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バイオハザード - (2023/01/13 (金) 01:47:18) のソース

''このページは初代作品であるPS版『BIOHAZARD』と、その移植作であるSS版及びDS版についてを取り扱います。''~
''GC/Wiiで発売されたリメイクについては『[[biohazard (GC)]]』を参照してください。''
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#contents
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*BIOHAZARD
【ばいおはざーど】
|ジャンル|サバイバルホラー|&amazon(B000069TCP,image=https://cdn.shopify.com/s/files/1/0314/8716/4460/products/140000228_compact.jpg?v=1639139832)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|発売日|1996年3月22日|~|
|定価|5,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[BIOHAZARDシリーズ]]''|
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**概要
いまやゲーム業界でその名を確固たるものにした、大ヒットシリーズのファーストタイトル。~

ゲームシステムは3Dグラフィックで構築されたフィールド内を探索し、襲い来る敵を倒しつつ数々の仕掛けを解いて脱出を目指すというもの。~
発売当初は全くの無名であったが、口コミにより評判が広がり、最終的にミリオンセラーを達成した。~
徹底した恐怖演出、豊富な謎解き、弾薬制限のシビアさなどで、「サバイバルホラー」というジャンルを確立した作品である。

追加要素を盛り込んだディレクターズカットの他、次世代ハードの性能を生かしたリメイク作品『[[biohazard>biohazard (GC)]]』がリリースされている。

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**ストーリー
>1998年、夏。~
アメリカ中西部の小さな街ラクーンシティ。その郊外のアークレイ山地では、暴徒が民家を襲撃し住民を食い殺すという猟奇事件が続発していた。
犯行の異常性にもかかわらず、犯人グループの特定は難航。事態を重く見たラクーン市警は、特殊作戦部隊S.T.A.R.Sを出動させる。
>
>7月24日、夜。~
先遣したS.T.A.R.Sブラヴォーチームからの通信が途絶えたことで、残るアルファチームが現地へと向う。~
しかし、異常に凶暴化した野犬の群れの襲撃を受けてジョセフが殺され、ヘリで待機していたブラッドは恐れをなして飛び去ってしまう。~
残されたクリス、ジル、バリー、ウェスカーたちは追われるがままに古びた洋館に逃げ込むしかなかった。
>
>洋館内に次々と現れるゾンビと、異形の怪物。洋館に隠された謎とは何なのか。~
生き残りをかけたS.T.A.R.S隊員たちの戦いが始まった。

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**特徴・評価点
''固定カメラ切替方式とラジコン操作''
-プレイヤーは第三者視点で主人公を操作するが、プレイヤーの視点は主人公の位置によって自動で切り替わる''固定カメラ切替方式''となっている。~
元々これは背景を固定画像にして処理能力を補う苦肉の策であるが、映画的なカメラアングルとして演出の一部に昇華する事に成功している。~
SS版の特典小説内の開発秘話では、開発の初期段階では主人公の視点で表示されるFPS視点だったが、恐怖演出の追求のためこの方式へ変更されたという。

-固定カメラ切替方式を導入した場合、カメラ位置によってプレイヤーが入力すべき方向ボタンをいちいち変えなければならないと言う問題があった。~
そのために本作の操作方法として採用されたのが、''ラジコン操作''である。
--ラジコン操作の場合、主人公がゲーム中でどの方向を向いていようとも、プレイヤーは十字キー上で前進、左右で回転、下で後退を行わせることができる。
--これによりカメラが切り替わっても主人公の移動方向が変わらないため、スムーズな移動ができるようになっている。
--ラジコン操作は慣れるまでにやや時間が必要なため、発売当時こそ難色を示したユーザーが多かったものの、作品を重ねるにつれこのような声は減っていった。

''工夫されたハード制限への対処''
-ドアを開ける際には主観視点でドアの開閉を映したシーンが挿入される。
--これはエリア移動に於けるローディングを意識させないようにした工夫であり、同時に扉の向こうの恐怖を煽る効果をもたらしている。

-舞台となる洋館は練りに練られた構成となっている。
--技術的な問題で1つのエリアに多数の敵を登場させることが出来なかったため、少数でプレイヤーを妨害できるように考慮されている。
--「''洋館の狭い廊下を一体のゾンビがじわじわとにじり寄ってくる''」…当時はこれだけのことがとてつもない恐怖だったのである。
--シリーズの特徴である数々の謎解きの質も高い。後の作品で似た仕掛けが登場することからも、本作の充実ぶりがうかがえる。

''二段構えの攻撃方法''
-攻撃方法は、「狙いをつける」⇒「攻撃実行」の二段構えとなっている。
--従来の「攻撃ボタンを押したら即攻撃」ではなく、移動しながら攻撃することは出来ない。
--狙いをつけると自動的に敵の方向に武器を構えるが、素早い敵には狙いを合わせている間に攻撃されたり逃げられることも。
--慣れないうちはストレスを感じるが、この主人公の攻撃手順の微妙な拙さも、敵に対する恐怖感を高めるのに一役買っている。

''モノの「有限」がもたらすシビアな戦略性''
-弾薬、回復アイテム、セーブをするためのアイテムなど、全ての入手数に限りがある。
--本作主人公は格闘ができないため、何かしらの武器が必要。射撃武器は当然ながら弾薬がないと使えない。一応無限に使える「ナイフ」もあるが、攻撃力が非常に低い上リーチも短く、ノーダメージで敵を倒すのは至難の業((とはいえ、本作では特定条件下のみだがゾンビに対してクリティカルが発生する隠れた仕様がある上、スタートボタンを押してメニュー画面を出し、それをキャンセルすると直前の動作(構えや攻撃動作)をキャンセル(いわゆるスタートキャンセル)できる為、慣れればゾンビやケルベロス位ならこちらから一方的に攻撃でき、意外にも楽に敵を倒すことも可能。))。
--このため常に残弾数を意識することになる。弾薬は少ないので、弾の節約のためにできるだけ敵を回避したり、強い武器の弾薬をボス戦のために温存する必要がある。
---一応、全ての敵を倒すだけの弾薬は用意されているが、外すこともあり数はギリギリである((とはいえ終盤に近付くほど弾薬は豊富になり余裕が出てくる。))。また強い武器をあまり温存せず敵を一撃撃破していったほうが楽に攻略できるが、初プレイの段階では手に入る弾薬数が分からないため、節約のために必然的に弱い武器で戦うことになってしまう。
--最弱武器のみでクリアする「ナイフクリア」というやり込みも生まれた。後にシリーズ伝統のやり込みとなるが、''開発者の想定外だった''というのは有名な話である。
-アイテム自体も有限だが、主人公が持ち運べるアイテム数も有限である。
--アイテムはその大きさに関わらず1枠以上を消費するため、武器・弾薬・回復アイテム・キーアイテムを片っ端から持って歩くことはできない。~
状況によって適切な取捨選択をしなければならない点もサバイバルらしい緊張感をもたらしている。

''心電図による体力表示''
-本作では数値やゲージではなく心電図の色と波形の大きさで体力を表示する。
--通常は緑で大きな波形の「Fine」に、ある程度ダメージを受けると黄色で波形も小さくなる「Caution」に、さらにダメージを受けて瀕死になると赤で波形も極小の「Danger」になり、毒をもらうと残り体力に応じた色で大小のばらつきが激しい波形の「Poison」になる。~
現在の残り体力を曖昧にしか知ることが出来ないが、これもまたプレイヤーへ心理的圧迫感を与える恐怖演出の一環となっている。
--心電図はメニュー画面に表示されるが、それ自体がメニュー画面デザインの1つとして上手く溶け込んでいる。

''優れた恐怖演出''
-なんといっても恐怖演出こそが本作のキモ。その真髄は''静と動の折り合い''にこそある。
--洋館の不気味な雰囲気が生む緊張、固定カメラなため常に生まれる死角、不慣れなラジコン操作が生む不安、有限なアイテムが生む焦燥…それらがマッチしてプレイヤーに与える精神的圧迫感こそが''静の恐怖''である。~
本作の恐怖演出のベースはこれであり、いわゆるジャパニーズホラーと共通の方向性を持っている。
--特になんてこのない階段を上がり下がりするシーンで「ギッ、ギッ」という床の音だけで怖さを演出していくる。
--静の恐怖がベースにあるからこそ、それを打ち破る''動の恐怖''が強調される。これは外国のパニックホラーと共通の方向性を持っている。
--この静と動が絶妙なバランスで存在することこそ、本作が未だにシリーズ最恐と謳われる所以である。~
「''そこを歩く、という恐怖。''」は本作のリメイク作品『[[biohazard>biohazard (GC)]]』のキャッチコピーであるが、これは当然オリジナル版である本作にも通ずる秀逸な表現である。
--シリーズの「恐怖の質」を評価する際、本作でよく使われる言葉は「不意の恐怖」である。それだけ、プレイヤーの予想を裏切る場面で恐怖演出が出現することが多いという証左だろう。

