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O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~ - (2017/05/31 (水) 07:55:29) のソース

*O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~
【おとぎ ひゃっきとうばつえまき】

|ジャンル|アクション|&image(hyakki.jpg)|
|対応機種|Xbox|~|
|発売・開発元|フロム・ソフトウェア|~|
|発売日|2003年12月25日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|爽快さを増した破壊表現&br()大幅なキャラ追加|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
-2002年に発売された『[[O・TO・GI ~御伽~]]』の続編。御伽シリーズは本作で完結。
-主人公は頼光(ライコウ)。大江山の鬼退治で知られる源頼光(みなもとのよりみつ)がモデルであるが、あくまでモデルでありまったく設定の違う別人。
-平安時代風のファンタジー世界を舞台にした3Dバトルアクションゲームである。伝説、説話に登場する人名もちらほら出てくるがあくまでモデルであり、オリジナルのエピソードとはほぼ無関係。

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**ストーリー
巫術によって永遠の時を与える結界が崩壊し、朝廷は外の世界への遷都を決める。&br()だが穢れと妖鬼に溢れる外界に人の居場所はないように見えた。&br()謎の巫術士・安部清明は秘法「白珠」の力を用いて穢れを押し流し、新たなる都を築く。白珠と清明に守護され、人は再び繁栄を夢見る。&br()しかし白珠が呼び込んだものは繁栄だけではなかった。&br()白珠を狙い蠢動するものたちの影を感じ取り、清明は新たな決断を下す。&br()いにしえの強大な巫術士、死を操る頼光の黄泉返りを…。

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**特徴
-メインストーリーステージ27+特殊ステージ18のステージクリア型。
-操作系、基本システムは前作と同様。直接攻撃と巫術の組み合わせで戦うバトルアクションである。

***前作からの変更点
-プレイヤーキャラの増加
--頼光一人だけだった前作から6人へと一挙に大幅増加。&br()追加されたのは渡辺綱(わたなべのつな)、碓氷貞光(うすいさだみつ)、卜部季武(うらべすえたけ)、坂田公時(さかたのきんとき)、安倍清明(あべのせいめい)。清明以外の4人は源頼光を主役とした説話で「頼光四天王」と呼ばれた配下の武者達をモデルとしている。&br()以下プレイヤーキャラ紹介。
---頼光(ライコウ)&br()前作から続投で主人公の片割れ。死を操る太古の巫術士。髪の長い武者姿をしている。&br()前作では四系統の武器を使用していたが今作では剣のみを使用する。クセのないスタンダードなキャラクター。&br()今作でもやはり一切喋らない。また防御属性は装備した霊符の属性となる(清明も同じ)。

---渡辺綱&br()設定では「獣人の姿に身を窶した」とある狼の様な頭、足、青い体色を持つ異形の武者。武器は柄尻で合体させる一対の剣と左腕に装着した突き専用の折り畳み刀。属性は白虎固定。&br()ライコウに似たクセの少ない性能だが、弱弱強または弱弱弱強のコンボで強攻撃巫術属性の円周衝撃波を放てるのが強み。また巫術溜めのモーション(剣を風車の如く回転させる)に飛び道具跳ね返し機能がある。素の巫術能力はやや低め。&br()性格は豪放磊落。

---卜部季武&br()神木と一体化した巫術士。属性は蒼龍固定。足は木の根、両腕が無く顔面には呪符、法輪を背負った異形の姿をしている。&br()武器は輪宝で、強攻撃で輪宝から多数の支柱パーツを飛ばし広範囲攻撃が可能。切り上げ・切り下しの高度変化攻撃を持たずジャンプ力は低いが空中ジャンプの回数に制限がない。また巫術の溜め時に移動系の行動が可能な唯一のキャラであり三之式の巫術を行使出来る唯一のキャラでもある。&br()口調からは老人の様な印象を受ける。

---碓氷貞光&br()大鎌を武器とする((ちなみに一部の民間伝承で使用したとされている))少女((モデルとなった史実の碓水貞光はもちろん男性である))。属性は胡蝶固定。&br()小さく軽量な為全キャラトップの移動速度を誇り、コンボの最大段数が9段と他より格段に多い。コンボの派生攻撃として大鎌の投擲や連れているカラスによる凍結攻撃なども所持する。ただし一発あたりの攻撃力はかなり低く、またライフが伸びも含め最も少なく打たれ弱い上に吹き飛ばしや風の影響などを最も受けやすい。&br()緊迫した状況にあっても丁寧でおっとりした口調を崩さない。しかし見た目通りに幼いらしく、敵を前に怯えを見せることも。

