「信長の野望 大志」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

信長の野望 大志 - (2019/02/28 (木) 20:35:34) のソース

*信長の野望 大志
【のぶながのやぼう たいし】
|ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|CENTER:&amazon(B074G2VSY4)&br()※Switch版|CENTER:&amazon(B074G31LY4,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/812VRoBrWTL._SL160_.jpg)&br()※PS4版|CENTER:&amazon(B074G1WHMK)&br()※Windows版|
|対応機種|Nintendo Switch&br()プレイステーション4&br()Windows 7/8.1/10|~|~|~|
|発売・開発元|コーエーテクモゲームス|~|~|~|
|発売日|2017年11月30日|~|~|~|
|定価|通常版 / TREASURE BOX&br()【Switch/PS4】8,800円 / 12,800円&br()【Win】9,800円 / 13,800円(各税別)|~|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|~|~|
|~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|~|~|
|ポイント|''全ての戦国好きに捧げる、最悪の戦国体験''&br()やる気を削ぐ劣悪なUI&br()あらゆる要素がことごとく薄く面倒くさい&br()謀略家&内政家涙目&br()ゆすり外交&br()発売当初と比べて多少改善されたがクソの域は出ず&br()BGM・一部武将の顔グラは好評|~|~|~|
|>|>|>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズリンク>信長の野望シリーズ]]''|
-----
#contents(fromhere=true)
-----
**概要
信長の野望シリーズ第15作目でシリーズ35周年作品。~
「''全ての戦国好きに捧げる、最高の戦国体験''」をテーマとし、「志システム」を目玉システムとし、各種新要素を取り入れた。~
発売前には各メディアにて大々的に宣伝をし、実質的な前作「[[創造 with パワーアップキット>信長の野望 創造#id_ef1b0544]]」(以下創造PK)が好評だったため、大きな期待が持たれていたが……。

**特徴
''志システム''
-本作は各武将に内政、軍事、外交等に対する考え方「志」を持っており、それに従い行動する。その数は50を超える。
--織田信長をはじめ、武田信玄、上杉謙信等有名武将には固有の「志」が存在する。
--志には特性(スキル)が存在し、条件を満たすと追加の特性も獲得できる。
--基本的には前作の政策を発展させたものであり、大名の志に応じて外交や内政、戦闘等に複数の補正が得られるがデメリットも存在する。
---例えば織田信長の場合は「兵農分離((足軽を安く雇える、農兵を0にすると収入が上がる、農兵の兵糧収入が減るデメリットが存在))」と「楽市楽座((商圏の成長速度が速まる、領内の商圏の影響力が自然上昇するが、独占が出来ない))」が特性となる為、
自然と、領内の商圏が発展しやすく、足軽を扱いやすいバランスとなる。
---補正はかなりの影響を及ぼすため、大名の志によって大きくプレイ感覚は大きく変わる。補正以外にも、合戦に敗北すると配下の忠誠心が下がってしまうといった志を持つ大名もいる。
--CPU担当時のAIの賢さに相当する、「格付け」の補完でもある。基本的に、強い大名武将は格が高く、勢力を拡大しやすいのだが、「守備的な賢さ」は表現し切れていなかった。「格」と「志」を組み合わせることで、その武将の性質をより浮き彫りにすることに成功している。過去作品では「野望」「主戦」などのパラメータで武将の好戦度を表現していたが、その発展形といえる。
---もっとも、後述するゲームシステムの性質上、CPUは軍事系の「志」を持つ大名が、単純に勢力を拡大しやすいのだが。

''全体の流れ''
-「創造PK」と同様に政略フェイズと進行フェイズに分かれ、政略フェイズで決定した命令を進行フェイズにて実行する。
--前作と同様に条件を満たして惣無事令を発するか、全国を統一する事でクリアとなる。

