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キングダム ハーツ 358/2 Days - (2023/11/22 (水) 13:34:44) のソース

*キングダム ハーツ 358/2 Days
【きんぐだむはーつ すりーふぁいぶえいとでいずおーばーつー】
|ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000WM1OXS)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|2048MbitDSカード|~|
|発売元|スクウェア・エニックス|~|
|開発元|ハ・ン・ド|~|
|発売日|2009年5月30日|~|
|価格|5,980円(税5%込)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|協力プレイを意識したミッション制&br()展開の遅いストーリー&br()音楽・使用キャラの増加は好評&br()''ディズニーキャラは空気、FFキャラはいない''&br()終盤の展開には欝ゲーの要素も|~|
|>|>|CENTER:''[[キングダム ハーツシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
キングダム ハーツシリーズの4作目。略称は「Days」「358」等。~
『[[1>キングダム ハーツ]]』『[[CoM>キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ]]』『[[II>キングダム ハーツII]]』では順当にシリーズ主人公であるソラがメインで進むストーリーとなっていたが、本作では『CoM』『II』で登場した、ソラのノーバディであるロクサスが主人公。~
シナリオは『1』の終盤、ロクサス誕生~『CoM』の忘却の城陥落を経て『2』の始まりに至るまでの約1年間。これまで明かされていなかったロクサスのXIII機関在籍時代を描いている。

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**特徴
&font(16,b){モード別解説}

''ストーリーモード''
-多数のミッションにより構成されており、ロクサスを操作してミッションをクリアすることでストーリーを進める。本作のメインコンテンツ。
--受注できるミッションは基本的に決まっているが、ストーリーを進めていくと、時折進行とは関係ないミッションが追加されるタイミングがある。~
ストーリー進行に関わるミッションは「キーミッション」と呼称され、それ以外のミッションをクリアすると、クリア時に入手できるアイテムが2倍・3倍に増加するボーナスが入手できる「報酬ゲージ」が増加する。
--ある程度ストーリーを進めると階級が上がる事も。階級が上がるとショップのラインナップが増える他、「ミッションモード」にて、参加できるミッションのランクを指定する資格にもなっている。
-なお、日付の進行≒ミッションの進行に合わせ、メニュー内の「ホログラムミッション」から過去の日付のミッションを何度でもリプレイできるようになる。ただし、クリア報酬は初回クリアボーナスが無いので目減りする。~
複数ミッションがある内、キーミッションを優先して飛ばしてしまったミッションもプレイできる為、取り敢えず進行を優先して、後から抜けを補足するというプレイもできる。
-ストーリーの進行に合わせ、ロクサスが書いた日誌「ロクサスダイアリー」が書き足されていく。出撃していなければメニュー画面から読むことができ、イベントにおけるロクサスの心中や、その変化が記されている。

-ミッションは決められた敵を倒すだけでなく、「ワールドの調査を行う」「ステージ中に散らばる紋章を集める」等、変わったものも存在する。中には訓練として「一定時間敵の猛攻から生き残る」「敵に気を付けながら壺を壊して回る」といったものも。
--ミッション中は下画面にマップや目的の他、ミッションゲージが存在するが、このゲージがノルマに達した時点で闇の回廊((多くのミッションにおいてスタート地点に設定される場所。))に触れることで帰還できる。~
大抵のミッションはノルマ達成後も引き続きプレイを継続する事が出来、最大までノルマを溜めれば、それだけクリア時の報酬も大きくなる。また、ミッションによっては敵を倒した時点でイベントを挟んでクリアとなり、自動的に帰還するものも。
--なおこのゲージが満タンに溜まった状態で帰還すると完全クリアとなり、クリア報酬が追加される。これも基本的なやりこみの一つとされる。
--ミッションには基本的にロクサス一人で行くことになるが、ミッションによっては同行メンバーが1人ないし2人居ることもある。同行メンバーのAIを調整することはある程度可能だが、操作可能なのはロクサスのみとなっている。

