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ペルソナ3 - (2024/03/14 (木) 01:03:28) のソース

このページでは『ペルソナ3』とアペンド版『ペルソナ3 FES』に加え、アレンジ移植版である『ペルソナ3 ポータブル』について紹介する。判定は3作とも「&color(,lightgreen){''良作''}」。~
&color(red){リメイク版『ペルソナ3 リロード』は2024年5月2日以降記事作成可能。}
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#contents
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*ペルソナ3
【ぺるそなすりー】
|ジャンル|RPG|&amazon(B000EY2ZT6)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売・開発元|アトラス|~|
|発売日|2006年7月13日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|前作からシステム面を一新&br;クール&スタイリッシュな雰囲気の青春RPGに変化&br;一方で、従来の退廃的な要素も受け継いでいる|~|
|>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズ]]''|
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**概要
アトラスの代表作ともいえるRPG『真・女神転生』からの派生作品の1つである、『ペルソナ』シリーズの3作目で『[[ペルソナ2 罰]]』から6年ぶりの新作。メインテーマは「''死''」である。

『真・女神転生III』の制作チームが中心となって開発された。そのためか同作品のシステムが踏襲されていたり、グラフィックモデルが流用されていたりする。~
キャラクターデザインは金子一馬氏から副島成記氏へ変更。金子氏は名義のみの参加にとどまっている。~
世界観・システムもこれまでの『ペルソナ』シリーズのものとは一新、学園生活を送りながらイベントをこなしていくという、アドベンチャーゲームに近い様式を取り入れている。

戦闘システムは『真III』で採用されたプレスターンバトルの派生形である「ワンモアプレスバトル」を採用している。~
音楽のメインコンポーザーは、『真III』のメインコンポーザーでもあり、『[[女神異聞録ペルソナ]]』でも一部作曲を担当していた目黒将司氏が担当している。

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**ストーリー(『P3P』ゲーム説明書より)
>幼い頃に事故で両親を失い、親族に引き取られて郊外へ移り住んでいた主人公。~
家庭の事情で高校を移ることになり、10年ぶりにかつて居た街を訪れることになる。~
~
だが、入居した学生寮が怪物の襲撃を受けた事で、図らずもペルソナを覚醒する。~
その能力を見込まれる形で、同じくペルソナ能力を持つ仲間たちから、世界の裏に横たわる真実について知らされることになる。~
~
世界の真実――~
1日と1日の狭間に隠された時間が存在すること。~
そこに棲むシャドウと呼ばれる怪物。~
そしてシャドウが精神を食らうことによって、人間が次々と口も利けないほどの無気力状態にされてしまう事実。~

実は、舞台となる“私立・月光館学園”の裏には、学園理事長である幾月修司の管理の下、ペルソナ能力者を1つの学生寮に集める形で特別課外活動部が結成されていた。~
目的は「シャドウの被害から人々を守る」こと。~
主人公はその一員として戦いに参加していくことになる。

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**特徴
-雰囲気の一新
--概要の通り、『異聞録』『2』で見られたオカルト的でおどろおどろしい雰囲気は薄まっている。特に後述するコミュに付随する雰囲気は、むしろ明るいくらいである。
--もっとも作品全体がライト方向にシフトしたわけではなく、先述した通り死をメインテーマとしたストーリー本編ではメガテンらしいダークな展開が待ち受ける。
--本作の敵は従来作のような悪魔そのものではなく、仮面をモチーフにした「シャドウ」と呼ばれる怪物である。そのデザインはそれまでの悪魔とは違った抽象的な不気味さを持ち、ダークな雰囲気を盛り上げる。

-全体的な雰囲気は変わったが、『罰』以前の作品を連想させる要素も随所に存在する。
--「タルタロス」という名のダンジョン及びラスボスの元ネタは『女神異聞録ペルソナ』の「雪の女王篇」へのオマージュである。小さい点ながら「影人間((本作では「無気力症」というキーワードの説明として登場。))」「シャドウ」というキーワードも元々は『2』で作られた言葉である。

-日付制
--平日は通学し、放課後や休日の昼間は街を自由に移動する。
--1日の間の行動が限られ、通常のRPGのようにダンジョンと街を自由に行き来することはできない。放課後・昼間、夜の2ターン制であり、コミュ育成やステータスを行うとターン消費する、夜中はタルタロスに行くことが夜ターンが消費される。
--大型シャドウとの戦闘や学校行事などのイベント発生日は固定されている。


-学生生活
--学校は主にコミュとステータスを伸ばす施設で大半の昼をここで生活する。学生らしい年中行事もある。
--学生なので定期テスト(中間・期末)があり、テストの結果で良いアイテムが貰えることも。

-コミュニティシステム
--通称「''コミュ''」で、主人公は毎日学校に通い、イベントをこなしてキャラとの好感度を上げて親交を深めていく。
--本作はどちらかといえば学園での日常生活に重点が置かれており、これにプレイ時間の大半を費やすことになる。
---平日と休日でキャラクターたちの生活パターンは異なる。またコミュの発生もキャラごとに違う。
---テスト中は部活動が制限されてコミュが進められないキャラもいる。
--コミュにはランクがあり、交流を重ねると成長する。育っていくと、ランクに応じてRPGパートで使用するペルソナを作成した際に、経験値をボーナスとしてプラスしてくれる。
--また対象アルカナペルソナを持っていると好感度が上がりやすい。
--ランクが最大になると、通常では作れない強力なペルソナを作るためのアイテムが手に入り、合体が解禁となる。
--対象キャラと険悪な関係になり、ランクが上げられない状態をリバース状態という。主人公と同じ学校の生徒とのコミュでのみ発生する。

-ステータス
--主人公固有のパラメータとして、SLGパートの進行に"のみ"影響する「学力」「魅力」「勇気」のパラメータが存在する。
--勉強する、授業中の先生の問題に正解する、映画やゲームセンターで過ごす、外食をするなど様々なことをすると最大6段階に成長する。
--一定ランクに達していないと進行・発生させられないコミュも存在するので、コミュを進めながら空いた時間にステータスを上げる必要がある。


-疲労システム
--タルタロスの瀕死などで体調が変化する。

-バトル
--タオルタロスという100階以上あるダンジョンを攻略することが目標とされる。節目の階ごとに番人と呼ばれる中ボスが設置してあり、一定以上登ると期間が来ないと先に行けない
--主人公以外はコマンド入力ができず、作戦指示を出して、その指示方針に従って仲間が独自に技を選択する形式になっている。

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**評価点
-''コミュシステム''
--コミュのキャラクターは同級生から先輩・後輩を始めとして町の小学生や老人、さらにはTVショッピングの社長に僧侶など様々な人間との交流が楽しめる。
--どのキャラもメインキャラに負けず劣らず濃いキャラ付けをされており、彼らとの交流で発生するストーリーも様々。その中でも病気により余命幾許のない青年である「神木秋成」のコミュは本作のテーマと非常にマッチしている。
--親交度を上げると、度合いに応じてキャラクター達が悩みを打ち明けてくれるようになる。かなり突っ込んだところまで吐露してくれるので、よりキャラクター達に感情移入することができる。
--同時に、''そのキャラ及び親交度に対応した機能・能力が開放される''ため、本作・以降のシリーズの中核をなす重要システムである。
--特に女性キャラは恋愛に発展し、本編とは違った魅力的なしぐさをとってくれ、コミュが終わった後でもデートができるなど、前作までよりキャラクターの魅力を感じやすい作りとなっている。

