【ぜったいぜつめいとしふぉーぷらす さまーめもりーず】
ジャンル | サバイバル・アクションアドベンチャー | ![]() ![]() |
対応機種 |
プレイステーション4 Nintendo Switch Windows(Steam) |
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開発元 | グランゼーラ | |
発売元 |
【PS4/Switch】グランゼーラ 【Win】NIS America(*1) |
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発売日 |
【PS4】2018年11月22日 【Switch】2019年9月26日 【Win】2020年4月7日 |
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定価 |
【PS4】7,200円(税別) 【Switch】6,480円(税別) 【Win】6,578円(税込) |
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プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | CERO:D(17才以上対象) | |
判定 | クソゲー | |
シリーズファンから不評 | ||
ポイント |
被災地の表現は過去作から大幅に向上 悪人養成ゲー 形骸化したシステムの数々 胸糞シナリオの連続 |
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絶体絶命都市シリーズ : 1 - 2 - 3 - 4Plus |
災害で崩壊する都市からの脱出を目指すサバイバルアクション、『絶体絶命都市』シリーズの最新作。
本作はもともとアイレムソフトウェアエンジニアリングからPS3用ソフトとして発売予定であり、幾度と無く延期を繰り返しながら発売寸前までこぎつけたものの、
その内容から2011年の東日本大震災の発生直後に被災者への配慮により発売中止が発表(*2)され、そのまま長期間凍結された経緯を持つ。
その後、シリーズのプロデューサーである九条一馬を始めとするゲーム部門の主要スタッフはアイレムから独立(一応本人曰く「円満退社」との事)、「アイレムに革命を起こす!」という様な意味合いで『R-TYPE TACTICS II -Operation BITTER CHOCOLATE-』の革命軍に因み新会社グランゼーラを設立し、2014年に本シリーズの版権を取得。
九条PはX(旧Twitter)上で小説形式でストーリーを連載し、早い段階から本作を復活させたい意向を示すなど、過去作の配信と共に本作を完成し発売する意欲を前面に押し出していた。
そして、PS4にプラットフォームを移し、2015年11月に販売中止となったPS3版『4』のリメイクとして開発が再開されたことが公表。
Unreal Engineによって、グラフィックや被災地の表現が大幅に強化されたことからタイトルを『絶体絶命都市4Plus』と改題した。
しかし再び音沙汰がなくなってしまい、途中で関連作の『巨影都市』が発売されたものの、本作は長らく発売される事はなかった。
ところが2018年になり、10月25日に発売される事が公表されたが、直前に発売延期になり、翌月の11月22日にようやく発売された。
九条Pによると、本作の発売は「待ってくれた人へのお礼とお詫び」であるという。
本作はこういった経緯を持つゲーム史でも類稀な超難産タイトルだったのだが…(後述)
201X年7月、主人公はある目的(面接or商談orショッピングor出会い)のため、川瀬県のひすい市にやって来た。目的地へ向かうバスの中で急遽、緊急地震速報が鳴り響き、そのまま巨大地震に遭遇、
バスは横転するが、何とか一命をとりとめた主人公は変わり果てた風景に呆然としながらも、
全く来た事もない土地で見知らぬ人々と触れ合い、脱出を図るのだった。
+ | 最大の批判点(ネタバレ注意) |
+ | 特に弥生について |
+ | 後日談に関してのネタバレ |
九条Pと高は車氏のシナリオは、過去にも『パチプロ風雲録』シリーズや『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』などで「悪行に走れる選択肢」「クリアしても報われないイベント」と言った自由度や現実感が度々拘りとして導入されており、賛否両論ありつつも一定以上の評価は受けていた。
しかし今回はリアルな被災地の過酷さをプレイヤー自身に体験させようとしたのだろうが、結果それらの拘りばかりが強調されて他はなおざりになり、「悪行にも走れる」ではなく「悪行が推奨・強制される」「報われないこともある」ではなく「ただひたすら報われない」と、両氏のシナリオの負の側面、悪く言えば両氏の悪趣味だけが暴走して、被災地の過酷さを描くと言うよりはただ被災地を醜く描いただけで、胸糞、粗雑、ぶつ切りの三重苦という誰得シナリオになってしまった。
世界一の災害シミュレーターを目指すというコンセプトで、これまでとは違うリアルな被災地を描くという意気込みは分かるものの、肝心のゲームとしてはつまらないものになり、さらにはフルプライスとは思えないほどボリュームが少なく、かと言ってシナリオ面では被災地の暗部ばかりがクローズアップされて徹底した差別や嫌がらせしか存在しないストーリーなので、長くプレイするにはしんどい内容となっている。
