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グローランサーIV Return - (2022/02/21 (月) 18:02:59) のソース

*グローランサーIV Return
【ぐろーらんさーふぉー りたーん】
|ジャンル|アドベンチャー&バラエティ|#amazon(B0007IGVOO)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|メディア|CD-ROM 1枚&br;アニメーションDVD 1枚|~|
|発売元|アトラス|~|
|開発元|キャリアソフト|~|
|発売日|2005年3月10日|~|
|定価|6,380円(税込)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|『IV』の実質的な完結編&br;まさかの過去作とのリンク&br;''後日談には『IV』のクリアデータが必要''|~|
|>|>|CENTER:''[[グローランサーシリーズリンク>グローランサーシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
ノンストップドラマチックRPGグローランサーシリーズの外伝作。~
本作はシリーズ第四弾『[[グローランサーIV Wayfarer of the time]]』のスピンオフ作品であり、ファンディスクである。~

RPGであった本編とは異なり、全編アドベンチャーで進行する。

**特徴
-本作は三つのシナリオが用意されている。

''Episode A「グローランサーIV Return」''
-本作のメインシナリオ。本編のエンディングでは、魔法消去によって消滅したかに思われた主人公・クレヴァニールだが、一年後のエピローグで帰還を果たした。このシナリオは行方不明になっていたクレヴァニールの空白の一年を描く。
-このシナリオは「精霊」「時空」「帰還」の三章で構成される。
--「精霊」は本編直後に『[[グローランサーIII The dual darkness]]』の舞台であるキルシュラーンド大陸に飛ばされたクレヴァニールの旅を描く。
---選択肢で展開が分岐するが、選択ミスによるバッドエンドが大量に存在する。トゥルーエンドに辿り着くとクリア。
--「時空」は種明かし的な章。一本道の短めの内容だが、『I』~『IV』のリンクが明かされる重要なシナリオである。
--「帰還」は『IV』本編のエンディングの後日談。但し、本編のクリアデータを読み込ませる必要がある。

''Episode B「Foreboding」''
-ロイヤルガードの一員であるディアーナ・シルヴァネールの士官学校時代のシナリオ。本編では凛とした「強い女」だったシルヴァネールの淡い青春時代を描く。
--途中の選択肢を間違えても即ゲームオーバーにはならず、シナリオのラストで判定が行われる。

''Episode C「SENSHI」''
-本編の人気キャラ、ルーミスとバウアーが主人公。ファンデルシアでクレヴァニール達と別れてからアイゼンヴァント砦で討たれるまでのエピソードで、彼らの熱い生き様が漢の友情を交えながら描かれる。
--選択肢は僅かでバッドエンドになる機会も殆ど無い。
--全5章構成で各章は「戦士」「戦史」「戦死」「戦志」「千思」といずれも「SENSHI」と読むタイトルになっている。

-この他にもGROWLANSERカルトクイズと、アニメDVDが付属している。
--GROWLANSERカルトクイズは正にカルトクイズ。「○○にある家の屋根の色」など、普通なら気にも留めないような所まで聞かれるので全問正解の難易度は非常に高い。貴方は攻略情報を見ないで自力でクリアできるか!?
---全問正解すると『[[グローランサーV Generations]]』の簡易的な予告が見られる。
***登場人物
#region(クリックして展開)
「グローランサーIV Return」
-クレヴァニール(CV:高橋直純((OVAのみ)))
--『IV』本編の主人公であり、「GL IV Return」の主人公。「侵蝕者」を倒した後、世界を異界の脅威から救うべく、自身の存在もろとも魔法を消し去ったはずだが…。

-グローリア(CV:那須めぐみ)
--時空を漂うクレヴァニールに語りかけてきた謎の女性。消滅しかけていたクレヴァニールをキルシュラーンド大陸に送るも、自身は何故かそちらの世界を救った英雄達と敵対している。
--本作初登場の新キャラだが実は『IV』と『III』以前を繋ぐ重要人物であり、『IV』本編のストーリーにも影響を与えている。

-モニカ・アレン(CV:南央美)
--『III』より登場。『III』本編中に精霊使いに目覚めた展開から続いており、ラミィらしき妖精と共に旅をしている。異世界の住人であるクレヴァニールの前に現れるが…。

「Foreboding」
-ディアーナ・シルヴァネール(CV:園崎未恵((OVAの主題歌「約束」も歌唱。)))
--「Foreboding」の主人公。ヴァルカニアの士官学校の生徒で、後のロイヤルガード。本編と違って髪が長く、初々しい印象を与える。
--OVAでも主役を務める。