''評定と方策''
-季節毎に「評定」が行われ、参加した武将の提案を受け入れる事で4つの「施政力(農業、商業、軍事、論議)」を獲得し、施政力を消費する事で様々なメリットが得られる「方策」を開放していく。
--施政力を消費する事で4つのツリーからを方策を開放していく。農業の方策ならば「指出検地(兵糧収入増加)」、軍事なら「足軽重用(足軽募兵速度上昇)」等
---方策のツリーは大名の志によって変化する為、代替わりによって大名の志が変わり、実行出来なくなった方策が出た場合は施政力に戻される。
--評定に参加する武将は選ぶことが出来ず((方策により、新参を優遇したり、古参を優遇したりする事が可能))、また、発言する施政力の種類もランダムであるため、種類が気に入らなければ一度だけ振りなおす事が可能。武将の能力に応じて施政力の上昇に補正がかかる((「統率」が高ければ「軍議」が、内政が高ければ「農業、商業」が、「知略」が高ければ「論議」が上がりやすくなる))
--また、特定の武将を登用する事で固有の方策を開放する事が可能となる。「佐々成政のさらさら越え」や「山県昌景の赤備え」等が該当。

''商業''
-今作では主に支配地の「商圏」に「進出」ないし「投資」を行うことで金銭収入を得る。
--これまでのシリーズの内政とは異なり、商人に命令する為、ひと月に決められた回数しか投資ないし進出する事は出来ない。
--地方によっては特殊な商圏(伊勢神宮等)も存在する。特定の商圏は鉄砲等物資も得られる場合がある。
--親善関係(通交条約あるいは同盟関係)にある他国の商圏に進出することも可能。逆に他国が自支配地域の商圏に進出してくる場合もあり、その場合は収入は折半となる。
---他家を招き入れる事で商圏内で競争が行われる為、商圏の成長速度が速まる。自家だけでは投資できる回数が少ない為、他家を利用するのも重要な手段となる。
---商圏を独占する事で他家を一方的に締め出すことも可能。当然、独り占めをする以上は外交でも悪印象を持たれる。また、市場競争がないため発展も見込めなくなる。
---地方のすべての商圏を支配し、一定の規模まで発展させる事で商圏が合併し、「大商圏」へと成長する事が可能であるが、他家が進出していた場合は不可能であるため、大商圏を作る場合は独占するか、他家の影響が及ばない範囲まで領地を広げる必要がある。

''軍事''
-今までの作品とは異なり、「兵農分離」が肝となっている。農業に従事している民は「農民」として、従事していない民は「流民」として扱われ、農民は「農兵」に、流民は「足軽」として募兵する事が可能。
--農兵は兵糧収入が減る((農兵も兵糧を納めるが、農民ほどではないために納める兵糧が減ってしまうという表現。従軍するため生産性も下がってしまう。))が金銭の維持費がかからず、お手軽に揃える事が可能。ただし、足軽に比べると弱く、戦に不慣れであるため、決戦が長引いたり、不利な状況になると士気が落ちるといった特徴がある。
--足軽は金銭の維持費が必要となるが、戦専門の兵であるため、農兵よりも士気が下がりにくく、有利な状況になると手柄を立てんと士気が上がる。
---また、農兵と足軽にはそれぞれ強さのレベルが存在し、方策などで上昇する。織田家では足軽が強く、長宗我部家では農兵が強いといった特徴が表現されている。

''農業''
-今作では開墾や肥料を撒く等リアルに沿ったコマンドが用意されている。
--命令できるのは3、6、9、12月の4回のみとなり、実行には領内の人口から割り出される「労力」を使用する。
--農業を行う事で兵糧収入を増やす事が可能であるが、農地が増えてしまうと流民が農民になってしまうため、足軽を重視する城では開墾ではなく労働を免除する等の状況に則した指示が求められる。

''外交''
-ベースは「創造PK」と同じで、親善行動により「心証」というポイントを貯め、心証に応じて援軍要請や同盟等が可能となる。
--「創造PK」では合戦を仕掛けて断絶状態にさえなっていなければ交渉が可能だったが、本作では様々な要因によって敵視されてしまうと心象の上限値が低くなったり、「交渉を望んでいない」として交渉を持ちかけることが出来なくなり、ハードルが上がった。
--本作では合戦を行うには外交で「宣戦布告」をする必要があり、交戦状態を解除するには「講和」を持ちかける必要がある。この際に相手から出される条件を飲む事で交戦状態を解除する事が可能。
---本作では戦で消費する兵糧が増えたほか、戦が長引くと厭戦気分が漂い、住民感情が悪化するといったリスクが増えた事により、講和を持ちかける事も重要な要素となる。

