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ブラスターマスター ゼロ - (2019/04/06 (土) 10:13:31) のソース

*ブラスターマスター ゼロ
【ぶらすたーますたー ぜろ】
|ジャンル|アクション|&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/97f462297b9b203026d959527d6042c97f64702da915100126d5b037d165504f.jpg?w=1000,height=160)|~|
|対応機種|Nintendo Switch&br()ニンテンドー3DS|~|~|
|メディア|ダウンロード専売ソフト|~|~|
|発売・開発元|インティ・クリエイツ|~|~|
|配信開始日|2017年3月3日|~|~|
|定価|980円|~|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
1988年にサンソフトより発売された『[[超惑星戦記 メタファイト]]』のリブート作品。~
開発は『[[ロックマンゼロシリーズ>ロックマンゼロ]]』や『[[蒼き雷霆 ガンヴォルト]]』などを手掛けたインティ・クリエイツ。

**ストーリー
>――近未来の地球。
>多様な生物が共存している緑豊かな惑星であったが、大規模な戦争と環境破壊により氷河期が到来し、人類は地下への大規模移住を余儀なくされた。
>長く続いた氷河期の終わりと共に、人類は地下での研究を元に地球を緑豊かな惑星へと復元する計画を開始。
>同時期に謎の彗星が地球に落下するというアクシデントが起こるものの、生態系の復元は順調に進み、人類は地上で暮らすことができる環境を取り戻した。
>――それから数百年後。
>ロボット工学の分野で名を馳せる天才少年、ジェイソン・フラドニック。彼はある日、見たこともない生物を発見した。
>どの資料にも記載されていない生物に好奇心を刺激されたジェイソンは、その生物に「フレッド」と名付け調査を開始するが、時をおかずして逃げられてしまう。
>ジェイソンはフレッドを追い、かつて人類が暮らした地下の世界へと足を踏み入れることとなった。そこで1台の車両と邂逅する。
>「ソフィア-III」と刻まれたその車両は、彼の搭乗を促すかのようにコックピットを開けた。
>ジェイソンはフレッドを連れ戻すため、ソフィア-IIIに乗り込み、冒険へと旅立つのだった。
>――地下で蠢く謎の存在を知らずに。
>(公式サイトより引用)

**特徴
-基本的なゲームの流れは原作を踏襲しているが、シナリオは『メタファイト』とその海外版『Blaster Master』の要素を合せたものに一新。
--本作で新たに加わったシステムの多くは、実は日本未配信タイトル「Blaster Master Overdrive」やPS「ブラスターマスター」といった後続シリーズで追加された物で構成されている。
--このことから、本作は一種のトリビュート作品とも捉えられる事が出来る。

''原作からの追加・変更点''
-マップ機能の実装。
--原作では探索型ゲームにも関わらずエリア内のマップが存在せず、複雑な構成も相まって迷いやすかった。
--だが、本作でエリアマップが実装。大ざっぱだがエリアの構造を把握しやすくなった。
--マップはサブ画面から確認することが出来、一度通過した場所が記録されていく。
--各エリアのダンジョン内に配置されているマップアイテムを入手すると、そのエリアの全体マップが確認出来るようになる。

-仕掛けが追加され、よりギミカルになったステージ構成。
--エリア1は概ね原作を踏襲したステージ構成だが、以降のステージはそのエリアに因んだ独自のギミックが続々登場する。
--ダンジョン内では一定時間ごとに強酸が満ち引きするエリア2、巨大シャッターやベルトコンベアが行く手を阻むエリア3、驚異的な強さを誇るミュータント達の監視を掻い潜りつつ、進んでいくエリア7…など原作プレイヤーでも新鮮な気持ちで遊べる。

-斜め撃ちの追加。
--サイドビュー、トップビュー共に斜め方向に攻撃を撃てるようになり、死角をカバーしやすくなった。

-ライフアップアイテムの追加。
--各エリアに1つずつ配置されており、入手することでHPが1上昇する。

-各エリアには新たなボスが追加され、中には原作には存在しなかったサイドビューステージでのボス戦も。
--原作から登場するボスでも、サイドビューステージでの戦闘に変更されているものもある。

-原作におけるサイドビュー時のホバーゲージと各サブウェポンのストック数は「SPゲージ」に統合される形になった。
--SPは青い回復アイテムを取得する以外に時間経過でも少しずつ回復していくため、ゲージが尽きてもザコ敵を倒してアイテムを稼ぐ必要が無くなった。

