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テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン2 - (2020/04/12 (日) 14:04:53) のソース

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*テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン2
【ているず おぶ ざ わーるど なりきりだんじょん つー】

|ジャンル|コスプレRPG|&amazon(B00006IQJG)|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|メディア|64Mbit+64KbitEEPROMカートリッジ|~|
|発売元|ナムコ|~|
|開発元|アルファ・システム|~|
|発売日|2002年10月25日|~|
|定価|4,800円(税別)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|1個+中断データ1個 ※中断データは再開後自動的に消去|~|
|周辺機器|通信ケーブル対応(コスチューム交換)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク>テイルズ オブ シリーズ]]''|

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**概要
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)のRPG、「''テイルズ オブ シリーズ''」の各作品のキャラクターが一堂に会するクロスオーバータイトル「''テイルズ オブ ザ ワールド''」の1作目。「''なりダン2''」という略称が主に用いられる。~
1作目なのに『なりきりダンジョン''2''』になっているのは「''なりきりダンジョンシリーズ''」で見た場合に『''[[テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン]]''』が存在するため。~

前作・『なりきりダンジョン』はあくまで「『テイルズ オブ ファンタジア』の続編」という体だったが、本作からはその他のタイトルのキャラクターも登場する「テイルズ オブ シリーズを内包する作品」として位置付けられた。~
本作では本作発売以前に発売されていたタイトル、『''[[ファンタジア>テイルズ オブ ファンタジア (PS)]]''』・『''[[デスティニー>テイルズ オブ デスティニー]]''』・『''[[エターニア>テイルズ オブ エターニア]]''』の3作品のパーティキャラクターが総出演する。~
前作のシリーズキャラクターはあくまで主人公を導く役どころであったが、本作では一定の条件を満たすことで共に戦ってくれるようになり、更に彼らのコスチュームも登場する。~
また、戦闘システムも前作のほぼターン制と変わらなかった「プチLMBS(-リムス)」からシリーズ伝統の「''リニアモーションバトルシステム''」を採用し、『エターニア』のそれをベースとしたリアルタイムアクションでの戦闘が実現した。
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**プロローグ
ユグドラースと呼ばれる世界。~
レグニアの町に住むふたりの若者、フリオとキャロは大人として認められる年齢に達してはいたが、「''成人の儀''」を行うまでは正式には認められないために未だ子供扱いされていた。~
本来、成人の儀は「''アナスイの花''」と呼ばれる花が咲く時期に行われるもので、もう花が咲く時期になっているはずであるにもかかわらず未だ咲いていなかったのだ。~
ふたりはアナスイの花を咲かせてもらうべく、世界の中心とも言える「''世界樹''」の麓にある神殿に祈りを捧げに来ていた。

世界樹の神殿の最奥には女神と呼ばれる存在がおり、フリオとキャロの願いに対して姿を見せるも、「花を咲かせることは出来ない」と答える。~
なぜ咲かせることが出来ないのかと訪ねていたふたりを、突如迷い込んだ魔物が現れ、襲いかかる。~
戦う術を持たず絶体絶命の危機に陥るふたりだが、そこに一組の男女が助けに入る。~
卓越した剣の腕前を持つ男性と癒しの力でそれを支える女性…彼らの力を借りてどうにか魔物を撃退することに成功する。~
男性の名はクレス、女性の名はミント…魔物は彼らが仕留めきれなかったものが潜り込んできてしまったものなのだという。

世界樹の加護を最大限に受けている神殿に邪悪な魔物が迷い込むことなど本来はあり得ないはず。~
女神は世界樹が力を失っていること、アナスイの花が咲かないのもそれに起因していること、そしてこのままでは待つのは世界の滅びという末路だと知らせる。~
先程のクレスとミントはそれを回避するべく女神が異世界より呼び寄せた勇者の内のひとりであるが、異世界の住人である彼らでは本当の意味でユグドラースを救うことは出来ない。~
それ故に女神はフリオとキャロに世界を救うために力を貸して欲しいと頼むが、彼らにはクレス達のように戦う力など持ってはいない。~
不安がるフリオ達に女神は着替えた服の職業になりきることの出来る不思議な「''なりきり''」の力を与える。

