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スリーピングドッグス 香港秘密警察 - (2021/08/30 (月) 00:00:04) のソース

*スリーピングドッグス 香港秘密警察
【すりーぴんぐどっぐす ほんこんひみつけいさつ】
|ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B008F6HOTQ,image);|&amazon(B008F6HV80,image);|&amazon(B009CQV5FM,image);|
|対応機種|プレイステーション3&br;Xbox 360&br;Microsoft Windows|~|~|~|
|発売元|スクウェア・エニックス&br;バンダイナムコゲームス |~|~|~|
|開発元|Square-Enix London Studio&br;United Front Games|~|~|~|
|発売日|2012年9月27日|~|~|~|
|定価|【PS3/360】7,980円&br;【Win】4,180円(各税5%込)|~|~|~|
|レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~|~|~|
|廉価版|【PS3】2014年3月27日/3,990円(税5%込)|~|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|~|
|ポイント|香港が舞台のオープンワールド&br;映画顔負けの豊富な格闘アクション&br;職責、友情、偽りの忠誠の葛藤を描く物語|~|~|~|
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#center(){{
 &big(){''オープンワールドゲームと香港映画の融合''}
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**概要
サンフランシスコ市警察の組織犯罪対策部に所属する中国系アメリカ人の''ウェイ・シェン(Wei Shen)''刑事を操作しゲームを進めていく、『[[GTA>Grand Theft Autoシリーズ]]』シリーズに範を取ったと思われるオープンワールド型アクション。~
広大な香港島を自由に歩き回ることが出来、乗り物やサブ要素も多数ある。キャラクターを第三者視点で操作してゲームを進めていく点では、RPGやTPSの要素も取り入れている。~
主人公は本来刑事なので、裏社会の住人としての活動と警察官としての活動の両方が可能な為、多面的な立場でゲームを楽しめる。

元々は『GTA』フォロワーの一つ『トゥルー・クライム』シリーズの第3作『トゥルー・クライム:ホンコン』として開発されていた作品である。~
前2作同様、Activisionから2011年に発売予定だったが諸事情で開発中止に。~
その後、スクウェア・エニックスが販売権を獲得し、Square-Enix London StudioとUnited Front Gamesの共同で開発が継続された末に発売に至ったと言う経緯がある。~
タイトルが変更されたのはスクエニが『トゥルー・クライム』の商標権までは取得しなかった為。~
『トゥルー・クライム』シリーズは『GTA』に倣ったクライムアクションだが、シリーズを通して''主人公が警官である''ことと、''格闘要素が充実している''と言う特徴があり、タイトルが変わった本作もそれに準じている。

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**ストーリー
-''ウェイ刑事''が「''サン・オン・イー(Sun On Yee)''」と呼ばれるトライアド(マフィア)への潜入捜査を命じられる。
-表向きはトライアドの一員として犯罪の片棒を担ぎながらも、刑事としての職務と、同じ組織構成員で幼なじみのジャッキーへの友情との葛藤に苦しみながらストーリーが進む。 
-最終的にはトライアドの暴挙を抑えなければならないという、ウェイ刑事の葛藤が描かれている。

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**特徴
-『GTA』シリーズと同様に再現された''香港を自由に行動しながらミッションを遂行していく''。
--ゲーム中は''「トライアド」''と''警察''、双方からの依頼をこなし物語が進展していく。
--これらに挑戦すると、新たな技の習得や、ダメージ軽減など、様々なアップグレードが可能になる。
--プレイヤーが操作するキャラは、歩いたり走ったりできるだけではなく、ジャンプや泳ぎ、障害物によじ登ることもできる。

''隠れ家の機能''
-『GTA』シリーズでは自分で隠れ家を購入できたが、今作では主人公の隠れ家は、自ら購入することができず、ストーリーを進めていくと増えていく。
--隠れ家のベッドを使用すると約6時間経過する。ライフが全回復し、服の血が除去される。またオートセーブされる。
--洗面台を使うと服の血が除去される。
--またトイレ、冷蔵庫を使用してもライフが全回復する。時間経過したくない時にオススメ。
--ハウジングシステムも実装。

