風雲少林拳
【ふううんしょうりんけん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売元
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ジャレコ
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開発元
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トーセ
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発売日 ()は書換開始日
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1987年4月17日(1987年6月12日)
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定価
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3,200円
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プレイ人数
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1人
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判定
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クソゲー
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ポイント
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自分で自分のコントロールすらままならない最悪な操作性 香港映画風なBGMはとても良い出来
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風雲少林拳シリーズ 風雲少林拳 / 風雲少林拳 暗黒の魔王
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概要
ディスクシステム全盛期の1987年中期に発売されたカンフーアクションゲーム。
主人公「シン」が様々な特徴の相手と対戦格闘式に1対1で戦い、三人の魔王打倒を目指すゲーム。
このような1対1のスタイルだが、1人プレイ専用で2Pでの対戦はできない。
ストーリー
17歳の少年シンは、チェイ老師の下で修行中の身。その老師を訪ねてきた一人の傷ついた旅人と出逢ったシン。
旅人によれば「魔王」と名乗る玉龍、雷竜、天龍という三人の少林拳の達人が、略奪や破壊を重ね村々を脅かしているという。
だが、老師は既に年老いて往年の力はなく、戦える状態ではなかった。
正義感強いシンは、老師にかわり三魔王の居城、大林山へと向かった。
内容
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プレイヤーキャラクター「シン」を操作して相対する敵と1対1で戦う。
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体力は扇で表示される。
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扇は3本から始まり、ダメージを受けると半分になるのだがダメージ均一ではないので、内部的には受けていても表示が変わらなかったりすることがある。
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アイテムのラーメンを取ると、体力が回復する。
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アイテムのひょうたんは、負けてもそのステージの最初からやり直せる。
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敵を倒した場合、残ったタイムと体力がボーナス点になる。
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三人の魔王に勝てば、オールローマ字のエンディングを介して再び最初からのループプレイになる。
敵キャラクター
()は登場ステージ
+
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クリックで展開
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ヤングマスター(山門)
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巨人(道場)
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魔豚族(山寺)
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ダブル(城壁)
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仙人(岩場)
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三魔王(魔王宮)
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操作方法
十字ボタンはテンキーの数字で記述する。
後述する問題点となる、直感的に操作できない部分を太字で記述。
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十字ボタンのみ
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Bボタンを押しながら十字ボタン
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8
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ジャンプ
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飛び蹴り
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6
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前進
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中段蹴り
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4
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後退 相手が背面にいたら振り向き
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後ろ蹴り
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2
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下段突き
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下段蹴り
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9
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上段突き
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上段蹴り
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3
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中段突き
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7
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前方ジャンプ
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背面上段蹴り
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1
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後方ジャンプ
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問題点