-大抵のミッションは、ミッション内で「試練の証」「試練皆伝の証」が存在しており、これらを入手してからミッションをクリアすると、当該ミッションの「トライアルミッション」および「トライアルミッションSP」に挑戦できる。
--トライアルミッションは敵のレベル増加、こちらのレベルが制限、魔法が禁止される等の様々な制約下で、最速クリアやダメージを受けずにクリア等を目指すミッション。~
クリア時の達成度合いに応じて「トライアルシンボル」が一つのミッションにつき最大3つまで手に入る。これを集めることで通常では入手できないアイテムを貰うことができる、今作における最大のやりこみ要素。
--トライアルミッションSPは同一のミッションで、トライアルミッションとは異なる条件での挑戦となる。時折元のミッションより簡単なものもあるが、大抵は超高難度のミッションとなっている。
-なお、本編クリア後、トライアルミッションの達成度に応じて、「シークレットレポート」を読むことができるようになる。こちらはロクサスの日誌と並行して他のXIII機関メンバーによって書かれたもの。~
物語の文字通り「裏側」を記したものであり、中には後のシリーズ作品にまで尾を引く様な陰謀に触れられているものもあるが、何せモノによってはトライアルミッションSPが条件に絡んでいる為、解禁するだけでも一苦労、というものも……。


''ミッションモード''
-最大4人まで参加可能な、いわゆるマルチプレイができるモード。ストーリーモードのセーブデータを使って遊ぶことができる。
--プレイできるミッションは、1P(親機)がストーリーモードのミッション内で『共闘の証』を入手しているもののみ。2P以降(子機)はミッションごとに決められた階級に達していなければ、参加することができない。~
なお、セーブデータがなくてもゲストプレイとしてプレイすることは可能だが、その場合最低限のミッションしか参加できない。
--親機側はミッションを選べる他、コンフィグでミッションルールを変更することもできる。例えば被・与ダメージを増減させたり、仲間を攻撃できるようにしたり、レベル差に応じてハンデをつけたりといった設定が可能。
--基本的には協力プレイでクリアを目指すことになるが、敵が落とす『ミッションプライズ』を集めて溜まるポイントの量で最終的な順位が決まる。~
1位になると、「ミッションクラウン」を1つ入手できる。こちらも「トライラルシンボル」同様集めることで通常では入手できないアイテムを貰える。
---ちなみにミッションモードは一応一人プレイも可能であるが、''一人プレイでは『ミッションクラウン』は入手できない''。これが問題点に繋がる。詳しくは後述。
-操作できるキャラは本編のロクサスは勿論、''他XIII機関メンバーも選択可能''。一部キャラはそれぞれのデータで条件を満たすと選べるようになる。
--「キャラクターごとに基礎ステータス及び攻撃方法が大きく異なる」「キャラは重複して選べない」といった条件がある為、争奪戦になることも。ミッションの合間にメニュー画面から変更することもできる。


&font(16,b){成長システム「パネルシステム」}
-本作の成長システムは他作品と異なり、パネルをセットすることでプレイヤーに様々な効果を付加する''パネルシステム''が導入された。~
パネルには役割別に、「アイテム系」「レベル系」「魔法系」「アビリティ」「武器」「リング(防具)」の六つのカテゴリが存在し、決められた容量のパネルスロット内にパネルを設置していく事で全ての性能を調整していく事ができる。
--この関係で、本作においては「LVアップ」がレベル系のパネルとして扱われており、経験値が一定量貯まるとパネルを入手、という形になっている。当然、セットしなければいくら経験値を稼いでもレベルは変わらない。
-パネルスロットの中身を入れ替える事で、かなりフレキシブルに性能を変える事が可能。ただし、パネルスロットの編集が行えるのは待機中のみで、ミッション中には行うことができない点には注意。~
初期状態では枠が小さいが、ストーリーを進めたり、ショップで購入したりして入手する事ができる「スロット開放」を手に入れる事で拡張できる。
--アイテムは勿論、魔法もセットした個数分しか使用することができない。例えばファイアの魔法を2個セットしてミッションに行くと、そのミッション中ではファイアを2回発動したら、エーテル等で回復しない限り使用不可能となる。