なりきりの力と勇者達の力、ふたつの大きな力を借りてフリオとキャロの世界を救うための戦いがこうして幕を開けたのだった。
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**システム
レグニアの町を拠点に街の人達や歴代シリーズキャラクター達との交流やコスチューム強化などを図りつつ、各地に点在する各シリーズ作品のダンジョンを模したダンジョンに出入りし、レグニアの町で受注したクエストをこなしたりイベントを進めてゆく。

***なりきり
その職業のコスチュームを着ることでその職業になりきる不思議な力。~
例えば、剣士の服を着ればシリーズでおなじみの特技「魔神剣」や「虎牙破斬」といった技を駆使して戦うようになる。~
また、ダンジョンの攻略や謎解きなどといった要素で特定のコスチュームが必要になることもある((例えば、壊れてしまっている古代機械の装置を直すために学者のコスチュームが必要になる等。))。~
その他、通常では特定のアイテムがなければ破壊出来ない岩を破壊したり、同じく特定のアイテムが無いと開けられない鍵を解錠出来たり出来るコスチュームもある。

***服変化
前作では基本的に既にマスターしているコスチューム同士を組み合わせて新しい服を作成していたが、本作ではベースとなるコスチュームに「''ルーツ''」と呼ばれるアイテムを付与することで新しいコスチュームを作成する形となった。~
また、ルーツ以外のアイテムを使う事も出来、その場合は使ったアイテムに応じて対象のコスチュームの能力を強化することが出来る。~
勿論、特定のコスチュームに歴代のシリーズに登場したキャラクターに縁のあるルーツを付与することでシリーズキャラクターのコスチュームも作成出来、そのキャラクターになりきることも出来る。この場合、CVもそのなりきったキャラクターのものになる。~
その他、前作同様にナムコの他作品のキャラクターのコスチュームも存在しており、同様にルーツと元になるコスチュームがあれば作ることが出来る。

また、ステビアの店でコスチュームに素材や特定のアイテムを付与すると特定のステータスを上げる事が出来る。~
ただしそのたびに料金がかかり、ステータスを増やすたびに加算されてゆくので、微妙なステータス増強を繰り返すと却ってコストパフォーマンスが悪くなる。

***ボーナスアビリティ
コスチュームに付与出来る追加効果でひとつのコスチュームに3つまで追加出来る((既に3つ付いている場合は新たにボーナスアビリティを付与することは出来ない。))。~
ステータス高めたりといった基本的な所から、TP((テクニカルポイント(Technical Point)。いわゆるMPと同じ。))の消費量を抑える事が出来たり、呪文の詠唱速度を速めたりといったものもある。~
「なりきり師」など一部を除いたコスチュームにはそれぞれ固有のボーナスアビリティがひとつあり、上記の服変化を繰り返していくことでそれぞれの特徴あるコスチュームを作り上げることが出来る。

***料理
シリーズお馴染みのシステム。~
多くのシリーズ作品ではその場で作った料理を食べて効果を得るが、本作では作った料理を回復アイテムとして保管し、移動時に任意のタイミングで使用して回復する事が出来る。~
ただし、「とらふぐ」という食材を使ったレシピ、シリーズお馴染みのある一部のレシピについては「ワンダーシェフ」もしくは特定のシリーズキャラクターの服を着なければ調理できない。

***クエスト
本作を進行させる要のシステム。~
ゲーム中において活動拠点となる「''レグニアの町''」のマップ上でLボタンかRボタンを押すことで様々な噂話を聞くことが出来、たまに「''○○が頼みたいことがあるらしい''」という噂が出て来る。~
これを聞くと、マップ上にフリオ達に依頼したいことがある人物のいる場所に「''HELP!''」のアイコンが登場する。~
その場所に行って該当する人物からクエストの大まかな概要を聞き、その上で受諾することでクエストが開始((クエストは同時にふたつ発生するので概要を聞いて一旦断ることでもう片方のクエストの内容も確認出来る。))。~
クエスト受諾後は指定されたダンジョンで目的を果たせばクエスト達成となり、レグニアの町に戻って依頼主に報告をすることでそのクエストが完了となる。~
報酬としてガルド(テイルズ オブ シリーズ共通の貨幣単位。)やアイテムが貰えたり、時には料理のレシピを教えて貰えることもある。~
これを繰り返すことでストーリーの根幹に関わる重要な''ストーリークエスト''が発生し、これをクリアすることで物語が進んでいく。~
基本的にクエストは一部の重要なものを除いて失敗してもゲームオーバーにはならない。