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とにかく複雑な操作法。
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同社の『燃えろ!!プロ野球』同様なのか、無駄に仕様に凝っており、シンの向いている方向で出る技が左右で逆になるという複雑な操作性。
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相手と左右が入れ替わっても自動的に振り向いてくれず、自分で振り向き動作を入力しないと逆向きのまま。
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もちろんちゃんとした法則に則っており、左右が逆向きになると上下の操作で出せる技が逆になるということだが、それでもかなりややこしい。
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ボタンを押さなくとも十字ボタンだけで攻撃が出る事がある。
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慣れない間は、普通のパンチやキックすら満足に繰り出せない。なにしろ最も基本的な攻撃と言える中段突きが「ボタンを押さずに斜め下前方」、中段蹴りが「Bボタンを押しながら前方」。
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また動きもスムーズとは言えず、左右の移動すらもコツを掴まない限り満足にできない。
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前方ジャンプが「上+後ろ」と普通なら後方ジャンプの操作。後方ジャンプが「下+後ろ」と言う普通は思いつかない方向。
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この操作性が極端な難しさを生み出している。まだ当時は高難度な傾向にあったとはいえ、満足に動かせないのはさすがに「手応えある」という捉え方はできない。
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なぜ「十字ボタンで移動、Aでパンチ、Bでキック」という直感的な操作にならなかったのかとは誰もが思うだろうが、実は操作一覧で使われていないAボタンには後半ステージで特殊な用途に用いるからである。
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仙人と戦うステージではAボタンでハイジャンプが可能。相手は飛行しているので、これで高さを合わせるのが大切。
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魔王と戦うステージでは画面中に置かれている短剣を拾ってAで投げつける。これでなければとどめを刺せない。
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これらのギミックのためにAボタンを使ってしまっているので、十字ボタンとBボタンだけで移動・パンチ・キックの割り振りをしなくてはならなくなったのが、異様に複雑な操作体系になってしまった根本的な原因と思われる。
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対戦相手の強さも難易度の振れ幅がおかしい
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2ステージ目の「巨人」は図体がでかくて攻撃が当てにくく(有効なのは上半身のみで足への攻撃は無効)、しかもその攻撃もかなり強烈。操作に慣れれば倒すのに苦労しないヤングマスターから一転、急に手ごわくなりすぎる。
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そんな急激な難易度上昇が起きた後の「魔豚族」や「ダブル」は普通に攻撃を当てやすく、攻撃力もそれほど強くない。
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三魔王直前の「仙人」も三魔王より手強く、仙人の2人は空中を浮遊するので非常に攻撃を当てにくく、空中から飛び道具で一方的攻撃してくる。
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魔王の3人はいずれも飛び道具こそ使ってくるが、こちらの攻撃の当てるのは序盤の巨人と大差ないので、さほど厄介さは感じない。
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今一つ読みづらいエンディング。
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エンディングは、文面のみなのだがスクロールが速めなのとオールアルファベットのローマ字読みなので読みにくい。
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しかも青一色の背景に白い文字だけと味気なさすぎる。
評価点
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BGMが非常にカンフーアクションらしくて良い出来。
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タイトル画面から香港映画のような勇壮なBGMで、早くも重厚感あふれるサウンドを聴ける。
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ゲーム中も中国や香港を彷彿とさせるBGMで雰囲気は充分。SEもその曲調によく合っている。
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対戦相手が豊富でそれぞれ個性的。
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三魔王以外は2人倒すごとに、敵の種族が違うものになるのだが、それぞれ皆個性的なものばかり。
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また、同じ種族でも、後に出る方が追加技などもある。
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例・「巨人」なら2番手のクァン・ユーレンはまるで『ドラゴンボール』の「かめはめ波」のような技を使う。
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敵がでかかったり、空を飛んだりと特殊なものが多く難しいが、アイテム次第で勝つチャンスはある。
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もちろん、こういうのにありがちな運ゲーというわけでもない。
総評
BGMは聴いているだけも爽快で、カンフーアクションの雰囲気にもマッチしている。
ただ操作性に関しては左右が変わると操作法が逆になるなど、独自のリアル感覚を追求した姿勢は見られるものの、ゲームとしてはその動かしにくさばかりが目立った。
敵の種類は豊富で個性のあるものばかりなので、同じ挙動を繰り返すマンネリは排除しているものの、やはり上記の操作性が足かせとなってそれを楽しめるものとは言い難いものになってしまった。
BGMのデキは非常に良いだけに、それに見合ったゲームそのものの内容が伴わなかったのが惜しまれる。
その後の展開
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翌1988年4月22日に『風雲少林拳 暗黒の魔王』が発売。
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こちらは難しく複雑な操作を排除し、スタンダードな格闘アクションに仕上がっている。
余談
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後の話になるがカプコンの『ファイナルファイト』(ACで1989年12月稼働開始、スーパーファミコンソフトとして1990年12月に発売)で「ワン・フー」という本作の敵と同名の雑魚キャラクターが登場する。
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いかにも中国人風で低い体勢で体当たりを得意とするデブタイプで、本作のそれとモロにダブったキャラクターになっている。
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他にも『サムライスピリッツ』にも同名のワンフー(漢字表記は王虎)という、やはりデブ体型の剣士がいる。使いやすい名前でよくかぶったのだろうか。
最終更新:2024年01月06日 05:32