-各所に存在するFILEの存在が、絶望的な状況への没入感を引き出している。
--事件の真相や仕掛けのヒントを断片的に記録した日記や資料などのFILEが各所に存在しており、これを探すのも楽しみの一つである。
---特に「飼育係の日誌」は、''ウイルスに感染し理性を失くして少しずつ狂ってゾンビとなっていく人間の姿が克明に描写されており''、恐怖演出としてもネタとしても人気が高い。~
この日記の最後のページの「''かゆい うま''((「かゆうま」とネタにされやすいが、本来の文章ではこのように「い」が入るのが正しい。ちなみに、コナミのACゲーム『クイズマジックアカデミー』にはここの文章を答える問題があり、「かゆいうま」が正答となっていた。))」は『BIOHAZARD』ネタの定番となった。

-要所で効果的にCGムービーが挿入される。
--ゲーム冒頭のゾンビの初登場はシリーズを代表する名シーンであり、中盤の強敵ハンターが猛烈な勢いで追ってくるムービーは、追われる恐怖を嫌と言うほど味わえる。

-恐怖を煽るBGM
--後続の作品と比べて派手さは少なく、雰囲気重視でじわじわと不穏を煽る曲調のBGMが多い。特に洋館2Fで流れる「Wandering About」は不気味な洋館の雰囲気と見事にマッチしており、プレイヤーに恐怖と絶望を与える。
---一方で、敵の急襲時に流れるアップテンポのBGMや、セーブ地点で流れるマイナーながら静かでしみじみとした安堵感の曲調のBGMなど、演出やフィールドの雰囲気にマッチした楽曲の演出がメリハリを与えている。

-戦闘や謎解き面ではキャラクターの背景設定をきちんと活かし、難易度調整をしている。
--ジルは特技に「ピッキング(鍵を使わずに施錠された扉の鍵を外す技術)」があると設定されており、それを本編に反映してクリス編で必要な「館のカギ(剣)」と「机のカギ」を入手する必要がない。また、趣味である「ピアノの演奏」も実はある謎解きに関わってくる要素になっており、おかげでクリスより楽に解決することができる。
--クリスはS.T.A.R.S隊員随一の射撃の腕前と設定されているのでジルよりも素早く武器を構えることができる。このため、複数の敵や素早い敵と対峙しても迅速な対処がしやすい。

-日本版が唯一の無規制バージョン
--『2』以降は日本版のほうが表現規制がされているこのシリーズだが初代に限っては日本版のみ規制がされていない。OPムービーやゾンビとの初遭遇ムービーが該当する。
---海外版では死体の映るカットやジョセフがケルベロスに食い殺される場面、手首の断面がわからないような処理など残虐描写がいくつか修正されている。また、クリスがタバコを吸うカットも差し替えられている。
//元はDS版ではなく海外版での規制のためこちらに移項

''豊富なボリューム''
-タイムアタック要素
--クリアの時間とセーブ回数がクリア時に表示される。攻略の手順がわからない初回こそ時間がかかるが、手順を覚えて戦闘にも慣れれば当然短縮される。このためクリアのタイムアタックを行うプレイヤーは続出しており、攻略本もタイムアタック用のチャートが作られるものがあった。
--本作の時点ではこの2つしか表示されず、また隠し要素の開放に関係するのはクリアタイムのみであったが、『2』からはセーブ回数や回復量なども考慮されるようになり、プレイ内容に応じたランク付けが行われるようになった。

-2人の主人公による異なったストーリー展開
--大まかな謎解きの内容こそ同じだが、主人公の能力やパートナーの違いによりストーリー展開も違いを見せており、それぞれで違う内容が楽しめるのも魅力。ボリュームの増大に一役買っていると言えよう。

-マルチエンディング方式
--会話イベントでの選択肢での選択や、危機に陥った仲間を救い出せたか否か、脱出人数などの条件により、エンディングが分岐する。
--マルチエンディングを採用しているシリーズ作品は現在でも数える程である。
--ベストエンドはパートナー生存&もう一人の主人公の救出になるが、バッドエンドのルートでないと見られないファイルがあるなど、各ルートの作りこみも細かい。
--エンディングだけでなくストーリーそのものもいくつか分岐があり、一部が読めなくなるファイルやパートナーがピンチの主人公を救出するか否かが分かれたりもする。

-隠し要素の存在
--ベストエンドを見たデータの引継ぎでスペシャルキーがもらえ、洋館のある場所でコスチュームチェンジが可能になる。
--クリアタイムが3時間以内で、ラスボス専用武器のロケットランチャーが''弾数無限で使用可能となる''。ほぼすべての敵を一撃で粉砕する威力で、今まで悩まされたゾンビなどを次々に吹き飛ばせて爽快感抜群。
---この入手自体がプレイヤーの腕前を示す一つの指標でもあり、人気の隠し要素として以降も定着することとなった。
--さらに無限ロケットランチャーを入手したデータで、ベストorグッド(パートナーかもう一人の主人公のどちらか生存)エンドを見ると…?(以下ネタバレ反転)
---COLOR(white){スタッフロールでのキャラクターの操演シーンの全てが、残虐シーン(敵を撃破・もしくはキャラが敵に殺される)に差し変わる(通称「残虐エンド」)}

''その他の特徴''~
-アイテム欄にて「入手したアイテムを調べる」ことが可能。
--3Dグラフィックで拡大表示されたアイテムを上下左右に自由に反転し、正式な名称が判明していないアイテムの識別やアイテム自体に隠されたギミックを発見することができる((鍵の裏にある模様を見つける、本を開いて中に隠されているアイテムを取り出す等。))。
--当時のCGとしてはアイテムのグラフィック全般がしっかり作りこまれており、武器類も現実の銃器の再現度が高い。
//--特に不評らしい不評もなかったが、すべてのアイテムで3Dモデルを作成する手間を省くためか、続編となる『2』、および『3』では削除されてしまった((一枚絵で表示されたアイテムの「調べる」だけで必要な情報が自動的に手に入る。))。
//この仕様が復活するのは『CODE:Veronica』から。

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**賛否両論点
多くの続編が出ている今現在でも、本作の難易度は特に高い。謎解きや戦闘の回避など、様々な場面で頭を使う必要がある。当時も投げ出すユーザーは少なくなかった。~

''戦闘の難易度の高さ''
-プレイヤーの射撃攻撃は発砲のアクションより前に弾薬が消費される仕様であるが、この瞬間に敵から攻撃を受けるとまだ発砲していないのに弾が減ってしまう、いわゆる不発弾の現象が発生するので運が悪いと余計に弾薬を消費してしまうのも難易度を高めている要因となっている。弾薬の入手量も他作品と比べて少ない。

-主なクリーチャーとなるゾンビが他のシリーズ作と比べて強い。
--『2』や『3』と違いゾンビがあまり怯まず、狭い空間での戦闘になる。そのうえ攻撃範囲が広めで、少し近づいただけで掴みかかってくるため、鈍足にもかかわらず戦闘回避が難しい。
--後発のシリーズと大きく異なるのが、''敵を振りほどく際に周囲の敵を巻き込めない''という点。複数のゾンビがいる場合、プレイヤーが掴まっている間は他のゾンビはその真横で棒立ちになっている。敵が3体もいれば、「ゾンビに掴まっている間に他のゾンビが接近 ⇒ プレイヤーが掴みかかっていた敵を振りほどく ⇒ 真横で棒立ちの敵に掴まる ⇒ その間に押し倒された敵が接近 ⇒ また掴まる」のループでゲームオーバー確定。
--ダメージ自体は噛み付きで10と低いが、連続で何回も噛み付くため最弱に見えて実は''本作で最もダメージ量の多い敵''となりがちである((噛み付きは最大6回、最大60のダメージとクリスでも3回フルに喰らえばHPが0になるほどの超高火力である。実際はレバガチャすることで2~3回に留められるがそれでもかなり多いダメージである。))。本作のゾンビは体力も高く、ベレッタの弾を激しく消耗する上、死んだふりも何回もするため本当に倒せたのか不安感を煽られる。
--ゾンビが強いからこそ、先へ進む緊張感や遭遇した時の恐怖が強いともいえる。一体一体は弱いが物量で攻めてくる後のシリーズのゾンビとは違った恐ろしさである。

-シナリオ中盤から洋館に出現するハンターは攻撃のリーチと移動速度に優れ、『主人公の体力が黄色以下かつハンターがダメージを受けている状態』だと''予備動作無しの即死攻撃''まで行ってくる((実は他にも即死攻撃を使う敵はいるのだが、大抵はこちらが赤体力(瀕死の状況)でないと出してこないのに対し、ハンターはこちらの体力がかなり残っている状態でも即死攻撃を出してくるため、非常に厄介。))。また、同じ条件のときには頻繁にジャンプ攻撃も行うため、攻撃をかわされることも多い。
--有効な武器はグレネードガンの硫酸弾またはコルトパイソンで、これらは一撃で倒せる。しかしコルトパイソンの入手は基本的に洋館攻略の終盤になってしまう((攻略の手順にもよるが、コルトパイソンの場所と入手のためのキーアイテムは寄宿舎へつながる裏口(東)側とホールを挟んで正反対の位置(西)にあり、当然それまでのルート上にもハンターがいる。また洋館のボスとの戦闘から地下を通ってその先へ進むためのキーアイテムを探す過程では、ほとんど一方通行で西側に移動することになるので、手間を考えると洋館攻略の終盤に回す方が楽。))。このためグレネードガンを入手できないクリスは、コルトパイソン入手までの間をショットガンで代用しなければならない。その場合は近づいて数発撃たなければならないため、体力が黄色以下だと「タイミングが狂うと即死の危険性に常に晒される」こととなり、苦戦を強いられる。
--また、コルトパイソンを入手しても弾薬の入手数も少ないため、どうしてもボス戦に向けて温存することを考えがちになる。実際はコルトパイソン入手後のボス戦はいずれも他の武器で代用して問題のない程度のものなので必ずしも温存する必要はなく、それに気が付くと楽に攻略できるのだが、初見プレイではまずそんなことはわからない。

