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John Romero's DAIKATANA - (2016/05/22 (日) 10:06:54) のソース

//&color(red){''「[[要強化記事>要強化記事一覧]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。''}~
//&color(red){''2015年9月22日までに改善されない場合は削除対応します。''}
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//依頼内容は修正されたようなのでCO 9/22
//「バグと問題だらけのVer1.0が大量に出回った海外における評価が非常に低く、今でも歴代クソゲーランキングに食い込む代表作、ということで「海外ゲーム」に分類。」 との事なので、海外版と日本語版を独立。その上で情報が少ないので日本語版は補足情報へ。 GBCは評価が高いようなので除外。
*大刀 -DAIKATANA-
【だいかたな】~
|ジャンル|ファーストパーソンSTG|CENTER:&amazon(B00009EL8X)画像は日本語Win版|
|対応機種|Windows 98/2000/Me&br;ニンテンドウ64|~|
|発売元|【Win】アイドス・インタラクティブ&br【N64】ケムコ(コトブキシステム)|~|
|開発元|【Win】Ion Storm&br【N64】不明|~|
|発売日|【Win】2000年5月23日&br【N64】2000年4月|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|海外では「ゲームにおける失敗」の代名詞&br;杜撰な計画で開発難航, 気が付いたら時代遅れ&br;役立たずでお荷物の味方, おまけにバグ満載&br;''北米版クソゲーワースト4位''([[参考>http://anotherway.jp/archives/000835.html]])|~|
//GBCをクソゲーとしている文章が無いため、表からはずしてその後の項に移しました。

**概要
『DOOM』、『Quake』という傑作でFPSの基礎を築いたジョン・ロメロが指揮を取った大作(?)FPS。~
ロメロがDOOMのid Softwareを離れION Stormとして独立した後に初めて企画したソフトの一つであり、ロメロのネームバリューもあって、初期から大々的に宣伝されていた。~
だがこんな事になるとは、誰が予想しただろうか…。~
尚、正式なタイトルは「John Romero's DAIKATANA」だが一般的には「DAIKATANA」の呼称が広く使われているため本項もそれに準じている。

**ゲーム内容
-日本人の主人公ヒロ・ミヤモトは時を超える能力を持つ魔剣・大刀(ダイカタナ)によって時空を旅し、過去や未来で同じ大刀による時空改編と世界支配を狙うミシマ一族と戦う。
--ちなみに、ヒロ・ミヤモトのモデルは&bold(){任天堂の宮本茂}。尊敬しているかららしい。ゲームデザインでも影響を受けたという。
--『[[クロノ・トリガー]]』や『[[FF7>ファイナルファンタジーVII]]』といったJRPGの影響も受けたという。
--そのせいか、ものすごく怪しい日本語看板があちこちにある。&bold(){「格安チケッケ」}「サイーコ」etc

-ゲーム内容は、4つの時代(マップ)を旅しながら、時代ごとに違う数種類ずつの武器を駆使して戦っていくFPSである。
--RPG的要素も取り入れており、主人公は戦闘により経験値を取得し能力が増える。
--武器のうち、題名にもなっている「大刀(DAIKATANA)」もまた、戦闘により経験値を取得し成長していく要素がある。
---ただし、大刀を使うと経験値はカタナに入って主人公には入らないという難点もあるが。

**問題点
-古臭いグラフィック。
--1997年に製作発表された本作は、同時期に発表された『Quake2』のグラフィックエンジンを使用している。
--当時の水準としては酷いというほどではなく「まあまあ」な出来ではあったのだが、初期バージョンは見栄えの割りに動作が重たい、ロード時間も異様に長いと、競合作と比肩しうるものではなかった。
---そして発売時点(2000年)においては既にQuake3が出ておりグラフィックも躍進していたため、本作は時代遅れという羽目に。そのため評判はすこぶる悪かった。詳細は余談にて。
--そして、グラフィック面の古臭さをフォローする部分も無かった。
---ちなみに同時期に発売された『Soldier of Fortune』というゲームは、本作同様Quake2のエンジンを使用した作品であるが、残虐描写がかなりリアルだったためグラフィックの古臭さをカバーできていた。