-より充実したソフィア-III((国内版『メタファイト』における「メタルアタッカー」))の武装。
--チップを入手することで4種類のチャージ攻撃が使用できるようになる。
--基本的にサブウェポンと同様に使用するとSPを消費するが、唯一「レーザーショット」のみSPの消費がない。
---後半で入手できる「アクセルブラスト」はチャージ時の演出がなかなか凝ったものになっており見もの。更に、あるボス戦で使用すると特殊な台詞が挿入される。
--サブウェポンも新たに、エネルギーを纏ったタックルを繰り出す「スパークタックル」、前方にシールドを展開する「シールドマイン」の2種類が追加されている。
--原作から登場するサブウェポンにも変更・調整が加えられている。
---「ホーミングミサイル」は原作では画面内にいる敵全てに一斉にミサイルを発射する性能だったが、本作では1度に1発だけ発射する仕様となっている。
---「サンダーブレイク」は攻撃判定が強化され、真下の敵に当てやすくなっている。また、水中で発動すると電撃が拡散し、広範囲の敵にダメージを与えられるようになった。

-トップビューでの自機の攻撃はガンレベルが切り替えられるようになり、使い勝手が向上した。
--各ガンレベルの攻撃も、射程が短いが近距離で当てることで威力が増す「ディフュージョン」、敵の弾を跳ね返す「リフレクト」、雷撃弾を発射し、命中させると画面内の敵に雷撃が連鎖する「ストライカー」、火炎弾をばらまき、氷の床を溶かすことも可能な「フレイム」など、レパートリーが増えている。
--更に、ガンレベルの低下を防ぐアイテム「エネルギーガード」も新たに登場。
---ガードは一度ダメージを受けると消滅してしまうが、一定時間が経過することで復活する。
---これにより、ガンレベル維持のためには慎重な行動が求められた原作に比べ、ある程度余裕を持ってダンジョンを探索できるようになった。
--加えて、原作では少数だった道中のガンパワーアイテムの数が大幅に増加。しかもボスがはき出す雑魚を倒すとガンパワーアイテムを落とす様になった。
---ガンパワーアイテムの大幅増とガンレベル切り替えの存在により、原作では困難だったボス戦での立て直しも容易になった。

-原作ではトップビューで使用可能なサブウェポンは手榴弾のみだったが、本作では手榴弾以外のサブウェポンが多く追加されている。
--ただし、本作のサブウェポンは所持数制限が新たに設けられている。~
サブウェポンの所持数は特定のアイテムを取得すると回復可能。

''EXTRAモード''~
-様々なオマケモードをプレイできる。本編をクリアすると追加される項目もある。
#region(一部ネタバレを含むため格納)
--&bold(){アンリミテッドモード}
---本編クリア後に追加される。初めからソフィアゼロに乗り、フル装備状態でプレイできるモード。エンディング以外のイベントはすべてカットされる。

-&bold(){デストロイヤーモード}
--Ver.1.2のアップデートで追加された高難度モード。本編クリア後にプレイできる。
--このモードではソフィアとジェイソンのカラーリングが黒く変化。マップに配置されている回復アイテムやガンパワーアイテムが弱体化し、エネルギーガードやライフアップアイテムも無効となる。また、サブウェポンなど多くの強化アイテムの入手タイミングもノーマルモードと異なる。
--ガンレベル8「ウェーブ」がノーマルモードと打って変わり、多くの敵に対して無効となる。敵ごとに設定されている弱点となるガンレベルでなければダメージを与えられない。
--敵を倒すとプレイヤーを狙う貫通弾が飛んでくるようになる。迂闊に敵を倒しまくると回避が非常に困難に。また、敵が放つ弾も殆どが貫通弾なっている。

-&bold(){EXプレイヤーモード}
--ジェイソン以外のキャラクターで本編を遊ぶことができるモード。DLCを購入することでプレイできる。
--選択できるEXプレイヤーは『[[蒼き雷霆 ガンヴォルトシリーズ>蒼き雷霆 ガンヴォルト]]』より「ガンヴォルト」、『ぎゃる☆がんシリーズ』より「えころ」、『[[Shantaeシリーズ>Shantae]]』より「シャンティ」、『[[Shovel Knight>ショベルナイト]]』より「ショベルナイト」の4体。価格は税込みで各200円。
--サイドビューステージでのパイロット時やトップビューステージでの性能はジェイソンとは全く異なり、それぞれの出典元でのアクションが再現されている。また、高所から落下してもノーダメージ。
--イベントは全てカットされている。それに伴ってか、シナリオの進行と共に変わっていたトップビュー時のBGMが真の最終エリアを除き、序盤のもので固定されている。