-最終ステージの研究所の後半に出現するキメラも、ハンター同様に強敵である。天井に取り付いて高速で移動したり、頻繁に床と行き来するなどトリッキーな動作が多く、攻撃を安定して当てることが難しい。また、即死攻撃こそ持たないが、天井に張り付いて体当たりする攻撃はダメージ量が20と高く、ハンターとは違った意味で苦戦しやすい。耐久もコルトパイソンやグレネード弾では一撃であるものの、その他の弾薬では倒すのに必要な弾薬数はハンター以上である。
//キメラが攻撃に合わせて回避しているわけではないので回避性能が高いという表現は間違い。単純に攻撃を当てにくいのみに留めた。

-『2』以降と比べてショットガンの火力が抑えめで、ゾンビこそは至近・上方射撃で一撃となるものの、ケルベロスやウェブスピナーは大抵は3発以上要する(以降のシリーズでは大抵は2発)。さらには、クロウのようなゾンビ以下の雑魚敵でも1発では落とせないこともある(まず相手にすることはないものの)。ゾンビを除くと全体的にベレッタとショットガンでは倒すの必要な弾薬数の差が後のシリーズと比べて小さく、思わぬ弾切れを食らう羽目になることも。
--この煽りを最も受けるのが中庭でのケルベロス対処である。死角の多い広い場所で四方から高速波状攻撃をしかけてくるため倒すのにも照準を絞り切れず、避けきるのも難しい。攻撃を当てて倒れている間の無敵時間も長く、効率的に複数にショットガンを当てづらい。ケルベロス自体登場数は少なく、難しいのはたった2ヵ所であるが、何度も通ることになる場所である。
--とはいえ、攻撃範囲が広く複数の敵を一度に攻撃できる点は有用であり、この武器が役立つ場面は決して少なくない。実際に特にヨーン戦は攻撃判定の大きさから効率的にダメージを与えやすく、ケルベロスやハンターとは異なり善戦しやすい。
--逆に使うと無駄が多くなるのがプラント42戦である。的が大きくかつ動かず攻撃も回避しやすいため、威力が低くとも連射しやすいベレッタで十分対処できる。触手に当たらないよう距離をとればショットガンの威力は減衰し、さらに攻撃を一定確率で無効化されるため、ここでショットガンの弾を消費するのはもったいない。特にクリス編ではここで浮かせたショットガンの弾数が後々響いてくることになる。

''探索と謎解きの難易度が不安定''
-スタート地点となる洋館は''最初から寄れる場所が多い''、''謎解きも集めるべきキーアイテムも多い''為にかなり探索に苦労する。
--その一方で洋館と中庭地下以外はほぼ一本道で謎解きもかなり簡素な物になる、特に洋館脱出後の寄宿舎が顕著。
---実際今作のゲーム時間の大半が洋館での探索活動となる。
---この''序盤の探索箇所が一番探索箇所が広くて厳しい''と言う仕様は『2』の警察署や『3』のラクーン市街地でも引き継がれている。
--謎解きは''謎解きにどのアイテムが必要か分かりにくい''、''そもそも初見ではどんな謎解きやアイテムがあるのか分からないので所持品満載で入手出来なかったり、必要アイテムが無いので解けないという展開になり易く、アイテムボックスを頻繁に経由する羽目になる''等、煩わしさがある。
---複数のアイテムを持ちいた謎解きや、一度使用したアイテムを暫く経ってから再度用いると言ったややこしい謎解きも多い事から初見では使用後のキーアイテムをアイテムボックスに入れるのを躊躇ったり、預けて必要になった際に地団駄を踏みながら回収に戻ると言った展開になりがちになってしまう。
--探索の自由度が高い反面、数回クリアして全クリアまでの解法やダンジョンの構造が頭に入ってくると謎解きのためにあちこちを走り回される点が顕著に感じられやすくなり、アイテム運用の煩わしさも相まって冗長感が増しやすい。
---本作限らず、アドベンチャーゲーム全般に言えることではあるが、本作はマルチエンディング方式という再プレイを促しやすい構造になっているので、やはり気になるところだろう。
//-その一方で複数回クリアすると各場所の構造も謎解きのネタも解るようになるので探索は''クリーチャーの対処をしながら指定コースを走るマラソン''となってしまい謎解きは実質的に''マラソンの障害物''と化してしまう。
//複数回もやりこんでればそりゃ謎解きの解法やダンジョンの構造なんて頭に入るだろ。
//リメイク版では「一部の謎解きの解法が細分化されてしまい面倒さが余計に増している」という記述があるため、その記述の前提として表現を若干変えて復帰。

''主人公の選択''~
本作は2人の主人公から1人を選んでプレイする((警察の身分証明書から選ぶという演出になっている。その中には、崩れて読みにくいが、続編で実際に登場するR.P.D署長「ブライアン・アイアンズ(Brian Irons)」のサインがある。))。~
選択に応じてストーリー、HP、アイテム所持数、入手可能武器などが異なり、一応easy/hardの難易度が設定されている。~
しかし、この選択が少々、曲者。

-女性主人公は「ジル・バレンタイン」で、設定上の難易度はeasy。
--所持可能アイテム数は8で、最初からベレッタ(ハンドガン)を持っており、序盤の道中で強力なグレネードガンが手に入る。グレネードガンは弾薬に種類があり、敵に対して効果的な弾を選ぶことができれば非常に強い。総じて威力の割りに弾数が豊富なのも嬉しい点。また、パートナー役のバリーが要所要所で助けてくれる。
--バリーのおかげでショットガンがすぐに手に入るためゾンビは一撃撃破していける。ハンターもグレネードガンで一撃である。
--ただしHPが低く、ゾンビに3,4回噛まれただけでゲームオーバーになるので、こまめな回復が必要。回復アイテムを探す手間も掛かるため、極力ダメージを受けないように立ち回る必要がある。
--グレネードガンが3種類の弾薬を使用する仕様上、各武器の入手弾が少なくなる((クリス編とジル編において配置弾薬の場所に違いはほぼ無い、弾薬の種類の違いのみ。))ので上手く武器を使い分ける必要がある。
--戦闘や移動、そして今作の恐怖表現に不慣れなプレイヤーにとっては意外と厳しい。

-男性主人公は「クリス・レッドフィールド」で、設定上の難易度はhard。
--所持可能アイテム数は6で、初期装備はナイフのみ。すぐにベレッタも手に入るが、ゾンビやケルベロス(犬)に対しては与えられるダメージが何故かジルより低く設定されている(=ジルより弾薬を消耗してしまう)。それでいてエリアの敵配置が、ジル使用時より数が多い場面がある。
--手に入る武器の数自体はジルと同じだが、グレネードガンの代わりに取れる火炎放射器は限られた範囲でしか使えず、使い勝手で大幅に劣る。
---必然的にショットガンやコルトパイソンを多用することになり、計画的なアイテム入手や弾薬使用が必要となる。ジルより持ち運べるアイテム数が少ないのもなかなか厄介。
--キーピックによる鍵開け技能を持っていないため、洋館攻略の際の必要な鍵が1つ増え、入手まで不利なルートを通らざるをえない。机の鍵あけにも消費アイテムの「小さな鍵」が必要なためただでさえ少ないアイテム所持欄を圧迫する。
--序盤のショットガンを手に入れるまでが特にきつい。攻撃力不足のベレッタではゾンビを全て倒すことはできず、敵を避けざるをえない。ジルと違い敵への有効な対処法を持たないままかなりの数の部屋を探索する必要がある。
---後半洋館に戻ってきたときも、コルトパイソン入手まで有効な対処法がないままハンターと戦わなければならない。
--パートナー役のレベッカは新人隊員だけあって頼もしい存在ではない((ハンターの登場以降でモンスターに襲われるイベントが発生し、ここで救出できるか否かでエンディング分岐に影響を及ぼす。うまく進めればこのイベントは回避できる。))ため、イベント面でもキツい展開が多め。
--一方でHPがかなり高いので少々のダメージは気にしなくて済み、進行によってはレベッカが治療してくれる。また、武器が少ない分、各武器の配置弾薬が豊富で進行に応じて揃うので武器管理面においては若干楽。その為、意外に難所を強行突破したり、ゴリ押しでボスを攻略できたりする。

ジルは一応easyと銘打ってはあるが、序盤で手に入る強力な武器を有効活用できず、弱い武器ばかり使ってしまうとダメージを受けやすくなり、低い体力のせいで難易度が高く感じてしまう。よって弾数を把握できない初見プレイでは結局''どちらを選んでも難しい''ということになりかねない。
//上記の通り、ジル編は戦闘面、クリス編では探索面において難しいということで、結局、初心者にとっては''どちらを選んでも難しい''。
//ちなみに『2』では2人の主人公に性能差がなく、入手可能武器やパートナーで差別化されている。

