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ライフ イズ ストレンジ - (2018/04/10 (火) 00:30:06) のソース

*Life is Strange
【らいふ いず すとれんじ】
|ジャンル|アドベンチャーゲーム|&amazon(B0194BFW3A)|
|対応機種|Windows Vista~8.1(Steam)&br;プレイステーション4&br;プレイステーション3&br;XboxOne&br;Xbox360&br;(プレイステーション4以外はDL版のみ)|~|
|発売元|スクウェア・エニックス|~|
|開発元|DONTNOD|~|
|発売日|【Win】2015年1月30日&br;【PS4/PS3】2016年3月3日|~|
|定価|【Win】エピソード1のみ:498円 → 無料&br;全エピソードパック:1,980円&br;【PS4/PS3】4,800円(税8%込)|~|
|レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
アメリカの片田舎を舞台に、不意に「時間を巻き戻す」力を手に入れた少女マックスが、親友のクロエと一緒に街に隠された秘密を探っていく…という、DONTNOD社(フランス)の製作による探索型アドベンチャーゲーム。

いわゆる「インタラクティブムービー(プレイする映画)」と呼ばれる系統の作品の一つであり、3Dのムービーシーンと3Dのキャラ操作シーンが完全にシームレスに継続されている。日本語ローカライズは非常に丁寧に作られており、字幕だけでなく吹き替えにも対応している。

海外で発売された時にはエピソード分割形式として数ヶ月おきに新しいエピソードが配信されていく形式だったが、日本語版では完結までの全5エピソードセットで販売された。~
英語版が先行販売されていたWin版はPS4/PS3版発売と同時に無料の日本語DLCが追加配信され、その後2016年7月22日よりエピソード1のみ無料配信となり、バラ売りが廃止され全エピソードセット販売のみとなった。Xbox2機種は国内未発売。

**ストーリー
マックスは写真家を目指す19歳の女学生。今までは家族とともにシアトルに住んでいたが、進学のためについ最近になって生まれ故郷の田舎町「アルカディア・ベイ」へと帰ってきて一人暮らしをしている。~
最初は新生活に胸を膨らませていたマックスだったが、スクールカーストの洗礼を受けて孤立化を深めていき、鬱屈する毎日の中でやる気を失いかけていた。

そんなある日、授業の最中に巨大な竜巻が街を破壊する夢を見る。そのあとの放課後、トイレの中でクラスメートの男子がどこかから連れてきていた女子を拳銃で撃ち殺すというシーンを目撃。パニックになった瞬間、マックスは突然自分が教室に戻ってさっきまで受けていた授業をもう一度聞いていることに気づく。何と、マックスはどういうわけか「数分間だけ時間を巻き戻す」力に目覚めていた。

その力を使ってトイレで殺されるはずだった少女の命を救ったのだが、その少女はマックスの幼馴染だったクロエだった。~
マックスが時間操作の力を持つこと、その力で自分を救ってくれたことを聞かされたクロエは、その力を使って自分がやることの手伝いをして欲しいと言ってくる。~
クロエのやりたいこととは、親友であるレイチェルの捜索。軽い探偵ごっこのつもりでその話に乗ったマックスだったが、次第にこの田舎町が隠し続けている暗部に触れることになる。