なお、一部のクエストは受諾する際に特定のコスチュームをフリオかキャロのいずれかが着ていなければ依頼してくれない場合もある((例えば、剣士系統のコスチュームを着ていなければ受諾出来ないクエストを依頼しようとしているキャラクターに該当のコスチュームを着ていない状態で話しかけると「頼みたいことがあるのだけど…腕の立つ剣士はいないかな…?」といったような内容の話を聞くだけで終わってしまう。))。

特定のアイテムを入手するクエストの中には、そのアイテム入手時にアイテムを狙うシリーズキャラクターが割り込んで来て、彼等を倒さないと入手出来ない事もある。

余談だが、本作においてシリーズキャラクターと共闘するためには、このクエストをこなし続けてフリオ達に対する好感度((公式な概念の呼び名が無く、好感度や評価と呼ばれている。))を高めていく必要がある。

***修行
一部のシリーズキャラクターは好感度がある程度上がっていくと修行に誘ってくることがある。~
これはシリーズキャラクターが指定したダンジョンで一定回数の戦闘を積み重ねるものだが、その際に獲得した経験値((コンボによるボーナス経験値も含む。))に応じてHランクからS+ランクまでの評価があり、その評価に応じてご褒美として貰えるアイテムが変化し、更に修行に誘ったキャラクターに応じて上昇するコスチュームの能力の数値も変動する。~
Sランクを獲得すれば修行に誘ったキャラクターのコスチュームを作るためのルーツ、S+ランクを取れば別の特定キャラクターのコスチュームを作るためのルーツが貰えるが、そのためには相当な量の経験値を得た上でコンボも相当数のヒットを決めなければならない。~
回数のカウントはあくまで''勝利した戦闘の回数''なので低い経験値の敵からは逃げ、高い経験値を得られる敵に多くのヒット数を稼いで勝利するなどしなければSランク以上の獲得は難しくなっている。~
また、クエスト同様修行に行くためにはフリオかキャロのどちらかが特定のコスチュームである事を要求してくるキャラクターもいる((例としてチェスターと修行に行くためにはいずれかがアーチャー系統の服を着ていなければならない。ただし受諾後の着替えは可能。))。
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**登場キャラクター
***オリジナルキャラクター
※レグニアの町の住人は多いため、一部のキャラクターにとどめる。
:''フリオ・スヴェーン''|魔物の襲来で両親を亡くしたため、レグニアの街の教会で育った15才の少年。本作の主人公のひとり。&br()明るく前向きな性格で考えるよりもまず行動に起こすタイプ、加えて好奇心も旺盛なため何事にも首を突っ込もうとする。&br()自分の育った教会の負担を減らすべく、早く手に職を付け一人前の大人になりたいと願っている。&br()現在は町の鍛冶屋で修行中。

:''キャロ・オランジェ''|フリオと同じく、教会で育った15才の少女。もうひとりの主人公。&br()フリオに比べて大人びた性格であり、真面目でしっかり者な所も真逆だが、息もぴったり合った仲良しコンビである。&br()フリオのことを憎からず思っている節が見られるが、年頃故に素直になれない所もある。&br()将来は服飾系の仕事に就きたいと考えている。

:''シスター・ミル''|レグニアの町の教会のシスターで孤児や恵まれない子供たちを引き取って育てている。&br()フリオとキャロも彼女によって育てられた。&br()心優しい女性だが、幼い頃は結構お転婆だったようで作中でその話を聞くことも出来る。

:''ライエル''|レグニアの町の長老。温厚でとても博識な人物。&br()魔物が増え続ける現状を憂えている。

:''フンダクル''|町にある雑貨屋「''フンダクル商店''」の店主。&br()仕事一筋、商売命で生きた根っからの商人でフリオ曰く、ケチ。&br()アイテムの補充で何かとお世話になることになり、ストーリーが進むことで扱う商品も増える。

:''ステビア''|いつの間にかオープンしていた「''ステビア服飾店''」の店主。&br()ここでコスチュームを購入したり、あるいは既に持っているコスチュームを変化させたり等が出来るのでフンダクル商店共々非常にお世話になることになる。&br()仕立ての技術は確かなのだが、どこか抜けた性格で謎めいた所も多い。

