ項目を除いて)そこまで強いストレスを感じるほどではないが、3周、4周と続けるにはあまりに不親切。
--引継ぎに関しても「引き継げるものは全て引き継ぐ」という形式のため、「CCCルートのために選択肢のガイドだけ出したい((CCCルートにおいては所持金の引き継ぎを前提としている分岐部分が存在する。))」、「緊張感を保つために2周目のサーヴァントでもレベルだけリセットしたい」ということは不可能。

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*総評
前作に数多くあった不満点の多くが改善され、ファンにとっては良作と呼べる作品。ただし元々が癖の強い作品であった前作と比べ、ゲーム性が改善された分ストーリー面での癖が相当強くなっている。~
また、きっちりシナリオを理解する為には前作プレイが必須である等、本作のみを初見のプレイヤーには勧め辛い出来である。~
加えて癖が非常に強くなった事もあり、奈須きのこファン以外にはやや敷居の高い作品とされてもやむなしであろう。~

しかし、進化した演出は前作以上の出来であり、シナリオも癖を考えなければ質的には大幅に向上している。~
そのため、奈須きのこの作品が好きなプレイヤーならば強くオススメできる(ただし、出来れば前作プレイ後に)。~

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*余談
-ディレクションを担当した新納一哉は本作の制作途中にイメージエポックを退社、同氏が同社で手がけた最後の作品となった。
-2013年のTYPE-MOON公式サイトでのエイプリルフールネタ「路地裏さつき ヒロイン十二宮編」にてCCCの桜の扱いが触れられているが、そこでも扱いが悪いかのような文面だったため一部で物議を醸した。
--これはライター曰く、シナリオ執筆時期がCCC発売前だったためとのこと。裏を返せばCCCのネタバレに触れていないため、結果オーライだったのかもしれない。%%「どうせ扱い悪いんだろう」と思ってエアプで書いたことにもなってる気がしないでもないが%%
--シナリオライターである奈須きのこは、自身の日記で「まだまだ続く」と記しており続編も期待されてたが、肝心のパートナーであったイメージエポックは倒産という憂き目に。~
だが2016年11月10日、前作EXTRAと本作の発売元であるマーベラスが開発を担った完全続編として、PS4/PS VITAソフト『[[Fate/EXTELLA]]』が発売。~
Fate/EXTRAシリーズの血統は無事受け継がれた。かのように思われたが…
//開発は他のFateシリーズゲームも制作実績のあるマーベラスとのこと。
//シリーズリンクのページ見ても開発はイメエポで、マーベラスは販売となっているので「制作実績のある」とまで言っていいものか分からない。
//そもそも「他のFateシリーズ」といってもEXTRAとCCCしかないのであれば、「EXTRAシリーズ」とかもっと適切な表現があると思う。