-クリストファー・オーディネル(CV:高橋広樹)
--ディアーナの同期で、名門オーディネル家の御曹司。将来を有望視され、ディアーナにとっても想い人であったが…。

「SENSHI」
-バウアー(CV:石井康嗣)
--「SENSHI」の主人公。元アルテン・シュヴァルト傭兵団副団長で、バウアー傭兵団団長。指揮官となったルーミスと友情を深め、傭兵としての契約以上に彼の信じる道の為に戦う。

-ルーミス・リヒトマン(CV:岡野浩介)
--元研究職のデュルクハイム軍大佐。優れた手腕で戦局を打開していくが、上官にして後のデュルクハイム大統領であるルードヴィッヒのやり方には思う所がある。
#endregion

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**評価点
-本編を補間するシナリオ
--本編ではエンディングで何故クレヴァニールが生きていたのか、何故行方不明になっていたのかが全て謎のまま終わったので、本作でその謎が解き明かされる。
--過去作と無関係と思われた『IV』だが、この作品で『III』以前とのリンクが描かれ、シリーズファンには驚きの展開が待っている。
--『III』の世界が主な舞台という事で、ファンは懐かしみながらプレイできる。クレヴァニールと『III』キャラとの絡みも必見。
---本筋では勿論友好的に接するが、バッドエンドルートではあっさり殺されたり、逆に返り討ちにしたりと無情な展開も用意されている。
--他のシナリオも、本編では描かれなかったキャラの過去や裏側を見る事ができ、より『IV』の世界に浸る事ができる。
---特に『SENSHI』のラストシーンはその後の彼等を考えると涙無しでは見られない。

-本編エンディングの後日談
--本編は仲間キャラ全員、使い魔3人、NPC2人と、シリーズでも特に多くエンディングが容易されていたが、その全ての後日談が収録されている。
--平和になった世界でそのキャラの新たな一面が覗けたり、意外な事実が判明したりと本編とは違う掘り下げが行われ、『IV』の更なる魅力を味わえる。
---最後まで見られなかった演劇の第三幕、魔法消去後のレオナの兄の行方など、本編では語られず終いだった要素が補間されるエピソードもある。本編で倒せないままフェードアウトしたカーギルとも、ある後日談で決着を付ける事ができる。
--全ての後日談にイベントスチルが一枚ずつ用意されており、本編EDではスチルが無かったシドニーとメルも平等に扱われている。
--どの後日談も何かしらのトラブルや事件が起きたり一時的に気まずい空気になるなどし、それらを解決する流れになるのだが、フレーネの後日談はそういう事が全く無く終始平和で甘い雰囲気のまま終わる。流石はメインヒロインか。

-付属DVDでは本編のエンディング後の世界(本編のエピローグから更に一年後)を描くOVAが収録
--過去作では『I』『IV』のオープニングムービーにアニメが採用されていたが、フルアニメ化はこれが初。アニメの中で動き、喋る『IV』のキャラ達を見る事ができる。
---クレヴァニールは『Return』の方では声無しだが、このOVAではしっかり喋る。
--更にエンディングアニメは『I』~『III』のキャラの後日談的な様子が描かれるという、ファンには嬉しいサービスがある。
---ラストは『I』~『IV』までの歴代主人公と並んで『V』の主人公であるゼオンシルトが登場し、『V』キャラのシルエットが映し出されつつフェードアウトする。旧四作をまとめた上で新シリーズへ繋げるという粋な終わり方になっている。

**賛否両論点
-クレヴァニールのキャラ付け
--クレヴァニールは本編と違って喋るが、基本は正義感が強く頭が回って人当りも良く実力もある、主人公として申し分ないキャラになっている。
---バッドエンドでは割と情けない死に様を晒したりするが、あくまで選択肢を間違えた場合なので。
--一方、後日談ではかなり多彩な顔を見せる。頼り甲斐があるだけではなく気さくな性格やコミカルな部分も見る事ができ、ほぼクールに徹していた『II』でのカーマインと比べても感情移入しやすい。
---しかしある後日談ではかなりドジでヘタレな姿を見せるので、「人間味があっていい」か「こんなクレヴァニールは見たくなかった」と意見が分かれる((その様子は「"ヘタレ"ニール」「クレヴァ"ニート"」などと酷い言われ方をされるほど。))。

-シルヴァネールのフィーチャー
--彼女の過去を描く『Foreboding』が収録されていて、付属OVAもシルヴァネールが主役、そして担当声優はOVAのエンディングテーマのボーカルを務めた上に個人のインタビュー映像まで収録されていたりと、かなりシルヴァネールが優遇されており、ファンには嬉しい一方で、一人に焦点を当て過ぎではないかという意見もある。
---後の『[[カオス ウォーズ]]』には『IV』代表として出演。『IV』PSPリメイク版でもエンディングが追加されたばかりか、専用アニメムービーやイベントスチルまであったりと、本作以外でもやはり優遇傾向にある。
--その一方でOVAではヒエン、レオナ、レジーナと言った仲間キャラが登場せず、キャラの格差を感じさせる。