-パネルは基本的に1つの枠に対して1つであるが、「リンクパネル」と呼ばれる、他のパネルの起点となるパネルが存在しており、このパネルの周りに設定される透明な枠に、関連するパネルをセットする事で特殊な効果が追加される。
--例えば『魔法回数2プラス(4)((( )内の数値はパネルの総数を示している。1つはリンクパネル本体に取られる為、(4)の場合、本体で1つ、残り3つの枠がリンク対象の枠となる))』というパネルは範囲内に魔法パネルをリンクさせると、パネル1つにつきそれぞれ2回魔法が使用できるようになる。~
例えばファイアを2個、ケアルを1個セットすると、ミッション中にファイアを4回、ケアルを2回使用できる。
---他にも「LVアップ」をリンクすると上がる量が1ずつ増える『LV2アップ』や、『リフレクトガード((Yボタンを押す事でキーブレードを正面に構え、前方からの攻撃をガードする事ができる))』にリンクするとガードが全方位ガードになる『ラウンドガード』等、~
レベル系・アビリティ系のパネルにもリンクパネルが存在する他、単体では効果を発揮できない、リンク専用のパネルも存在する。
--リンクパネルは枠同士を重ねて配置することができないため、効率的に配置するにはある種のパズル要素をプレイする形になる。

-武器の変更・強化も同様にリンクパネルと同じ形式で行う事になる。こちらは「ギア」と「ユニット」の2種類が存在。~
「ギア」は武器自体を変更するパネルで単体でも効果があるのに対し、「ユニット」は「ギア」にリンクさせることで効果を及ぼすパネルで、単純に攻撃力や防御力を強化するものや、武器ごとに異なるアビリティを付加するものまである。
--本作では武器ごとに「たたかう」のコンボが異なり、武器によってはコンボ中にYボタンを押すことで、更に異なるコンボパターンに派生する。勿論付加されるアビリティも異なる為、ミッションに応じて適切なギアを選ぶことで、有利に戦える。
--パネルはショップにて、「エンブレム」のハートレス((倒すとハートを出すハートレスで、その名の通り、特徴的なエンブレムが体の特定の位置に付いている。ハートを出さないハートレスは「ピュアブラッド」と呼ばれる。))を倒すと入手できる「ハートポイント」や、従来の様にマニーや素材を消費して合成したりすることで入手できる。ミッションの初回クリア報酬で手に入ることも。~
他にも前述の「トライアルシンボル」や「ミッションクラウン」を集めることで入手することも可能。
-本作における防具・アクセサリーの役割を果たす「リング」は単体で効果を及ぼし、ステータスを増加させたりアビリティや耐性を付加させたりできる。~
ただし装備できるのは一つだけの為、ある程度の取捨が必要になってくる。どれも有用な効果を持つため、何を装備するかがプレイヤーの悩みどころ。

&font(16,b){その他戦闘システム}
-これまでになかった要素として、ミッション中、敵のダメージにより黄色いゲージまでHPが減少すると、「LIMIT」と表示され、Aボタンを長押しすると「リミットブレイク」という攻撃を発動できる。
--発動すると、現在のHPゲージ左端より白線が移動を始め、白線がHPゲージの最大値に達するまでの間、キャラ毎に定められた強力な攻撃を行う事ができる。~
「リミットカット」というアビリティがある場合は、最大値に達するとゲージが折り返し、開始地点に戻るまでの間、更に強力な「ファイナルリミット」を使用することができる。
--極めて強力な攻撃ではあるのだが、被ダメージに関係している為、狙って発動するのはややリスキー。更にリミットブレイクは使用するたびに発動ボーダーとなる黄色いゲージが短くなっていくため、連発するのは難しい。

-ミッション中、宝箱や敵のドロップによりアイテムを入手するが、こちらは回復アイテムとは別に「バックパック」に収納される。
--バックパックには容量があり、満タンになるとそれ以上入手できない。バックパックよりアイテムを捨てることで新たに入手することはできる。
--なお、この容量についてもパネルにより増加させることになる。