#region(主な登場人物)
-マクシーン・コールフィールド~
主人公。通称はマックス。写真家を目指す18歳。~
シアトルで学生生活を送っていたが、写真を学ぶため、出身地アルカディア・ベイにあるブラックウェル・アカデミーに転入した。ブラックウェル転入は物語開始時点の3週間前で、まだクラスメイト達ともほとんど交流できていない。~
性格はやや引っ込み思案で、人付き合いはあまり得意ではない。ゼミ講師であり尊敬するフォトグラファーでもあるジェファソンには才能を認められているが、自信を持てずにいる。~
女子トイレで遭遇した諍いの場で、銃で撃たれた女子を助けようと手を伸ばしたところ、突然「時間を巻き戻す」という超能力に目覚める。目覚めたばかりの力で撃たれた女子を救うことに成功し、ほどなく彼女と再会、彼女がなかなか連絡を取れずに悩んでいた子供時代の親友クロエであったことを知る。~
クロエに能力を打ち明け、彼女が行方を追っているレイチェルの捜索に付き合うことになるが、やがて事態はブラックウェルとアルカディア・ベイ、マックスとクロエの命をも脅かす大事件に発展してゆく。
-クロエ・プライス~
マックスの親友で、最も大切なパートナー。~
子供時代は明るく活発な性格だったが、マックスと離れていた5年の間に信頼していた実父を亡くし、威圧的な継父に激しく反発して荒んだ。実父とマックスを失ってからの心の支えだったレイチェルが行方不明となり、自暴自棄になりながらも彼女の行方を追っている。~
容姿は青く染めた髪にタトゥに覆われた腕というパンクなもので、再会当初はマックスが気付けなかったほど、子供時代から様変わりしている。~
直情的な行動が多く、そのせいで窮地に陥ることもしばしば。物語最序盤では、アルカディア・ベイを牛耳る資産家プレスコット家の長男であるネイサンに脅しを掛け、逆上したネイサンに撃たれてしまう。その場でマックスの能力が発現して救われるため、マックスの力を引き出した人物とも言える。~
事件が発展するにつれて危険に晒されることが増え、マックスの守るべき存在となる。~
なお、2年前までブラックウェルに通っていたが、素行不良で退学している。
-レイチェル・アンバー~
クロエの親友。マックスが入学する前にブラックウェルに通っていたが、半年前に行方不明となった。~
才能と容姿に恵まれ、誰とでも分け隔てなく付き合うため、学内で強い存在感を放っていた。退学した問題児のクロエやドラッグディーラーのフランクとも交流を持ち、社会的な評判には全く頓着しなかった人物として描かれる。~
彼女の行方を追うことが、物語開始当初の目的になる。
-マーク・ジェファソン~
ブラックウェルの写真講座の講師で、’90年代に絶大な名声を得たフォトグラファー((ちなみに作中の時間は2013年))。ブラックウェルの看板講師であり、マックスがブラックウェル入学を決意した理由でもある。~
引っ込み思案なマックスの才能を見抜き、注目している。
-ネイサン・プレスコット~
マックスの同級生。アルカディア・ベイを支配する資産家プレスコット家の長男。「VIP学生」専用のサークルであるボルテックス・クラブを仕切る。クラブのパーティ等で数々の問題を起こしているが、父親が学園に多額の寄付を行っているため、ことごとく不問に付されている。~
非常に情緒が不安定で、ストーリーに登場する際は常に興奮状態。苛立ちも露わに暴力を振るい、再序盤では一度クロエを銃で撃つ。
-ビクトリア・チェイス~
マックスの同級生。裕福な家の娘で、写真の才能と容姿にも恵まれているが、取り巻きを引き連れイジメや揉め事を首謀する陰険な性格の持ち主。~
マックスにも反感を持っているが、高飛車な態度の裏に劣等感と焦りを抱えており、尊敬するジェファソンには露骨に取り入ろうとする。~
ボルテックス・クラブでは女王とも言える地位にある。
-ウォーレン・グラハム~
マックスの同級生。科学を専攻する気のいいギーク(オタク)男子。~
マックスに好意を抱いており、不器用ながらも盛んにアプローチする。カルトムービーなどの怪しいものを好むが、勉強熱心で親切な性格。マックスの力になるシーンも何度かある。
-ケイト・マーシュ~
マックスの同級生。信心深い家庭に育った女子学生。~
生真面目なため同級生からは少々煙たがられていたが、愛らしい絵を描く優しい性格。しかし、何者かにパーティでの乱れた姿を収めた動画を拡散され、イジメと嘲りの的となって深く傷付いている。
-デイビッド・プライス~
クロエの継父。ブラックウェルの警備主任でもある。~
異常に猜疑心が強く、態度は威圧的。ブラックウェルの各所にカメラを据え付けて学生を監視しているため、学生からの評判は最悪。一部の教員からも行きすぎを批判されている。~
クロエとの関係は、親子になってからの数年間の確執で荒み切っている。彼女を監視するため、自宅内にもやはりカメラを据え付けている。~
極端な人格の背景として、かつて所属していた軍で過酷な経験をしたらしいことが作中で匂わされる。妻でありクロエの実母であるジョイスには、労わられ愛されている。
-フランク・バワーズ~
アルカディア・ベイの鼻つまみ者であるドラッグディーラー。汚れたキャンピングカーで生活し、小型だが気性の荒い犬ポンピドゥーを飼っている。~
街の人間と表立った交流はないが、顧客層はブラックウェルの学生にも及んでいる。クロエとも付き合いがあり、彼女に金を貸している。物語が進むと、レイチェルとの関係も明かされる。
#endregion

