---- *BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣 【ぶるーりふれくしょん まぼろしにまうしょうじょのけん】 |ジャンル|RPG|#amazon(B01N0AZVH6)|#amazon(B01MTKS9QM)| |対応機種|PS4&br;PSVita|~|~| |開発元|ガスト|~|~| |発売元|コーエーテクモゲームズ|~|~| |発売日|2017年3月30日|~|~| |定価(PS4版)|通常版 7,800円(税抜)&br;プレミアムボックス 10,800円&br;スペシャルコレクションボックス 16,800円&br;ダウンロード版 販売価格:7,800円|~|~| |定価(PSVita版)|通常版 6,800円(税抜)&br;プレミアムボックス 9,800円&br;スペシャルコレクションボックス 15,800円&br;ダウンロード版 販売価格:6,800円|~|~| |判定|なし|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -コーエーテクモゲームズ傘下にあるガストブランド部が打ち出す“美少女祭り”プロジェクトの一環として開発された新作のRPG。 -発表から数ヶ月間渡りPV・インタビューを通しての宣伝により、絵師・岸田メルのファンからはじめ期待が集まった。 **あらすじ バレエのティーンスターであったが、怪我に夢を奪われて心折れていた白井日菜子。 ある姉妹と出逢い、戦う力を手に入れてから、己の願いを胸に“魔法少女”“リフレクター”として戦いに身を投じては、たくさんの気持ちに触れていく。それは、少女たちの絆の物語である。 **特徵 人の心の問題を解決するために心象世界“コモン”にダイブし、シンボルエンカウントでコマンドバトルを始めるというRPG要素を基盤に持つ。女の子の交流し、親密になっていくというギャルゲー的な一面もある。~ 交流を繰り返すうち、''スキルポイント''や''フラグメント''を手に入れることがある。 -スキルポイント --''アタック''、''ディフェンス''、''サポート''、''テクニック''の四分野のいずれかに振ることで、対応した攻撃力、防御力、MP、敏捷が強化される。スキルポイントの使用と同時にレベルは上昇して全能力が伸びる。 --四分野やレベルが一定値に到達すると、新たな技を習得することができる。 -フラグメント --心通わせた人の思いの欠片。パーティーキャラの技に装着することができ、技の強化ないし効果付加をもたらしてくれる。 -エーテルゲージ --戦闘における重要リソース。行動コマンドのエーテルチャージが主要の獲得手段。下記のオーバードライブを筆頭に、様々な行動手段に必要。 -オーバードライブ --一度に複数の技を重ねかけさせるコマンド。技一つ増えるにつれ30%のエーテルゲージが必要で、最大三つで90%消耗。最大にすると、''合体技''が行動の最後に発動するようになり、目標に大ダメージを与えられる。 -サポーター --ボスである原種と戦うときに、生徒たちはサポーターとして加勢してくれる。 -デートイベント --校園内の自由活動時、誰かと一緒に下校することで始められるサブイベント。 --本作に[[日数の概念>アトリエシリーズ]]はなく、メインストーリーを進まない限り何度もデートイベントを発生させられる。 **評価点 -グラフィック表現 --主人公含め、メインの15人の少女は、髪型・輪郭・体型の違いがモデルにはっきりしている。よこしまなカメラワークと相まって、誰のどこかしらの特徴はフェティズムを刺激してくれるのだろう。 --日光や燈光により背景やキャラに覆う光沢の質感もよく、絵になる。 -良質なシナリオ --少女たちの間に繰り広げられる理解と共感、反発と衝突を経て、関係性を深める流れは丁寧に描写される。 --イベントのみならず、用語集にも各人の掘り下げがなされ、一読の価値はある。 -秀逸な音楽 --少女たちの心情を表すピアノ曲から、ワブルを多用したノリノリな戦闘曲まで、50曲以上の膨大なラインナップの一曲一曲が場面と相乗効果を成し、印象に残る。 **賛否両論点 -カメラアングルの制約 --この手の3Dゲームは、審査の壁もありカメラを思い通りに動かせないのも珍しい話でもないが、本作のそれは特に厳しい。