''アクション''
-銃火器を中心とした武器を使用したり、武術を駆使して敵を倒すことができる。
--車やボート、バイクを運転して、香港の街中を走り回ることも可能である(ただし、盗難車をパーキングに保存する事は不可能であり、車を購入しなければならない)。
--銃撃戦では遮蔽物から飛び出すとスローモーションになる。
--加えて気迫ゲージというシステムがある。
---戦闘で使用するゲージで、敵にダメージを与えると上昇していき、ダメージを受けると減少する。
---ゲージが満タンになると一定時間ライフが回復し続け、さらに敵がおびえるようになる。
---満タンになったゲージは少しずつ減っていくが、攻撃をし続けることである程度は維持し続けることはできる。

''サブミッション''
-ヒロインとデートするものから、別捜査官から協力を依頼されるコップミッション、街の住人からの依頼されるカリスマクエストなどがある。
--概ねが善人プレイであり、本編がダーティ一択なのでその対比とみられる。
--一度クリアしたメイン・ミッションは何度でもリプレイができる。

''レベル''
-レベルは3種類あり、レベルアップの方法やアップグレードの種類もそれぞれ異なる。それぞれのレベルをあげると特殊な技術が身につく。
--レベルをあげるポイントはミッションでどのように振舞うかで、それぞれのポイントが得られる。
--どちらしか上げられないという事は無く、両方上げることも可能。
-警官 レベル
--いわいる「善人」プレイをすると経験値が入る。このレベルを上げることで、警官アップグレードを獲得でき、特殊なスキルが身につく。
--犯罪行為を行わずに、ストーリーやケースミッションをクリアすると経験値を獲得できる。
--ポイントが最大の状態からミッションはスタートし、犯罪行為((敵以外の人を攻撃する、他の車にダメージを与える等。))を行うたびに減点され、クリア時に獲得できる経験値が減っていくという形式になっている。
--人が乗車している車を奪ったり、車で柵や車に衝突するだけで減点される。
-トライアド レベル
--いわいる「悪人」プレイをすると経験値が入る。このレベルを上げることで、トライアド アップグレードを獲得できる。
--ストーリーミッション(またはトライアド関連のDLCミッション)でしかポイントを獲得できない。
--ミッションリプレイでハイスコアを更新すると獲得できる場合もある。
--トライアドポイントがゼロの状態からミッションはスタートし、カウンターや近接武器攻撃など、特殊または暴力的な方法で攻撃をすることで増加していく。
-カリスマ レベル
--上記の2つに関係なく伸ばせるこのレベルを上げることで、カリスマアップグレードを獲得できる。
--特定の服装や乗り物を使用するためには、設定されたカリスマ レベルまで上げる必要がある。
--サイドミッション(依頼やレースなど)をクリアするとカリスマ ポイントを獲得できる。

''ライフ ''
-やしろ(隠し収集アイテム)を5ヶ所発見して祈るたびに、最大体力値が増加する。
--序盤はかなり厳しいので早めにやしろを見つけたほうが良い。
--また、街で販売されている食べ物などを購入すると、ライフが全回復し、一定時間だけ特殊ボーナスも得られる。
---ドラゴンキックドリンク:与えるダメージが増加。
---漢方茶:受けるダメージが軽減。
---マッサージ:気迫メーターの上昇率が増加。

''服装''
-かなりの種類が用意されており、街中の洋服屋やクローゼット服装を変更できる。

''手配''
-今作も手配度システムが搭載されている。
--主人公が街で、車やオートバイの窃盗、交通事故を起こしたり銃の所持、現金輸送車の強奪、一般市民、警察官の殺害を行うと、手配される。
--また、警官(ミニマップに青いアイコンで表示)が近くにいる状態で犯罪行為をすると、ヒート・レベルが上昇し、警官が逮捕または銃殺を試みるようになる。
--警察の包囲網から脱出または警察車両を走行不能にすれば、直ぐに解除される。
--逃げずに戦うとヒートレベルが上昇していき、より強力な警官が出現するようになる。
--手配レベルは全部で5つある。