-学生生活を満喫できるシステム
--タルタロスの攻略の他、勉強や部活、友人や仲間との交流に修学旅行といったなど等身大の学生生活を体験できる。
---タルタロスで世界の命運と戦いながら定期テストに一喜一憂する仲間達はシュールな光景で笑えてくる。
--カレンダー制であり一年間の過ごすことができ、季節ごとのイベントや環境も変化するのも特徴である
--RPGと言えば様々な場所を冒険するゲームが多いが、本作のように拠点を中心に行動する珍しいタイプのRPGである。
--主人公のステータスは勉強や街での活動によりどんどん上がり交友関係が増えてくので、レベル上げが楽しくできる。

-''キャラクター・シナリオ''
--キャラクターたちは、高校生という年代特有の未熟さや青臭さが前作以上に細かく描写されており、より人間くささが増している。
--主人公はRPGではお馴染みの「無口主人公」であるが、物語やコミュを進めると選択肢や反応で熱い心が垣間見えたり、仲間や友人たちを大切にし、そしてリーダーとして仲間たちを引っ張り支えるかけがえのない存在となっていることがプレイヤー視点でも見て取れる。
--そのため、没個性的な「無口主人公」ではなく、プレイヤーごとにキャラクター像を思い描きやすい、魅力を感じやすいキャラクターとなっている。
---魅力のパラメータを最大に高めると「カリスマ」になるが、老若男女から好かれる様は正にカリスマである。
---スポーツ・学力やゲーム、カメラや絵画、衣服などの芸術面にも明るく、なんでもこなせる、皆が憧れるような超人になりきることも可能。
--仲間達は皆暗い過去をトラウマとして抱えており、初めは八つ当たりや失言なども見られるややギクシャクとした関係が続いていくが、個々人が次第にそれを乗り越えて成長し心を開き、団結してゆく物語には独自の魅力がある。
--そして、何よりもテーマである「''死''」において、仲間は多くの死に触れて、それが1つの問題となって迫って来るが、個々人がそれ向き合い答えを導く流れは巧みなシナリオ運びである。
--続編『P4』は比較的和気藹々とした雰囲気であるが、本作『P3』は仲間同士が己の弱さやトラウマをお互いにぶつけあい、傷つきながら前に進んでいくというもの。
--シナリオ全体としては、トラウマを乗り越えて絆を深めたキャラクター達が、それぞれ誰かに訪れる「死」に、それぞれの形で立ち向かっていくというシリアスな展開となる。
---特にラストバトル後~エンディングは、上記のコミュニティシステムを最大限まで活用した演出が用意されており、システムとシナリオが上手く噛み合っている。

-モブキャラ・サブシナリオの豊富さ
--モブキャラ達は単なる会話だけでなく、そのキャラクターのサブストーリーが1年に渡って綴られる。
--代表的な例としては「ストーカー女子」や「担任が嫌いな小学6年生女子」などが挙げられるが、彼女ら以外もなかなか奥が深いサブシナリオとなっている。
--平和になった町では彼らが少しづつ成長しているのが分かり、町を救ったご褒美となっている。

-''バトルシステム''
--今作の「ワンモアプレスバトル」は、『真・女神転生III』に登場した「プレスターンバトル((『真III』の「プレスターンバトル」は、「敵の弱点属性を突く・クリティカルヒットが発生すると自軍フェイズの行動回数が増える」「逆に無効化されたりミスしたりするとフェーズが打ち切られる」というものであった。))」をアレンジしたものである。
--ワンモアプレスは「相手の弱点属性に対応した攻撃」「物理攻撃でまれに発生するクリティカルヒット」によって相手をダウンさせると、ダウンさせたキャラクター自身がもう1回追加で行動できる「1more」が発生する。
--その際、再度''他の敵を''ダウンさせればさらにもう1回行動でき、最終的に敵全員をダウンさせれば耐性無視の大ダメージを敵全員に与える「''総攻撃''」が可能になる、というシステムである。
---うまく攻撃すればどんどん連続行動を繋いで敵を圧倒することができ、爽快感が高いうえ、どのようにして全員ダウンさせ総攻撃を狙うかという戦略性も求められる。
---ワンモアプレスは敵軍にも適用される。味方の弱点属性((厳密には味方キャラの装備ペルソナの弱点である。主人公はペルソナを付け替えて弱点や耐性を変えられるが、味方の弱点はイベントでペルソナが転生するなどしない限り変わらない。))をつかれたりクリティカル攻撃を受けたりすると、その敵が追加行動を行ってくる。
--今作も『真III』と同様に''主人公が倒れた時点でゲームオーバー''という仕様になったため、主人公が迂闊な行動で弱点をさらせば、敵の追加行動、ひいては即死を招く…と、適度な緊張感ももたらしている。

-カットイン
--主人公や仲間のスキルが敵の弱点にヒットする際、一定の頻度で仲間や主人公が「''カッ''」という目を開いた一枚絵のカットインが入る。
---バトルシステム的に重要な局面で挿入される印象深い演出であり、今作以降のシリーズでもバトルを象徴する演出として定番化し、他作品の二次創作でもパロディとして引用されるほど有名になった。

-''音楽''
--ポップステイストのボーカル曲が全編通してふんだんに用いられており、これまでのシリーズはおろか当時のゲーム業界全体を見ても類を見ない斬新なスタイルであった。
--個々の楽曲は完成度も高く評価され、今なお多くのファンから愛されている。
---OP曲の『Burn My Dread』は音楽PVを意識したアニメーションムービーと相まって、クールでスタイリッシュかつシリアスな本作の雰囲気をよく表現している。
---通常戦闘曲『Mass Destruction』はLotus Juice氏のラップと川村ゆみ氏のボーカルによるノリノリのダンスチューン。
---RPGの、それも『メガテン』系列の戦闘曲とはとても思えない大人びた曲調で、プレイヤーに大きなインパクトを与えた((そのあまりに印象的なイントロのフレーズから、ファンからは「ベイベベイベ」の通称で親しまれている。))。
---ラストバトルで流れる『全ての人の魂の戦い』は『ペルソナ』シリーズ伝統のベルベットルームのテーマをアレンジしたもので、その演出ともども絶大な人気を誇るシリーズ屈指の名曲である。
---ED曲の『キミの記憶』は物語に合わせて春と別れを意識した曲になっており、爽やかさと切なさを持ちあわせており、こちらもやはりファンからの人気は非常に高い。
--ゲーム全編を通してボーカル曲を用いるという革新的な試みは功を奏し、以降『P4』『P5』やPSP版『[[Persona]]』でも受け継がれシリーズの定番となった。
---戦闘中に聞き飽きて耳障りになることはなく、でもしっかりとボーカルが印象には残る、絶妙な音量バランスとなっている。
--日常生活の明るい雰囲気に対するダンジョン探索時や敵との戦闘時の緊迫した雰囲気といったメリハリも付いており、演出面での評価も高い。
--サウンドトラックもゲームのサントラCDとしては高い売り上げを記録している。

-''ボイス''
--『[[女神異聞録ペルソナ]]』『[[ペルソナ2 罪]]』『[[ペルソナ2 罰]]』におけるボイスは、一部のイベント、ムービー、戦闘程度でしかなかったが、本作からイベントも含めてフルボイス化された。
---その一方で、ボイスのエコー演出は廃止された。
--演じる声優陣も抜かりない。主人公を演じる石田彰氏を始めとして有名どころを多数起用しており、各キャラへの没入感を満たしてくれる。

-引継ぎ要素の豊富さ
--2周目以降に主人公のレベル、ステータス(学力・勇気・魅力)、所持金、ペルソナ全書、装備品などが引き継げ、強くてニューゲームを行うことができる。

-小ネタ
--テレビ番組のナレーションで過去作のキャラと思わしき人物の様子が伝えられることがある。往年のファンならニヤリとさせられることも。ちなみに、この過去作の様子を伝えるキャラも…?