***シリーズキャラクター
※仲間として共闘出来るキャラクターのみ記載する。~
※下記の他にもコスチュームになっているキャラクター、およびボスとして戦うことが出来るキャラクターもいる。
|CENTER:''ファンタジア''|CENTER:''デスティニー''|CENTER:''エターニア''|
|CENTER:クレス・アルベイン|CENTER:スタン・エルロン|CENTER:リッド・ハーシェル|
|CENTER:ミント・アドネード|CENTER:ルーティ・カトレット|CENTER:ファラ・エルステッド|
|CENTER:クラース・F・レスター|CENTER:フィリア・フィリス|CENTER:キール・ツァイベル|
|CENTER:アーチェ・クライン|CENTER:ウッドロウ・ケルヴィン|CENTER:メルディ|
|CENTER:チェスター・バークライト|CENTER:リオン・マグナス|CENTER:チャット|
|CENTER:藤林 すず|CENTER:マリー・エージェント|CENTER:フォッグ|
||CENTER:チェルシー・トーン|CENTER:レイス|
|~|CENTER:ジョニー・シデン||
|~|CENTER:マイティ・コングマン|~|
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**評価点
''「リニアモーションバトルシステム」の採用''
-何をさておいてもこれの評価が大きい。前作はシナリオの評価こそ高かったものの、戦闘システムがリアルタイムアクションではなくターン制に近いものとなっており、戦闘バランス調整もかなりタイトであったためにそこが唯一の泣き所となっていた。
--ベースとなっているのは『エターニア』の「''アグレッシブ・リニアモーションバトルシステム''」でキャラクターも3頭身で描写されているが、ハードスペックなどの要因からか流石に『エターニア』のそれと異なり、中級以上の術や一部の技の発動、アイテムの使用時などは一時停止する他、バックステップ等の細かなアクション出来ない等、最近のシリーズに比べるとやや窮屈かつ物足りないが、当時の携帯ゲームからすれば画期的であった。
---動作も非常に軽快で、必要最低限のものに操作を絞ったことで操作性も快適だが、戦闘参加のパーティキャラクターは3人((パーティーとしては4人まで組めるため、ひとりは控えメンバーとなる。また、フリオとキャロは控えメンバーに回すことが出来ない。))までで敵は4匹までしか出現しない。
---技名と勝利時の台詞のみだがフリオとキャロ、シリーズキャラクター、一部敵キャラにはボイスも付いている。
--流石にエフェクトは地味でカットインも無いが、一部キャラクターには「''秘奥義''」が用意されており、体力が減少した時に繰り出せる一発逆転の技((体力減少時に秘奥義の消費TP以上のTPが残っていれば発動出来るが、発動すると残りHPが強制的に1になる。))として扱われている。
--『ファンタジア』に存在した自己回復特技「集気法」は、原作では使いづらかったが本作では発動したら瞬時にHPが回復するようになった上、発動が終わるまでは''完全無敵''という仕様になり、HP回復量も多めなのでその場で連発するだけでも強く、使いようによっては非常に役立つ特技となった。

''「GBAにしては」という断り無しに質の高いグラフィック・BGM''
-グラフィックに関してはダンジョンなどを含めて非常に細かい所も書き込まれており、元々2頭身であった『ファンタジア』および『デスティニー』のキャラクターの3頭身グラフィックも違和感を与えない上質なものとなっている。
--BGMは基本的に本作に登場する3作品のBGMを流用しているのだが、音源の制限を感じさせないほどにこれまた質が高く、シリーズキャラクターのコスチュームを着せて戦闘した時に流れる該当作品の戦闘曲がファンサービスとして十分に機能したものとなっている。
---本作のBGMの質が極めて高かったこともあり、後のGBA版『ファンタジア』の著しく劣化したBGMに対しての批判意見がかなり強烈なものになってしまった。

''やり込み甲斐のあるコスチューム育成''
-本作での育成要素はコスチュームごとのレベルに一本化((前作ではコスチュームの育成と主人公のレベルのふたつの概念があり、しかもレベルアップ時のコスチュームが能力成長に影響をおよぼすため、管理が難しかった。))され、用意されたコスチュームもフリオ用、キャロ用合わせて''トータルで200種類''にも及ぶ。
--戦闘システムが強化されたこともあり、コスチューム育成だけでも十分に楽しめるものとなっている。
---また、ボーナスアビリティの付け方で同じコスチュームでも差が出てくるため、その辺を見越した運用を考える楽しみもある。