-シリーズで初めて、敵の攻撃によって状態異常が発生する場合がある。「攻撃力・防御力低下」といったオーソドックスな物から、「ジャンプできなくなる」「魔法が使用できなくなる」等、直接的に行動を制限するものも。
--これらはアイテムで回復できるほか、リングなどによる耐性によって防ぐこともできる。キャラクターごとに初期状態で耐性を持っているのもポイント。

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**評価点
''DSとしては最高峰の演出面''
-ある意味でシリーズのお約束ともいえるが、グラフィックの質に関してはトップレベルの高水準。
--フィールドでの各種グラフィックはもちろん、エフェクト類も可能な限り据え置き機の物を再現しており、目立ってオミットされたような印象は感じにくい。
--本作にもムービーが挿入されており、こちらもフレーム数が削られている以外は素晴らしい出来。『CoM』時代は容量ギリギリを攻めた結果、ムービー中のボイスは無くなっていたが、本作ではムービー中はフルボイスで展開されている。

-こちらも例によって、下村陽子の担当する楽曲類は安定して良作揃いで非常に評判が良い。
--特に本作を象徴する「Musique pour la tristesse de Xion」や、ラスボス戦の最終盤を飾る「Vector to the Heavens」の悲壮なメロディラインは、シリーズ全編を通しても屈指の人気を誇る。
--なお、主題歌は『II』と同じく、宇多田ヒカルの「Passion」を起用。ただし「after battle version」としてピアノアレンジ版になっており、~
曲のラストで正調版の「Passion」のイントロへ繋がっていく等、『II』と直接的にリンクしている事を強く意識したものとなっている。

-シナリオは全面的にディレクターの野村哲也が担当。終盤の「心が無い」はずのロクサス達が直面する葛藤と気づき、そして悲劇的な結末が大きな反響を呼んだ。
--特にロクサスやアクセルは本作で内面や友情が掘り下げられて大きく評価を上げ、シリーズファンの中でもしばらく根強い人気を誇る事になる。
--このほかにも、本編で描写が少なかったXIII機関のメンバーとのやりとりが追加。こちらも、より個性が際立つ形になっており、ファンにも「よく分からない連中」と称される事も多かった彼らの立場を変える事にもなった。
--尚、ロクサスは担当声優の内山昂輝の声変わりによって『II』と比べるとかなり声が低く且つ安定している。結果として、当初は普通の少年として過ごしていた『II』と、XIII機関の一員として悲壮な物語を辿る本作とで対比的になっており、立場の違いが如実に現れた事でよりその存在を強く印象付ける事に。

''豊富なやり込み要素''
-新たにミッション形式が採用された事によって方向性は変わっているが、本作もトライアルミッションの存在もあってやりこみ要素は豊富に用意されている。
--トライアルミッションSPは『II』をプラウドモードでやり込んだ上級者でも頭を抱えたくなるような難題が用意されている。~
当時はまだ広まってはいなかったが、パネルシステムを採用した影響で「Lv1縛り」の様な特殊な攻略にも対応している一方、魔法が回数形式になった事を逆用し、ケアル系のパネルを積みまくってゴリ押しする事も可能。~
難易度も3段階で調整できる為、幅広いプレイスタイルに対応できるようになっている。

-キーブレードなどの武器デザイン
--本編のような各ディズニー世界を模ったファンシーで派手なデザインではなく、落ちついた色合いのシックなデザインに統一されている。
--今作にはネタ武器が存在。傘を振り回すロクサスやほうき六刀(?)流のザルディンなど、見ていてとてもシュール。

-シリーズ随一のプレイアブルキャラクターの多さ
--あくまでも協力プレイがメインとなってはいるが、一人プレイでも様々なXIII機関のキャラ、解禁すれば王様やソラでプレイする事ができるのも大きな魅力。
--各キャラともしっかりと個性が出るように造り込まれており、おまけと考えれば十分すぎる出来になっている。操作キャラが豊富という意味では、本作は据え置き機含めてシリーズトップ。
--ちなみにメンバーの一人・ルクソードの台詞回しは野村ディレクターが全て担当している。
//--元々のXIII機関の不評点(全員似たような黒コートで見映えに欠ける)や、本作自体のストーリーが『COM』や『II』をプレイしている事を前提として展開される、等の問題点もあるため、彼らに思い入れが無い新規プレイヤーにとっては少々とっつき辛い感がある。