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**賛否両論点
-''作風の従来作からの大きな変化。''
--先述の通り、『真・女神転生』ナンバリング作品や前作『2』までに見られたオカルト的雰囲気は鳴りを潜め、やや学園ファンタジー寄りの作風となった。
--また、男女問わず友人との絆を深める「コミュニティ」がシステムの中心に据えられ、必須イベントではないものの女性キャラクターのお色気描写や男女関係の演出も含まれるなど、これまでの『女神転生』や『ペルソナ』とは異なる雰囲気が生じた。
--RPGというジャンルでこういった対人交流システムを前面に押し出すのは異色であり、従来作のファンや恋愛描写が苦手な人を中心に、今作の作風は''「ギャルゲー的」「ときメモ風」''で受け入れられないという声も少なからず存在しており、シリーズファンの間でも論争の種になることがしばしばある。
//--また女子キャラクターの魅力が大きく向上したという声も多い。
//↑これは評価点に記載があるのでここでは省略でよいかと
--戦闘システムにおいても「敵が悪魔ではない(故に交渉も存在しない)」「ペルソナチェンジは主人公以外不可能」「主人公が倒れると仲間が健在でもゲームオーバー((『真III』も同様だが、こちらはパーティメンバーの内人間は主人公1人のみなので然程不自然でもない。))」といった仕様に戸惑ったシリーズ経験者は多かった。
--一方、それまでの『女神転生』ではありえなかった作風にシフトした今作及びその作風を正統に継承した後継作『P4』『P5』によって新たな、そして大きなファン層を獲得したことは紛れもない事実である。
---シナリオとシステムの両面で根幹として重要な「コミュ」は、後作『P4』『P5((名称が「コープ」に変わっているが、基本的なシステムは同じである。))』でも同じシステムが継続され、シリーズの顔ともいえる要素になっているなど、総じて受けが良かったことが窺える。
--本作以降『ペルソナ』シリーズの販売本数は本家『真・女神転生』ナンバリングシリーズを大きく超え、メディアミックスも非常に盛んとなり、一躍アトラスの看板タイトルとなった。
--今や『ペルソナ』シリーズは世界的な高評価を受けており、本作がアトラス自体の新たな活路を見出すきっかけになったといえる。
--また今作や以降の『ペルソナ』シリーズが入口となって本家の『真・女神転生』シリーズも好きになったという声も少なからず聞かれ、『メガテン』シリーズ全体にとってもファンを増やす契機になっている。
---もっとも、[[そうしたファンの流入が後に本家『真~』の作風をも変えてしまったとする従来ファンからの批判>真・女神転生IV FINAL]]があるのもまた事実ではあるが…。

-以上のように、本作における方向転換は&u(){販売戦略としては紛れもない大成功であった}と言えるが、シリーズファンからはその作風の路線変更が賛否両論分かれるところとなった。
--なお、これを踏まえてか次作『P4』では冒頭がオカルトな噂話と殺人事件を発端とするシナリオになっており、『2』以前のようなオカルトテイストも意識している節がある。

-『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2』のシナリオを担当した里見直氏は降板しているため、『ペルソナ』シリーズの立役者の1人であった氏が関わっていないことを惜しむ声も見受けられた。
--一方で、すでにアトラスを退社して久しい((退社後にもリメイク版『PERSONA2 罪』にて配信シナリオの一部脚本を手がけるなど、全く交流が無いわけではない。))ことや、本作がそれまでの作風から大きく方向転換していることから、無理に起用する意味は無いとする声もある。

-桐条グループの援助が少ない
--装備品、道具、武器などにかかるお金は全てタルタロスで稼いで、自費で賄っている。
--桐条グループは日本の有数の企業でありタルタロス攻略に多大な費用をかけている部活動にもかかわらず主人公や仲間への支援が少ない。
--ともあれ「[[ドラゴンクエストシリーズ]]」の王様にあるようなRPGのお約束とも言える。

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**問題点
-''探索面''
-飽きやすいダンジョン攻略パート。
--今作のダンジョン攻略パートは、マップがランダムに生成されるダンジョン「タルタロス」の探索が大半を占めるが、階層を進めていっても背景と敵の強さ以外はほとんど変化がなく、特殊なギミックも一切盛り込まれておらず、途中で非常にダレやすい。
--そのうえ「タルタロス」攻略中は疲労システムというものがあり、一定の回数戦闘を行うと主人公含むキャラクターが疲労して攻撃力が低下し、疲労状態でエントランスに帰還するとその日は出撃不能になってしまうという厄介なシステムで、攻略の足枷になっている。
---疲労システムの問題点は『ポータブル』で改善され、『P4』では疲労システムそのものが撤廃されている((探索を終えた日は自由行動ができなくなるという制限は付く。))。
--一応、月に1回ほどタルタロス外の固定マップを探索しボスと戦うイベントが用意されてはいるものの、小規模であり探索要素としてはオマケのレベル。
--お世辞にも好評とは言い難いランダム生成ダンジョンだが、後作の『P4』も概ね同形式のダンジョンを採用しており、メインで攻略するダンジョンは固定マップとなった『P5』においても「メメントス」という名称でやはり同形式のダンジョンが続投している。一応、シリーズを重ねるごとに改善されてはいるのだが…。

-セーブ制限
--セーブはタルタロスの入り口でしか行えず、一度ダンジョンに入ると脱出するまでセーブできない。
--タルタロスでは、ある一定階層に行かないと戻ることができない。例えば10Fでセーブして、19Fで敗北したら10Fからやり直しである。
--特に最終決戦のボス戦は直前にセーブがないため、敗北するといくつかの階層をまた登らなくてはならない。
--後の『ポータブル』では最後に到達した階層まで一気にワープすることができるようになった。

-移動用AIの判断能力が低い。
--ダンジョン内では仲間を引き連れて移動する事になるのだが、段差や障害物、壁や敵味方ユニットの認識が甘く、ちょっとした障害でしばしばつっかえて動かなくなる。
--しかも、後続の仲間があまりに離れすぎたまま戦闘に突入すると、その仲間が戦闘に参加できないこともある。
--また、プレイヤーの進行方向に立ち塞がったりして邪魔にもなる。押して動かしたりも出来ないので、敵シンボルをスルーしたい時や敵の先制を回避するためアクションする時などは困る。
---このあたりは『P4』では改善されている。
--基本的に敵シンボルの移動用AIも同レベルであり、プレイヤーが強くなってくると弱い敵シンボルはプレイヤーを避けるようになるのだが、その移動方向が不規則で動きが予測できない。
---そのため、むしろこちらを妨害するような方向に移動して来たり、逆にこちらから戦闘を仕掛けようとしても動きのランダム性が強すぎて捉まえられないといったことも起こる。
---また敵シンボルが逃げる際に移動のたびに甲高い声で鳴くためうるさくもある。

