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戦車戦略 砂漠の狐

【せんしゃせんりゃく さばくのきつね】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 コトブキシステム(ケムコ)
発売日 1988年4月28日
定価 5,500円
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント ファミコン初の現代戦シミュレーション
本格的ながらもサクサク進められてスピーディ
ユニットとして動いて戦う司令部
生産ができないので守り中心の展開を強いられる


概要

1988年4月にコトブキシステム(ケムコ)によりファミコン用ソフトとして発売された、現代戦を題材にした戦略シミュレーションゲーム。
タイトルにもなっている「砂漠の狐」と呼ばれたナチス・ドイツのエルヴィン・ロンメル将軍となって北アフリカ戦線でドイツ軍を指揮し、イギリス軍を撃破することが目的。


特徴

世界観

時は第二次世界大戦初頭、舞台は北アフリカ戦線。
プレイヤーは実在したナチス・ドイツの将軍エルヴィン・ロンメルとして、モントゴメリー将軍率いるイギリス軍と戦う。

システム

  • 陸上兵器・航空兵器のユニットを用いて戦い、敵の司令部を撃破することで勝利となる。
    • 2P対戦も可能で、その場合2P側はイギリス軍を操作する。
  • 様々なユニットを駆使して、敵の司令部を破壊することが目的。
    • 各々が固有の移動力を持っており、地形ごとに移動コストが決まっているスタンダードなシステム。
      • 移動力数は基本的には大きめに取られいるが敵ユニットと接すると、そこで強制的にストップさせられ攻撃するかしないかを選択することになる。
        この時に攻撃するならばもちろん、攻撃をしない場合でもそれ以上は進めないので進路を確保するには阻害する敵ユニットを全滅させなければならない。
      • 反対に、敵の進軍を止めるには自軍の勢力圏を確保し、いかに陣形を組んでいくかが重要となる。
    • 本作の珍しい特徴として、司令部は一般的な「地形」ではなくユニットとして動いて自ら戦うことができる。
      • しかもユニットの中でもかなり強い。
    • 航空ユニットは常に飛行しているため燃料を消耗するというリスクがある上、弾数が少ない。その分、全体的に強い。
  • 攻撃すると敵の反撃を受けるというのも王道なゲーム性だが、本作は先手と後手に分かれており仕掛けた側が先手となる。
    • つまり敵の反撃は、先手の攻撃で残った機体からしか受けないので全滅させれば反撃されず被害はゼロ。
      • そのためより相性の良い敵を選んで攻撃することが被害を抑えることにもなる。
  • 全体的にコンパクトに収められており、生産はなく限られたユニットで戦う。
    • 1部隊は10機構成で、全滅さえしなければ町や飛行場による補給で部隊数を回復できる。
    • 短時間で決着がつくゲームバランスなのでセーブ機能はなく、パスワードによるコンティニューもない。
  • 敵を一定数撃破すると「経験」が上がり、攻撃力が増す。
    • いわゆるレベルアップシステムを搭載している。
  • マップをクリアーすればヒトラーに称賛され、戦評を受けることができる。
  • 兵器の名称は実在のものではなく、一般的な名称が使われる。

ユニットの種類と特性

ユニット 属性 弾数 特徴 得意 苦手
司令部 陸 16 装甲車 高射砲 トラック 戦闘機 歩兵
戦車 陸 10 陸上ユニットでは最強 装甲車 歩兵 トラック 爆撃機
装甲車 陸 10 地上ユニットでは最も機動力が高い トラック 司令部 戦車 爆撃機
野戦砲 陸 15 射程4 トラック 爆撃機
高射砲 陸 15 射程3 戦闘機 トラック 司令部
歩兵 陸 6 燃料の消費がない トラック 司令部 戦車 戦闘機 爆撃機
輸送トラック 陸 6 歩兵を搭載できる 歩兵以外
補給トラック 陸 6 歩兵以外
戦闘機 空 4 トラック 歩兵 爆撃機 司令部 高射砲
爆撃機 空 6 高射砲以外の地上ユニット 戦闘機
  • 戦闘機と爆撃機は海に移動することができる。歩兵や司令部以外は移動燃料が切れると動けなくなる。補給は町で可能。