**システム
-時間の巻き戻し
--自由に動ける探索パートであれば、「時間を巻き戻す」ことで、マックス本人以外の状況を少し前のものに戻すことができる。
--時間の巻き戻しはRトリガーを押しっぱなしにすることで行われる。押している間は周囲の光景が高速で逆回し再生されていくので、時間の逆流を止めたいところでトリガーを放すと、その状況から「やり直し」になる。
--マックスが入手した情報やアイテムは、それらを入手する前まで時間を巻き戻しても保持される。この仕様を利用するシーンも多い。
---最も多い用途は会話のやり直し。NPCとの会話は選択肢を選んで進める方式になっているが、反応が思わしくなければ、会話前まで巻き戻して別の選択肢を選ぶことができる。いったん会話して情報を得ることで、巻き戻し後の会話に選択肢が増えることもある。
--時間を巻き戻しても「マックスが今立っている場所」は変わらない。目標地点に移動してから巻き戻すことで、周囲に対しては瞬間移動やテレポートと同じ結果になる。
---鍵のかかった警報付きの扉をあえて開け、扉の向こうに移動してから、警報が作動する前の時間に巻き戻して内側から開錠し安全に侵入を果たす、といった使い方がある。
--マックスやキーパーソンの死が避けられない、追跡者に発見されるといった進行不能の状況に陥ると、画面表示がモノクロになって停止し、巻き戻し以外の操作はできなくなる。
---このため、ゲームオーバーはない。
--ゲーム上の制限はあり、「今のタイミングから数分巻き戻せる」という設定。なので一定シーンをまたいでの巻き戻しは不可能。
-タイムリープ
--ストーリーを進めると、写真を媒介として、その写真が撮られた時空に戻る能力が発現する。実行できるシーンは決まっており、任意に使うことはできない。
--「巻き戻し」では打開できない状況を変えるためのストーリーギミックとして使われている。
-マックスの日記
--本作の操作キャラクターであるマックスは独自のキャラクターでありプレイヤーの分身ではない。マックスはプレイヤーにも秘密を隠していることがあり、そういうことを知るためにプレイヤーはいつでもマックスの日記を見ることができる。
--巻き戻しによって歴史改変が起こることがある。何が改変されたかは「プレイヤーが操作しているマックス」もわからないのだが、日記は「歴史改変の影響を受けたマックス」がつけているので、日記を見返すことで初めて改変事象が何なのかを知ることがある。
--さらに日記には、ヒント機能として「これから何をすべきか」が書かれた付箋が添付される。