-''戦闘面''
-仲間のAIの性能の悪さ。
--上記の通り今作は主人公以外はコマンド入力ができない。しかしAIの状況判断能力はかなり低く、的確に動いてくれない。
--特に問題とされたのが「意味も無く補助スキルを連発する」というパターン。その補助スキルの名前にちなんで「タルンダ((攻撃力弱体化魔法。止めを刺せそうな場面に限って使う。))先輩」「テンタラフー((ステータス異常付与魔法。「コンセントレイト(次の1回だけ魔法の威力を大幅に強化する補助スキル)」を使っておきながら威力0の「テンタラフー」で効果を終了させるという無駄コンボも頻繁に行うため「コンセンタラフー」とも。))先輩」などといったアダ名まで生まれてしまうほど。
--そんな頭の悪い戦いをする先輩に限って性能がいいため、活躍させるためには的確な作戦指示にこまめに変えることが必須。
---『FES』以降は調整されており、『ポータブル』では直接コマンド入力が可能になった。

-全体魔法の利用価値が乏しい。
--全体魔法を使う場合、''攻撃した敵すべての弱点を突かなければ1moreが取れない。''
---今作の戦闘は「いかにして敵の弱点を突き1moreを発生させるか」が最重要となるバランスであり、「敵がすべて同じ種族である」といったきわめて限られた場面を除いて全体魔法の存在意義が乏しくなってしまっている。

-物理攻撃が不遇なゲームバランス。
--物理攻撃には武器を使ったアタックとペルソナの物理スキルの2種類があるが、双方とも重大な欠点があり実用性に難がある。
---アタックはHPやSPを消費せずに攻撃できるものの、弓以外の武器では攻撃ミス時に転んでダウン状態になってしまう。特に主人公がダウンすると、自然回復まで戦闘の立て直しが仲間のAI任せになってしまい、非常に危険。基本的に主人公はアタック封印、もしくは弓装備に限るかのどちらかを迫られる。
---物理スキルはHPを割合で消費するが、魔法スキルと比べて性能に対する消費負担が大きく、バランスが悪い。また、仕様上レベルが上がるほど多くのHPを消費してしまうため、一部の極めて有用なスキル((特定条件下で超高威力になる「空間殺法」や、高威力・高クリティカル+恐怖付与の「プララヤ」など。))を除いてほとんど利用価値がない。
--根本的な問題として先述のように敵の弱点を突くことが非常に重要な本作において、物理属性を弱点とする敵が少ないのも使いづらさの一因となっている。結果として、物理攻撃主体の仲間は活躍できる機会が少なくなりがちである。
--魔法攻撃ができる順平はまだしも、物理攻撃しかできないアイギスと荒垣は特に深刻((アイギスはカジャ系魔法や回復魔法も習得するため、サポート役としての利用価値がある。しかし荒垣は物理スキルの他には本人対象のパッシブスキルしか習得せず、物理要員としても順平やアイギスに劣るため、出撃させるメリットが無い。))。
--弱点のない敵に対しては物理攻撃のクリティカルしか1moreを取る手段がないため、物理攻撃に全く出番がないとは言えないが、ただクリティカルを狙って出せるわけではなく、ミスによるダウンのデメリットもあるため、あえて戦略に組み込むのは現実的でない。

-戦闘演出の省略モードが無い。
--従来作のAUTOコマンドのような通常攻撃のみの高速モードも一応あるが、物理を無効ないし反射する敵もいるのでその場合は使えない。
---だが演出は長くても5秒程度でそれ以上はかからない。これを長いと見るか短いと見るかは人による。
---余談だが、『メガテン』シリーズ全般においては何故か、戦闘演出の省略機能は搭載されないことが多い。

-''シナリオ面''
-メインストーリーの構成が全体的に練り込み不足。
--物語の序盤から中盤にかけて、攻略パートにおける仲間同士のいがみ合いや疑心暗鬼といったギスギスとした展開がやたら目立つ。
--同時期の学園生活パートが比較的ポップな内容にとどまっていることもそのギスギス感を際だたせており、大して仲良くない仲間とビジネス的に仕方なく戦っているように見えてしまう。
--もちろんそうした展開になる理由はあるのだが、不十分な説明やストーリー進行の遅さもあり、途中で投げ出す要因になりやすい。
--ストーリー終盤になってようやく、仲間達が互いを認め団結していく描写が描かれるようになるのだが、そこに至るまでのくどいほどのギスギス描写に対して融和の描写があまりにあっさりとしており、また性急な展開に感じられてしまうという意見は根強い。
--女性メンバーについてはコミュを進めればある程度の背景が分かりシナリオ内の言動に納得が行きやすいが、後述のように男性メンバーはコミュがないため、描写不足である。
--キャラクターをマイナス方向に掘り下げたまま、説得力のあるフォローをしていない・できていない事が多いのも問題である。
--何かとツンツンし過ぎるゆかりや気の良い3枚目ポジションと思われた順平が主人公に対してたびたび敵愾心を燃やすくだりは、唐突に盛り込まれているように見えるうえ最後まで消化不良となっており、悪い意味で有名。
#region(ネタバレ注意)
--詳しい説明は省くが、順平が主人公に嫉妬して悪態をつくが、その後和解する……と思ったらまた仲間の危機に対して、主人公に暴言を吐かれると言うもの
--さらに、その後謝罪やフォローも無いので、プレイヤーは非常に嫌な思いをしがちである。
#endregion

-描写不足に感じられるキャラクターの存在。
--中盤のあるイベント以外ほとんどストーリーに絡まない天田や、ストーリー上重要な立場であるにもかかわらずあまり掘り下げられずに終わる主人公達と敵対するペルソナ使いのグループ「ストレガ」の面々などがよく指摘される。
--ネタバレになるため詳細は伏せるが、黒幕的立場の人物も具体的な目的や動機は不明のまま。
---上述した順平も含め、こうした一部のキャラクター描写については『FES』や『ポータブル』で補完された部分もある。

-退場キャラクター
--詳細は避けるが、仲間の1人が仲間から離脱してしまう。
--かなり中途半端な時期に離脱するため、離脱する仲間を鍛えたり、仲間の武器や装備を購入していると損したような気持ちになる。

-''日常面''
-日常生活パートのテンポが良くない。
--コミュ育成をメインとする学園生活で多くの時間を割くことになる今作だが、「寝て起きた」や「午前の授業を受けた」などといった描写をそこそこ時間かけて毎日やるせいでテンポが悪くダレやすい。
--RPG部分に専念したいプレイヤーにとっては、日常生活パートの占める割合が大きいというゲームデザインゆえ、テンポの悪さが大きなマイナスになりうる。
--この影響で、当初は50時間程度を想定していたとされるクリアまでのプレイ時間も、下手をすれば100時間近くかかるほどになってしまった。
---この点は『ポータブル』で改善され、『P4』と同様特別なことが起きない場合は上記の描写がスキップされすぐ操作可能になるといった改善がなされた。