-では本質的な難易度自体はどうなのかといえば、以下の要因からそこまで高いとも言いきれない。
#region(具体例)
-メインとなるゾンビは他のシリーズ作に比べ配置数が少なく、ショットガンの至近・上段攻撃を使えば一撃で倒すことができる。
--ハンターやキメラにはコルトパイソンやグレネードガンで(回避しても可)、ゾンビにはショットガンでと使い分けるようにすれば、ショットガンの弾自体はゾンビを倒す分には十分に足りる程度にあるので、あえて弱いベレッタを使う必要は薄い。
//前述の弾薬数が少ないに矛盾するので表現を改めた。

-強敵とされるハンターにしても実際対処は難しくはない。
--「攻撃は左手のみで行われるため攻撃範囲は狭く、右横を走り抜けると簡単にかわせる」「視認範囲が狭い」「こちらが近づくまで止まっているかゆっくり動く」「同時出現数はゾンビよりも少なく、たいていは多くとも2体」「即死攻撃となる首狩りは自分から攻撃してHPをある程度減らさない限り使ってこない」「首狩り以外は攻撃力は並」「ゾンビのような連続攻撃はない」「ジャンプ攻撃の隙が大きめ」など弱点は多い。慣れればゾンビより簡単に回避する事も可能な上、多用するツメ攻撃は10ダメージしかなく、ゾンビのような拘束攻撃でもないため、一撃くらえば簡単にすり抜けられる。
---クリス編では「コルトパイソン入手まで有効な対処法がないままハンターと戦わなければならない。」とは前述したが、この通りハンターはゾンビよりも回避が容易かつ基本ダメージも低めなため、慣れさえすれば序盤ほどのきつさはない。
---要するに一見強そうに見えるが回避か一撃撃破を前提にするならば即死攻撃は封じることができるので''ただのゾンビ以下のザコ''に成り下がる。

-ハンター同様に強敵としたキメラについても右手のみで攻撃を行い、また基本的に影を避けて走っていれば攻撃を喰らうことはほとんどなく、更に主な出現箇所も1度行けばそれまでの場所であり、終盤の敵としてはかなり空気な存在。ハンターのような初登場時の専用ムービーなどもない。

-またショットガンが通用しにくいケルベロスは銃声や付近でのダッシュ、接触で察知する特性があるため、慣れが必要ではあるが近づかないように歩いていればステルスしながらやり過ごすことができたりする。
#endregion
--しかしながら、第1作でそれまで前例のなかったゲーム性ゆえに手探りでのプレイとなりやすかったこと、有限のアイテムや動かしづらいラジコン操作などからくる当時としても珍しかったシビアなゲーム性、恐怖演出に不慣れなプレイヤーでは冷静に分析して対処法を見出すのは容易な事ではなく、多くのプレイヤーが何度もクリーチャーの餌食となり、クリアには苦労を強いられた。
//--それに加え、初作で新鮮が故に際立っていた敵のビジュアル的な怖さ、吹き出る血しぶきと言った当時は例が少なかった視覚的演出によって、クリーチャー達が当時のプレイヤーに与えたインパクトの強さは実際以上のものだった。結果として本作の敵は「強く恐ろしい」と言うイメージがより一層強まっていったという側面もある。

//--また経験者にしても、ラジコン操作によるアドリブの効きにくさ、そしてセーブ地点がまばらな事による死亡=ゲームオーバー時のリスクの大きさは常に付きまとう。視点による不意打ちの受けやすさなどといった本作のシステムは、いつでも牙を剥いているのである。
//では、本質的な部分において本当に難易度が高いのかと言うと、実はそうとも言い切れない。
//-メインとなるゾンビは他のシリーズ作に比べ配置数が少なく、ショットガンの至近・上段攻撃を使えば一撃で倒すことができる。
//--ハンターやキメラにはコルトパイソンやグレネードガンで(回避しても可)、ゾンビにはショットガンでと使い分けるようにすれば、ショットガンの弾自体はゾンビを倒す分には十分に足りる程度にあるので、あえて弱いベレッタを使う必要は薄い。
//前述の弾薬数が少ないに矛盾するので表現を改めた。
//-強敵とされるハンターにしても実際対処は難しくはない。
//--「攻撃は左手のみで行われるため攻撃範囲は狭く、右横を走り抜けると簡単にかわせる」「視認範囲が狭い」「こちらが近づくまで止まっているかゆっくり動く」「同時出現数はゾンビよりも少なく、たいていは多くとも2体」「即死攻撃となる首狩りは自分から攻撃してHPをある程度減らさない限り使ってこない」「首狩り以外は攻撃力は並」「ゾンビのような連続攻撃はない」「ジャンプ攻撃の隙が大きめ」など弱点は多い。慣れればゾンビより簡単に回避する事も可能な上、多用するツメ攻撃は10ダメージしかなく、ゾンビのような拘束攻撃でもないため、一撃くらえば簡単にすり抜けられる。
//---クリス編では「コルトパイソン入手まで有効な対処法がないままハンターと戦わなければならない。」とは前述したが、この通りハンターはゾンビよりも回避が容易かつ基本ダメージも低めなため、慣れさえすれば序盤ほどのきつさはない。
//---要するに一見強そうに見えるが回避か一撃撃破を前提にするならば即死攻撃は封じることができるので''ただのゾンビ以下のザコ''に成り下がる。
//-ハンター同様に強敵としたキメラについても右手のみで攻撃を行い、また基本的に影を避けて走っていれば攻撃を喰らうことはほとんどなく、更に主な出現箇所も1度行けばそれまでの場所であり、終盤の敵としてはかなり空気な存在。ハンターのような初登場時の専用ムービーなどもない。
//-またショットガンが通用しにくいケルベロスは銃声や付近でのダッシュ、接触で察知する特性があるため、慣れが必要ではあるが近づかないように歩いていればステルスしながらやり過ごすことができたりする。
//このように本作の敵は対処方法さえ分かっていればそれほど恐れるものでもなく、ラスボス以外のボスも動きは遅く対処は難しくない((そのラスボスも逃げ回っているだけで攻略可能である。))。
//ゲームをがっつり熟知した人間が「ああすればいいこうすればいい」とズラズラ語って「難易度が高いのかと言うと実はそうとも言い切れない」なんて言うのはちょっと違うと思う。初見プレイヤーや中級者等の客観的な目線で語れないものか。

//-ただし、これらは本作の操作性・恐怖感の両方に慣れたプレイヤーもしくは後発シリーズ作品の経験者の視点から見た場合の話である。
//--初期作故、手探りでのプレイとなりやすかったこと、有限のアイテムや動かしづらいラジコン操作などからくる当時としても珍しかったシビアなゲーム性、恐怖演出に不慣れなプレイヤーでは冷静に分析して対処法を見出すのは容易な事ではなく、多くのプレイヤーが何度もクリーチャーの餌食となり、クリアには苦労を強いられた。
//--それに加え、初作で新鮮が故に際立っていた敵のビジュアル的な怖さ、吹き出る血しぶきと言った当時は例が少なかった視覚的演出によって、クリーチャー達が当時のプレイヤーに与えたインパクトの強さは実際以上のものだった。結果として本作の敵は「強く恐ろしい」と言うイメージがより一層強まっていったと言う側面もある。
//--また経験者にしても、ラジコン操作によるアドリブの効きにくさ、そしてセーブ地点がまばらな事による死亡=ゲームオーバー時のリスクの大きさは常に付きまとう。視点による不意打ちの受けやすさなどといった本作のシステムは、いつでも牙を剥いているのである。
//-様々な要素が追加されたリメイク版はこういった事に慣れた熟練プレイヤーを見越してか、純粋な難易度が大きく向上している。
//「難しい」⇒「熟知した人間がこうすればいいああすればいいと言う」⇒「それに対しこれはシリーズ作品の経験者の視点から見た場合の話だと言う」というグダグダな記述になっている。上記の指摘と併せてもっと上手くまとめられないだろうか。
//グダグダっぷりをまとめ直してみた。↑にある「初見プレイヤーや中級者目線での修正」はほとんどできてないのでその辺りはよそ様にお任せいたします。

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**問題点
''隠し要素の問題点''
-隠し要素は、クリアデータの次の周回にしか適用されない。
--つまり1周目で3時間クリアでバッドエンドなら2周目ではロケットランチャーのみ解放されるが、2周目がベストエンドで3時間以上かかったなら3周目ではスペシャルキーのみ解放され、ロケットランチャーは未開放に戻ってしまう。これは後の本作の移植版でも同様。

-一見して最強武器のロケットランチャーだが、実は微妙に取り回しが悪い部分がある。
--射角の変更が不可能な仕様になっているので、水平射撃が当たらない敵には通用しない。よって這いずりゾンビや天井を移動している際のキメラには無力。ハンターにはジャンプで飛び越えられる場合も。
---『2』以降は射角変更不可はそのままだが、上下の判定が広がり当たるようになった。
--また構えるのに時間がかかるため、ハンターやケルベロスのような動きの速い相手には相性が悪く、反動も大きくて連射も効かないためカラスのように的の小さい相手が多数の場合には攻撃しにくい。
---結局のところ、まともに相手できるのは的と動作が大きいボス敵と動きが遅いゾンビぐらいに限られ、他はこちらに気づいていないときに打ち込むか距離を詰められないうちにちまちま攻撃するような使い方になってしまう。