-&bold(){ボスブラストモード}
--Ver.1.4のアップデートで追加。本編クリア後に選択できるようになる。
--本編に登場したボスや中ボスと連続で戦ういわゆるボスラッシュ。全て倒すまでのタイムが計測される。
--Nintendo Switch版では、おすそわけプレイに対応した「マルチボスブラストモード」も遊ぶことができる。
--ライフは初期状態でエネルギーガードは無し。また、ソフィアの一部の装備が使用不可。
--ジェイソン以外にも、DLCで購入したEXプレイヤーが使用できる。

-&bold(){バトルブラストモード}
--Nintendo Switch版限定でVer.1.5のアップデートで追加。2人でプレイする対戦モード。ボスブラストモード同様、こちらもDLCで購入したEXプレイヤーが使用できる。
--サイドビュー・トップビューの2つのモードが用意されており、ステージは本編のエリア1~8をベースにしたものから選択できる。
--プレイヤーは基本的には本編と同様の性能だが、一部のアクションが使用できなくなっている。また、プレイヤーごとにソフィアの装備が異なる。
#endregion
**評価点
''『メタファイト』からの改善点の多さ''
-セーブ機能の実装。
--おそらく多くの原作プレーヤーが一番望んだ機能ではないだろうか。原作はボリュームのある内容にも拘らず、セーブやパスワードでのコンティニューが一切存在しなかった。
--データの記録は各エリアの随所に設置されたリトライポイントを通過することで自動で行われる。何度死亡しても最後に通過したリトライポイントから再開されるためプレイが非常に快適になった。
--セーブスロット数はSwitch版が27個、3DS版が9個となっている。

-トップビュー面の大幅改善。
--原作におけるトップビュー面は全体的にガンパワーの側面でクセが強く、お世辞にも快適とは言えない内容であった。
--だが、リメイクに当たる本作では、原作でクセが強すぎたガンパワー面に大きく手が加わった事によって、より快適な戦闘を行う事が出来る様になった。
//-エネルギーガード
//--メタファイトでは、ダメージを受けるとガンレベル低下する仕様で悪循環に陥りやすい面もあった。
//--これは1度防いでくれる。更にそのうち戻るので立て続けに食らわなければ大丈夫。
//--ゲージにカバーがあるので分かり易い。AREA2で手に入る。
//変更点と重複しているのでcoします。

-取得したアイテムに解説が付いた。
--原作では各アイテムに解説が存在せず、プレーしてアイテムの効果を把握しなければならない側面があった。
--だが、本作では強化アイテムを取得すると解説が挿入される形になっていて、原作であった「アイテムをどのようにして使うのか」というプレイヤーの疑問を解消する事に成功した。
--サブ画面ではイヴと会話することで、詳しい解説を聞くことができる。会話の内容もバリエーションに富んでおり、なかなか楽しい。

-ヒントの多さ
--本作ではエリアマップや台詞、ソナー機能といった物が追加された事によってヒント面が強化されている。
--このため、本作は比較的迷いやすかった原作と比較して迷いにくくなったと言えよう。

''演出面''
-ストーリーの展開
--序盤はフレッドの捜索に始まり、その道中でのヒロイン・「イヴ」との出会いが描かれる。場面によっては一枚絵も挿入され、シナリオをより盛り上げる。
--後半のシナリオは王道ながらも熱いストーリーが展開され、プレイヤーからの評価も高い。

-トップビューステージには専用BGMが追加。ゲームが進むにつれてシリアスな曲に切り替わっていく。

-ボス戦
--戦闘前には原作さながらの警報音と共にボスの名前が表示される。また、体力ゲージが表示されるようになり、ボスの残りHPが把握できるようになった。
--原作でのボス戦では当時のゲームらしくステージの背景が真っ黒になっている物が多かったが、本作ではステージの背景が描かれるようになった。時代相応の進化を遂げていると言える。

-その他細かい作り込み
--風に揺られる草、あるボス戦では巨大なビーム砲撃の後に地面に大きく跡が残る…などステージの背景もよく作り込まれている。
--特にエリア5のダンジョンは水のうねりや海中を泳ぐ魚影、ジェイソンの頭上をボスの影が通過し獲物を仕留める、といった凝った演出が用意されている。

**賛否両論点
-一新されたBGM。
--本作のBGMはエリア1を除き、全てが新曲となっている。
--曲そのものの出来は悪くないが、オリジナル版におけるBGMもエリア6やエリア7をはじめ名曲と名高く、本作に収録されなかったことを惜しむ声もある。
--ただ、あらゆるステージの雰囲気には良くマッチしている。

-相変わらず高所からの落下に弱い主人公。
--パイロット時に高い所から落ちると即死する仕様は原作から据え置き。
--終盤のボス戦では生身の状態で小さな足場を乗り継いでいき、梯子に飛び移ってリフトを作動させる場面がある。
---当然、足場を踏み外したり梯子をつかみ損ねると即死。ボスからの攻撃も相まって作中でも高い難度を誇る。