-コミュシステムの不満点
--仲間キャラクターとのコミュは女性キャラを対象としたもののみ。そのため男性の仲間キャラとのコミュが欲しかったという意見が多い。
--特定の女性キャラクターはコミュのランクをある程度上げると強制的に”特別な関係”、すなわち恋人関係に発展してしまう。つまり、''複数の女性キャラとのコミュを進めていると自動的に浮気する仕組みになっているのである。''
//--恋愛対象のキャラも中盤以降でようやく解禁される。本作の要素の一つが遅いのは致命的である。
//恋愛対象のキャラの一人である剛毅コミュは序盤から解禁する事も可能なのでCO
---システム上でも問題があり、特別な関係になったキャラクターはリバース状態に陥りやすくなってしまう。
--全コミュのコンプリートは可能でこそあるものの、限りなく不可能に近いレベル。極めてシビアなスケジュール管理が要求され、自由度の欠片もなくなる完全な「やり込み」の領域になってしまう((後述の『ポータブル』も含め、人物によってはストーリーの展開上コミュを行えなくなる時期があったり、コミュを行える期間が限られていることがある。))。
---コミュ最大の目的であるランクMAXの特典は2周目プレイでも引き継がれるため、そもそもが「周回を重ね、コミュ特典アイテムだけをコンプリートする」という方向性なのだろう。が、「できれば1つのセーブデータで全コミュをMAXに(コンプリート)したい」と考えていたユーザーも当然ながら存在し、不満の声が上がっていた。
--コンプリート難度については『FES』で改善が図られたものの、コミュ対象キャラや”特別な関係”については『ポータブル』でようやく、それも''女性主人公の特権''という中途半端な形でしか実現されなかった。
--また仲間のコミュを発生させるためのステータス条件が高く、しかも中盤以降なので非常に遅い。そのため何故ツンツンしているのか、何故ギスギスしているのか、キャラの背景が分からず悪印象を抱きがちになりやすい。
---なお『P4』においては、これらの問題点は全て解消されている。

-''デザイン面''
-敵である「シャドウ」は、設定上仕方ないとはいえデザイン的には前作や前々作の悪魔達と比べてバリエーションが薄い((ちなみに、一部追加された物を除いて『P4』のシャドウも同じデザイン。『P5』では従来の悪魔の姿をしたシャドウという設定。))。
-キャラクターデザインが2Dイラスト・3Dモデル・アニメーションムービーそれぞれで差異が大きく、特にムービーパートではその差を感じやすい。
--オープニングは演出と合っているので違和感は無いが、プレイ中のムービーだとキャラクターの造形が「会話時のバストアップキャラ」「操作している3Dモデリングキャラ」のどちらとも似ておらず、やや浮いてしまっている。

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**総評
シリーズにおいて大幅な方向転換を図った作品の常であるが、旧来の『女神転生』『ペルソナ』ファンの中には路線変更に反発する者も見受けられ、賛否両論が巻き起こった。~
事前情報の時点から発売に至るまでまさかの「ときメモ風」になったことに難色を示すファンもいたが、一方で新たなファンを獲得しシリーズが躍進する大きな転換点となる。~
荒削りな点もありながらも高い独自性を持つコミュシステムや魅力的なキャラクター、評判の高い『真・女神転生III』からより進化したバトルシステム、ボーカル曲を中心とした印象的なBGMなど、過去作とは違う新たな魅力を提示した作品である。

本作の要素を受け継いだ『[[ペルソナ4]]』はシリーズの人気を盤石なものとし、さらにその後を継いだ『[[ペルソナ5]]』は世界的なヒット作となり、和製RPGを代表するシリーズへと大躍進を遂げた。~
これらの続編は『P3』の路線を継承して作られたこともあり、あらゆる点で『ペルソナ』シリーズの転換点となった作品である。

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**余談
-前述の『FES』『ポータブル』のほか、ケータイゲームやパチンコ、TCG、テレビアニメ((ただし、今作自体のアニメではなく、今作から10年後を舞台にしたパラレルワールドを描いた事実上のオリジナル作品。))など関連商品が多い。
--後述した本作を元にしたアニメである『PERSONA trinity soul』は製作されていたが、本作自体のアニメ化という形にはならなかった。しかし、次回作のアニメ版『Persona4 the ANIMATION』(P4A)の好評を受け、今作も『Persona3 the MOVIE』(P3M)として劇場アニメが製作されることが発表され、2013年から2016年にかけて全4部作が公開された。
--また、『PERSONA3 the Weird Masquerade』という名で舞台化もなされた。こちらはポータブルで登場した女性主人公も男性主人公とのダブルキャストという形で出演している。

-2019年4月18日に『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』がVer.3.0.0に更新され、『[[ペルソナ5]]』のジョーカーが有料DLCで参戦した。
--ステージ「メメントス」では『3』の楽曲「Mass Destruction」「全ての人の魂の戦い」を設定可能。これらの曲が流れた際はステージが『3』のイメージカラーになる。
--『ペルソナ』シリーズ共通のキャラクター「イゴール」もスピリットとして追加された他、『3』の主人公のMiiコスチュームが有料DLCで配信された。

-今作のディレクター・橋野桂氏は前作から大きく路線変更した理由について、「『異聞録』と同じく新規ファンの獲得をメインターゲットとしたため、シリーズ未経験でも楽しめるものにした」と『ペルソナ倶楽部P4』で語っている。

-売り出し方が「''『真・女神転生IIIマニアクス』のスタッフが作った!''」ことを前面に押し出していたので、ハードルがかなりの高さになってしまっている。
--今作はそれでも良作なのだが、雰囲気や仕様が違いすぎて戸惑ったファンも多い。戦闘において難易度が高いことで有名な『真IIIマニアクス』の名を出したばかりに、まさかの『[[ときめきメモリアル]]』だと思わなかった難民を多数生んでしまった。
---もっとも、この売り方だと「『真IIIマニアクス』スタッフの作ったペルソナ罪/罰」の様なゲームと思われても仕方ないのだが。
//---同様の売り方で賛否になった例では、『[[グラディウスII -GOFERの野望-]]』の野望スタッフの『[[XEXEX]]』や、テトリス原案者の『ハットリス』などがある。

-2019年10月30日に[[橋野桂氏へのインタビュー記事>https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/191030a]]が電ファミニコゲーマーに掲載された。

-当時のチート対策の一環なのか、今作でレベルMAXなどのチート行為を行っていた場合ナビキャラクターの美鶴か風花にその事を指摘されるボイスが搭載されていた。
--手の込んだ演出だったのだが、この結果開発の思惑とは裏腹にそのボイスが聞きたいがためにチート行為を行うユーザーが出てくるという本末転倒な結果となってしまった。

-問題点で記述されている桐条美鶴の「コンセントレイト→テンタラフー」の無駄行動が、『リロード』発売前の4コマ漫画で[[ネタにされている>https://twitter.com/p_kouhou/status/1751621149312659518]]。

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**その後の展開
-2023年6月12日に開催された「Xbox Games Showcase」で、本作のリメイク『ペルソナ3 リロード』が発表。対応機種はPS5/XSX/PS4/One/Winで、2024年2月2日に発売された。
--なお、このリメイクは''無印版『ペルソナ3』に基づくものとされており''、後述する『FES』『ポータブル』の内容は一部を除き''本編には''含まれず、代わりに新たなイベントやシナリオの補完が追加されている。
---なお、ゼネラルプロデューサーである和田和久氏によると「拡張版の予定はない」らしく、''完全版は''出さない方向性で進んでいる。%%DLCを出さないとは言っていない。%%

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*ペルソナ3 FES
【ぺるそなすりー ふぇす】
|ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B000MJUOLO,image=https://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/25/1/2/380.jpg)&size(10){単独起動版}|CENTER:&amazon(B000LRQ06A,image=https://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/25/2/1/156.jpg)&size(10){アペンド版}|
|対応機種|プレイステーション2|~|~|
|発売・開発元|アトラス|~|~|
|発売日|2007年4月19日|~|~|
|定価|単独起動版:7,800円(税別)&br()アペンド版:4,800円(税別)|~|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
//|ポイント||~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズ]]''|
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**概要(FES)
『ペルソナ3』の好評を受けてアトラスが発売した『ペルソナ3』のアペンドディスク。~
大幅なゲームバランスの調整、さまざまな追加要素を加えて発売された。