''開発''
-発売当初は存在せず、アップデートにより追加された要素。前作の箱庭内政に相当する。
--武将に命じる事によって領内に施設を設置する事が可能、施設によって収入を増やしたり人口を増やす事が可能となった。
--設置した施設は発展を命じる事でレベルアップするが、付近で戦闘が起こった際などに破壊されてしまう事もある。
--『天下創世』で見られた、塾の施設も存在する為、武将を塾で囲んだ領地に配置する事で能力値をあげる事が可能となった。

''合戦''
-マップ上で味方と敵がぶつかると、「決戦」に突入する。「創造PK」で言う「会戦」であり、各武将を操作して敵軍の壊滅を目指す。
-リアルタイム制だった前作までとは異なり、フェイズ制となった。命令フェイズと進行フェイズを繰り返しつつ戦を行う。
--命令フェイズでは、部隊の移動などの指示を行う。斥侯より敵部隊の位置が判明したり、状況に応じて武将が献策してくることがあり、指示する事で突撃や砲撃といった戦法を行うことが可能。
--進行フェイズでは命令フェイズに従った行動が行われる。リアルタイム制ではないので行動を終えるまで戦況を見守る事となる。
-決戦の勝利条件は、「敵部隊全滅」「敵総大将の壊滅」「戦況ゲージを青一色にする」の三点
--戦の前に軍議が開かれ、武将から提案された「作戦」を決める。「本陣斬り込み((斬り込み部隊が特定の時間までに本陣を見つけると強攻状態となり能力が大きく上がる))」「囮挑発((囮部隊を作り、一定時間ごとに周囲の敵部隊を引き付ける))」「全軍突撃((一定時間一切操作不能になるが、攻撃力が大幅に上がった状態になる))」等の種類があり、作戦によって戦い方が大きく変わる。
---「釣り野伏」や「車懸り」などの専用の作戦も存在する。
-また、戦場の規模が存在し、決戦を行った場所によっては狭所である為、''ほとんど兵がいない''状態で戦わなければならないこともある。合戦開始後に徐々に合流する形で兵が増えていくが、一歩でも動かすと兵は増えなくなる。
--極端に狭い戦場の場合は数万の兵力を率いていようが数百程度しか参加できず、合流速度も雀の涙であるため、ほぼ増援はないに等しく、互いに同等の兵力で戦う事を強いられる。
--この為、ゲーム終盤に大兵力でごり押す戦法が非常にやりづらくなった。裏を返せば弱小勢力でも対抗することが可能になったとみるべきか。
-部隊ごとに「士気」が存在し、戦闘を続けると減少し、なくなると潰走状態となって操作できなくなるほか、被害が出やすくなり、戦況ゲージの悪化にもつながる。
--これまでのシリーズと異なるのは''優勢であっても攻撃を続けると士気が下がっていく''という点。そのため、戦闘が長引けば長引くほど潰走の危険が出る。潰走部隊があればみるみる戦況ゲージが下がっていくため、あと一歩で勝利という場面からひっくり返されることもありうる。~
戦わなければ回復していくため、士気が下がった場合は安全な場所に逃がす必要がある。