**評価点
-シンプルな操作
--基本的な操作方法は主人公のマックスをアナログスティックで動かして気になるところの前に立てば「見る」「話す」などの状況に対応したコマンドが出るというクラシカルなもので、ジャンプしたり銃を撃ったりといったアクション要素は皆無。
---ただ「誰かに見つからないように動け」といった行動を要求されるときはある。
--基本操作が限定されているからこそ、「時間の巻き戻し」をどのタイミングで活用するかという判断でゲーム性を生み出している
--本作のように映画的な演出を意識した探索型AVG(いわゆる「インタラクティブムービー」と呼ばれるゲーム)では、プレイヤーがストーリーに介入できる手段にクイックタイムイベント(以下QTE)を用いるのが定番だが、本作にはQTEは一切ない。QTEは物語への没入感がそがれるから苦手という人でも十分に楽しめるだろう。
-「アメリカの高校を舞台にした青春ドラマ(ゾンビなし)」
--アメリカの学園青春モノはTVドラマでは日本でもおなじみの分野だが、ゲームの世界ではなぜかほとんど扱われていなかった。その希少性だけでも一見の価値はあるだろう。
--登場キャラクターたちはストーリーに直接絡まない脇役も細かい設定がされていて、話したり絡んだりするだけでも学園モノの雰囲気が味わえる。
---各キャラには好感度的なフラグがあり、マックスがどういう形でクラスメートと接してきたかで後々の彼ら彼女らの言動に変化が出るという、学園モノのゲームでは定番のギミックもある。
--メインキャラクターであるマックスとクロエの友情ガールズストーリーは秀逸の出来。
---「これなんて百合ゲーだよ」という揶揄は日本だからでなく原語版の時点で言われている。
---「百合」発言は、マックスとのあまりの親密さに照れたクロエからも飛び出すほど。
--学内派閥やスクールカースト、いじめと自殺、ドラッグ、性病や望まぬ妊娠などのセックスに関する問題といった、アメリカの学校における現実の問題も数多く盛り込まれている。
---ただし、全年齢対象のジュブナイル作品なので、性的な行為や死体などの直接表現はない。日本語化の際の規制は、壁のラクガキの卑猥な図柄が一部差し替えられた程度。英語でのスラングも、性的なものについては比較的おとなしい。
-実在アート等の小ネタ
--写真家、画家、ミュージシャンといった実在アーティストの名前や作品が会話に登場したり、壁のポスターなどの小物に実在アートのオマージュがあったりする。有名どころも多く、現実世界の住人であるプレイヤーの感情移入を深めてくれる。
---分かりやすいオマージュの例は、アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」に似せたポスター。また、クロエの車のナンバー「TWNPKS」は、かつて日本でも評判を呼んだ洋ドラ「ツイン・ピークス」のもじり。複雑な人間関係を秘めた片田舎の街で行方不明の少女を捜索するという内容で、レイチェル捜索はこのドラマにヒントを得たものと思われる。
--日本に関する言及が多く、「AKIRA」や「ファイナルファンタジー」、「バトルロワイヤル」、「戦国自衛隊」といった実在の邦画の名前が飛び出したりする。日本人プレイヤーをにやりとさせてくれる要素である。
---特に「ニンジャ」というワードはスタッフの気に入りのようで、作中で何度も使われる。

**賛否両論点
-ジャンルについて
--本作はあくまで「アメリカの高校を舞台にした青春ドラマ(ゾンビなし)」を描く作品である。時間操作というSFの要素や、行方不明のレイチェルを探すという探偵モノの要素はその「青春ドラマ」を盛り上げる重要なスパイスであっても、ストーリー上のメインディッシュとなる要素ではない。
--そのため、SFや推理モノとしての盛り上がりを過剰に期待してゲームをプレイすると、多少の消化不良感が出てくることもある。

-シナリオの展開が基本的に一つしかない
--マックスの選択や時間の巻き戻しによって様々な登場人物が影響を受け、その人物との信頼関係のような枝葉の部分では差が生まれるが、物語の大きな流れは変わらない。どんな事件が起き、どんな流れで真相が明らかになるかは固定されており、エンディングはそれまでに何をしていようが2種類で固定。
--制作スタッフ陣が、様々なシナリオを用意してバラエティ豊かな展開にするよりも、一つのしっかりしたテーマを届けたかった、という旨を各種インタビューで語っており、ルート分岐やマルチエンディングの要素が薄いのは意図的な仕様である。しかし、せっかくの時間改変ものなのだから、それまでのプレイ内容を踏まえてシナリオやエンディングがもっと大きく変化していくゲームであってほしかったという声もある。