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**特徴・評価点(FES)
-''追加シナリオ・Episode Aegis''
--2010年3月31日。閉鎖が決定した学園寮で過ごすことのできる最後の日、どことなくぎこちない空気の中、ささやかなパーティを開く特別課外活動部の面々。そしてその夜事件は起こった…。
--3EDのその後のシナリオであり、ワイルドの能力に目覚めた機械の乙女・アイギスが主人公。アイギスの妹を自称する新キャラ「メティス」と共に地下のダンジョンを攻略する新シナリオ。
--仲間の初期レベルは全員30。「しばらく闘っておらず衰えた」と最初の方で説明が入る。
--本編ではコミュを進行しないと入手できないペルソナもアイギスの場合は手に入れられる。

-本編の追加要素。
--新規追加は主に、新規イベント、イージー/ハードモード、新ペルソナ、新コミュ、武器合体システムの5つ。
---特に人気キャラクターであり、物語の中核に位置していた「アイギス」のコミュの追加と、サブキャラクターながら高い人気を誇っていた「エリザベス」とのデートイベントの追加はファンからの評判も良い。元々アイギスのコミュは無印で没になったという経緯があるので、ファン待望と言っていいだろう。
--彼女のコミュを進めることで起こる修羅場イベントや監視カメラの様子でメンバーの日常の様子が追加された。また、主人公との交流の少なかった荒垣を含めた男子メンバーも映画を見に行くなどのイベントが追加された。
--OPはEDの「キミの記憶」のアレンジが冒頭にあり、『3』の続きを意識している。
--新規BGMも追加されており、そちらも好評。特に「Heartful Cry」はギターのテンポの良さとどこか悲しげなキーボードがキャラの心情をよく現していると高評価。

--ユーザーの要望が高かった、装備する衣装に合わせたグラフィックチェンジも実装された。これにより、メイド服や水着などがバトルで使用できるようになった。

-その他、ゲームバランスの調整。
--最大の特徴として、コミュの進行難易度の調整が挙げられる。前述の通り、無印ではコミュのコンプリートは非常に困難であったが、今作以降では調整が加えられ、完璧なスケジュール管理をせずともコミュコンプリートが可能になった。
---頭が悪いと酷評されたAIの行動が改善され、戦闘でストレスを感じずに済む。%%俺たちのタルンダ先輩はもういない。%%

-無印セーブデータの一部継承が可能。
--ある程度繰り返しになる部分はあるが、無印をプレイしたユーザーもストレスなく追加要素を楽しめる。

-またロード時間の短縮なども行われ、細かい点にも手が入っている。

-単独起動版とアペンド版の2種類が用意されたこと。
--「もう一度フルプライスで買え」ではなく、前作のディスクを持っていれば比較的安価で購入することが可能だった。内容に差異はない。

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**賛否両論点(FES)・問題点
-追加版のFESで用意された新規シナリオ「Episode Aegis」の内容が賛否両論で、大きな議論を巻き起こした。
--議論の的となる点は大まかに分けて2つあり、1つは主人公の扱いについて。

#region(賛否両論である点その1。ネタバレ要素を多く含むため注意。)
-最大の論点は、''主人公が死亡している''こと。製作サイドとしては本編のエンディングとして主人公が死んだと表現したつもりだった。
--だが、ハッキリと明言する形ではなかったためプレイヤー側は「どちらとも取れる演出をして、生死はプレイヤーの判断に委ねた」と判断した人が多かった。
--制作サイドは、後日談の目的の1つとしてその辺をはっきりさせるという点があることを否定していない。
---もっともどちらとも取れる演出とは言っても、最終決戦の演出やエピローグなどでは明らかに「死」よりの描写((最後のイベントバトルで使うことになるスキルの使用コストが「HP100%」や、最終決戦前に死を暗示されるなど。))である。発売以後も死んでいるという推測のほうが主流だったことは留意されたし。
---よって「死亡していた」という事実そのものに対する批判というよりも、「確定されないことで考察・議論の余地が与えられ深みのあった箇所を、''公式が確定させてしまった''」という点において批判が集まったということである。
--主人公の名前は特に決まったものは無く好きな名前をつけることができるので、プレイヤーの分身としての意味合いでプレイしていた人や、純粋に主人公を好きだった人、プレイヤー生存説を取っていた人は追加版の『FES』で死んでいたと確定されてしまったことにショックは隠せなかっただろう。
---この点についてプロデューサー兼ディレクターの橋野桂氏は「主人公が最高の充実の中で事切れるというハッピーエンド」「『ペルソナ3』は死の疑似体験ができるゲーム」と発言しており、これも賛否が分かれている。
---橋野氏の発言については[[こちらのページ>https://www22.atwiki.jp/p3etc/pages/24.html]]にまとめられている。
#endregion

#region(賛否両論である点その2。こちらもネタバレ要素を多く含むため注意。)
-新規シナリオの終盤で、主人公がいなくなった後に残された仲間同士が戦いあうこととなる。
--そういった展開になる理由は、大雑把に言えば「過去に戻って主人公を救う」か「主人公が自分自身の意思で生命を賭して世界を守ったことを尊重し、今を生きるか」で仲間同士の意見が真っ向から対立したため。
--この争いの際、メンバーが感情のままに言葉をぶつけ合い争うため、「仲間に暴言を吐いていて、本編でのキャラの成長が感じられない」「キャラの言動があまりにひどすぎる」などといった批判が相次いだ。
--またバトル面も、敵対する仲間が覚えてないはずのスキルを使ってくる、弱点が無くなっているなど、各キャラに慣れ親しんだプレイヤーほど見過ごしがたい矛盾が起こっている。

-キャラクターの描写に関して、違和感を強く訴える声も少なくないが、一方で「感情が昂っているだけで発言内容自体は理解できる」との意見もあり、まさに賛否両論。
--ゆかりは主人公を救うためにアイギスに辛く当たることが批判の対象になりがちだが、彼女のコミュを進めていればどれだけ主人公に依存しておりその喪失を埋めるのが難しいかは理解でき、主人公がいない世界で主人公の死を1ヶ月たらずで脱却できる方がおかしいという声もある。
---彼の死から脱却できないゆかりの想いと、アイギスとの主人公に対する想いとを対比することでいずれにも感情移入しやすくなる、世界の破壊すら厭わない行動を取る点も彼女の元のキャラクター性から大きく逸脱はしていないと、ゆかりの描かれ方を肯定的に捉える意見もある。
--また「主人公の意見を尊重する」という考えの天田と真田であるが、彼らはメンバー内ではどちらかといえば本編での主人公との関わりが淡白だった方であり、主人公の気持ちを深く理解するほどの絆を本編で築けていたのかという疑問の声もある。
---「キャラの成長が感じられない」という批判に関しても、主人公が居たからこそ乗り越えられていた部分も大きく、成長した各メンバーであっても主人公が喪失した世界では自分を保てていないだけだ、とも解釈できる。
---一方で、本編中盤で主人公に辛辣な態度を取る場面が目立ったためプレイヤーから嫌われがちであった順平は、FESシナリオにおいては仲間割れを仲裁するなど本編に比べて人間的成長が見て取りやすく、「『FES』で評価が変わった」「良い男になった」と好意的な意見が多い。
---なお、このように真っ二つに分かれた仲間の描写だが、シナリオライターが変わったわけではない。