-ボスの耐久力が低い。
--確かにファミコン版では耐久力の高さが問題視されていたが、本作では逆に低すぎる。曲が1周もしないうちに倒せるのはザラ。
--特にトップビューでのボスは後述の通り、ガンレベル8「ウェーブ」を弱点とするボスが多いことも耐久力の低さに、より拍車をかけている。

-サイドビュー面でのデフォルト装備が減少。
--原作におけるサイドビュー面では3種のサブウェポンを最初から全て所持している状態でのスタートだったが、本作では多弾頭ミサイルのみになっている。残りの2種についてはダンジョン内で獲得する方式に変更された。
--とはいうものの、それでも相変わらず最初から出来るアクションも多く、致命的に評価を落としているわけではない。

#region(エンディング ネタバレ注意!)
-マルチエンディング
--原作ではエリア8のボスを倒せばエンディングだが、本作ではある条件を満たさないとBADエンド扱いになる。
--内容はジェイソンのもとを去ったイヴがソフィア-IIIに乗り込み、ミュータント・コアに立ち向かっていくが、力及ばず敗れてしまうというもの。エンディングは、彼女がソフィアの自爆スイッチを押そうとするところで終わり、やや後味が悪い。
--原作ファンにとっては通常エンドをBADエンドにされたという意見もある。

#region(真エンド)
-イヴを救うために、ソフィアの後継機「ソフィアゼロ」に搭乗し、ジェイソンがフレッドと共に超次元に向かうというもの。
--最後はイヴを救い、ソフィアゼロでミュータント・コアに浸食されたかつての自機を破壊。正しい選択ではあるが…
//--続編も発売されたがそれは本作の真エンドからの派生となっている。イヴの苦難はまだまだ続くのであった…
#endregion
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**問題点
-高性能過ぎるガンレベル8「ウェーブ」
--連射が利き、高威力かつ広範囲で弾速の速い貫通弾を放つ至れり尽くせりの性能。
--また、ウェーブを弱点とするザコやボスが多く、大抵の敵は連射するだけでもあっさりと倒せてしまう。
--その使いやすさから、トップビューステージではウェーブ一択で他のガンレベルが空気になりがち。
ただし、ラスボス第2形態にはウェーブが通用せず、状況に応じて適切なガンレベルに切り替えて戦うことが求められる。

-ショートカットが少なく、各エリア間の移動が面倒。
--原作同様に各エリア間をテレポートする機能なども用意されていない。取り逃したアイテムを入手するために、前のエリアに戻るなどといった場合は移動が億劫になりがち。

-マップの仕様
--ゲーム中にミニマップなどが表示されないため、マップを見たい場合はいちいちサブ画面を開いて確認する必要がある。
--また、現在いるエリアのマップしか確認できず、他のエリアのマップを確認したい場合は直接そのエリアに向かわないといけない。前述の問題点も相まって、どこのアイテムを取り逃しているかを知りたい場合はかなり面倒。

-エリア7のトップビューで常時ライトを点灯している敵がいるが、画面切り替えた直後にライトの部分が非表示になっている。

#region(ネタバレ注意!)
-''真EDの到達条件が面倒''。
--本作は同社『蒼き雷霆 ガンヴォルト』シリーズと同様に条件を満たすことで真EDを見る事が出来るのだが、これがとても面倒という事が評判になっている。
--本作で通常EDを見る場合は必要なアイテムだけを回収すれば良いのだが、真EDルートに進む場合は一転。全ての強化アイテムを回収する必要がある。勿論回収に関する労力も相当の物。
--探索型アクションゲームでは強化アイテムの数を問わずにトゥルーエンドを迎えられる作品が多いが、本作の真EDの条件は流石にやりすぎと言わざるを得ない。

-一度真EDルートに進むとエリア1~8には二度と戻れなくなる。
--前のエリアを自由に探索したい場合は事前にデータのコピーが必要となる。
#endregion

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**総評
原作『メタファイト』から数々の改善点や新要素が加えられ、時代に合わせた進化を遂げている。~
多少の粗は見られるものの、全体的に見ればリブート作品としてもアクションゲームとしても高水準に仕上がっている作品といえる。

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**余談
-2019年3月21日に本作の直接の続編となる『ブラスターマスター ゼロ 2』がNintendo Switchで発売された。
--同作はシステムこそ前作とほぼ同様だが、『メタファイト』のリメイクとして制作された本作とは打って変わって「ほぼ新作」という様な旨の作品になっているのが特徴的。