---坂田公時&br()おとぎ話「金太郎」の主人公が成人した武者、それにちなみ武器は鉞(まさかり)。身長は低いがガッシリとした重みの有る容姿をしている。属性は朱雀固定。&br()弱攻撃ボタンで強攻撃属性の攻撃が出るというパワーキャラ、ライフ値も最も高い。がコンボの段数は三段と少ない。また強攻撃ボタンでは敵を掴み、押し続けると敵から巫力を吸収出来、またもう一度攻撃ボタンを入れる事で好きな方向を選んで投げる事が出来、弱か強かで投げの軌道が変わり、弱で放物線を描く遠投、強で地面を抉る低く短い軌道になる。見た目通り移動速度は遅く、また空中ジャンプが出来ない(切り上げ攻撃で上昇出来るので特に問題はないが)。&br()一之式の霊符しか装備出来ない唯一のキャラである(他のキャラは基本的に弐之式まで装備出来る)が術そのものが使えない事より上位霊符の高いパラメータ補正が受けられない事の方が痛い。

---安倍清明&br()説明不要の最も有名な陰陽師、だが本作では女性である((設定上全く関係はないがフロム・ソフトウェアの別作品『九怨』でも女性の安倍清明が登場する。))。もう一人の主人公。&br()謎の秘宝「白珠」の力で都を築き、人類を守護し続ける巫術士。妖鬼達への防衛手段として頼光を黄泉返らせたのも彼女である。一行の司令塔としてミッションの指示を行う((本作の綱等は元々彼女の配下である))ほか、時に自らも前線に立つ。&br()武器は一対の扇で、コンボの段数が少ないが公時と同様の掴みの仕様を持ち投げ技を使用する事が出来る(ただし若干投げモーションや軌道などが変わる)。また清明専用の強力な霊符が4種存在。更に、大巫術を二連続で放つ強力無比な巫術コンボを有する。

-特殊ステージの追加
--メインストーリーとは関係ない「百鬼討伐ステージ」が用意されている。&br()規定回数相手の飛び道具を弾き返す、投げたり吹き飛ばした敵をぶつけて舟を壊すなど戦闘目的ではないパズルやミニゲーム的な内容の物が多い。

-ダッシュの性能変化
--敵をロックオンしてダッシュした場合、Z軸方向にも方向補正が働き、高度が離れた敵にも近づきやすくなった。

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**評価点
-使用キャラの増加
--特徴で述べたようにキャラ毎の性能はそれぞれかなり差別化されている。より多くのアクションが楽しめるようになった。&br()スピードが必要なステージなら貞光、敵の吹き飛ばし方向のコントロールが重要な場合は投げの使える公時や清明、範囲攻撃が欲しい時は綱や季武、物理・巫術双方をバランス良く穴の少ない状態にしたい場合は頼光といった様にキャラの使い分けも重要となっている。
-爽快感を増した吹き飛ばし
--今作では投げ・強攻撃・巫術で敵を吹き飛ばした際、壁に接触するとそこで反射し2度、3度と跳ね回る。&br()見た目の豪快さが増している上、オブジェクトや他の敵を巻き込みやすくなっており閉所狭所の敵の多いところで吹き飛ばしを出すと敵が四方八方跳ね回りオブジェクトが片っ端から轟音を上げて壊れ散るという気持ちのいい光景が見られる。

-キャラ要素の改善
--ライコウは相変わらず全く喋らないが、他のメンバーには多いとは言えないものの性格付けを表すセリフがいくつも用意されており、そもそも人数が増えているので前作よりは遥かに賑やか。またストーリー要素であるムービーパートもキャラ毎の性格を活かした選択キャラ分岐の有る物となっている。
--ライコウも今回は明確に自分の意思によって行動する部分があり、僅かに人間味が増した。
---またあるミッションでのキャラ分岐でライコウの「死を操る力」の本質が分かる。
--清明はライコウを復活させ使役し戦わせるというポジション自体は前作のヨモツヒラサカヒメと変わらないものの、懸命に人類を護りライコウを頼りにしている描写や窮地には自ら囮となって戦う姿勢などから各段にヒロインらしいキャラとなっている。
--敵キャラについても巨大な敵「九尾の狐」が冒頭から顔を見せる他、白銀人や土蜘蛛といった別勢力も強く個性付けされて登場しており、前作よりも主人公サイドとの対立軸が明確に感じられる。