後日談で一定のフォローはされたものの、発売から半年以上経過した上に有料DLCである点は褒められるものではなく、何よりこれで本編の評価が上がるかと言えば答えはNOである。
システム面でも何故か形骸化したシステムの数々により肝心のリアリティを失っており、システム・シナリオ双方でちぐはぐな出来になってしまっている。
アイレム時代から重視されている自由度も、無意味且つつまらない選択肢が多いだけでストーリーは一本道(しかも意に反する事ばかり)で、「意味は無いけど選択肢はたくさん選べる」「報いは無いので現実では許されない悪事がやり放題(と言うかやらされる)」と、完全に「自由」を履き違えており、加えてシリーズ恒例のお遊び要素も悪ノリが過ぎて、寒さしか感じない不快材料にしかなっておらず、最早ネタとしても楽しめない。
災害シミュレーターとしても、防災マニュアルに反する事、倫理的におかしい事ばかりさせられるのでまるで参考にならず、せっかくの監修もほぼ意味が無くなっている。
結果としてストーリー、システム、リアリティ、ボリューム、災害シミュレーターとしての実用性、ネタと、どこを切っても完成度が低く、シリーズの特色も多く失ってしまった。
過去作から進化したとはっきり言えるのはグラフィックや被災地の表現力くらいしか無く、事実上のプロトタイプと言える『巨影都市』からも殆どの要素が劣化してしまっている。
PS3版中止から7年もの歳月を経てようやく発売に至った本作だが、言ってしまえば製作陣のアイレム時代からの拘りと悪趣味だけで出来ているようなゲームであり、長年待ったファンの期待に応えるどころか失望させてしまった残念な作品になってしまった。
+ | また、後日談では衝撃の事実が… |
*1 日本一ソフトウェアのアメリカ支社。Steamでは全世界配信となる為、ワールドワイドパブリッシャーを担当している。
*2 同じく被災者への配慮なのか、ほぼ同時期にアイレム公式サイトのコンテンツが大幅に縮小。本シリーズを含めゲームアーカイブスやVCなども全て販売中止となり、“アイレムはゲーム開発から撤退”した。
*3 ただし、実際に大勢の死者が出る描写は少なく、基本はラジオで犠牲者数が伝えられる程度。メインストーリーに登場するキャラもあまり死なない。
*4 一か所だけ、ふんばらないと転落死してしまう場所が存在する他、複数回転倒を防止する事で手に入るトロフィーもある為、完全に意味が無いわけではない。ゼロに限りなく近いが…。
*5 ヒロイン2人、比嘉、アパレルショップ経営者のアケミ。比嘉の教え子なども含めればもっとである。
*6 防災マニュアルにも「自分の彼女の~」という項目が幾つかあり、やはり基本的に受け手は男性だと想定している事が窺える。
*7 「地震で面接が中止になったので交通費を返却してもらう」イベントや、弥生に対して「互いに就活をがんばろう」といった選択肢がある。理由をショッピングにしたとしても、面接場では怪しまれる事もなく普通に交通費を貰えてしまう等、不自然な点が多い。
*8 …が、実はヒロインを放置して自分だけ脱出しても、勝手にロープを解いて付いてくるのでその必要自体無かったりする(助けると善行ポイントが入るだけ)。ここまで来るとただ手を抜いているとしか言いようが無い。
*9 モブも含めるのでかなりの人数が登録されるも、主要人物の紹介文は「一行」なのにサブキャラに5ページも割かれていたり、その人物の去就が明らかになっているのに追記されなかったり、名前の分からない人物ばかりが並んだりとかなりいい加減。
*10 一応、「もし地下鉄に行くことがあったら」と頼まれ事はされているのだが、この時のモノローグが「地震のせいか、地下鉄の入り口が開いていた。"中に入ってみた"」なので、つまりそういうノリなのだろう。
*11 実際に水でインスタント食品を調理する方法は存在する。
*12 『バンピートロット』や『パチプロ風雲録』では料理の所持が出来た為、そのノリでやってしまったのだろう。流石にうどんは無かったが。
*13 先述の指名手配を受けたり、同行者がいた際に怒られる程度。しかし指名手配されても逮捕される事はないし、同行者に行動を止められる事もないので何の意味もない。悪行ポイントも入るが、トロフィー獲得の為のボーナス点にしかならないのは先述の通りである。
*14 午前のエピソードが過ぎたらいきなり日が変わっていた。
*15 本人の主張ではこの事とスケジュールの杜撰さを理由としており、震災との関連については氏自身は一貫して認めていない。ただ、アイレム側は震災の影響を認めていた。
*16 弥生の項でも少し触れたが、特に弥生や比嘉の顛末はウケ狙いでプレイしていた動画実況者ですらドン引きして嫌になったと実況されるほど評判の悪いシナリオであり、女性のプレイヤーや視聴者からも敬遠されている。というか誰が見ても敬遠するレベルだが…。
*17 『1』(2005年6月)で17歳、『2』(2010年12月)で22歳だったのが7月時点で23歳となると2011年しか無い。
*18 西崎編では、比嘉を助けた後、西崎が比嘉に恋人はいるのかと尋ねる。比嘉は恋人がいないことを確認する。
*19 須藤は同じ服を着て、相変わらず杖をついて歩いている
*20 『巨影都市』が『3』と『4』の間にあると考えれば、"『2』の後、『巨影都市』で右足を完治させた須藤が、『4』で再び右足を負傷した "と解釈できる。
*21 海外では『1』は『Disaster Report』のタイトルで発売されたが、『2』のタイトルは『Raw Danger!』、『3』はそもそも未発売で、『4』ではあるが『Disaster Report』のタイトルとしては二作目になる。