----
**問題点
-劣悪なUI
--一番の不評点がこれである。そもそもがスマートフォンとの同時発売を前提としていた為、UIもスマートフォン向けに調整されているのだが、それを他機種にまで持ち込んだ事が足枷となっている。
--極力''文字による表現を排してアイコンで表現''しようとしている節が随所に見られるが、かえってわかりづらさに拍車をかけてしまった。更に各種情報ウィンドウが大きすぎて、視認性が劣悪である。まるで初期の信長の野望シリーズの家庭用移植版のようである。
---よく使う命令コマンドは文字ではなく''全てがアイコン''((兜に「+」が重なったアイコンが武将の登用、「-」ならば武将の追放))であるため、直感的ではない。アイコンの横に文字が書かれていれば一見でわかるのだが…
--それまでのシリーズとは異なり、大名を選んだ後に難易度などの各種設定が表示されない為、シナリオ選択し、大名を選択するといきなりゲームが始まってしまう。
---各種設定はシナリオ選択時に''目立たない箇所にあるアイコンを選ぶ''ことで呼び出す事が可能。
---初心者が各種設定に気付かずに中級難易度でゲームを開始してしまったり、チュートリアルを切りそびれて延々と説明を受けるといった不親切な設計になっている。
---また、大名選択は''格闘ゲームを意識しすぎた''UIとなっている。顔グラフィックを見て選択するので、&bold(){コアなファン以外はどれが目当ての大名かわからない。}一応、地図から選択する形式に切替は可能ではあるが、その切替方法も非常にわかりづらい。
--武将を移動させる際に一覧からソートができない。

-意味のない内政
--パラメータを上げたことによる効果は発展した、強くなった&bold(){ような気がする}程度の効果であり、軍備強化してさっさと攻め込んだほうがいい。
---「[[天翔記>信長の野望 天翔記]]」と似ているように思えるが、あちらは内政自体は重要なコマンドであり、特に民忠は定期的に上げていかないと、内部から崩壊してしまう原因となってしまう。またCPUが非常に好戦的であり、こちらから攻め込まないとあっという間に滅亡してしまうので仕方ないと言える。
---規模が小さな勢力だと、金がない→内政をする→効果が雀の涙→金が貯まらない→軍備増強できない→そのうち攻め込まれるのパターンに陥り、''もれなく詰む。''

-決戦を回避できない
--スキップすることは可能だが、勝敗および兵力の損害の計算は単純に数字だけで判断する模様で、結果敵味方双方とも損害が大きく出てしまう。結局損害を減らすために、決戦をするはめになる。弱小勢力だと尚更。

-朝廷の存在が無意味かつ邪魔
--たまに金銭を要求してきて、その見返りに官位を貰えるが、今作の官位は外交にほとんど影響を及ぼさない。なお、断ると当然の権利のように心証が悪くなる。

-またもやカットされた調略と軍団。
--今作では引き抜きや暗殺等の調略が存在しない。忠誠度が低い武将は自ら出奔していなくなるだけであり、引き抜かれたり寝返ったりはしない。前作の無印と同様に''クリーンな戦国''となっている。
---よって、過去作で重要な意味を持った「知略」のパラメーターがほぼ無意味なものに。(今作の「知略」は決戦時の部隊の防御力と評定時の施政力の上昇に影響するだけ)
--軍団の要素もカットされてしまい、すべての合戦を自分で行う必要がある。
---宣戦布告して後は軍団に委任といった事は出来ない。
--そもそも前作の時点で調略や軍団をカットしたことによって非難を浴び、PKにて実装されたのだが、再びカットしてしまっては元の木阿弥である。

-操作に統一性がない(CS版)
--今作はコマンドの決定/拒否の表記が「はい/いいえ」「YES/NO」等ではなく、「○/×」のアイコンとなっている。PS4版ではなんと決定が&bold(){△ボタン}であり、「○」のアイコンを見てついつい○ボタンを押してしまいがち。さすがに拒否は×ボタンだが……。
---これだけならまだマシなのだが、○ボタンで決定するコマンドも存在しており、操作に統一性が全くない。一応○アイコンの上に小さく△と表記されてはいるが……。
---Switch版にて決定がXボタンになっているため、そこまで機種間で統一してしまったものと思われる。