''露骨な優遇不遇がない''
-そんなの当然だろうと思う方もいるかもしれないが、最近の本シリーズのクロスオーバー作品では特定作品・キャラクターを過剰に優遇し、それ以外の作品・キャラクターを不当に貶す、通称「''踏み台''」によりキャラクターの設定や性格等が崩壊していることが多々あり、踏み台にされた作品のファンはもちろん、その為に不自然なキャラクター改変をされた優遇作品のファンからも顰蹙を買う要素が少なくないが、本作にはそういった問題はほとんど見当たらない。~
ほぼ全ての作品のキャラクターに平等に見せ場やイベントが与えられており、性格の崩壊等も殆ど無く、ほぼありのままの姿を見せてくれる。
--そのため、純粋な気持ちでシリーズ作品の垣根を越えた共演、そしてこの作品ならではの豊富な掛け合いを楽しむことが出来る。
--純粋な交流は勿論、割とコアなネタも織り交ぜてくる為、シリーズをやり込んだファンも飽きさせない。後のお祭りゲーのように「''ネタを重視しすぎた故の行き過ぎたメタな雰囲気・露骨過ぎるギャグ要素''」も殆ど無いのも嬉しいところ。
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**問題点
''ストーリー性が非常に希薄''
-本編作品と比べるとストーリー性が元々かなり乏しくなってしまっている上、クエストシステムの影響でそれに拍車を掛けてしまっているため、ユーザーレビューサイトなどでもストーリーに関して「''そんなもんあったっけか?''」といったような意見まで出てきてしまう始末。小イベントの類も加味すればそれなりのボリュームではあるのだが。
--反面、戦闘ややりこみ要素の評価は高いので、ヘタに本編部分を重視するとこの辺の自由度が下がる可能性もあるが、流石にRPGとしては問題があると言わざるを得ない。クリア後のアフターストーリーや隠しダンジョン・隠しボスといったものも無い。
---前作の評価の主なものが「''戦闘システムさえ良ければ…''」だったのだが、本作は「''戦闘は良いのだけど、ストーリーが…''」となってしまったため、「''上手く折衷してくれればいいのに…''」という意見が出ることになった。
--ストーリー自体は手堅くまとまっており、シリーズキャラクターのエピソードに纏わったイベントやレグニアに住むキャラクターの深堀り等の見応えも少なくない。これらを上手く拡張出来ていれば、まだ評価も変わってきたかもしれない。

''「デスティニー」の主人公、スタンの一部イベントでの扱い''
-前述したようにクエストをこなして行くとストーリーに関わる重要なクエストをプレイする事になる。その際、歴代シリーズのキャラクターがシナリオに関わってくるのだが…。
--『ファンタジア』の場合は味方側にミント、敵側にクレス、『エターニア』の場合は味方側にリッドとレイス、敵側にファラ…と、原則主人公やヒロインとなっているのだが、残りの『デスティニー』が味方側にルーティ、敵側にリオン。つまり''主人公であるスタンが全くストーリーに関わってこない''形となってしまっている。仮にメンバーに入れていてもイベントには参加しない。
--尤も、原作でもリオン絡みの出来事にはスタンは深く絡んではおらず、そもそもスタンとリオンはPS版ではそれほど深い接点が無い事もあって、リオンを敵役にするならば当然と言えば当然なのだが、やはり主人公が絡まないのは寂しいところ。

''一部キャラクターの登場条件''
-不遇と言うほどではないのだが、「''2回全滅すること''」で初めて登場するキャラクターもいるため、全滅しないプレイを心掛けているプレイヤーやその辺に抵抗があるプレイヤーには辛い仕様になっている。
--ゲーム中に数値で全滅回数が示されることもなければ、全滅回数によって分岐するイベント等も無いのであくまで心理的なものではあるのだが、そういったものとは別になかなかに気付きにくい条件であることは間違いない。
---一応、1回全滅した所で存在を匂わせるのだが、''それ以外に登場を匂わせる要素がほとんど無い''のも事実。