''シナリオの問題点''
-ストーリー冒頭の展開は、クリス編は「クリス、ウェスカー、ジルが館にたどり着き、バリーは行方不明」で、ジル編は「ジル、ウェスカー、バリーが館にたどり着き、クリスは行方不明」となるのだが……
--ジル編では行方不明のクリスが終盤で黒幕に囚われていたという内容で登場するのに対し、クリス編ではバリーについて一切言及されない。
---この点は続編以降で「生還者はクリス・ジル、バリー、レベッカ、ブラッドの5人」と確定された後に発売されたリメイク版でもフォローされていない。
--ジル編ではクリス編のパートナーであるレベッカが登場しないのだが、レベッカの存在が完全に削られた内容となるのでストーリー上においては違和感はない((SS版の特典であるハードカバー本に掲載されたゲーム本編のプロローグにあたる短編小説では、クリスとレベッカは事件前の時点から既に面識があると同時に、レベッカ自身はブラヴォーチームに同行しておらず、アルファチームの出動の際についていくことを懇願するものの入隊間もないことを理由にクリスに拒否されて置いて行かれるという展開になっているので、ここからジル編に繋がると考えれば一応の辻褄は合う。))。


-英語音声・日本語字幕だが、英語の教科書の文章と言われるほど台詞のニュアンスと演技が拙い。
--海外のプレイヤーからは酷評されたが、日本人が聞いても一発で酷いとわかるレベルである。ところどころ演技がオーバーすぎる箇所((危機的状況とは思えないほどダンディな言い回しの多いバリーなどが特に顕著である。))も散見される。
---後年、関係者が語ったところでは「300行ほどの台詞を並べたエクセルシートを役者に渡して3回ほど収録させ、一番いいテイクを用いた」とのことで、役者たちが台詞のシチュエーションがわからないまま収録に挑まされた結果、このような演技につながったのだという。
--あまりにも強烈すぎてファンからは完全にネタとして扱われており、後年のリメイク版の台詞をオリジナルに変更するMODを作る有志まで現れるほど。
--なお、英語ボイスの違和感から「日本人が演じている」と言われることもあるが、本作の声優は基本的に後述の実写ムービーの面々であるため、これに関しては誤りである。

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**総評
アクションアドベンチャーにホラーの要素を加えたゲーム性は、「サバイバルホラー」という新たなジャンルを生み出し、そのデファクトスタンダードとなった作品である。~
以降シリーズ化がなされ、カプコンの看板タイトルとして順調に成長してゆくことになるが、後の作品である『[[2>BIOHAZARD 2]]』『[[3>BIOHAZARD 3 LAST ESCAPE]]』『[[CODE:Veronica>BIOHAZARD CODE:Veronica]]』などのシステムの大枠が本作と同じであることからも、その完成度が高いことは明らかである。~
本作の最大の売りは徹底した恐怖演出であり、当時のユーザー達に衝撃を与えたほか、他社の同系統の作品にも多大な影響を与えたことは無視できない。~

ただ、敵の理不尽な攻撃で体力が一気に減らされたり、即死の危険性に常に脅かされたりする一方で、攻略法さえ分かってしまえばザコ敵を一撃撃破で容易にクリアできてしまったりと、ゲームバランスについては極端であることは否めない。~
また武器の種類が少なかったり、性能の限界で敵の同時出現数が少ないなどの問題点もあるが、その分シンプルに楽しむことができるともいえる。~
シリーズが進むにつれて複雑化していったバイオシリーズの原点を知りたいならば本作をプレイしてみることをお勧めする。

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**余談
-TVCMでは''例の振り向きシーン''が使われた。これは平日ゴールデンの御茶の間にさえ流されていた。
--ちなみにこの「振り向きゾンビ」、生前の面影を残したかなり生々しい姿をしており、後のシリーズやリメイク版のクリーチャー然としたゾンビより怖いという声も多い。

-本作のハンターの即死攻撃は''本当に首が飛ぶ。''ゲームオーバー画面で表示されるプレイヤーキャラの死体も''首無し死体''である。あろうことか、本作の予告映像はこの首飛びで締め括っていた。
--他にも、ボスキャラのプラント42の触手に捕まって殺されると''体が真っ二つに千切られる''など、まだ規制が緩かったということを考えても、なかなか過激。
---次回作以降の日本版は表現規制の強化の影響もあって海外版に比べて残虐描写が緩和されており、このような殺され方の場合でも精々、上半身が血塗れになるか大量の血が噴き出す程度に抑えられている。しかし、本作は日本版の時点でこれである。

-ゾンビは「知能は低下しているが生前の習慣からドアの開閉程度の作業は出来る」という設定であるが、PSのシリーズ作品でドアを開閉してエリア移動するゾンビというものは(スペック上の問題で)登場しない。しかし、本作では一部のイベントでゾンビがドアを開けて侵入してくるシーンが見られる。
--例の振り向きゾンビと、洋館地下のゾンビが該当する。後者はムービー付きで出現する。
---ちなみにディレクターズカット版のアレンジモードでは三上真司氏の遊び心から後者のゾンビが''無茶苦茶に強化されている''((ハイパーゾンビ化、コルトパイソン3発必要な耐久力、ショットガンのヘッドショット無効。))。
--近年の作品ではゲームハードのスペック強化もあって、ゾンビがドアを開けて移動してくる機会も増えてきている。

-状態異常「毒」について
--前半に出てくる大蛇のボスキャラ「ヨーン」は毒を持っており、「この毒(は通常の毒消しの)ブルーハーブでは解毒不可」と公式ガイドブックなどにも明記されている。
--だが、実際はこの時点ではブルーハーブが手に入らず((このまま無理に進んで寄宿舎まで行けば入手可能。))、ブルーハーブ入手時期にある2回目ヨーンとの戦闘ではいくらかまれようがダメージだけで毒状態にならないので、攻略上は意味のない情報である。
---なお、ヨーンの毒は館のある部屋に置かれている血清でのみ解毒可能な設定であり、これはイベント進行により入手可能なアイテムとなっている。劇中でヨーンに噛まれたリチャード隊員に届けるイベントがあり((クリスでは進行次第で発生しない場合もある。))、自分が噛まれた時にはこれを取りに行くイベントが発生する。
--イベントの進行状況によっては「パートナーに血清の部屋まで運ばれ、体力も回復する」ということになるので、後述の公式パーフェクトガイドでは(アイテム整頓も兼ねて)「''一回はわざと噛まれるように''」などととんでもないことを書かれていた。

-シリーズ中では異色な点として、やたらと爽やかなOP・EDボーカル曲と実写オープニング・エンディングがある。
--OP曲「氷のまなざし」と、ED曲「夢で終らせない…」はSS版やディレクターズカット版ではカットされた。使用料の問題なのか作品に合わないと判断されたのかは謎である。
---曲自体は良曲であり、今でも人気。ゲームの大ヒットによりオリコン初登場60位とヒットを飾った。「夢で終らせない」の方はTVCMでも使われていた。~
ホラーゲームである本作の内容とタイトル名から「(凄惨な惨劇の数々を)夢で終わらせてくれ」などとネタにされることも多いが、実際は「現実を生きる者の力強さ」を随所にちりばめた熱い歌詞である。
--オープニングムービーが実写なのは、当時はCGの技術力が不足していたため。後のシリーズではCGムービーを使うようになったため、結果的に本作のみの要素となった。
---今見ると非常に切ないクオリティではあるが、グロ描写はたっぷり含まれており、実写映画さながらの迫力と臨場感もあって生々しい。後のCGオープニングムービーよりもむしろ良いという声もある。~
襲い掛かってくる何者かから逃げまどうクリス、見開かれた眼球が大写しにされそこにタイトルが被さる…という演出も、実写ならではの生々しさが表れている。
---登場人物を演じた俳優名については特に公開されず、「スタッフ」「専門学校生」など様々な憶測を呼んだ。『BIOHAZARD』シリーズは後に、ゲームと違う世界観で実写映画が公開されたが、そちらに登場するゲームと同姓同名のキャラを演じた俳優より、似合っているとも言われる(特にバリーとウェスカー)。
---ジョセフが拾い上げた拳銃にちぎれた手首がついてくるという描写があるが、手首の主についてはゲーム中で一切解説されない。攻略本では「ブラヴォーチーム隊員エドワード・デューイのもの」と説明されているが、説明書の人物紹介にはエドワードについて一切記載がなかった((開発当初はクリス・ジル双方をクリアした後に「デューイ」というキャラクターでプレイ可能になるというオマケの要素の没案があり、彼の設定はここから流用したものと思われる。))。後にエドワードは『[[0>biohazard 0]]』で登場している。
---''実は開発当初は日本語音声による吹き替えであった。''雰囲気が出ないということで没になり、英語音声 + 日本語字幕で作り直された経緯がある。後にデュアルショックバージョンのコンプリートディスクのおまけとして日本語版ムービー(クリス版)が収録されている。
---「ゲームセンターCX」のDVD-BOX第12弾にて有野課長がチャレンジした際、この実写映像のOPは''多摩川の川原''で、それ以外の部分は青山スタジオで撮影したという裏話が暴露された((番組カメラマンである阿部浩一氏が前に勤めていた会社が、映像制作を行った為のこぼれ話。))。''撮影で貰ったベレッタのモデルガンを検問で見咎められて凄く怒られた''など、そのほかの裏話もされたが、''「特典映像でもあかん」「Z指定よりもヤバい」''とのことで、こぼれ話の一部は管プロデューサーによるナレーションで規制されている。%%残念な話である。%%