-外交
--金品を他国に要求しようとすると、なんと相手から条件として同盟締結を提示される。前作までは同盟を結ぶために金品や人質を渡したりしなければならなかったのだが……。
---つまり同盟を結びたければ、''相手に金品を要求すればいい。''
--外交可能勢力の制限
---隣接している勢力としか外交ができない。標的の向こう隣の勢力と共同で攻め込む、つまり「挟み撃ち作戦」をすることができない。
--リアルにしすぎた外交関係
---特に「同盟国の同盟国」の扱いが非常に厄介。攻め込もうとすると、同盟国の心証だけではなく、無関係の周辺国にも「不義理な奴」と判断され、外交関係が一気に悪化する。
--絶対に滅ぼされない「''無敵講和''仕様」
---こちらから講和を持ちかけるとその時点で要求される物資の基本量が決定されるが、なんと敵には講和の拒否権が存在しない。つまり状況によって決定された物資の量をこちらが所持していない場合、''必ず無償で許される''というバランス崩壊要素が放置されている。試しに夢幻シナリオの鈴木家で織田家から宣戦された直後に講和の使者を出して見ると、決戦もやらずにあっさりと無償講和が成立する。また本能寺の変イベント後の明智でプレイすると、羽柴家からは大量の物資を取られることによって講和が成立(これ自体もおかしいことなのだが)するが、もう片方の柴田家との講和は、先ほど羽柴に物資を多く取られてしまっているので物資が払えず、今度は無償で講和が成立する。
敵に拒否権が無いことによる歪さである。

-家宝入手がランダムイベントに
--本作では[[家宝を自発的に購入することができず>信長の野望 覇王伝]]、家宝を入手するには献上品として家宝をくれる商人を待つしかない。
--ランダムイベントになったため、家宝のコンプリートが非常に困難となっている。

-プレイヤー以外の志の感じにくさ
--プレイヤーとなる大名以外はセリフぐらいしか志システムによる変化を感じにくい。
---志によってCPUのAIが変化するという触れ込みではあるが、それを感じさせる部分が少なく、結局は同じような勢力が同じような速度で勢力を伸ばしていく。
---CPUの織田信長や大友宗麟のように、志によって商圏の独占を禁止する大名の場合はしっかりと反映されている為、独占を恐れずに通商を持ちかける事が出来るといった程度。
--配下武将にも志が設定されているが特に意味はない。大名ではない一部の有名武将も専用の志を持つが、無理やり大名を隠居させる等をしなければ志を感じられない。

-BGMの種類が少ない
--政略フェイズ時のBGMは今作でも勢力の規模の大きさによって変わる仕様だが、特定の大名専用BGMは存在しない。それどころか&bold(){主人公である信長ですら専用BGMが存在しない。}

-発売当初の惨状
--「創造」「創造戦国立志伝」と同様に発売当初は様々な要素が欠けており、アップデートによって対応されたものの大きく評判を落とす事になってしまった。
--決戦をスキップ不可能。どんな小さな決戦でも必ず操作する必要があり、ゲーム時間の大半が決戦で費やされる事になった。
--「開発」コマンドが無かったため、武将を集めた所でやる事が無く、ニートと化してしまう。能力が高い武将が居ても評定で発言しなければ宝の持ち腐れとなってしまうのも痛い所。
---それまでのシリーズとは異なり、政治力の高い武将を奉行にして素早く領地を発展させるというものではなく、あくまで商人や農民に指示をするだけなので((農業は民の労力で、商業は商人に指示できる回数(方策で変化)までとなっている為、武将が多くなっても命令できる回数に変化がない。))、''評定と合戦と外交の使者以外に武将がいる意味はほぼなく''、せっかくのシリーズ最大数の武将数が生かされていない
---「内政」の高い武将が居ても商業や農業に影響を及ぼさないので、評定で発言しなければ死にパラメーターと化しており、先述の「知略」と並んで内政家及び謀略家として名を馳せた武将の影が非常に薄くなる結果となってしまった。
---ある程度発展するまでは「''商圏に一回投資してターン終了''」といった、''まるでシリーズ初期のようなシンプル過ぎる内政''を強いられることもあった。
---開発コマンドの追加によって、従来のシリーズのように武将を奉行に命じることが出来るようになり、内政家にようやく出番が出てきたという所か。
--商圏の一括進出、一括投資といったコマンドがなかったために、一つ一つの商圏を調べながら投資する必要があり、煩わしかった。
--本作では全国マップが前作の100倍高精細になったことをウリとしているが、発売当初は最大に拡大した上で特殊操作を挟まなければ高精細のマップを見ることが出来ず、''売りにしていた割には誰も気づかない''という事態が発生していた。
---アップデートで通常の操作でも高精細のマップを見る事が可能となったが、公式ページで紹介されている画面ほど奇麗なものではない上にさほど話題に上らないため、微妙な要素となってしまっている。