-追加シナリオのラストも完全にすっきりとは感じられないもの。特に「今の段階では主人公を救えない」というオチであった点がよく批判される。
--これに関連して「仲間たちが主人公を見捨てた」という批判もしばしばされるが、これは誤解によるもの。現段階で救出を諦めざるを得ない理由は作中できちんと述べられているし、それでも主人公を救うために行動を開始していこう、という意思はしっかりと示され「希望のある終わり」を意図して描かれている。
--ただ、その方法が「困難すぎる」「具体的でない」ため、ぼやけたラストになっているという批判はある。「仲間たちが主人公を救うために俺たちなりに戦おう!」という前向きなエンディングを描こうとしながら、具体的な希望の光を最後に示さなかったことがこの賛否両論の原因であろう。

-また、無口無個性ないわゆるプレイヤーの分身型主人公((『FES』ではタイトル画面において本編を「episode Yourself」と表記するなど主人公=プレイヤー自身であることを公式に示している。))でありながら、後日談では仲間たちの口を通して本編における主人公の考えや想いについて「シナリオ担当者の考える主人公像」を押し付けてくるような傾向がみられる。
--「シナリオ担当者の考える主人公像」を基に「主人公の遺志を無駄にする気か」等発言する仲間もいるため、自分の分身として主人公を操っていたプレイヤーにとっては「自分はそんなこと考えてないのに」と違和感を生じさせている原因となっている。
---逆に主人公にそこまで感情移入していなかったり主人公を1人のキャラとして自分とは切り離してプレイしていた層ならそれほど違和感を覚えないため、プレイヤーの感情移入のスタイルが多様である点も賛否両論を招きやすい一因となっている。

-結局、「後日談なんてなかった」とする批判的なファン、「面白かった、本編の深みが増した」とする擁護的なファン、「批判するにしても擁護するにしてもそこまでいかない」というの中立的な視点などがどの層もそれなりの数存在している。議論になると荒れやすいため注意が必要。
//--このように賛否が激しく渦巻いたせいか、''後の移植作『ポータブル』にはこの追加シナリオは収録されていない。''
//単に容量の問題の可能性もあるでしょ。

-ちなみに、続編である『[[ペルソナ4]]』においては下記の通り、これらの点がすべて解消されたシナリオとなっている。
--1:上記の仲間以外で『3』の主人公を救出すべく行動している人物がいることが明かされる。
--2:『4』の主人公と仲間の仲の良さが強調されて、いざこざがあまり起こらない。
--3:主人公がプレイヤーの分身として最後まで機能する
---さらに1で挙げた人物は当初『4』にも続投するはずだったが、直前で別キャラクター(当該人物の姉にあたるキャラ)に差し替えられたという経緯があったことが制作サイドから明かされている。
//---この人物は更に続編である『P4U』で主人公救出を胸に秘め行動している様子が描かれている。
---これらを鑑みると、後日談への批判的意見が制作サイドになんらかの判断を下させた可能性もある。
//ちょっと修正。ポータブルに後日談が入ってないのは容量上の問題が大きいとインタビューで答えてるので。
//エリザベスが主人公救出を目的としているのは、P4本編の時点でもマーガレットがさらっと触れている。

-コミュでの内容が本編と繋がる。
--ゆかりやアイギスなどのは本編とつながってしまうのは当然として、美鶴の婚約者や千尋のその後などを考えると、コミュを進めていることが正史となるが、後日談とではキャラの設定が違いすぎる。特に美鶴はゆかり以上に主人公に執着してもおかしくない。

#endregion

-後日談はやや難易度が高い。
--エンカウントバトルは属性が同じキャラが出てくることはなく、一斉攻撃が使えないため攻略に時間がかかっている。
--特にシナリオ終盤に出てくるとあるキャラの初見殺しぶりはただごとではない。
--後日談はストーリー中心にみたいからサクサク進ませてくれ、という声も多く挙がっていた。高難易度に関しては本編のハードモードがあるのも一因。

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**総評(FES)
賛否両論な点は多々あるものの、無印と比べれば純粋なアップデート版と捉えて良い出来。~
今現在は『FES』をベースとして、移植度も上々な『ポータブル』も発売しているので、購入の際は要検討。~
ただ、PS2で無印か『FES』か……ということであればこちら一択だろう。~
後日談「Episode Aegis」も賛否はさておき、プレイできるのは本作のみ。『ポータブル』には移植されていない。

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**余談(FES)
-『FES』追加ペルソナの一つである「オルフェウス・改」を作成するためには、「同一周回内で全コミュニティをMAXにする」ことによって手に入るアイテムが必要。
--前述の通り一部の女性コミュではランクを上げると自動的に恋人関係になってしまうため、二股どころか''五股''をかける浮気プレイをしないとオルフェウス・改の作成及びペルソナ全書のコンプリートは不可能となっている。

-2024年9月に『ペルソナ3 リロード』のダウンロードコンテンツとしてエピソードアイギスが配信予定。

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*ペルソナ3 ポータブル
【ぺるそなすりー ぽーたぶる】
|ジャンル|RPG|&amazon(B002M770AW,image=https://image.sofmap.com/images/product/large/4984995900469.jpg?v=20012001,width=90,height=160)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売・開発元|アトラス|~|
|発売日|2009年11月1日|~|
|定価|5,980円(税別)|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|廉価版(税別)|PSP the Best:2011年8月25日発売&br()UMD版:2,800円 / DL版:2,200円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
//|ポイント||~|
|>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズ]]''|
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**概要(ポータブル)
今作のPSP移植版。新たに女性主人公の追加や『ペルソナ4』からのキャラのゲスト出演、『P4』のバトルシステムに変更といった多彩な追加、変更がなされている。~
その一方、『FES』で描かれた後日談「episode aegis」は容量などの問題もあり収録されていない。

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**特徴・評価点(ポータブル)
-女性主人公の追加。
--今作は上記『FES』の「episode yourself」をベースにしており、男性主人公は『FES』のシナリオの再現となっている。
--女性主人公でプレイするとコミュニティの一部が新キャラクターを交え、新規のものになっている。ストーリー上のキャラクター達の反応もギスギスとした描写が減っており、男性主人公と比べて柔らかく表現されたことで違った視点で楽しめる。
--女性主人公では男性のパーティーメンバーともコミュニティを築くことができ、これによって全SEESメンバーのコミュを発生させることが可能になった他、男性編とは違うキャラの一面を見ることができる。
--前述の通り空気であった天田や荒垣の掘り下げに成功している。またコミュニティのランクによっては男性編では死亡するキャラを生存させることができるなどシナリオにも小さいながら変化がある。強制的に二股以上になるという点も『P4』同様に改善されている(あえて二股以上にすることも可能)。
---また、女性主人公限定で次回作『P4』の舞台である八十稲羽へ行くことができ、そこで「2年前」の『P4』の主要キャラクターがゲストで登場したり、音楽もそちらの楽曲に切り替わる。『P4』のファンならにやりとできる要素である。
---一方で、男性主人公編でもとあるイベント中に『P4』のサブキャラクターが登場する。

-バトルシステム
--『P4』におけるワンモアプレスバトルの改善点が反映されており、''複数対象の攻撃でも敵を一体以上ダウンさせれば追加行動が行えるようになった。''~
これにより全体攻撃の使用価値が大幅に向上している。
---当然だが敵側にも同じことが言えるため特定の場面で運ゲー化しがち。特に物理攻撃主体の相手で顕著。
--AIの性能も向上しており、仲間の行動をコマンドで指定できるようになったためより戦略的に戦える。
--パーティメンバーが主人公へのダメージを肩代わりする「かばう」と、HPが0になる攻撃を受けても一度だけ踏みとどまる「食いしばる」に加え、属性攻撃によるダウンを一度だけ防ぐ「防御」が『P4』から逆輸入された。
--PS2版での主人公の武器はプレイヤーが任意に選ぶことが出来たのだが、今作では男主人公が「片手剣((『FES』まで片手剣を使っていたキャラクターには「突剣」という新規武器カテゴリが充てられ、全キャラが固有武器になった。))」で、女性主人公が「薙刀」で固定になった。
---本作は見た目がユニークな武器も多いため自由度の低下を嘆くプレイヤーも多いが、戦闘面では相対的に物理スキルの価値が上がったとも言える((物理スキル自体の性能も全体的に上がっている。))。