-サバイバルホラーというジャンルを確立させたゲームではあるが、元祖ではない。元祖は1992年に発売された仏製PCゲーム『Alone in the Dark』との認識が一般的。
--本シリーズの特徴である固定カメラ視点やラジコン式操作方法、プリレンダリングの背景にリアルタイムポリゴンのキャラという画面構成や、謎解きのヒントや物語の背景が描かれた書物が存在するという点も共通している。
---カプコンに残ったスタッフは『Alone in the Dark』についての言及を避けているが、本作のジェネラルプロデューサーを最後にカプコンから独立した藤原得郎氏は2003年の「CONTINUE」誌掲載のインタビューで「結果としては(表現方法を)参考にしました」と明言している。
--ただ、パソコンゲームゆえに知名度が低くマニア層にしか知られていなかったタイプのゲームを一般ゲーマーに普及させた功績は大きい。演出面においても、テクスチャの貼っていない生ポリゴンだった『Alone in the Dark』と比べ格段に向上している。
--また、操作性の面でも向上が見られる。『Alone in the Dark』は、調査や攻撃といった行動をステータス画面のコマンドから逐一、切り替えることで行う仕様となっており、もともとパソコンゲームであったことも手伝ってキャラクターの方向転換の仕方も非常に癖があるため、操作性そのものはあまりよくなかった。
---一方の本作では、ラジコン操作の難しさという同様の点はあるものの、それが恐怖演出の一要素として作用していること、調査と攻撃をボタンだけで使い分けられることもあって、『Alone in the Dark』よりはるかに快適な操作性を実現している。
--なお、PS5/XSX/Win向けに開発されている『Alone in the Dark』のリブート版では、''逆に『BIOHAZARD』の『2』『3』のリメイク版である『RE:2』『RE:3』の要素が取り入れられている''と[[公式インタビュー>https://automaton-media.com/articles/reportjp/20221009-222161/]]で語られている。

-ゲームシステムの根幹は前述の通り『Alone in the Dark』が先駆けているが、独特の恐怖演出やリアリティを追求したシビアな難易度といった点は、かつてカプコンから発売されたファミコンホラーRPG『[[スウィートホーム]]』のエッセンスを継承・発展させたものである。
--「エリア移動時に主観視点で扉が開く演出」「生存者の数によるマルチエンディング方式」「少ない手持ちアイテムをやりくりするゲーム性」など、様々な要素がこの作品から継承されている。

-本作のシステムを土台として、多くの類似したゲームシステムを持つ作品が生み出された。
--『[[ディノクライシス]]』『[[デビルメイクライ]]』『[[鬼武者]]』などが例に挙がる。
--また、クリーチャーとの戦闘や恐怖演出といった点では、『[[Parasite Eve II]]』『[[SILENT HILL]]』がその影響を受けている。

-週刊少年マガジンにて、本作が完成するまでを負ったドキュメント漫画が掲載されていた。
--ラスボス的に描かれたのが岡本吉起氏。言い得て妙である。
//--先述の「''初期はFPS風だった''」のエピソードもしっかりと描かれており、またそれが怖く無かったという事になっている。
//---ちなみにこの漫画が出た年にセガの「ザ・ハウスオブザデッド」が稼動開始しているがその面白くなかったという1人称視点((厳密にいえば、1人称視点といってもHODはFPSではないが。))なのだが、怖くない事は無い。
//SS版特典のカバー本内の開発秘話でも「一人称画面だと恐怖感がいまいちうすいということで没になった」旨が書かれているので、「そういうことになっている」という物言いは正確ではない。

-続編『2』の発売当時、本作のイベント進行で生死両方の展開があり得る人物(各主人公とそのパートナー)は全員生還した設定となったことから、「本作の黒幕も生死不明なので実は生きているのでは」という考察がされることもあった(平野耕太氏の漫画『進め!!聖学電脳研究部』など)。
--これはジルのパートナー生存ルートのみ、黒幕は目の前で死亡せず起爆装置を作動させに向かってからはイベントに登場しないことによるものだが、実は''起爆装置の目の前に行くと死体があり''、黒幕はどのルートでも死亡している。詳細は[[この動画>https://www.youtube.com/watch?v=YW2Nabo-OpU]]を参照。~
起爆装置の部屋はイベント進行のギミックを作動させた後はアイテム等も存在しないのでわざわざ向かう必要がなく、ここを見落とすプレイヤーが多かったことから生じた誤解であった((黒幕を殺害したと思しき敵キャラクターも再配置されるのだが、これは公式パーフェクトガイドにも掲載されていない。))。
---後に黒幕は再登場するのだが、こういった経緯のため「最初から生存を見越していた」というより「設定変更により復活した」のが正しいだろう。

-攻略本『公式パーフェクトガイド』(ファミ通編集)は、当時のクリーチャーやt-ウィルス、S.T.A.R.Sの設定も詳細に載せられた充実した内容で高い評価を受けている。
--「t-ウィルスはクレイウィルスというウィルスの特定の型の変異種」という、後の始祖ウィルスに繋がる設定や、B.O.Wの狂気の製造法、S.T.A.R.Sの各隊員のポジションやロケットランチャーがヘリコプターに積まれていた理由などが細かく記載されている。後年の設定変更が行われた部分や細かい矛盾もあるが、資料的価値は高い。
---攻略チャートを入れつつも「本作はノンフィクションである(=''我々プレイヤーがいる現実世界であの事件が起きた'')。事件後に発足した究明委員会が各種資料を整理した」という設定を前提にして資料を記載しており、解説の文体もそれに準じている。なお、B.O.Wの解説に関しては''アンブレラ社から押収された資料を元にした''と明記されており、少なくとも執筆・編集当時はまだ続編が出る予定は無かったことが分かる。
--紙媒体の入手は困難になりつつあるが、ディレクターズカット版は現在でもkindleの電子版で読むことが可能である。

-本作のみタイトル表記が単語ごとにスペースで区切られた『BIO HAZARD (バイオ ハザード)』という表記になっている。
--『2』以降は英語・日本語表記共にスペースが入らなくなった。

-『BIOHAZARD』シリーズ20周年、『天才バカボン』が''翌年に50周年''記念として、2016年10月25日にiOS/Android用アプリでコラボゲーム『バカハザ ~少年バカボン × バイオハザード~』が配信された。
--ちなみに、パパではなく''バカボンが主役''((同作のバカボンはパパに近い格好をしているため間違われる事がある。))である。なお、COLOR(red){''タイトルでネット検索すると実況動画のネタバレサムネがトップに表示されるので要注意。''}

***発売前の逸話
-思わぬヒットとなった本作だが、『Vジャンプ』においては発売前から妙に注目されていたのではと思える描写がいくつか存在する。当時行われていた「Vジャンプフェスティバル(通称:Vフェス)」には各メーカーの新作を1本ずつ紹介していくというコーナーがあったのだが、そのコーナーにおいて『Vジャンプ』読者の年齢層からするとびっくりするくらいホラーな作品である本作が''カプコンの新作代表として選ばれていた''((ちなみに、いわゆるプロトタイプ版を元に紹介されていたので、今観てみると製品版と違う部分が見受けられる等なかなか趣き深い。))等。発売後も攻略記事を載せる等かなりの入れ込み様だったのではとうかがえる。
--その中に各クリーチャーに有効な武器をクリスが紹介していくという攻略記事が存在していたのだが、''ゾンビに有効な武器はナイフ''と紹介されていた。クリスによると「動きが遅いからナイフでも簡単に倒せちまう」ということだったが、ナイフで攻撃するにはゾンビに接近する必要がある。
--ゾンビに近づくのは反撃を受ける可能性が大幅に上がるため''ハッキリ言って危険極まりない。''上述のキャンセルを使った戦い方なら問題無いのかもしれないが、''当然そんなテクニックを掲載しているわけでもなかった。''この記事を鵜呑みにしてゾンビの餌食となった少年プレイヤーは決して少なくはなかったのではないだろうかと思われる。
---他にも該当記事にはケルベロスやプラント42に有効な武器としてショットガンが挙げられている等も存在。ケルベロスが複数で襲って来る場所なら分からなくも無いが、両者とも''ベレッタで充分対処可能なレベル''である。
---もちろんそれなりに慣れと弾薬が必要になるが、余程攻撃を外しまくっていたり無駄撃ちしていなければ問題のない量が確保出来ているはずである。特にプラント42は上述の様に攻撃を無効化することもある上、対決前に探索に行くことになる部屋にベレッタの弾薬もそれなりの量が置かれている。
---慣れていない人や初心者に向けてということだったのかもしれないが、それだったら''ベレッタでの戦い方を記事にしてくれればいいのに''と思わずにはいられない。これでショットガンの弾薬を消費させられてしまったプレイヤーも何人かいることだろう。もちろん、中にはしっかり参考になる内容も書かれてはいたが…。