-新たな育成システムであるパネルスロット。
--レベル、武器、魔法、ドッジロールなどのアビリティの効力を得るには、これら全てを同じパネルスロットに組み込む必要がある。
--キャラの育成にパズル的な要素が絡んだシステムであり、アビリティや魔法のパネルをいかに効率よく並べるかが重要となる。

-仲間の支援がかなり頼りになる。
--攻撃力が高く、雑魚ハートレスなら簡単に倒してくれる。また、リミット技や全体回復など、やってくれることが多い。
--従来のシリーズでは「れんけい」以外での仲間の戦力が乏しかったために、共闘している感覚が楽しいとして好評。

**賛否両論点
-『ファイナルファンタジー』シリーズのキャラは皆勤のモーグリを除いて''一切登場しない''。今回はXIII機関目線ということもあり、とあるイベントで過去作で馴染のあるキャラの名前が出てくるだけ。モーグリの出番も恒例のショップ店員のみ。
//『FFVIII』←人によってはかなり絞られてしまうと考えたのでCO。
--また、ディズニー作品のキャラとの絡みもかなり少なく、隠密作戦を実行するロクサスが「絡まざるを得なかった」ものが殆ど。一応、シナリオを考えると当然とも言える。
--『I』のようなディズニー&FFキャラとの掛け合いコラボという空気は皆無のため、それ目当てでプレイするのは全くオススメできない。

-一部のXIII機関メンバーは序盤のイベント以降登場しなくなってしまう。
--彼らの離脱は「COM」のシナリオに関わるものであるため、仕方ない面もある。だが離脱メンバーとの絡みを期待したプレイヤーにとっては残念だったことだろう。
---一応彼らとはチュートリアルのミッションで同行するほか、離脱までの期間でロビーにいるときは、会話も行えるため、全く絡みがないわけではないが。

-音楽も過去作のアレンジのものが殆どである。この点で新要素を期待すると肩透かしを喰らうだろう。
//記述を見ているとどれも一概に問題点とは言い切れず、両方のいけんもあるので。