学園パートでは一切任意操作できず、コモンパートや観賞モードでも縦方向を少ししかいじれない。 --かわりか、カメラワークにこだわりがある。キャラを撫で回すようなカメラの動きがそれ。だがやはり自由に動かせるモードがあればいいことに越したことはない。 **問題点 -戦闘の難易度があまりにも低い --メインストーリーを進めるためにレベルが一定値必要だが、そのレベル帯でもザコにはパーティーの一人に攻撃力バフをかけて全体攻撃を撃たせば一掃。 ---一ターン目で日菜子がオーバードライブして自分にミゼリコキャプコ(攻撃力バフ)→ラファールジェモー(全体攻撃)で戦闘終了、なんて光景が良く見られる。 ---戦闘終了後HPMP全回復なので継戦能力を考えるまでもない。 --ボスはこれといった強烈な行動パターンがなく、サポーターの存在もあり、ラスボス含め初見でもたやすく対処できてしまう。 --これでも、最高難易度のハードでしかもフラグメント・ドーピングアイテム抜きの話である。低難易度・強化要素活用となればさらにぬるくなる。 --スキルポイントの振り方により習得スキルの違いが出るが、一定レベルごとに自動習得する技でもなんとかなる場合が多い。 ---終盤、レベルリセットアイテムが利用可能になるので、難易度を求めるプレイヤーはそこに着目を。 --インタビューで岸田メル氏によると、ストーリーをストレスなく体感させるためにあえて難易度を低くしたとあったが、難易度制を採用しているのだから、ハードの敵をもっと強くする、倒す必要のない強敵を用意するなどRPGパートを充実してもらいたい所である。 -サブシナリオの貧相な演出 --メインストーリーと戦闘ではフルボイスだが、サブシナリオには一切なし。サブシナリオのテキスト量はメインストーリー並なので、ストーリーを進まないでいるとボイスの無さから窮屈さを感じてしまうこともある。 --下校イベントに至っては、キャラが一切動かず、一枚絵を背に棒立ちして会話のテキストが流れるだけ。複数のキャラの好感度を稼ぎたくば下校イベントを繰り返すことになるので苦痛ですらある。 -シナリオの描写不備 --序盤は、新キャラと出会った途端精神暴走され、コモンにダイブしてその心の問題を解決してはまた別のキャラと…という展開が繰り返されて食傷気味。 --序盤から終盤まで日菜子が膝の故障にうじうじ悩んでいたのに、エピローグにそれに対する言及はない。ユズとライムが終盤に日菜子の前から光を放ちながら消滅したり、一旦記憶を無くしたもののラストで思い出す流れは感動的なだけに色々と勿体ない。 ---一応、終盤で吹っ切れたとも見取られる描写がなされたのだが、それにしても何らかの奇跡で足が治ったといったような決定的な描写もあっても良かったのではないだろうか。 -代わり映えのなさ --複数のキャラの間に、両手ガッツポース、頬杖、口隠しなど数種だけのモーションが使いまわされるのが目に付く。 --ボスキャラにあたる原種は、どれも二回もしくは三回も戦うことになるが、登場シーン、戦闘パターンはそれぞれ一緒。戦闘舞台は全体ともグラウンド一色。 ---撃破演出は毎回違うのだが。 --ザコキャラもそれぞれの色違いを除けば十数種のみでと少ない。 --学園内部とコモンでしか自由行動できない。下校イベントで町を周ることになるのだが、AVGパートが流されるだけで探険は出来ない。 -DLCの値段と内容の不釣合い --シーズンパスはゲーム本体に迫る高さ、にしては内容が数種の衣装とサブイベントの追加だけ。 ---特にパーティーキャラが戦闘時DLC衣装非反映(リフレクター衣装固定)に非難が殺到していた。(サポーターのは反映する) **総評 -少女たちのキャラクターとしての魅力を、素晴らしいグラフィックと丁寧なシナリオにより緻密に表現。高品質な音楽も没入感を促してくれる。 -惜しくは問題となる点が多く、万人が満足するまでに至らない。スタッフにはぜひトリアージを勤め、よりプレイヤーがデスマーチのように遊び倒したくなるゲームを作ってもらいたい。 **余談 -全曲の作曲を担当した浅野隼人氏は本作発売直前に退社。Twitterでは発売前の陰鬱さと退社後の明快さが、本作の製作現場のまずさを示唆している。なお、氏は発売後本作の話題を積極に出していると、思い入れがないわけではない。