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**問題点
-カメラ関連
--前作に引き続き、視点操作の向きが一般的なFPS・TPS等とは逆であるうえやはり反転設定もない。更に公時・清明の掴み時は左右方向のみ視点操作の向きが通常時と逆転し、プレイヤーの混乱を誘う。

-棒立ちなザコが多い
--部分部分では良く動く敵やステージギミックの厳しさがあり、完全にヌルゲーとは言えないのだが攻撃頻度が低くただの的状態のザコ敵がかなり多い。シチュエーションによってはボタン連打ゲーになってしまっているのは否めない。

-メニューUIの劣化
--特に再修祓(ステージ再プレイ)のステージ選択時が顕著。&br()十字キー下でステージを一つ一つ送っていく形式。つまり終盤ステージを再プレイしようとするなら二十数回もステージを送らなければならない((最終ステージに到達することでようやくステージリストのループが有効になり、最初のステージから上を押すと最終ステージに繋がるようになる。それでも使い辛さはあまり軽減されないが。))。しかもステージを一つ送るたびに僅かだがHDDアクセスが発生するため送り自体も低速。&br()呪具(装備アイテム。アクセサリ)選択も同じUIかつ呪具の種類がかなり多いため検索性が劣悪。こちらはHDDアクセスが無いので動作は快適であるが。

-オブジェクト破壊率と言霊救済
--前作同様、ステージ内のオブジェクト破壊率、及び特定オブジェクト内に封じられている言霊(前作では形代)の救済率がクリア評価に入っている。範囲攻撃の出来る綱や末武の参入のお陰で前作よりは楽になったもののやはり全オブジェクトを探しては壊して回る作業は退屈と感じるプレイヤーが多いのではないだろうか((ちなみに全ステージオブジェクト破壊率最高ランクで清明の別色コスチューム、全言霊救済で清明の最強武器入手という報酬があるので、全要素コンプリートを目指すなら避けては通れない))。

-武器の没個性化
--本作では武器はキャラ毎に三種(頼光のみ隠しのムーンライトソードが有るので四種)武器が有るのだがその装備の性能分けがほぼ同一。
--具体的には「初期装備はマイナス面の少ないバランス型、二つ目はキャラの長所と短所の両方を強調する物、三つ目は攻撃に性能を偏らせ防御面は大きく下がるハイリスク装備」という物。これにキャラの性格を踏まえた固有パラメータが少し付く程度。
---キャラ自体は増えモーション他差別部分が増えた煽りなのか武器のみこうなってしまっている。正直武器を固定されてるのと大差が無い。
---この様な性能分け傾向にするなら更に「どのキャラでも装備出来るがキャラの性格がより反映される汎用武器」辺りが欲しかった所。

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**総評
キャラクター数の増加と吹き飛ばしの強化によりゲーム性、フレーバーと共に一気に華やかさを増した作品。&br()相変わらず問題点は残るものの、爽快で美しい和風ファンタジーアクションとしてプレイする価値はおおいにある良作と言えるだろう。&br()ただし、本作もやはり初代XBOX特化型ゲームエンジンの為プレイするならば初代XBOXの用意を。

**余談
-本作にもフロムの看板武器ムーンライトソードがライコウの武器として登場。しかもこのムーンライトソードから放たれる光波はラスボスの倍のHPを持つ敵を僅か二発で葬り去る超威力となっている。歴代の月光の中でも疑いなく最強の一振りであろう。
-本作のスペシャルパックには前作の海外版が同梱されている。テキストが全て英語であることを除けば国内版と変わりは無い。ちなみに本作の海外版タイトルは『Otogi 2: Immortal Warriors』である。
-本作のディベロップチームの次作が『[[METAL WOLF CHAOS]]』。米国大統領が自国軍隊を相手にパワードスーツで大暴れという本作とはまるで異なる作風である。
--一定条件をクリアすることで使える隠し武器の中に、巫術「蒼龍」を模したもの(分類上はレールガン)が存在する。
-後年の同社作品『EM-エンチャントアーム』にはライコウの形状をしたゴーレムが登場している。