-グラフィックの品質
--発売時期を考えると、質が高いとは言えない。
--人物モデルは人形っぽさが残るレベルで、特に顔は、光の加減や角度によっては不気味に見えることもある。髪の表現も一本一本を描き込むレベルには至っていない。
---人物の表情は動くのだが、主人公マックスを筆頭に、目線を動かすと不穏な印象の三白眼になってしまうキャラが複数いる。顔のアップが多いため惜しい。
---なお、マックスの顔モデルには目の下に赤いシャドウが付けられているが、それが濃いため、俯き加減だったり周囲が暗かったりするとかなり陰気な顔に見えがち。
--3Dモデルが最高級のものではないという程度で、画面全体で見れば調和が取れており、極端に質が悪いと言うほどではないのだが。

-クロエのキャラクター
--主人公の親友のクロエはやんちゃで、思春期真っ最中な少女で、喜怒哀楽が激しいキャラである。
--その為マックスに悪態をついたり、未来を見てきたマックスの言う事を聞かないなどプレイヤーを苛立たせるシーンが多い。クロエの説得という選択も多い。
--何度も鼻血を出すマックスを見て、「巻き戻し」の力が体に負担を掛けることに気付いている筈だが、割と安易にマックスを頼る。ストーリー進行のためにある程度は仕方ないとは言え、薄情な仕打ちではある。

-コストパフォーマンス
--この作品はエンディングまで10~15時間程度で終わり、周回要素もほぼなく、トロフィー収集もわりとあっさりできる。そのため、価格帯に対するコストパフォーマンスが悪いという意見も聞かれる。
--しかし、実は北米版ではダウンロード専売タイトルで、エピソード1つにつき4.99ドル,全エピソードのセットが19.99ドルという定価設定であった。そのため、実際は価格帯にマッチしたボリュームの作品なのである。日本語版が高くなっているのは、丁寧なローカライズの裏返しでもある。
---なお、SteamでWin版をダウンロード購入した場合は北米単価を元にした価格(1980円)で買えるうえに、プレイステーション版と同じ日本語環境が無料で提供されたりもするのだが…(さらにSteamでは頻繁にセールを行っているためこれより安く買える機会もある) そのあたりも賛否両論点になっていたりする。

-和文フォントが丸文字風
--文字表示を日本語にすると、全てではないがフォントが丸文字風のものになる。主人公が女子学生ということでフォント選択の意図は分かるものの、マックスという人物の個性、グラフィック、ストーリーなどにマッチしているかは意見の分かれるところ。
--言語環境を英語にすると、マックスを含む大半の登場人物が、かなり下品なものも含むスラングや悪態を連発する。日本語音声と字幕は和らげた表現になっているが、英語音声+日本語字幕でプレイしていると、フォントへの違和感が強まるかも知れない。

-(Windows版のみ)マウス操作がやや直感的ではない
--本作はキーボード&マウスでも操作できるのだが、コントローラでの操作を推奨しているためか、マウス操作があまり最適化されていない。
--例として、物を調べるのにいちいち「左クリックで物を選び(視点固定)→コマンドの文字(見る・取る、等)へカーソルをドラッグして選択する」という形式。操作に関する詳しい説明も特に無いため、一部では「マウス操作だとアイテムが調べられない」等と戸惑うケースも散見された。
--なお、Win版のゲームコントローラはXInput形式のみ対応しているため、対応したコントローラ(Xbox360コントローラ等)を用意するか、それが無い場合は変換ソフトが必要。

**問題点
-最終章とエンディング
--エンディングは2種類あるのだが、これは最終章であるエピソード5の終盤での選択によってのみ分岐するだけである、なのでキャラクターが死亡させようが、生かそうがエンディングは''それまでのプレイ内容は影響しない。((せいぜいクロエの好感度によってマックスがクロエにキスするかしないかが変わる程度))
--分岐する両エンディングは''どちらを選んでもハッピーエンドとは言えないもの''で、消化不良な感じも残る。