**問題点
-ゲームは完全一本道で自由度がかなり低い。ミッションをこなしていくだけの所謂お使いゲー。
--ダンジョンもほとんど過去作品と同じステージばかりのため新鮮味も無い。

-全体的に敵のHPが多い。雑魚ですらかなりのHPを持っている。ボスに至っては『II』に登場したセフィロス並みのHPを持つ敵もいる。
-その一方で敵の行動パターンはあまり多い方ではなく、慣れてくると膨大なHPを減らすために同じ行動を繰り返す単調な作業になりがちに。
--一応、強い敵と呼べる存在もそれなりにいる。周囲にいる取り巻きを全て倒してから本体を気絶させて攻撃を叩きこむことの繰り返しを要求される((取り巻きを倒さずに本体を直接叩く戦法も有効だが、本体からの攻撃は自力で対処する必要がある。))「パラサイトグレイブ」、2体に分身し、その2体をほぼ同時に倒すことを強要される「ブリードパフォーマー」、高い機動力でマップ外に逃げ、一部の攻撃以外ほとんど効かない「スカイルーラー」などがそれに該当する。
--いずれも単純な強さが評価されているというより、攻略の面倒くささや戦いづらさが際立っている部類であるため、アクションゲームの敵キャラクターとしてはあまり良い評価は得られていない。
---特に上述した「スカイルーラー」の悪名高さは尋常ではなくこいつとの戦闘はシリーズどころか他ゲームでもあまり類を見ないほどかったるい。~
おかげで「Daysは未プレイだがこいつの名前だけは知っている」というシリーズユーザーも結構多く、シリーズ1かったるいボスの悪名をほしいままにしているほど。
---他にもラスボスは最終形態を除き体力回復技を使用してくる。こちらはまだ固すぎるというほどではないが、第二形態は''ガード不能・防御無視の高速追尾攻撃''を連発してくるのも相まって非常に煩わしい。
--加えて、ハートレスの出現範囲から少しでも出ると姿を消し、範囲内に戻るとどれだけ削っていようとHPが全快した状態で再出現する。
---どこまでが出現範囲なのかは示されてないため、戦っているうちにうっかり出てしまうこともしばしばある。本作における隠しボスも同一の仕様のため、残りHPが少しという所でそんな目に遭った日には…。
---敵は自分の出現範囲などお構いなしに縦横無尽に飛び回り勝手に範囲外に出て消滅する。開けた空間では敵の動作の激しさに対し明らかに生息範囲が狭すぎ、出現と消滅を延々繰り返しいつまでも戦闘が終わらない。
---先に進むためのギミックの近くに敵が沸く地点があると、敵が沸く→エリア外に飛び出して消滅→ギミックに近づくとまた敵が沸く→また消滅、のループに陥る。特にワンダーランドの薬の部屋は最悪の条件が揃っている。
-上記の理由の他、武器での攻撃にイマイチ爽快感が無いといったために戦闘が単調になりがち。
--序盤は装備できるパネルが少ないため、更に戦闘スタイルの幅が狭まる。
--本作では武器のアクションは武器ごとに決まっており、従来の作品に比べると非常にシンプルかつ底が浅い。恐らく協力プレイ等を意識した調整であると思われるが…。

-中盤までのストーリーも評価が低い。
--特に中盤はアクセルとシオンと一緒にアイス食ってだべっているシーンが続く。
--358日に及ぶ暦形式で、終盤の急展開までは起床→任務→任務完了→夕日の下で仲間とアイス食べるの繰り返し。各ワールドのストーリーは何日もまたいで細切れに進行する超ゆったり構成。
//終盤の展開は悪くないのだが盛り上がるところに行くまでがこれではテンポが悪すぎる。
--終盤の展開は評価こそされているが『II』の展開を知らないとあまりに救いがない。&br()本作がKH初作品だったプレーヤーには意味不明な展開になってしまうのも問題。特にラストは知らない者にとっては夢オチにしか見えない。

-ミッションモードで操作キャラクターを変更して一人プレイが出来るのは良いのだが、二人以上で遊ばないとミッションクラウンが入手出来ない。
--使用可能なキャラはXIII機関の面々+α。これまで使用条件が限られていたミッキーも使える。このことに関しては好評である。
--キャラ間の性能差も少なからずある。大体バランスは取れているが、パラメータが全て中途半端で使い辛いキャラもいる。
--DSの性能で無理しすぎた結果、マルチプレイだけでなく本編のイマイチなゲーム性にも影響を与えてしまっている。

-そもそもDSというハードには荷の重い企画で、マルチプレイや上下2画面同時ポリゴン表示(シナリオ中に演出として用いられる)などの実現には相当に苦労をしていたようである。
--ただしタッチ機能はカメラ操作にしか、ミッション中に使われることはない。シリーズの伝統を意識したためらしい。

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**総評
DSというハードで出ることもあってか発売前より注目を集めていた作品である。~
だが単調な戦闘や中盤の冗長さもあってか、これまでの作品での爽快さを期待したプレイヤーにとっても、~
ディズニーキャラやFFキャラ、『COM』で離脱した機関メンバーたちとロクサスとの絡みを期待したプレイヤーにとっても、~
全ての要素のコンプリートには多人数プレイが必須のため、やりこみ重視のプレイヤーにとっても満足いくものとは言い難い出来であった。~
ただし本作ではXIII機関の面々の変わった一面や、機関在籍時のロクサスと他メンバーとの絡み、~
そして何よりロクサスが機関の離脱を決意した理由が述べられる作品であるため、彼らについて知りたいならば手に取ってみてもいいだろう。~
後述するように『HD1.5ReMIX』でムービーが収録されたが、ゲームとしてプレイすることをお勧めする。