-その他
--外交における「商圏の独占の解除を要請」等、一部死にコマンドが存在する。
--農地が人口を上回っている場合、流民はすべて農民になるという仕様であるため、戦争で大幅に人口が減ると農地が余ってしまい、流民が全く増えなくなる事が多々ある。
特に農兵を重視する長宗我部家などの大名家が徹底抗戦した場合、流民が増えるくらい回復するまでに''数年単位の時間がかかる''ようになってしまい、足軽を重視する大名家でプレイする場合の足かせになってしまう。
-行軍と兵糧消費、敵AIとのミスマッチ
--今作は兵糧の消費が激しいデザインであるにもかかわらず行軍で無駄を強いられる場面が非常に多い。
集結地点に近い城から出た部隊は遠方から来る味方部隊を兵糧を消費しながら待ち続けるため、敵の領地に入り込むまでで既に大きな消耗をする上、軍勢に切り離しも存在しないため一度集結を完了するとその軍勢を用いて多方面の牽制に対応しなければならなくなる。
さらには敵はプレイヤーの出陣時の軍勢兵力しか見ていないため、大兵力で釣り出す→小兵力の別働隊を出し大兵力を解散する→''敵の大軍勢がこちらの小軍勢に延々と釘付けになり睨み合う''という笑える兵糧攻めが可能になる。普通、大兵力を動員していると数ヶ月で兵糧が底をつくため、あっさり敵を無力化できる。
さらに農兵の動員により保持兵力だけなら数倍の規模の相手と並ぶことが出来るため、上記の釣り出し兵糧攻めは格上にも十分可能。もう真面目に決戦やるのも馬鹿らしくなってきます。

-限定版商法
--『戦国立志伝』で味を占めてしまったか、またも限定版だけのシナリオを同梱するという展開をしている。
--前作は既にパワーアップキットもリリースされており「もう『創造』も最後」という見解で一致していたのに対し、今作はまだPK版発売とそれによる補完の可能性があった事から下手に手を出せず、一方で当初からシナリオの別途配信もしないと決定していたため、購入を迷うユーザーも存在していた。
---そもそもシナリオの内容に関して、''一切の告知がなされていなかった。''これまでの様子から、全武将が結集する内容だろうと予想するユーザーも多かったが推測の域に過ぎず、かといってゲームにしか興味のないユーザーにしてみれば、シナリオ1本で4~5,000円の追加支出をする事となり、とにかく不安や不信感を煽る事になってしまった。

**賛否両論点
-「決戦」の仕様
--ほとんどの決戦の勝利要因が「戦況ゲージを青一色にする」ことであるため、精鋭部隊を編成するより、烏合の衆で奇襲し、一気に戦況ゲージを振り切らせたほうが早い。
--さらには兵数による攻撃力や防御力の増減が全く無く、それでいて士気や戦況の変化まで同じであるため、大軍がまるで大軍の機能を有していない。ただの大飯食らいの部隊になっているだけである。~
おそらく兵力差を翻す、弱小でも耐えられる等のコンセプトによって設定されているのだろうが、それは不利側が出来る手が多いということで表現すべきあって、大軍と寡兵の戦闘力が同じという富国強兵の内政もへったくれもないただの接待プレイと化してしまっている。
---そもそもシリーズで初となる狭所による兵力の制限(兵力の同数化)、不利側が勝利すると戦意の大幅上昇(有利側は大幅減少)、勝利すると被害を与えた上で相手の参加部隊が全て解体、と不利側が優遇される要素がいくつもあるので、大兵力であることのアドバンテージが少なすぎる。
-攻城戦が存在しない
--『創造 戦国立志伝』では存在していたにも関わらず、今作ではオミットされている。