-クセのありすぎる武器群。
--武器のラインナップは当時としてはかなり多彩である。4つの時代でそれぞれ5種類づつの武器に加えて、タイトルになっているDAIKATANA(最初の京都編で取得し、以降ずっと所持)を使用可能。
--だが、武器の個性を出そうとしたのか扱いづらく、大半の武器は''自分自身もダメージを受ける''。結局は自爆を起こさない武器一本で進むプレイを強いられることになった。
---更に、全ての武器が仲間(サイドキック)にダメージを与えてしまう。後述するように仲間が死亡すると即ゲームオーバーになるため、より武器の選択を狭める要因となった。
--幸いDAIKATANAはかなり強力で扱いやすい武器であったものの、DAIKATANAで敵に止めを刺すと主人公に経験値が入らない。体力管理がシビアな本作では、「レベルアップ時に体力を増やせず」かつ「接近戦を強いられる」DAIKATANAの育成は、一種の制限プレイの範疇にしかならなかった。

-チャチな仲間のAI。
--仲間(サイドキック)は&bold(){すぐ引っかかって動けなくなる}。斜面などで頻発する。
--加えて体力どころか武器の弾薬まで有限。ほったらかして置くとすぐ体力を削られ、無駄撃ちで弾も切れる。
---それなのに、パズルを解いたり先に進むために仲間は必須。マップのゴール地点に全員移動させないと先に進めない。
--5種類の指示が出せるが、視界の範囲内にいないとそもそも指示が出せない。
---またヤバそうなので「後退」の指示を出すと、プレーヤーの向きを基準にその後ろに移動しようとするため逆に敵に突っ込んでいくこともしばしば。
--仲間は接近戦を好んで敵にガンガン近づいていく。こちらの攻撃の邪魔になるだけでなくそれでダメージも食らうため、すぐ死ぬ。
---しかも&bold(){仲間が死ぬとゲームオーバー。}命令するまでただ撃つしか能がなく、はっきり言ってお荷物以外の何物でもない。
---クリアを目指すと実質的に「スタート地点にサイドキックを待機させ、敵を全て片付けてゴールまで進んでから回収しにいく」という、サイドキックの存在を否定するプレイを要求される。

-一番最初のマップ、「京都」(近未来)が異様に難しい。
--混沌とした未来の雰囲気を表現するグラフィックが汚い。敵が見にくい。
--ロボット昆虫やロボカエルといった、小さくて動きが素早い敵が多い。
--なのに初期装備は拳ひとつ。手に入る銃の弾も少ない。
--最初以外のマップは美しく、難易度も低いのだが、最初の面が不評なため大きく評価を下げた。
---京都編の後は舞台がギリシャ、ノルウェー、サンフランシスコと続くのだが、ギリシャとノルウェーは難易度が低く、そこそこ美しいロケーションで無難な出来。最後のサンフランシスコ編も京都編の不快さと比べれば天地の出来。京都編が無ければ、あるいは京都編が最後のレベルであれば本作の評判は大きく違うものであったはずである。

-セーブにはセーブジェムという消費性アイテムが必要(『バイオハザード』のインクリボンに相当)。
--しかもシークレットアイテム扱いであり、探索を必要とする。
--ただでさえストレスがたまるゲームなのにセーブすら自由にできない、ということで不満は最高潮に。
--不評が集中したポイントだったのか、Ver1.2では無制限にセーブのできる設定が追加された。

-お約束のフリーズ、強制終了といったバグも多発した。
--セーブデータをロードすると仲間が一人もいない、というバグがよく発生する。皮肉なことにクリアは楽になるが、仲間がいないので先には進まない「詰み」状態になる。
--プレーヤー・仲間ともに「一度入れば抜け出せない」という3Dゲームとしては致命的なハマりすらある。
---普通ならそういう場所は[[マリオ>スーパーマリオブラザーズ]]の穴のように即死穴にするなり、自滅用のコマンド(1機消滅コマンド)を用意する等しておくべき所であろう。((幸い、PC版においてはコンソールを開いてコマンドを入れれば自殺できるが。))