''コスチューム間の格差が強烈''
-全体的に歴代シリーズキャラクターのコスチュームが強めに調整されているため、基本コスチュームがそこに至るまでの過程に成り果ててしまっていることを惜しむ声もある。
--特にダオスのコスチュームは頭抜けて強力。画面全域に渡って強力なレーザーを放つ「ダオスレーザー」、ほぼ瞬時に発動し周囲に大ダメージを与える「ダオスコレダー」、接近戦も強力な打撃の数々を隙無く繰り出す「テトラアサルト」と、反則級の特技が目白押し。不意打ちじゃない限り、戦闘直後からダオスレーザーを連発してるだけで殆どの雑魚が片付いてしまう。
---ただし彼のルーツを入手する為には、これらの技を制限なしに連発してくるダオス本人を倒さなければならない。こちらが喰らっても脅威なものばかりで、高レベルのパーティーでも成す術無く全滅しかねない。
--シリーズ主人公同士で見ても格差が見られる。汎用性の高い特技や強力な時空奥義を覚えるクレス、専用の特技が多くどれもが攻撃性能の高いリッドに比べ、スタンは中途半端な威力の昌術とこれまた微妙な汎用特技が中心で、数少ない専用特技も強いかと言われると微妙な域で、2人に比べると力不足感が拭えない。
---スタッフもこれを意識していたのか、次回作でのスタンは覚える昌術が少なくなり、代わりに専用特技が増えたり強力な特技が実装され底上げされている。

''『デスティニー』の敵キャラクターのコスチュームが無い''
-『ファンタジア』からはラスボスのダオスとチェスターの妹であるアミィ、『エターニア』からはセルシウスのコスチュームが登場しているが、『デスティニー』の敵として対戦するキャラクターのコスチュームは存在しない。(サブキャラならスタンの妹リリスがあるが)
--バティスタやグレバム、オベロン社幹部達やヒューゴ、そしてラスボスのミクトラン…と、本編中かなりのウェイトを占め、キャラクターとしての描写もそれなりにされていたにもかかわらず、一人も登場していないのはなんとも勿体無いところである。
---次回作では『エターニア』のラスボスであるシゼルが追加されたにもかかわらず、『デスティニー』勢については全く追加されていない。

''自分なりの楽しみ方を見つけないと飽きやすい''
-上記のようにストーリー性が弱い上基本的にクエストの繰り返しとなり、所謂「お使いゲー」の要素がかなり強くなる。シリーズキャラクターを交えたやり取りもそれなりの数があるが、それらも全て見てしまうとストーリー・キャラ面での楽しみが尽きる。 
--これだけならば他のやり込み重視のゲームにもある事だが、本作の場合そのやりこみ要素についてもゲーム内でさほどプッシュされている訳でも、極限まで育成したプレイヤー向けの強力な裏ボスやエクストラダンジョンといった「目標」も用意されていないので、''ゲームの流れに頼らずプレイヤー自身で楽しみ方や目標を作らないと、モチベーションが保てず飽きてしまう''。

''該当シリーズ作品プレイ済み推奨なイベント''
-本編自体は本作独自に終始している為問題無いが、シリーズキャラクターが関わる一部イベントは歴代シリーズのファンを対象としている所があるため、知らない作品のネタを出されると全くついて行けない所も少なからずある。
--シリーズキャラクターに関する「''人物図鑑''」があるが、最低限そのキャラクターを知る為の説明しかされていないのでこの辺を補完するには至らない。

''コスチュームごとの定石が固められていて育成幅が狭め''
-効率を考えてプレイすると、どうしても付けるボーナスアビリティの選択肢はほとんど固まってしまうため、有利のみを考えるなら「ちからorまりょくUP」「しゅんそく(移動速度上昇)」「はやくち(詠唱時間短縮)」あたりが筆頭となりがちで、用意されている要素に対して育成の実質な自由度は低い。
--ボーナスアビリティが最初に付いた3つ以降は変更が利かないため、やることがほとんどワンパターンになってしまうという意見もある。
---特に''一部のシリーズキャラクターやナムコ作品のコスチュームは1着しか作れない''ため、この影響が大きい。
---勿論、プレイスタイルによりけりな問題であり、考えなしにコスチューム選択をしても、育成さえすればクリアは充分可能。逆に選択の多さは効率度外視のやり込みにプレイにはもってこいとも言える。