''その他''
-ドアのピッキング・金庫破り・盗聴器のセット・監視カメラのハッキングなど特殊な操作を行うミッションが各種発生する。
-それぞれがミニゲームのようになっている。
-写真を取ることも出来て、様々な香港の街を撮ることができる。
-カンフー映画、ノワール映画へのオマージュ的衣装や、バカゲー的衣装も多く登場。また服装の組み合わせによりボーナスが入る。 
-DLCには経験値パックや追加の服装、車両、シナリオなどがある。

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**評価点
''東洋を舞台にしている''
-今までの『GTA』シリーズには無いアジア香港に町並みを忠実に再現して、アジア人の登場人物で構成されるシナリオは他のオープンワールドゲームには無いオリジナリティがある。
--また汗と埃にまみれた下町や夜店の雑踏、洗練されたオフィス街や住宅街が混在する香港の描写は、うまく雰囲気をかもし出している。 

''香港映画を再現したようなメインストーリー''
-古き良きカンフー映画の主人公になったような爽快感ももたらしてくれる。
--メインストーリーもマフィアに、警察官がスパイとして送り込まれたという刺激的で、大人が楽しめる内容になっている。

''香港アクション映画を思わせる流血と爆発上等な激しい戦闘やカースタント''
-今作は『GTA』シリーズと大きく異なるのが中国拳法をアクション取り入れていることである。その為''アクションにおいては『GTA』シリーズよりも作りこまれている。''
--香港中に散らばっている盗まれた十二支彫像を道場に返却すると、様々な技を伝授してもらえ、アクションの幅が広がる
--メインストーリーでも拷問・暴力・残酷シーン満載のためか(これまた香港B級カルト映画を思わせる)、レーティングはCOLOR(red){''CERO:Z''}(18歳以上のみ対象)となっている。 
--そのかわり格闘武器は多く、厨房の包丁や傘はおろか、通行人が落としたハンドバッグや水槽の中の魚でも武器になる。 
--格闘戦では打撃、投げ、カウンターを織り交ぜ多彩な技を駆使して途切れの無い格闘アクションを楽しめる。
--さらにマップ上に点在する電話ボックスやゴミ箱などのオブジェクトを駆使した戦いで電気配線の所に頭を突っ込まして電気まみれにしたりと映画のアクションシーンそのものを再現できる。
--アクション苦手な人にもボタンを押すだけの安心操作に作らており、流れるようなカウンター攻撃も決められる。
-- 銃撃戦では遮蔽物を利用したカバーアクションができ、遮蔽物から飛び出しながら撃ったり、爆発物を爆発させて敵を吹き飛ばしたり、映画の様に車から飛び降りながら撃つ事も可能である。
--運転中でも、迫力のカースタントや激しいカーチェイスができる。
--戦闘ともなると数々の過激なアクションが満載。敵の車への体当たりや銃撃はもちろん、走っている相手の車へ飛び移り、無理矢理車を奪い取るような荒技だって可能!
---ただしバイクに対してアクション・ハイジャックすることはできない。

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**賛否両論点
''武器''
-本作では香港の法律に照らしてか、''銃器の販売はされていない''、銃火器類はパワーアップアイテム扱いになっている。
-武器をストックできず毎に回収される。その為武器を自由に使えない。また、種類が少ない(4~5種類)。
--ただし、今回は格闘メインでなおかつ主人公は警察官ということで、基本は殺しをしてはいけない立場だからという擁護意見もある。

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**問題点
''人物のビジュアルが微妙''
-登場人物が表情や造形が不自然と思うユーザーがいる。
--また女性の造形も悪く、サブイベントで女性とデートとできるのだが上記のせいであまり嬉しくない。