-ストーリーも非常にチープ。その割に会話ばかりのやたら長いムービーが何度も流れる。

-発売から程なくしてバグフィックスや仲間キャラの強化、自由にセーブできる設定などを追加した修正パッチが配布され、かつて程の凄まじい酷さではなくなったが、言語によっては当てることができない。


**総評
&bold(){長い間待たされた挙句に出来は良くない}ということで評価は散々なものになった。~
海外では、『[[E.T. The Extra-Terrestrial]]』、アタリショックなどと並んでゲームマーケティングの大失敗例の一つとして記憶されている。~
本来なら97年のマーケットは「『DAIKATANA』 VS 『Quake2』」となっていたのだろうが、それどころかこのゲームは北米版クソゲーワースト4位になってしまった。~
埋め合わせのために大量出荷されてとりあえず開発費分ぐらいの収益は出せたが、&bold(){EidosとIon Stormの評判はガタ落ちとなった。}~
発売からしばらくはアメリカ中のゲーム販売店で「ワゴンの主」だったという。~
日本語版の発売は海外から若干遅れ、既に海外で悪評が轟いている中、大半の不具合が修正されたVer1.1が適用された状態でのリリースとなったため、当時の国内での評判は「確かに面白くないけど、どうしようもないクソゲーというほどでもないのでは?」といった程度であった。~
現在まで伝えられる悪評は、当時のジョン・ロメロは相当なビッグネームであり、そんな大御所が独立して新会社を設立し、プレイヤー達の期待を煽りに煽って出された物であるという点で、期待させられた分がっかりしたプレイヤーが多いのが原因であろう。~
開発経緯をはじめとする様々な要因が重なって「有名なクソゲー」として伝説化したものであり、ゲームプレイそのものはせいぜい「無難に出来の悪いタイトル」というあたりが妥当ではないだろうか。~
事実、古いPCゲームを現在のPCで遊べる形で再販しているgog.comでは「言うほどひどくは無いんじゃない?」といった程度の評価が大半を占めている。

元が『Quake』なためか対戦は最近になって評価され、現在マルチプレイ部分だけが無料化されている。

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**その後の展開
-『DAIKATANA』発売から約1ヵ月後にION Stormから『Deus Ex』という同じくFPSを題材にした作品が発売された。
--こちらは膨大なシナリオや『DAIKATANA』よりも更に発展したRPG要素から今でも神ゲーと名高い作品である。
---そのため、レビューサイトでは「同じ会社からクソゲーと神ゲーが同時期に発売された」とかなり比較された。

-N64に移植された。
--PC版での不評部分の削除を行っているがマップ等は短くなり、ポリゴンも拡張パックなしでは非常に粗い。評判はPC版Ver1.0と同様に低い。

-ゲームボーイカラーでも専用ソフトとして発売(ケムコ発売、ウィル開発)。
--こちらはFPSではなく完全な2D-RPGで、ほぼ別物となっている。&bold(){もしや、最初からそうしておけばよかったのでは…?}
---実際、海外での評価はGBC版が一番高い。皮肉な話である。

**日本語版
-日本ではPC版(2000年6月30日)とN64版(2000年4月7日)が発売されている。
--日本版は大幅にテコ入れされた1.1がベースなので、''不評部分の多くが緩和されている''。
--ただしバージョンが特殊なので1.2パッチは当てられず、他言語版との対戦も不可。
--[[日本でもGBC版は発売される予定>http://www.nintendo.co.jp/event/sw2000/itiran/cgb/page03.html]]はあったものの、発売自体はお蔵入りとなり、その後ニンテンドウパワー書き換え専用ソフトとして供給された((現在はニンテンドウパワーのサービスは終了している。))。

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**余談
-本作の宣伝は、売り文句があまりに下品で顰蹙を買ったという(例:「ジョン・ロメロが君をメス犬にするぞ」etc)((尚、この売り文句が書かれたペーパーの下には「Suck It Down」(しゃぶれよ)とまで書かれており、ひたすら下品であることが伺える))。