地形の種類と特性

地形 特徴
道路 移動力の消費が少なく長い距離を移動できる。
砂漠 道路よりは移動ロスが大きい。
草地 上に同じ。
荒地 最も移動力のロスが大きい。
陣地 陸上ユニットの防御力が大幅に上がる。
オアシス 上に同じ。
街 陸上ユニットが5機補給される。
飛行場 航空機ユニットが5機補給される。
海 航空機しか入れない。

マップ

  • マップは5通り用意されている。
    • 下記のユニット数は初期状態であり、その総数さえ超えなければ自分の好きなように数を変えられる。
名称 配置ユニット(上段:ドイツ軍 下段:イギリス軍) 特徴
戦車 装甲 野戦 高射 歩兵 輸送 補給 戦闘 爆撃
ロンメルの演習 2 2 2 2 1 1 2 1 1 文字通り演習、つまり練習モードのような扱い。
2 2 2 1 1 1 2 2 1
勝利への道 3 2 1 1 2 2 1 1 1 町が多く、いかにこれを拠点として有効活用するかがカギ。
3 1 2 2 2 0 2 3 3
トブルク攻防戦 3 2 2 1 2 1 1 1 1 近距離で両軍が向かい合っているが、お互い後方に大きなスペースがある。
10 6 2 2 1 0 3 0 0
激戦!トリポリ 6 2 1 3 2 2 2 1 2 中央が山脈に阻まれ、陸上部隊進軍の弊害になる。
4 1 2 3 4 0 3 7 7
北アフリカ戦線 4 4 2 1 2 2 1 2 1 広大な大地に、両軍それぞれ2つずつ(計4つ)の飛行場があるため航空部隊の展開がしやすい。
8 5 3 6 4 0 3 5 5

評価点

  • サクサク進めるお手軽なシミュレーションゲーム。
    • 基本的にこのようなシミュレーションゲームはやたら長くCPUの思考時間も総じて長いのだが、その点も本作はシンプルな分スピーディー。
    • それでいて、CPUの行動ロジックも後に発売されるシミュレーションゲームと比べても決して劣ってはおらず、王道型ながらのロジックができている。
  • 非常にリアルなグラフィックのデモ。
    • タイトル画面からなかなかリアルで迫力ある砂漠を進軍する戦車部隊のグラフィックで始まる。
    • ゲーム中でも、トーチカによる攻撃や飛行場の着陸、町での補給時は、なかなか全画面を使ったリアルなアニメーションで展開される。
    • オアシスなどただの一枚絵もあるが、これも当時のファミコン作品では美麗に描かれている。
  • 全体的なバランスもしっかり取れた構成。
    • 航空系(特に爆撃機)が強すぎる感があるが、弾数は少なく燃料切れが即喪失(墜落)になり、飛行場への定期的な帰還が必要になるなど弱点もある。
      • また、その爆撃機は弾数が4と少なく敵陣で囲まれたらアッという間に丸腰になる。
    • 本作の象徴でもある司令部は自身が強くて前線で戦える反面、当然やられれば即敗北。歩兵は全般的に弱いので使いどころがないように思えて、その司令部に強いキーマン的な一面がある。
    • それぞれの地形の利用の仕方も細やかで、これらを駆使することも重要になるなど深い戦略性を生み出している。
    • また後述の通り、一度全滅したユニットは取り返しがつかないが、進路を確保する上でも時として積極的に戦わなければならない場面は必ず来るので、にらみ合ったままの千日手のような状況にはなりにくい。
      • そしていざ戦いが始まれば退路の確保のためにも戦闘を繰り返さなければならないので、そうなると文字通り激戦になるので、そこは特に盛り上がる部分。
  • レベルアップシステムの搭載。
    • 実際兵士が経験を積むことで兵器の力をフルに引き出せて攻撃効率が上がるというのも道理なので、より実戦感覚を高めている。
    • これは後述の『ファミコンウォーズ』にも用いられておらず、そのシリーズで初搭載となったのは10年も後の『スーパーファミコンウォーズ』になってからなので時代に先んじている。
  • BGMはこのようなモチーフによく似合う男性的な力強さを感じさせる。
    • 砂漠を舞台に展開される激戦の雰囲気を醸し出している。
    • ゲーム中では4通りから自由に選択できる。
  • 勝利時のヒトラーの戦評メッセージは実に30通りにも及ぶ。
    • 大体のゲームでは戦果は数字で淡白に示されるのみなだけに、よりリアルな作戦を終えた気分になれる。