''敵が落とすガルドが全体的に非常に少ない''
-終盤の敵を倒しても大抵数十ガルド前後しか落とさない。システム上武器や防具に金をかける必要が無く、アイテムの値段も一部除いて安めになっている等出費は少ないが、それでも普通に進めているとガルド不足に陥りがちになる。宝箱に擬態している「フェイク」「たまてばこ」が比較的ガルドを落とすが、出現率が低く強敵なためあまり効率が良いとも言えない。
--その為、金銭的に余裕を得たいならダンジョンの宝箱や敵からアイテムを盗んだりして、それを資金源にする必要がある。そこまで低い確率ではないとはいえ、不確定要素に頼らざるを得ないというのは難しいものがある。
---次回作ではストーリーの進行次第だが3ケタ中盤の金額を落すようになった。

''周回プレイの引き継ぎ項目''
-本作は周回プレイが可能となっており、その際に所持ガルド・プレイ時間・各種図鑑のデータを引き継ぐのだが、''コスチュームは引き継がれない''。
--そのため、クリア直前で友達のデータかもうひとつソフト(とGBA本体・通信ケーブル)を買って、そちらに育てたコスチュームを退避させない限り、引き継ぎを行ってしまうとせっかく育成したコスチュームが消えてしまう。
--もっとも、発売当時の本家シリーズにおける周回プレイでは獲得称号や料理熟練度、ガルド等が引き継がれない設定がデフォルトであり、その為か所持ガルドを引き継げる点も通信プレーのやりくりによるコスチュームの引き継ぎも当時の本家シリーズと比較して魅力的に映っていたのも事実である。
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**総評
本作の評価を支えるのはやはり携帯機でようやく実現した、''「リニアモーションバトルシステム」によるリアルタイムアクション戦闘''によるものが大きい。~
そのためにストーリーを重視する人には大ハズレになってしまいかねないが、テイルズ オブ シリーズの特色であるアクションによる戦闘に魅力を感じている人にとっては「携帯機でもここまで出来るのか!」と思わせる程のものとなっている戦闘によって長くのめり込めるものとなっている。

また、クロスオーバー作品として見た場合も最近の作品に当たり前のように存在する優遇不遇の差、著しいキャラクター崩壊、踏み台といった要素が無いため、シリーズファンにとっては夢の共演がRPGでも実現したこととなり、歓迎された((シリーズの共演だけなら既に『テイルズ オブ ファンダム Vol.1』があるが、こちらはアドベンチャーやパズルといった所謂ファンディスク的な物でありRPG要素はなかった。))。~
そのため、出演作品のファンであれば間違いなく楽しめるものとなっている。

しかしながら、繰り返しになるが、RPGとしてのストーリーの弱さはいかんともし難い所があるのは間違いない所で、この点だけは強い批判を受けることとなった。~
逆に言えば、(''RPGとしてはある意味邪道だが'')アクションゲームとして割り切れればシリーズを知らない人でも楽しめる完成度にはなっていると言える。
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**続編
2005年1月6日に『''[[テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン3]]''』がGBAに発売され、こちらは本作の3作品は勿論、その後発売された『''デスティニー2''』・『''シンフォニア''』の登場キャラクターを網羅し、発売された直後の『''リバース''』の宣伝を兼ねてか主人公のヴェイグ・リュングベルとヒロインのクレア・ベネットがゲストキャラクターとして登場する。

こちらはジャンルを「''コスプレS-RPG''」とし、複数のチームを組んでそれぞれを運用する形となったため、一度により多くのシリーズキャラクターを操作して遊べるようになったが、全体的に本作に比べて粗が目立つ出来となってしまっているため、否寄りで賛否が割れている。

なお、『3』でも本作の主人公であるフリオとキャロが設定は変更されたが主人公として登場し、本作の重要キャラクターが「『2』の設定のまま」でゲスト出演、更には『なりきりダンジョン』からディオとメルがなりきりショップ((本作の「ステビア服飾店」に相当。))の店主として登場する。
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**余談
本作および次作のジャンル名がジャンル名なので、一部でネタとして弄り倒されることになってしまった。~
内容的には間違っていないのだが、当時(現在もかもだが…)の「コスプレ」という言葉の持つイメージ故のことなのだろう。

2011年に発売した『[[マイソロ3>テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー3]]』には、今作の住民たちが新規イラストでクエスト依頼人として登場している。
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