-発売前の状況
--そもそもスタッフはそれまでRTS(リアルタイムストラテジー。要はシミュレーション)ばっかり作っていた人間ばかりで、3Dエンジンには慣れていなかった。
---それを把握せずにロメロが期間&bold(){(当初の予定はわずか7か月)}まで含めた大計画をぶち上げてしまったため、開発が難航したという。
---ちなみに元同僚であったジョン・カーマックも「プログラマーの立場から言わせてもらえば、彼の考えているようなシステムをそれだけの短期間で実現する~
のはまず不可能だ」とバッサリ切り捨てている。
--最初はQuake1ベースだったが、途中でQuake2エンジン((ちなみに、Quake2を作ったのはロメロの独立で袂を別ってライバルとなったid softwareのジョン・カーマック。))が発表される。そのままでは古臭くなると考えて開発環境を変更したため、さらに開発は長引いた。
--当初、パブリッシャー兼スポンサー契約を結んでいたeidosから開発資金の提供を受けていたが、開発の遅延やIos Stormの経営状況の悪化も重なり両者の間で~
相当大揉めになり、最終的にはIon Stormをeidosが買収して傘下会社とすることで決着がついた。当時のeidosは「Tomb Raider」シリーズのヒットもあって~
かなりの利益をあげていたのだが、その利益を本作の開発で溶かされる((日本円換算で30億円近い費用をつぎ込んでいたとも))という有様でTomb Raiderと本作を2大看板と考えていたeidosの目論見は大きく崩れ去った。
---結局、発売できたのは&bold(){開発発表から3年後の2000年}。7か月でできる、なんて話はどこへやら。~
それなのに、レベルの修正が完全に終わっていない段階で見切り発車された。eidos側の圧力かロメロの意思かは定かではないが流石に我慢できなくなったか。
--かれこれ3年もたっている間に、時代は『Half-Life』などの賢いAI・美しいグラフィック(当時基準)などで売るFPSが主流となっていた。
---Quakeシリーズに至っては『Quake3 Arena』が出ていた頃である。また『Unreal Tournament』等の対戦もヒートアップしていた頃でもあった。

-延期ばかりしていた一方で、ロメロは高層ビルの上のオフィスで豪遊生活をしていた。
--ついには内部告発の怪文章が出回ったり、女性の出入りが暴露されてしまうなど、グダグダ。
--あまりに延期が多いので、「このままベーパーウェア(お蔵入り)になるかも」とまで言われた。
--ロメロが追放された翌年にIon Stormのダラス本社は閉鎖され((一方、『Deus Ex』のウォーレン・スペクターが在籍していたオースチン支社は2005年まで活動しており、続編の『Deus Ex:Invisible War』やスニークアクションゲーム『Theif』の3作目である『Thief:Deadly Shadows』をリリースしている。))、もう表には出てこないだろうと言われた。今では小さな会社でMMOや携帯機用のゲームを作っている((携帯機以外のプロデュースではMIDWAYと組んで『Gauntlet: Seven Sorrows』(PS2/Xbox)やFPSである『AREA 51』(PS2/Xbox/Windows)といった作品を2005年に出している))。

-熱心なファンが居るのか有志制作の[[1.3パッチがリリースされている。>https://bitbucket.org/DGibson/daikatana-1.3/wiki/Home]]ワイドスクリーン対応からGameSpy閉鎖に伴うマルチプレイ部分の改変、バグフィックスにAIの修正や仲間の強化、さらにLinux対応など非常に多岐にわたる改善などがなされている。今からこのゲームを(クソゲー部分を楽しむためでなく)遊ぶのであれば導入が推奨される。

**関連リンク
-ロメロがIon Stormとして独立してからDaikatanaが世に出るまでの顛末。[[その1>http://www.4gamer.net/weekly/kaito/015/kaito_015.shtml]]&[[その2>http://www.4gamer.net/weekly/kaito/018/kaito_018.shtml]]