賛否両論点

  • ユニットは生産ができないので限られたもので工夫する必要があり、どちらかといえば消極的な戦いを強いられる。
    • そのため自由度という点では低い。対人戦などでは、その点で盛り上がりを阻害している一面がある。
    • とはいえ、だからこそセーブ不要の短時間で決着できるのでお手軽なバランスにもなっており、入門層にとっては考えるべきポイントを絞りやすい。

問題点

  • 上述のデモに反して戦闘のグラフィックが少々チープ。
    • 一画面をまるまる使って補給や飛行場への着陸などは迫力がある反面、肝心な戦闘のグラフィックのウィンドウが小さくて迫力に欠ける。
  • 非常にシンプルな構成だがボリューム不足。
    • マップが全部で5つと少なく、ユニットを増やせない仕様から短時間で決着しやすいこともあってシミュレーションゲーム好きとしては物足りなく感じられる。
    • もちろん、わざと自軍ユニットを減らしたりでやりこむことも可能と言えば可能だが。
  • 全体的にドイツ軍が不利な状況での戦いを強いられる。
    • 「ロンメルの演習」こそ互角なものの他はすべて自軍側が不利。
    • 対戦ができるとはいえ、2P側が有利という不平等なバランスになっている。
      • 基本的にドイツ軍でイギリス軍に挑む構図のため本来はプレイヤーとCPUの戦いありきなので仕方ない一面もある。
      • 実際当時ファミコンではそこまで賢いロジックが組めなかったため、このような形でハンデを付けるのは珍しくなかったが、そんな形でバランスを取ること自体があまり褒められたものではない。
  • 移動済みのユニットや、敵ユニットの部隊残存状況などステータスを見ることができない。
    • そのため、すべて頭で覚えておかなければならないのは不便。

総評

多少粗削りな部分はあれど全体的には手軽に楽しめ、ユニット同士の相性などをはじめバランス自体も良くできており、CPUの思考時間も短めで短時間で手軽にできるものとして独自の強みにもなっている。
同年は戦国系なら『独眼竜政宗』(ナムコ)や『不如帰』(アイレム)といった戦国シミュレーションの入門格なものがあったが、それの現代戦版と言えるだろう。
またシンプルさが功を奏してCPUの思考時間も短いためゲーム展開のテンポも良く、待ち時間によるストレスを感じにくい点などもありシミュレーションとしては悪くない出来。
ただ生産ができないため、限られた戦力で守りを主眼に置いた戦略の組立てが大前提となることから、少々盛り上がりには欠けるところも否めない。


余談

  • 実はファミコン初の現代戦シミュレーションゲームでありながら、あまり注目されなかった。
    • それもそのはずで、同じ日にあの『キャプテン翼』が発売されていた。
    • また現代戦に限っても同年8月に『ファミコンウォーズ』が発売。しかもそれが本作発売直前の頃にゲーム誌で紹介され*1注目をかっさらっていったのだ。
      • こちらは海軍まであることや生産まで手軽にできることもあって、上位互換と言えるようなゲーム性なのでやむを得ないが。
  • ナチス・ドイツの実在人物を起用していることからもわかる通り、パッケージは元よりゲーム中でもハーケンクロイツが出てくる。
    • 翌年の1989年にNES(アメリカ版ファミコン)に移植されたが、このようなモチーフなので、さすがにそのまま海外展開は出来ず『Desert Commander』と変名されナチス要素はなくなっている。
    • カーソル移動時のハーケンクロイツやユニオンジャックもなくなり両軍とも星マークになっている。これはアメリカ軍の同士討ち?

その後の展開

  • 後の携帯用アプリとしてケムコから2003年に『砂漠の狐V2』が、2009年には『砂漠の狐V3』が配信された。
    • 前者は本作のゲーム性を引き継いだもの、後者はリアルタイムシミュレーションに様変わりしている。
最終更新:2026年10月24日 14:19

*1 当時はまだ『ファミ戦(せん)』という仮タイトル。