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*初版以降の作品について
**BIOHAZARD(SS版)
|対応機種|セガサターン|&amazon(B000069TD9)|
|開発元|ネクステック|~|
|発売日|1997年7月25日|~|
|定価|5,040円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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***概要(SS)
「SSはポリゴン表現能力が低く、移植は不可能」という開発サイドの発言はあったが発売された。~
初回特典として、本作のプロローグに当たる小説、開発秘話、未公開資料などが掲載されたハードカバー本『BIO HAZARD -The True Story Behind BIO HAZARD-』が付属した。

''PS版からの変更点''
-一部残虐描写の削除
--PSに比べ規制が厳しかったため、OPの実写ムービーやCGムービーの残虐描写の一部がカットされている。
---その一方、ゾンビの噛みつきを受けてゲームオーバーになった後に死人に鞭打つかのようにさらに食い漁るような描写が追加されていたりする。

-新規敵の追加
--ハンターの亜種である「ティックス」が登場。またクリス編ではタイラントが2体登場。

-コスチュームの追加
--クリス、ジル共に一着ずつコスチュームが追加されている。

-クリア後の特典として、SS版の目玉とも言える「バトルモード」が追加
--クリス、ジルのどちらかを選択し、エリア内のすべての敵をせん滅しながら進む。舞台となるエリアはあらかじめ決められており、ステージをクリアすると即座に次のエリアへ移行するので自分の足で移動する必要はない。回復や弾薬などのリソースは要所要所のセーブ部屋のアイテムボックスに用意されたものしか利用できない。
---スタート開始時点から時間経過が記録されており、すべてのエリアを制覇するまでにかかった時間が記録されるが、メニュー画面及びアイテムボックスを開いている最中も時間は経過していく。
---後にシリーズ恒例となる特典ミニゲームの元祖とも言えるもので、特別出演しているウェスカーゾンビが話題となった。

***評価点(SS)
-移植に当たって追加要素が加えられている。
--後の移植版に比べると微々たるものだが、PS版のプレイヤーでも違った楽しみを得られるよう配慮されている。
--ゲームバランスやストーリー内容に大きな支障を与える変更や劣化はほぼないので、きちんと代替品として通用する程度の移植となっている。追加はあってもPS版から削除された要素はほぼ存在しない。

***問題点(SS)
-グラフィック・ロード時間の変化
--上記の通りSSはポリゴン表現能力が劣るため、グラフィックのクオリティは比較的低く、ロード時間も長い。
--全体的にポリゴンは角ばって太ましく感じられ、影の処理もジャギーが目立つ。
--テクスチャにも変更が入っているが、クリスが何とも言えないゴツい顔立ちになったり中庭地下のボス・ブラックタイガーがほぼ完全な真っ黒になったりと、見た目の印象が大きく異なるキャラも。
--半透明の処理が使えなかったのか、煙などのPS版で半透明だったエフェクトは透過部分と不透明部分を交互に並べる疑似的な半透明表現を行っており、パッと見てもPS版より絵面が汚く感じられる。
---同様の理由なのか、研究所地下のタイラント戦の舞台となる培養槽の部屋は部屋の中央にある培養槽が全て割れた状態になっている。
--ムービーに関してはPS版のプリレンダムービーや実写映像をそのまま使っており、ほぼ変化はない。
---スタッフロールで流れるプレイ映像もPS版の流用である。見比べると映像が大きく異なるのがわかるだろう。
--劣化はしているが、露骨に「何が描写されているのかわからない」というレベルでの変化はないので、プレイに支障をきたすほどでもなく、気になるかどうかは人によるという程度のものと言っていい範疇ではある。

-一部追加要素の微妙さ
--SS版オリジナルの敵「ティックス」は中庭地下に配置されるだけ、見た目もハンターが多少変更された程度で強さ的にも大差ないなど、存在意義が薄い。
--クリス編では前述通りタイラントを二体倒さなければならないが、ここのタイラントはコルトパイソン3~4発で倒せる程度なのでPS版と同じ感覚で弾薬の管理がうまく行えていれば、さして苦戦はしない。

-''バトルモードの格差''
--バトルモードのスコアはかかった時間と残り体力、そして残りの弾薬から算出される((所持弾数から「いくつ使ったかの減点法」では無く「残った弾薬の種類と数に応じての加点法」である。))。
--そしてジルは「クリスの所持弾薬+グレネード各種6発」である。''要はこの時点で弾薬関連のスコアで有利になってしまっているのだ''。
---グレネードを駆使すればほとんどの敵を数発で倒せるので結果的に他の武器や回復アイテムの負担が少なくなり易く、本編の体力の低さがデメリットになりにくい。
--一方でクリスは上記の様に弾薬がジルより少ない上に本編同様にベレッタの威力が低く調整されている。その為に必然的にショットガンやマグナムに頼らなければならず、ますますスコアを稼ぎにくくなると言う悪循環に陥る。''オマケにクリス専用武器の火炎放射器はバトルゲームでは登場しない。''
---クリスの体力が高いと言うメリットはバトルゲームを解放(本編クリア)出来るプレイヤーだと恩恵を受けにくいのでますますジルが有利になっている。
--結論を言ってしまうと''バトルゲームで高スコアを狙うならジル一択となってしまっている''。

-追加要素の存在により、純粋なオリジナル版と同じ内容で楽しむことはできない。
--ゲーム内容に与えた影響は微々たるものだが、公式でも問題視されたのか以降の移植版はオリジナルから追加要素のないモードと追加要素ありのモードとが別個に用意されることとなった。

***総評(SS)
開発サイドの発言通りに一部の劣化は見られるが、オリジナルの代替品として成立する程度に抑えられている。~
一方で、追加要素の存在で純粋な移植ではなくなってしまい、またその追加要素も微妙なものが散見されるなど惜しい部分も。~
とは言え原作の魅力は十分維持しており、総合では間違いなく元と同じ良作である。~

以降の移植版では本作の要素は反映されておらず、その点では希少な存在となっている。

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**BIOHAZARD DIRECTOR'S CUT
|対応機種|プレイステーション|&amazon(B000069TDB)|
|発売日|1997年9月25日|~|
|定価|4,800円|~|
|配信|ゲームアーカイブス&br;2006年11月22日/600円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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***概要(DC)
『2』の開発が最初からやり直しになったため、本作に新たな要素を加えて発売された作品。DISC2には『2』の体験版が収録されている。

-主な追加要素
--ビギナーモード
---弾薬及びインクリボンの入手数が2倍・主人公の体力増加・敵の能力と配置の変更などを施したモード。通常に比べ難易度は大きく下がっている。
--アレンジモード
---主人公達が新コスチュームで、敵の数の変更・カメラワークの変更・アイテム配置の変更・足の速いゾンビ(通称ハイパーゾンビ)の登場などを施したモード。通常に比べ難易度は大きく上がっている((隠しコマンドでアレンジの追加要素でビギナーと同じ調整になるイージーモードにすることも可能。))。
---主人公の初期装備のベレッタが強化されており、一定確率でコルトパイソンと同威力のクリティカルが発生するようになった。
---コルトパイソンの入手タイミングが洋館攻略の序盤とかなり早くなっている((弾薬そのものは後半の洋館攻略以降に限られる。))ため、寄宿舎から戻ってきたばかりでもハンターに対抗しやすくなっている。
---しかし、コルトパイソンやグレネードなどの強力な武器の攻撃力が低下しており、通常版では一撃で倒せた敵も場合によっては倒せなくなっている。ハンターやキメラはもちろん、ケルベロスに至ってはコルトパイソンでも一撃では倒せない。とはいえ威力自体が高いことに変わりはなく、弾薬の配置数も増えている。
---前述した難易度表記だが、アレンジモードでは記載されていない。これは「ジルでも難しくなっているから」とのことである。前述通り、オリジナルでもジルが簡単かと言われると微妙なのだが。
---攻略本のインタビューでプロデューサー・ディレクターである三上真司氏は「難しくなったので、自分たちもプレイ時オリジナルであえて取らずに放置してたアイテムを探すようになった」「開発当初、館に戻ってきて一番近いセーブポイント前に「これぐらいハイテンションな方がいい」とハンターを三匹セットしたが、難しすぎてオリジナルのスタッフが誰もクリアできず、頭を冷やして一個減らした」とも回答している。

***評価点(DC)
-充実した追加要素によって間口が広がった。
--原作ほぼそのままのオリジナルモードがあり、SS版と違いきちんとオリジナル版の完全移植が遊べる。
--ビギナーモードの追加により、ゲームが苦手なプレイヤーでも幾分遊びやすくなった。
--アレンジモードはオリジナル版の熟練プレイヤーでも歯ごたえを感じさせる内容であり、新鮮な気持ちでプレイできる。
---またアレンジ版の隠し要素として、ベストエンドの特典が「無限コルトパイソン」に変更された。その名の通り無限に弾を撃てるコルトパイソンで、扱いやすさはロケットランチャーより圧倒的に上。
---この変更により、アレンジ版では1周目からコスチュームチェンジが可能になっている。

-定価が若干安めになった。

***問題点(DC)
-オリジナル版のセーブデータの引継ぎは不可能(アレンジやビギナーはもちろん、オリジナルモードでも)。
--隠し要素の開放には改めて攻略しなければならなくなった。

-アレンジモードのある場所のマグナム弾(コルトパイソンの弾)の設置にバグがあり、''上手く活用すれば無限にマグナム弾を入手できる''。当然、終盤攻略が楽になるというかゲームバランスが完全に崩壊する((後述のデュアルショックバージョンでは修正されたのだが、ゲームアーカイブス版でもそのまま残されている。))。