-日常パート
--無印と『FES』は3D空間でキャラクターを操作してNPCと会話したりする方式であったが、今作はマップに表示されるカーソルを動かしキャラクターにポインタを合わせ会話する、という『女神転生』シリーズ伝統のものに変更。~
またイベントシーンもキャラクターの一枚絵が表示されて進行するといった形になり、テキストアドベンチャーに近い形式となった。
--これにより日常生活でのテンポが大幅に向上。□ボタンでのショートカットマップ移動も追加され、移動の冗長さも無くなった。

-その他要素
--タルタロス内で失踪者を捜索する「失踪者探索」が追加され、タルタロス探索のダルさの緩和が図られた。
---失踪者の中にはコミュ対象者もおり、救出するまでは該当コミュが中止となってしまう。期限を過ぎて救出失敗となると再開不能になるため要注意。
--疲労システムも、その日のタルタロス内では疲労せず翌日に疲労するように改善された。
---その代わりなのかエントランスに戻ってもHP・SPが回復せず、時計にお金を払わないと回復できなくなった。
--ベルベットルームの受付担当にエリザベスの弟「テオドア」が追加され、女性主人公の本編序盤でエリザベスとの選択を迫られるが、ストーリーに変化はないので好みの方を選べる。ちなみに男性主人公はエリザベスで固定。
--バトルに関するさまざまな問題を解く、強化されたストーリーボスと再戦する「ヴィジョンクエスト」追加。進行は『P4』のマーガレットが担当する。
--パーティメンバーとのコミュニティレベルをMAXにした際のイベントにボイスが追加され、キャラへの感情移入度が高まった。
--スキルカードシステム
---新たに「スキルカード」と呼ばれるアイテムが追加され、これを消費することでペルソナに好きなスキルを覚えさせることができるようになった。~
自分好みのペルソナを作りやすくなったため高い評価を受けたシステムで、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』以降でも導入されている。~
なおスキルカードは神社で複製が可能だが、『P4G』と違い無料ながら日数がかかる上1回につき1枚なのでスケジュールにも気を配る必要がある。
--難易度選択にイージーより優しいビギナー、ハードより難しいマニアクスが追加。
---マニアクスモードは難易度のさらなる上昇の他、前周からの引き継ぎプレイが不可能となっている。
--『P4』から4体のペルソナが逆輸入された他、コミュや総攻撃の演出が『P4』に合わせた仕様となっている。

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//どれもフォローが入ってるくらいで賛否分かれる項目がないので問題点へ。
**問題点(ポータブル)
-イベント面
--上記のようにテキストアドベンチャーに近い形になったことで、『FES』等であった3Dキャラの人形劇イベントやアニメムービーは無くなった。このためイベント面が少し寂しいと言われることも主にPS2版プレイヤーから聞かれた。
--本作はUMD1.7GBのうち、約1.2GBの容量を使用している。これだけ容量に余裕があればムービーは何とかなったのではないか、と惜しむ声もある。
---このあたりの容量がUMDの一層目と二層目の境であるため、これ以上入れるとローディングへの悪影響が懸念されるため仕方ない事ではある。また上記のようにテンポの向上やロード時間短縮のメリットもあり一概に否定も出来ない。
---…とはいうものの、上記は発売当初、まだ解析が進んでなかった頃にささやかれていた考察である。現在はデータ内に多くの削除可能な項目が発見されており、また他タイトルでは圧縮しているデータ等も生で入っており、容量に関してはこれらを整理することで空けることが可能であったと考えられる。
//(解凍用のプロセスは直ぐ済む上にリソースもそんなに必要ない。というかP3P自体PSPのスペックを使い切ってる場面は多くない)
//~ムービー等削除の理由は主に下記の要因が大きい。ムービーよりも手軽に用意できる追加要素ですら、不足分が多いのでムービー削除は言わずもがな。
---実際の所としては、PS2版のムービーはそのほとんどに主人公の姿が写っているため、女性主人公が追加された本作では女性主人公用の新規ムービーを用意しなければならないというのが、ムービーが削除された一因であろう。

-戦闘など
--追加された要素や変更点、それらと元々のシステムとの組み合わせなどで戦闘バランスが大きく変わっているにもかかわらず、敵ステータスなどが調整不足なのか難易度を最高にしても『FES』『P4』などと比べてヌルい。
---既プレイヤーはコミュの特性を知っている。新規でも、コミュに興味が沸かないor攻略をよく参照するプレイヤーは学力・魅力・勇気上げにあまりゲーム内時間と金を使わない。それによって余った日程と金銭は自然と戦闘面に注がれる
---しかし、戦闘面に反映される、日程と金を消費するコンテンツがアイテム購入とゲーセンでのペルソナステータス上昇くらいしか存在しない点はP3Pになっても改善されていない。
---金銭面ではアイテム購入は~
・依頼報酬が十分強い~
・ただでさえ楽しみが少ないダンジョン内で拾う宝を、わざわざ店で買い揃える必要が少ない~
ため、用途に乏しい。
---ゲームセンターでのステータス上げは、魔・力・速の3項目しか上がらないので、火力に直結する魔、力が自然と上がってしまい、雑魚はおろか多くのボスでさえ数ターン以内には倒しきれる過剰火力を持ってしまう。(酷い場合、ボス固有のスキルすら拝まずに終わる)
---ゲーセンの上昇項目の少なさはFES発売の2007年の時点で結構指摘されていた((つき詰めると通う場所がここ以外あまり無いので当然ではある))。
//PS2版には無かった、解析避けの新プログラムを追加してる余力があるならば、ゲーセンの項目追加くらいは何とかすべき所であった。FESの内容等もごちゃ混ぜになった内部データを隠す気持ちは分かるが、すぐに破られて解析されていたし、もっと普通のユーザーが喜ぶ所に力が割かれるべきであった。
--クリアデータ引継ぎを行うと主人公のレベル・ステータス・所持金・装備品・ペルソナ全書などが引き継がれるのでさらに拍車がかかる。
---慣れると真後ろから攻撃 → 先制 → アナライズで弱点探知 → 全体魔法から総攻撃で終了 → 戦闘後一定期間敵に見つからないためゴリ押しで後ろに回り先制 → 以下ループ、SPが尽きたらエントランスで回復…といった具合になる。疲労システム変更でいくらでもタルタロスに登っていられるようになったのも難易度低下の一因。

-男性主人公の扱い
--男性主人公を選択した場合、本作独自の要素が女性主人公と比べてとても少なく、PS2版とほとんど変わり映えがしない。
--そのため既にPS2版をプレイ済みの場合、男性主人公を選ぶメリットはあまり無い。これを利点と取るか、欠点と取るかは人によるだろう。

----
**総評(ポータブル)
PS2版からさらに完成度が高まっており、多くの要素が追加された良移植である。~
システムの格段な進化、テンポの向上などの理由から、今から『P3』をプレイする場合はこちらでも良いかもしれない。~
演出面に不満があったり、後日談をプレイしたいなら『FES』を購入するのもいいだろう。上記変更点と併せて要検討である。