みなさんのおかげさまです! 大スゴロク大会
【みなさんのおかげさまです だいすごろくたいかい】
ジャンル
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麻雀+ボードゲーム
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対応機種
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アーケード(MVS)
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発売元
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SNK
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開発元
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モノリス
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稼働開始日
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1990年7月
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判定
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クソゲー
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ポイント
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知的財産権上等のゲーム クリアさせる気ゼロ GAMEOVERマスの存在 気味の悪い演出
緑ドクロ「フッハッハッハッハ!」
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概要
当時フジテレビ系で放送され、人気を博していたバラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』(2018年3月まで放送されていた『みなさんのおかげでした』の前身)をパロった麻雀ゲーム。
当時よくあった肖像権や著作権を無視したゲームの一つであり、当然、タイトル画面にも(C)フジテレビなどといった事は書かれていない。
操作体系は同社の『麻雀狂列伝 西日本編』とほぼ同じで、レバー+ボタンもしくは麻雀パネルで操作するようになっている。
ゲームシステム
プレイヤーは対戦相手に木梨憲武扮する女子高生キャラの「憲子」モドキの「のりちゃん」か、石橋貴明扮する「保毛尾田保毛男」モドキの「カマオ」のどちらかを選択し、麻雀を行なっていくのだが、打ち手が違うということはないようで、どちらを選んでもさしたる違いはない(「のりちゃん」は比較的ダマテンが多く、「カマオ」は即リーが多い)。
プレイヤーには開始直後に30,000点が与えられ、勝てば上がった役の得点が加えられ、負ければ上がられた役に応じて得点が減らされる。
上がった役の大きさ・合計翻数に応じて相手に与えるダメージ演出があり、鼻血、包帯巻きといったものから、役満で上がると「黒焦げ」になる。ドラや役牌は1翻ごとに数え上げるため、ドラをたくさん使って上がれば徐々にすごいことになっていく。
本作はスゴロク方式で進むマップが存在し、プレイヤーは上がった(上がられた)役の大きさに応じてマップ上で進む(戻る)マス数が決められ、止まったマスの指示に従う事になる。
点数が0点以下になるか、スタート地点より前に戻されるか、後述の「GAME OVER」のマスに止まるとゲームオーバーとなる。
10万点以上持ってゴールすると「勝ち」となり、女の子が選んだ相手に「お仕置き」をするシーンが流れる(10万点に満たない場合は「負け」となる)。
勝ちにせよ負けにせよ、再びスタート地点から選ばなかった相手との対戦が始まる。再びゴールすると、最初に選んだ相手との対戦が始まる。すなわち本作はループゲームであると言っていい。
マップ上には様々なマスが存在する。
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円袋マーク:持ち点を消費してアイテムを買える。ただし高額。
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?マーク:ギャルがくす玉を割り、ランダムでアイテムが手に入ったり入らなかったりする。
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ギャルマーク:「のりちゃん」「カマオ」がエッチな妄想をするシーンが流れるご褒美(?)マス。
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GAMEOVER:止まると即ゲームオーバーとなる。コンティニューした場合はそのマスから継続。
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(笑)マーク:「のりちゃん」「カマオ」がお笑いシーンを見せてくれる。
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ジョッカーマーク:「ジョッカー団」が現れ、アイテムを1つ奪われる。アイテムが無い場合は点を奪われる。ただし、偶に何もしてこない場合もある。
問題点
極悪難易度のすごろくパート
本作は上述のようにスゴロク方式で進むのだが、止まると文字通りゲームオーバーとなる「GAME OVER」マスが、2~5マスごとに配置されている。まるで小さな子供が作った「スタートに戻る」マスが大量にあるスゴロクのようである。
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全体マップを見てみる
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マスの種類
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個数
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(笑)マーク
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18
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ギャルマーク
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5
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?マーク
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4
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円袋マーク
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7
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GAMEOVERマーク
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18
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天使マーク
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2
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ジョッカーマーク
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2
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悪魔マーク
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2
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故に、プレイヤーはただ上がればいいというものではなく、「この役で上がれば何マス進める」という事を覚えてプレイしなければならない。