-武将の顔グラフィック
--『[[三國志13]]』と同様に有名武将には平時と合戦時の2種類のグラフィックが用意された。さらには前作の年齢による顔CGの変化にも対応している。
---戦場では鎧を着る上杉謙信や北条氏康といった今までのシリーズでは描かれなかった点が表現されており、好評である。
--しかし、これにより織田信長等の有名武将ですら前作の使いまわしCGが存在するようになってしまったため、無理に用意する必要があったかどうかは微妙である。((信長は壮年期、武田信玄、上杉謙信は青年期が、北条氏康は平常時が前作の使いまわしになってしまっている。))
--また、マイナー武将に至っては相変わらず『天下創世』からの使いまわしである。

-チグハグな武将数とシナリオ
--シリーズ最大となる2190人の武将が登場し、一条内政((一条兼定の嫡男。長宗我部元親に擁立された傀儡当主だったが、後に長宗我部家臣・波川清宗の謀叛に加担したため追放された。))や小野政次((井伊氏に家老として仕えるも、当主の井伊直親を謀殺し断絶寸前に追い込んだ。))など本作が初登場となった武将も存在する。
--前作の「創造立志伝」を引き継ぎつつさらに登場武将が増えた為、シリーズ最大数の武将が登場するが、シナリオは前作の「1535年信長の誕生」~「1615年大坂の陣」から「1545年川越夜戦」~「1582年夢幻の如く」と縮まってしまったため、1545年以前に死亡した「信長の誕生」シナリオに登場する武将は''「群雄集結」シナリオ専用の特殊武将扱い''。
--また、本能寺の変までしかシナリオが無い為、関ヶ原や大坂の陣で活躍する武将もほとんど出番がない。
---もちろん、後年のシナリオでも武将不足になる事が無いという点でありがたいのだが、用意されているシナリオと登場する武将の範囲がちぐはぐである為、''武将は存在するのにシナリオが用意されていない''という印象を受ける。
--後に「1534年 信長の誕生」は有料DLCとして配信されたが、鉄砲伝来を除いて歴史イベントは一切なく、一部の武将は特定の時期になると''唐突に死亡ないし行方不明になる''((従来のシリーズでは歴史イベントが発生して、特定の武将が死亡する事等があるのだが、本作ではイベントそのものはないものの死亡だけはする。松平清康や今川氏輝等が該当))上にアップデートで修正されるまでは''鉄砲伝来前に鉄砲を生成、購入できる''というという手抜き仕様。
--また、武将が必要となる場面が大きく減った為に存在感が薄くなり、先述のアップデートによる「開発」コマンド追加までは武将数が多いのにそれを生かすゲームデザインになっていなかった。
むしろ人数が増えた為に病気の報告ばかり((本作では武将の寿命が近づくと病臥に伏せ、回復するを何度も繰り返すようになるが、病臥に伏せる度に報告が入る為、武将数が多くなると非常に煩わしく感じられる要素でもある))が来て煩わしさすら感じてしまうほどになる。

**評価点
-BGM
--%%クソゲーのお約束というべきか%%BGMは良い。
--今作のBGMは引き続いて大塚正子氏が担当しており、壮大で聞きごたえがある。

-決戦の作り込み
--『[[革新>信長の野望 革新]]』以降、合戦要素に関しては軽視される事が多かったが、本作では久しぶりに作り込まれた合戦となっており、完成度は高め。
--これまでのリアルタイム制から、かつてのようなターン制に半ば回帰したようなシステムに好感を持つユーザーも意外と多い。
---フェイズ制の採用は「合戦で指示を出しても、それをすぐに反映できるはずはない」という理にかなった考えによるものであり、ゲームとしてもきちんと先を読んで手を打つという戦略性の向上にも大きく作用している。
---リアルタイム制による操作の煩雑さ、単純にアクション要素が出てしまい忙しいといった、近年のシリーズに付いていけないユーザーが主にフェイズ制を支持していた。
---それぞれの作戦によって戦い方が大きく変わる為、敵の作戦を見破ったり、虚を突かれたりと遊びごたえがある。
---武将によっては専用の戦法が用意されている事もあって、かなり個性を感じることが出来る。