''ボリュームが少ない''
-メインだけサクサク進めたら数時間でクリア出来たという人も。

''デート''
-女性のデートできるイベントがあるのだがかなり薄味。
--出会う女性片っ端から手を出す不自然な点がある。

''シナリオが一本道''
-せっかく警官、マフィアで別れているのにシナリオは一本道である。
--その為「警察」よりに成長させるか、「トライアド」よりに成長させるかでマルチエンディングにしたら良いのではという意見がある。

''運転中のカメラワークが最悪''
-移動手段が重要なオープンワールドゲームにおいては致命的な問題である。
--特にバック時が評価は低い。

''主人公が英語オンリーで広東語を喋らない''
-主人公は中国訛りがはっきり分かる英語を喋るのだが、香港出身という設定なのに広東語を喋ってくれない。
--その為、広東語しか喋れないキャラと会話する時におかしな感じになる。

''カウンター攻撃が強過ぎる''
-格闘戦ではカウンター攻撃だけで結構勝ててしまう。
--その為単調になるという意見がある。

''オンライン要素が薄い''
-シングルプレイのみで、オンライン要素はネットランキングだけ。
--これが前述したボリュームの少なさに拍車を掛けてしまっている。

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**総評
一見、よくある『GTA』フォロワーのクライムアクションだが、『GTA』とは違いアクション面に特化した点や、アジア圏が舞台のオープンワールドと、独創性が高い。~
内容としても香港映画顔負けの格闘戦や、緊張感溢れるカーチェイスなど過激なアクションで魅せ、~
細かな点で不満があるものの、全体的にアクションに特化したオープンワールドとして完成されていると言えよう。~

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**余談
-オリジナル発売から僅か2年後の2014年10月、海外でリマスター版である『Sleeping Dogs: Definitive Edition』がPS4/One/Winで発売された。
--1080pへの対応・ゲームバランスの調整・全DLCの統合などが行われている。ただし、「海外で」とあるように残念ながら''日本未発売''となっている((Win版はSteam等でDL版が購入可能。ただし、日本語ローカライズはされていない。))。

-一応、『トゥルー・クライム』シリーズの新作ではあるが、そもそもこのシリーズは作品ごとに作風が変わる為、タイトルが変わっていることを差し引いても過去作とはかなり趣が異なっている。
--特にシリーズ第1作『トゥルー・クライム -STREETS OF LA-』は日本語吹き替えあり、一本道のストーリーに沿って進む形式、ミッションに失敗してもゲームが進む、''ドラゴンと戦う''等、1作目にして異色の作品であった。本作の後で原点としてプレイすると色んな意味で驚くだろう。
---一方、第2作である『トゥルー・クライム ニューヨークシティ』は比較的『GTA』に近い作風となっている。ただ、一般人を殺害した際のペナルティーが他作品と比べて重い為か、クライムアクションでは珍しくレーティングはCOLOR(orange){''CERO:D''}(17歳以上対象)となっている。
--ちなみに、第1作の主人公は本作同様に中国系アメリカ人、第2作の主人公は黒人なので、『トゥルー・クライム』シリーズには''主人公が有色人種''という共通点がある。

-2013年初頭に続編の開発に取り組んでいることが報じられ、主人公のウェイ・シェンがヘンリー・ファンというもう1人の主人公と共に行動し、ストーリー分岐などを盛り込んだ内容であったが、同年末に開発そのものはキャンセルとなった。
-2014年9月に本作と世界観を共有したオープンワールドのMMOアクションゲーム『Triad Wars』が発表されたが、2015年のクローズドベータテスト中に開発中止となった。
--開発のUnited Front Gamesによると、「クローズドベータにて多くのフィードバックや情報、データを得た一方で、本作が大多数向けの作品ではなかった」と中止についての見解を述べている。
--そしてUnited Front Games自体もSteamのアーリーアクセスで新作である『SMASH+GRAB』を2016年9月に公開した直後の2016年10月にスタジオが閉鎖された。

-2017年3月に[[本作の映画化が発表された。>https://www.gamespark.jp/article/2017/03/03/71969.html]]主人公のウェイ・シェン役を香港の俳優であるドニー・イェン氏が演じるとのことだが、発表以来公式からの情報が途絶えてしまっている。