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そのスゴロクマップも、プレイヤーのマス移動時にしか表示されない。マスの並び方まで覚えておく必要がある。
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ゴールまでのマスは50マス以上あり、役満のような大きな役で上がっても最大13マスまでしか進む事は出来ない。負ければ勿論役に応じて戻されるし、流局でも無条件で1マス戻されるので、ゴールまでの道程は極めて遠い。
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前述の通り、スタートより前に戻された場合はゲームオーバー。よって、最初の1局は上がれなかった時点で門前払い同然。
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戻された際に良い効果のマスは無視されるが、悪い効果のマスのみ実行される。
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円袋マークや?マークはスルーでそのまま再び麻雀が始まるクセに、GAMEOVERマークやジョッカーマークといった悪いマスの指示には戻された場合にも従わされる。
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だが、後の検証でこの仕様はMVS版のみとなっており、後発の家庭用NEOGEO版は良い効果のマスの場合でも実行されるようになっている。
麻雀ゲームとして
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CPUは最低難易度でもリーチ後すぐに上がる。最低難易度でこれなのだから、デフォルト難易度(レベル4)やそれ以上になっていた日には…
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とはいえ、同じネオジオ機種の初の麻雀ゲーム『麻雀狂列伝 西日本編』はさらに理不尽な難易度のゲームであったが……
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便利なアイテムも存在するが、当然使い捨てであり、入手できるマス目に止まれるかどうかは上がった役次第なので、入手自体が全く安定しない。
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使うと相手の頭上に降ってきて、その局では相手にツモ切りしかさせない「灯油缶」、「リーチ棒男」が岡田眞澄(らしき人物)扮する総統と共に出現し、リーチ後即ツモとなり上がれる「ファンファンリーチ棒」、ある役を積み込んでくれる「りえこのふんどし」等々。
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ちなみにアイテムを使うか使わないかは各アイテムの効果を発揮できるシーンで選択可能。同じアイテムを重複で持つことも可能だが、アイテムストックは種別を問わず共有されるため最大で3つまでしか持てない。
ゲーム演出も酷い
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「のりちゃん」「カマオ」のグラフィックは中途半端にリアルで気持ち悪い。
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特に「のりちゃん」は初対戦時にぬーっとアップでこちらに迫ってくる。子供が見たら泣き出しかねないほど不気味である。
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「(笑)マーク」では二人がギャグを見せてくれるのではあるが、一発芸、宴会芸のようなもので、それほど笑えるものではない。
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「ギャルマーク」では女の子がブルマやネグリジェを脱ぐシーンが出るが、粗いグラフィックのせいでとてもじゃないがご褒美と呼べない。
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「のりちゃん」を選べば「のりちゃん」と、「カマオ」を選べば「カマオ」とゴールするまでずっと麻雀をする事になる為、非常に単調。
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コンティニュー画面は雷鳴のエフェクトと共に、画面中央に黄緑色に光る巨大なドクロが出現するという精神的ブラクラ紛いの不気味なもの。開かれた口の部分にカウントダウン数字が表示される。
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コンティニューすると「フハハハハッ」とドクロが笑い、既にゲームオーバーになったかのような雰囲気を与える。
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ゲームオーバー時はこのドクロが何事もなく引っ込んでいったかと思うと、黒バックのまま妙にカラフルな「GAME OVER」のロゴが現れ、BGMに何故かチャルメラのテーマが流れるという全くもって意味不明なものである。
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そのゲームオーバー画像。
閲覧注意!!!
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これでもスタートボタンを押した後の光景
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そしてこのチャルメラである
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評価点
総評
業務用の脱衣要素がある麻雀では、「コイン投入直後に天和で上がられて100円損する以外何も出来なかった」という難易度がどうという問題以前の話のゲームもあったが、そこまでは行かないにしても、本作はゲームバランスが未調整なものが多かったネオジオ初期作品の中でも、特に理不尽な難易度である。
グラフィックや演出面の出来も悪く、何を考えてこのようなゲームを作ったのかと思わざるを得ない怪作であり、『みなさんのおかげです』及びとんねるずのファンであってもこのゲームを楽しめるかどうかは非常に疑問である。
その後の展開
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この理不尽な難易度への反省があったかどうかは不明だが、後に同社が出した『バカ殿様 麻雀漫遊記』は強制ゲームオーバーの排除やループの廃止、難易度低下が施されており、それなりに遊べる代物になっている。だが、こっちはこっちで脱衣要素があるので人前ではプレイしにくいという痛し痒しなところが…
余談
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時折「家庭用ネオジオに移植はされていない」という間違った内容が散見されるが、実際はMVS版稼働開始の翌年7月に発売された。原則家庭用ネオジオ版のソフトはクレジット数制限が必ず課せられているが、本作は珍しく無制限にコンティニューが可能(但し、難易度設定等は存在しない)。又、前述にもあるが戻された際に一部を除いた良い効果のマスも無視されずに実行される仕様に変更されている。
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同様に同社の『バカ殿様 麻雀漫遊記』も1991年11月にMVS版がリリースされ、その1ヶ月後にはネオジオROM版が発売されている。
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雑誌への掲載
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さすがにやばかったのか、雑誌のネオジオ特集等では本作や同社の『バカ殿様 麻雀漫遊記』の画面写真はカットされてしまう(写真が載るべき場所には「NO IMAGE」等の文字が有るだけ)。
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また、かつてネオジオフリーク誌でのネオジオCDへの移植やリメイク希望ゲームランキングでは実現可能性の項が「×(絶望的、ほぼ0%)」。これは『FF』や『ポケモン』といったサードパーティー契約等の関係で無理なゲームに付けられる「△・▲(難しい)」をも下回る。
最終更新:2024年08月07日 21:37