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**その後の展開
-続編『[[キングダム ハーツ バース バイ スリープ]]』はPSPで販売され、DSとは異なる新規層を取り込む起因となった。~
こちらの作品は『I』以前を描いた作品であるが、その作品のキャラが本作にもある形で登場している。

**余談
-ディズニーが関わる作品だけあってか、売り上げはそれなりだった模様。~
ただしDS2作目となる『[[キングダム ハーツ Re:コーデッド]]』は、本作の悪評が祟ってか早々とワゴンゲーになった。(しかし決してクソゲーではない)~
本作の育成システムと後述の『Birth by Sleep』の戦闘システムを合わせたようなシステムで、ゲームの出来は良好なのだが携帯アプリのリメイクであったことと明らかな過剰出荷のせいでワゴンゲーとなってしまっている。
--なお海外版は敵のHPが全体的に減り、敵の硬直時間が長めに調整されているため、冗長さはいくらかマシになっている模様。

-一見読み方が分からないサブタイトルであるが、ディレクターの野村哲也はこういった暗号染みたタイトルを前々から付けたがっていたらしい。『[[すばらしきこのせかい]]』の時点でつけようかと思っていたそうだが、新作で読めないタイトルでは売れないだろう、という判断でネームバリューのあるKHのサブタイトルで付けたとか。

-『HD1.5ReMIX』では本作のストーリーのみを、合計3時間程度に及ぶ''映像作品(ムービー)''として収録。ロクサスダイアリーとシークレットレポートも収録されている。
--なお、あくまで「ストーリーのみ」である。つまり戦闘シーンもミッションシーンもカットのため、期待すると落胆する。
---オリジナル版のムービーやイベントシーンを全くそのままの内容でHDリメイクしただけ。「シアターモードのみリマスター」と考えるとよい。ボイスの無かったシーンもフルボイスにリメイクされてるのは評価できる。
---しかしながら戦闘描写の撤廃による影響は大きく、本作最大の見せ場でありシリーズ内でも屈指の盛り上がりを見せるラスボスのイベントは''ラスボス対面→暗転→ラスボス撃破''という身も蓋もない状態に。
---本作屈指の名曲「Vector to the Heavens」も生オーケストラ演奏で再録されたものの、1ループも流れることなくフェードアウトしてしまうという勿体ないとしか言いようがない扱い。
---メインストーリーのほぼ全イベントが収録されているのはいいのだが、358日の日常をくり返しグダグダと見せられることになるので動画コンテンツとしては苦痛。
--このようにムービーのみとなった理由は、DSゆえに二画面だった原作を据置機用の一画面にする場合リマスターではなくリメイクに近い作業になってしまう為『[[キングダム ハーツIII]]』を控えていることもあってか開発に時間がかかることを懸念したためである。
---前述の『Re:coded』も『HD2.5ReMIX』でムービーのみとなっている。しかしこちらは反省を生かしてか戦闘シーンを追加している。
---なお『III』の制作が延びた事や((開発エンジンの変更が主な理由))その後のシリーズリマスターも大方を終えたため新作のスケジュールに影響を与えないリソースがあったのか『[[キングダム ハーツ 3D [ドリーム ドロップ ディスタンス]]]』は二画面ながら一画面にリマスターされた為、本作のゲームプレイアブルシーンも含めたリマスターも未だ根強く望まれている。
--要望が多かった為か、PS4で発売された『キングダム ハーツ HD 1.5+2.5 リミックス』では無料DLCとしてラスボス戦のムービーが追加された。
---最終形態のみではあるが、ラスボスの技やそれに対する戦法もしっかり再現されている。勿論、生演奏の「Vector to the Heavens」もそのバックでしっかり1ループ分聴かせてくれるサービスぶりである。%%最初から入れて欲しかった。%%

-英語版は、1977年から32年に渡ってミッキーマウスの声を演じたウェイン・オルウィンの遺作となった。そのため、英語版のエンディングクレジットには "In loving memory of Wayne Allwine." との追悼文が添えられている。