***総評(DC)
GCでリメイクされるまでの初代『BIOHAZARD』の決定版と言える内容である。~
今でいう完全版商法のような内容だが、オリジナル版のプレイヤーでも新たに楽しめる追加要素は好評で受け入れられた。

***余談(DC)
DISC2には『2』の体験版に加えて「[[ロックマンDASH>ロックマンDASH 鋼の冒険心]]」の体験版も収録されている。~
海外版においてフランス版のみOPが無規制バージョンで収録されている。しかもPC版で採用されていたカラーでの収録となっている。

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**BIOHAZARD DIRECTOR'S CUT DUAL SHOCK Ver.
|対応機種|プレイステーション|&amazon(B00005OUKQ)|
|発売日|1998年8月6日|~|
|定価|3,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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***概要(DUAL SHOCK Ver.)
『DIRECTOR'S CUT』のマイナーチェンジ版。

-主な追加要素
--基本的な内容はディレクターズカット版とほぼ同じだが、コントローラ振動機能が加わり、BGMも一新されている。新規BGMの作曲者は、後にゴーストライター騒動を起こす佐村河内守氏となっている((つまり、実際には彼のゴーストライターであった新垣隆氏の作曲。))。
--また『1』(無印版・ディレクターズカット版)及び『2』(無印版・デュアルショック版)の隠し武器、コスチュームチェンジなどのおまけ要素が最初から出現しているセーブデータや、~
オープニング&エンディングムービーの日本語吹き替え映像と『バイオハザード1.5』の未公開シーンが収録された「コンプリートディスク」が付属している。
---ちなみに、コンプリートディスクのDC版データはデュアルショック版でも使用可能である。

***評価点(DUAL SHOCK Ver.)
-基本は変わらないが、振動機能の追加で一部演出に臨場感が出た。

-定価がさらに安くなった。

***賛否両論点(DUAL SHOCK Ver.)
-一新されたBGMは、本作が初のプレイヤーには問題なく受け入れられたが、DC版以前のプレイヤーからは特に賛否が激しい。
--オリジナル版の評価が高いBGMも差し替えられてしまったのは特に不満意見が上がる。
--敵の急襲時の曲やブラックタイガー戦の曲、研究所での黒幕との対峙BGMは「緊迫感がない」などの意見が多く、やや不評。
--一方で差し替え後も落ち着いたオルゴールのように見せかけて微妙に音程が乱れて不安を感じさせるセーブポイント、ピアノの旋律が謎めいた雰囲気を呼ぶ後半の洋館2F、ラスボスらしく壮大で派手なタイラント戦BGMなどは高評価を得ている。

***総評(DUAL SHOCK Ver.)
おおむねDC版と同内容。振動機能やBGM一新などでマンネリ打破を試みたと思われるが、基本的に変わりはなく「コンプリートディスクのおまけ」のように言われることもある不遇の作品。~
振動機能との兼ね合いに加え、BGMの作曲者の一連の騒動からゲームアーカイブスでの配信は絶望的と見られるが、通常のDC版と比べてあえてこちらを選ぶ理由も薄いだろう。

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**BIOHAZARD Deadly Silence
|対応機種|ニンテンドーDS|&amazon(B000BX0FJW)|
|発売日|2006年1月19日|~|
|定価|5,040円|~|
|レーティング|CERO:18歳以上対象((改定後に発売された廉価版のレーティングはCERO:D(17歳以上対象)。))|~|
|廉価版|BestPrice!&br;2007年1月25日/3,129円&br;New BestPrice! 2000&br;2008年12月25日/2,100円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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***概要(DS)
2006年に発売されたDSへの移植。~
ディレクターズカットを基準としており、SS版、DCアレンジモード、振動版に準拠した変更点は無い。~
ほぼ完全移植で、一部バグは修正されたが裏ワザも含めてオリジナル版とほぼ同じ感覚で遊べる。~
色々と印象深かった実写ムービーも収録され、BGMもオリジナル版に戻った(主題歌はカット)。~

***主な追加要素
-Lボタンを押せばいつでも使えるナイフ((常に装備されておりアイテム欄の消費も無し。これに伴い、中庭地下で蜘蛛の巣を取り払うために置かれていたナイフは削除。))、R+Bボタンによるリロード、↓+Bボタンによるクイックターンと言った、後のシリーズで搭載されたシステムを実装。
--さらにメニュー画面の操作をタッチペンで行えるようになったり、上画面にマップが映るなどDSの特色を生かしたUIの改良も行われている。
--ナイフはいつでも使えるようになった反面、多段ヒットしなくなったので火力が低下している。

-武器の名称が変更。ベレッタがハンドガンに、コルトパイソンはマグナムリボルバーになった。
--リメイク版準拠の変更点として、ハンドガンのテクスチャ(柄)がサムライエッジのものとなっている。
-オリジナルとほぼ同様の「クラシックモード」と、様々な変更点を加えた「リバースモード」に加え、対戦・協力プレイができる「バトルモード」を搭載。
--クラシックモードは裏技でイージーモード(入手弾数を2倍、敵の耐久力と攻撃力の減少)にすることが可能。
--リバースモードではタッチペンを使った戦闘や謎解きがあり、敵の数がオリジナル版より多く、隠し要素が追加されている。
--また、タッチスクリーンを使う「ナイフバトル」が追加されている。
---特定地帯を通るとランダムで発生、斬る、突く、ゾンビの胃酸攻撃をマイクへの吹付けで跳ね返すなどタッチスクリーンの機能を生かした戦闘である。
---本編ではアイテムがランダムで入手できたり、あるボスをこのバトルで倒す必要がある。またミニゲームでこのナイフバトルだけをプレイすることも可能。
--リバースモードに限り、クリス、ジル、レベッカの3人に従来のバージョンには無かった新たなコスチュームが追加されている。
---新コスチュームは''忍者装束''のクリス、''ホットパンツ''のセクシーな制服のジル、''チアリーダー''のレベッカと言ったような、まだ大人しめだった『1』としては異例のはっちゃけた衣装になっている。
---レベッカのチアリーダー衣装は後の『[[biohazard 0 HD REMASTER>biohazard 0#id_3db0335d]]』でまさかの再登場を果たしている。
--バトルモードでのみ、条件を達成することで、本編では死亡するS.T.A.R.S隊員のエンリコ、ケネス、リチャード、フォレストでプレイできる。

-その他の変更・追加要素
--ジル編の難易度表示はEASYからNORMALに変更された。
--血の色を赤・緑の2種類から選べるようになった。
--完全なお遊び要素だが、待機モーションに入った主人公の''尻''か''胸''(クリスは胸でなく頭)をタッチすると反応を示すようになっている。''何やってんのカプコン。''

***評価点(DS)
-キャラクターのグラフィックや各種モーションが手直しされ、自然さが増している((グラフィックはサイズ調整や滑らかさの向上。モーション変化も直立時の呼吸、旋回・ダッシュ時の腕の開き方、武器の構え方、ゾンビの倒れ方など多岐に渡る。))。

-データロードの高速化により、ドア開閉シーンや一部ムービーのスキップ機能が追加。プレイ時間をさらに短縮できるようになった。

-UIをDS用に改良したことにより、快適性が向上している。

***問題点(DS)
-容量削減((DSのロム容量は最終的に512MB(4Gb)まで使用可能になったが、本作の発売当時は256MB(2Gb)が最大であり、本作に採用されたのは128MB(1Gb)だった。))のために各所でその弊害が発生している。
--洋館2階のBGMが1階でも、さらにはハンターが出現した後でも使われ続けている。
--各種ムービーの画質が大きく劣化し、シーンによっては何が映っているのか判別しにくい。

-実写ムービーは海外の規制版に日本語字幕を挿入したものとなっている。
--しかし、最初に遭遇するゾンビの振り向きシーンはノーカットで、プレイ中においても一部の死亡シーンにおける残虐描写もそのまま残っている。

-改良されたUIだが、グレネードガンの弾の種類変更が相変わらず不可能、クラシックモードにもかかわらずパソコン操作にタッチペンを強制される等、気になる点もある。

-リバースモードの謎解きには、無理やりDSの機能を使わされている感が否めない。
--原作では普通に電気のスイッチを切るところがマイク機能で息を吹きかけて蝋燭を消すものになったり、寄宿舎地下でレバーを上げて水を抜くだけだった部分が''突然毒水が噴出、タッチペン操作でバルブを閉めて対応する''((手早く行わないとプレイヤーが毒状態になり、時間切れで死亡。))ものになるなど。
--タッチペンで円を描く動作に若干癖があり、それを使う部分がやや難しい。前述の寄宿舎地下はその点も批判されている。

-ソンビ振り解きの攻撃力。
--ゾンビに捕まった際にスクリーンを連打することでもゾンビを振り解けるが、レバガチャと異なり攻撃判定がある。このダメージが非常に高く、ゾンビの体力によっては一撃で倒すことも可能なため、回復アイテムに余裕がある状態であれば武器を使わずともゴリ押しで進める状況になってしまう。

***総評(DS)
オリジナル版の内容そのままに、全体的な遊びやすさは向上している。~
DS機能を使う部分は若干調整が甘く見られるところがあるが、総合的には良質な移植と呼べる内容である。