*Tacoma 【たこま】 |ジャンル|FPV-AADV|#image(https://steamcdn-a.akamaihd.net/steam/apps/343860/header.jpg?t=1525804451)| |対応機種|Windows 7~10((いずれも64bit版のみサポート))&br;Mac OSX 10.9以降&br;SteamOS + Linux|~| |開発・発売元|Fullbright|~| |発売日|GOG, Steam: 2017年8月2日|~| |定価|1,980円|~| |参考|Unityゲームエンジン使用|~| |判定|なし|~| |ポイント|日本語対応&br;AR(仮想現実)デバイスで残されたデータから事件を解明せよ|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -開発チーム8名で制作された一人称視点の3D-AADV **ストーリー 地球と月面の物資輸送拠点である宇宙ステーションTacomaからの通信が途絶えた。 Amyは宇宙ステーションTacomaからの、AIのODINのパーツの回収を請負い、単身でTacomaへ向かった。 **用語 -Tacoma --舞台となる宇宙ステーション。&br;事件当時、6名のクルー(作業員)が在住していたはずである。 -ODIN --Tacomaに搭載されたAI。 --AR(仮想現実)デバイスを装着することでアバターが空間に表示され、会話形式でクルーの仕事をサポートする。 ---ODINは処理能力が高いため、ODINのアバターが同時刻に複数箇所に出現することもある。 -トラッキングシステム --Tacoma内のクルー及びODINのアバター、そしてクルーのペットの全ての行動を記録する。&br;いわば航空機などのブラックボックス的な役割を果たすものと考えられる。 --シャワー使用時や、トイレの用便時まで記録する。 -トラッキングデータ --トラッキングシステムに残されたデータ。 ---Tacoma内を幾つかの区画に論理的に分割した上で保存されているらしく、その区画をまたぐとゲーム画面上にノイズが走る。 --トラッキングデータを拾うと、そのデータを再生できる。 ---1つの区画には1つのトラッキングデータしか残されていない。 ---事件の解明につながらない、クルーのプライベートを垣間見るだけの数ヶ月前のデータであることもある。 ---再生すると、クルーらの過去の行動(音声付き)が影絵で再生される。 ---再生中に区画外に出て再び区画内に戻ると、再生していたその場面で停止している。&br;再生中にクルーがトラッキングシステムの区画の区切りの外に出ていってしまうこともあるが、追いかけて区画外に出ても、その時系列の続きの区画外のデータは存在しない。 -ARデータ --トラッキングシステムに残されている、クルーのARデバイスのデータのバックアップ。 ---かなり私的な内容が多く、そんなデータまでトラッキングされているのは如何なものか?と感じる。 **システム -主人公Amyを1人称視点で操る。 --舞台のTacomaでは、無重力に近い空間があり、慣性運動の癖があることから移動の操作がやや手間取ることもある。 -Amyの請け負った仕事の内容は、指定されたトラッキングデータの回収及び、そのトラッキングデータ内に残されたARデータの回収、そしてODINの回路の回収である。 --トラッキングデータ再生時に、ARデータを回収すべきクルーとその時間(ほんの数秒)が示され、そのタイミングでクルーの残像にタッチするとARデータが回収できる。 ---- **評価点 -ARデバイスで残されたトラッキングデータから事件を解明するというコンセプトの新しさ。 --舞台がSFになっただけで、システム自体は『[[Echo Night]]』と似ていなくもない。 ---ただし、『Echo Night』は各所で本気の謎解きが必要だが、本作はパスコードロックの解除以外は割と眺めるだけで終わりやすい。 --また、記録データ再生中にリアルタイムで目標物をスキャンするというゲームシステムは『[[サーヴィランス 監視者]]』に似た感覚がある。 ---ただし、トラッキングデータは所詮記録であり、プレーヤーがそれに介入できるわけではない。 ---また、本作は『サーヴィランス』と異なり記録データの再生の一時停止、早送り、巻き戻しが容易であることから、プレイにストレスが無いが、その分、緊張感や達成感も薄い。 -アイテムの作り込みの細かさ --クルーの部屋は割と散らかっており、多くの私物のアイテムはいちいち手に取って3Dビューで眺めることが可能だったりするなど、こだわりを感じる。 --鍵の掛かった引き出しの奥にしまわれた、意気地がなく渡せなかったプレゼントなど、登場人物の想いや生い立ちが込められたアイテムも。 -日本語対応は丁寧である --翻訳は、英語表記の上にオーバーレイ表示される。 ---オーバーレイ表示はキー(デフォルトで"T")操作で簡単に解除可能。 --関係ないが、「琵琶湖の水」というミネラルウォーターや「スイカモチ」「カップうどん」などの、元から日本語表示のアイテムがゲーム内に登場している。 **問題点 -プレイ時間が短い --最短で3時間弱程度で攻略可能となっている。 ---ただし、登場人物らの居住スペースにはARデータだけでは詳細に語られない彼らのバックボーンを示唆するアイテムが多数あり、一つ一つ吟味するとプレイ時間は倍程度となる。 -舞台のTacomaでは、無重力に近い空間があり、フワフワした感覚により酔う人もいる。 ---- **総評 ストーリーは、序盤はやや陳腐なものの、終盤でどんでん返しがある。もちろん、最序盤から伏線も張られてはいる。~ ただし、本ゲームは特殊な表現方法のため、特定のアイテム((どこかに落ちているビラ))を読まないと話の展開から置き去りとなってしまうだろう。~ 価格に対するプレイ時間の短さは致命的だが、クルーの部屋の私物のアイテムの作り込みにはこだわりを感じる。~ そういった、アイテムの探索や、それらによるストーリーの補完という部分に興味が湧いたならばおすすめしたい。