-着眼点は非常に良かった。
--合戦を継続する事のリスクが大きくなった為、おいそれと武力統一は出来ず、惣無事令を目指すようなバランスとなっており史実に則している。
---兵糧の消費量が非常に多い為、勢力が小さい内は合戦は一年に一度しか行えないほどの一大事業となっている。
---戦争を続ける事で流民が周辺の国へ逃げ込んだり、厭戦ムードが漂って民忠誠度が下がるといった表現がみられるようになった。
--武将の「政治」パラメータも「内政」と「外政」に分化されている。例えば足利義昭は各大名に信長包囲網を働きかけた事から外政が特に高いといった評価がなされている。
--『覇王伝』で見られた農兵と足軽の概念に着目している。『覇王伝』では戦争開始時にただ弱い兵を雇えるだけという表現だったが、本作では大名の志や方策によってうまく味付けされており、一領具足のような強い農兵も実現可能。
---足軽の維持費は高い為、序盤ではほとんど農兵に頼る事になるが、商圏の発達により収入に余裕が出来るようになると自然と兵農分離を心がけるようになるといったバランス調整。
--商圏や外交の思惑についても、他家との関係性をより重要視したものとなっており、それも先を考えて行動するというシミュレーションゲームに適したものである。
---他家との同盟を切り取っても、過去作では不可侵条約という意味合いが強かったが、本作では強制的に通商関係になる為、同盟を結ぶ事によって商圏に進出されるようになる。そうなれば収入は減るが、一方で市場競争による発展もあるため将来性も見据えなければならない。この為ただ単純に結べばいいというわけにはいかず、きちんと今後の動きも考えて適切な外交を取らなければならない((例えば他家の商圏において自家の影響力をのばす事で他家の収入を掠めるといった事が出来るが、あまりに投資し続けると、商圏の発展完了と共に独占されてしまい、収入源を失う事になる等))。逆に大大名家と手を結んで収入をあてにしてしまうといったように、場に応じてプレイヤーの手腕が問われるようになっている。
--大名の固有の志は史実に則した効果に加えて詳細な説明文が用意されており、説得力がある上に純粋に歴史の勉強にもなる。

----
**総評
近年の信長の野望シリーズは「創造」「創造立志伝」とPKやアップデートなしでは散々な評価を受ける事が多かったが、残念ながら本作においても同様で、もはや''無印を発売日に定価で買うのは見えている地雷を踏みぬくようなもの''と思わせるような完成度である。~
一歩進歩したもののその何倍も後退したゲームデザインはPKを前提とした未完成品にしか映らず、~
スマートフォン版の発売を意識した結果、''その全てが中途半端で薄い内容''となってしまい、[[三國志12]]と同じ轍を踏む結果となってしまった。~

しかしながら、コンセプトや着眼点は確かに光るものがあった。~
実際、発表の場でのデモプレイなどに対する反応は良く、歴史表現としても純粋な戦略性としても、ジャンルの完成度をより高めるものだった。~
即ち、新要素に限って言えば練り込みや配慮不足であった可能性も否定はできない。~
発売を焦らずきちんと煮詰めてゆけば…もしかすれば大きな志を成し遂げていたのかもしれない。

----
**余談
-Amazonでのレビューの平均スコアはどのハードも約2と散々な結果となっている。
-信長の野望シリーズは廉価版が発売するまで値段が下落しないことで有名だったが、Switch版は5,000円前後、PS4版に至っては''発売から半年足らずで新品で3,000円前後''と投げ売り同様の状態となっていた。現在はそこそこ持ち直しているが、それでも旧作と比べて安価。
--ただ、Windows版はオンライン認証が必須なためか8,000円前後とあまり値崩れしていない。
-パワーアップキットは2019年2月14日発売。
-本作の攻略本はコーエーテクモゲームス出版部ではなく、週刊ファミ通編集部から発売されている。
-オープニング前のovertureでの「信長の野望」ロゴが光るタイミングが前作までと比べて変更されている。