-『III』のキャラは多数登場するのだが、未登場のメインキャラも多い
--前作メンバーで登場するのはモニカとヒューイだけで、主人公のスレイン、ヒロインのアネットも登場しない。妖精のラミィはモニカと一緒に居るようだが、精霊使いではないクレヴァニールでは見る事も聞く事もできない。ストーリー上仕方ない((アネットは元々精霊使いとは関係無く、スレインも『III』のエンディングで精霊使いから解放されているので、今回のストーリーに絡むのは難しい。ビクトルと弥生は『III』のエピローグの通り、大陸を離れているのだろう。))とは言え、人によっては残念に思える。
--OVAのエンディングでは『III』から登場しているのはパーティーメンバーですらないオルフェウスだけ。あとは最後の歴代主人公集合のシーンにスレインが僅かに映るのみであり、実質的には『I』『II』キャラの後日談である。
---『Return』のゲームの方に『III』のキャラが登場しているので一応はバランスは取れているが、『III』ファンは寂しく思うかもしれない。
---また、時間の都合もあるのだが、『I』『II』のパーティーメンバーの殆どが出ている中で『I』からは固定メンバーのルイセとウォレス、『II』からは重要人物のアリエータが出ていないのは些か違和感が否めない。%%ウォーマーとセレブは仕方なし。%%

**問題点
-あくまでファンディスクなので本編未プレイヤーには向かない。
--また、旧作と絡める関係上、当然と言えば当然だが『IV』しかやっていない人は置いてきぼりになる箇所もある。逆に過去作に興味を持つきっかけになる事もあるだろうが。

-ボリュームは少ない
--ファンディスク故にシナリオはどれも短く、一日あれば全てクリアできる。
--しかし定価は本編シリーズと然程変わらないので不満になりやすい。

-後日談プレイには本編クリアデータが必要。
--本作を購入するという人は大体『IV』プレイヤーであろうが、本編はクリアしたがデータを残していない人や、後年のPSPリメイク版から入った人は後日談を見る事が出来ない。

-『Foreboding』のグッドエンド条件が意地悪。
--途中の選択肢を一つでも間違えるとラストでバッドエンドになってしまう仕様なので、やり直しが面倒だしどれを選び直せばいいのかも分かり辛い。

-ゲーム起動時のメッセージが電波。
--「Fortune」と書いてある事から幸運のメッセージか何かなのだろうが、「部屋から出るな」「君は素敵だ!」「友達でいましょう」「''ラッキーアイテムは小包爆弾''」など意味の分からない文面ばかり。これを作中の声優がいきなり読み上げるのでプレイヤーは混乱するしかない。
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**総評
『IV』の物語を補間するスピンオフ作品ながら『III』以前の過去作も包括しており、『IV』までのシリーズの総決算とも言える内容となっている。~
ボリュームは少なくこの価格帯としてはかなり割高感はあるものの、ファンなら買って損はなく、ファンディスクとしては十分な作品と言えるだろう。
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**余談
-後年、『IV』のPSPリメイクである『[[グローランサーIV OVER RELOADED>グローランサーIV Wayfarer of the time#id_82587992]]』が発売された。
--こちらではオリジナルの展開を覆すような新規ルートも追加され、大団円と呼べる結末が用意されている。
--しかし前日談の「Foreboding」とサイドストーリーの「SENSHI」((新規ルートではルーミスとバウアーも生存するのだが「SENSHI」は2人が最後の戦いに向かう場面で終わっているので、このルートに続くという見方をする事はできる。))はともかく、本作のメインコンテンツである「GL IV Retrun」はあくまでオリジナルのエンディングから続く内容なのでそちらとは繋がらない。その為、PSP版新規ルートが気に入ってから本作に手を出すと混乱を招く可能性がある。
---OVAも新規ルートからは直接は繋がらないがエンディング後には違い無い為、キャラが足りない点((新規ルートではオリジナル版で死亡したキャラが何人も生き残る、もしくは生存させる事が可能。))を除けば違和感は少なめ。

-本作のメインキャラであるグローリアのデザインは、『V』の立ち絵無しサブキャラの''戦闘時の顔グラフィックに流用されている''。
--その一方、衣装は同作の妖精キャラのコスチュームになっていたりと、必ずしも扱いがぞんざいという訳でもないが…。