#region(エンディングの内容について)
-詳細に言うなら『街と住人を竜巻の犠牲にしてクロエとマックスが生き残る』か『一番最初まで戻り、トイレでクロエを救わないことで竜巻の未来を無かったことにする』かの究極の選択であり、どちらにせよ誰かと何かを犠牲にしなければならず全員が助かる円満な結末は迎えられない。
--さらにそのエンディングに関しても、前者は崩壊したアルカディア・ベイを物憂げな表情をした2人が車で去るだけのあっさり終わるものに対して、後者は真犯人の逮捕やその後のマックスの周囲の状況を詳細に描き、最後にはクロエの葬式で幕を閉じる。クロエ生存ルートのエンディングの長さは3分弱なのに対して、クロエ犠牲ルートはなんと''9分以上''と長さも演出も気合が入っている。さらに作品を象徴する青い蝶も犠牲ルートのみ登場。
--実際のところ、犠牲ルートエンディングからは「マックスがエピソード1でクロエを助けなかった場合、そのままの流れで犯人や事件が解明された」とも受け取れる描写となっており、ハッピーでなくとも物語本来のトゥルーエンドはこっちであるかのような作りになっている。
--要するに上記問題点で挙げているキャラの生死がプレイ内容に影響しないというのは、片方のルートではマックス&クロエ以外全員死亡、もう片方のルートではクロエ以外が(死んだ事実もリセットされたため)全員無事という流れになり途中の影響を一切受けないということなのである。
#endregion

--前述の一つのストーリーを届けたかったという意図は分かる物の、キャラを死亡させない選択をするなど努力したプレイヤーにご褒美のような物がないのは残念な作りである。
--また、最終章はそれまでとかなり雰囲気が変わり、タイムリープ能力の乱用が急激に現実を悪化させ、悪夢のような精神世界に放り込まれるというサイコホラー調のものになる。クライマックスを盛り上げる手法として理解はできるが、ストーリーの辻褄が合わせづらく、唐突な展開ではある。
--このため、終盤を補完して真エンドにたどり着ける追加要素を望む声も大きい。

-時間操作能力の説明不足
--能力が使えるようになった原因などは解明されないままである。
--また、鼻血を出したり頭痛に襲われたりと、能力を使うことでマックスの体に強い負担が掛かる描写が繰り返されるが、思わせぶりなまま終わる。時折意識を失ったりすることもあるが、それ以上のデメリットは無い。
---エピソード2の終盤で短時間に時間の巻き戻しを連発したことによってイレギュラーな時間の停止(ゲーム中時間の完全停止が起こるイベントはここだけ)が発生した反面、再び動き出した後しばらく巻き戻しが使用できなくなったということもあった。これに関しても何故停止したのか説明無し。
--ただし、エピソード5の終盤付近では時間巻き戻し&タイムリープの頻繁な使用の代償として、上記のように悪夢のような精神世界(おそらくマックスの良心の呵責によって形成されたもの)に取り込まれるという描写があるので、それを負担の結果と考えることもできる。

-巻き戻しに付随するバグ
--「巻き戻し」によりリアルタイムでイベントを遡るシステムであるせいか、変なタイミングで巻き戻すとイベントが妙な所で中断されることがあり、本来なら進めないはずの地形に嵌ってしまったり、イベントが進行しなくなってしまう場合がある。

**総評
時間の「巻き戻し」をプレイヤーに実際に体感させるという、その一点を中核にして、シンプルな操作性でストレスの少ないストーリー体験を実現させた秀作。~
探索型アドベンチャーゲームとしては難易度は高くなく、誰でもプレイできる。

プレイ時間は10~15時間で周回要素もないのでボリューム感のある大作というわけではないのだが、それこそ「プレイする映画」の感覚で週末に浸ってみるのもよいのではないだろうか。

**余談
-Win版で日本語DLCを適用すると、日本の多くのゲームの形式に合わせ、決定ボタンとキャンセルボタンの位置が元の英語版から逆転する。
--一応、ゲームフォルダの「\Life Is Strange\LifeIsStrangeGame\CookedPCConsoleFinal」内にあるファイル「TX_CERO_SF.upk」を削除かリネーム等で読み込ませないようにするとボタン配置が英語版と同じになる(ついでに副作用としてCERO用表現規制も解除されてしまう)。

-続編として『Life is Strange: Before the Storm』の英語版が2017年9月1日発売。日本版は本作同様に吹き替えローカライズされた上で2018年6月7日発売予定。
--内容は本作の前日譚であり、レイチェルとクロエの出会いの物語。クロエは本格的にグレる前なのでまだ髪は青くない。