XANADU NEXT
【ざなどぅ ねくすと】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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Windows 98~8
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発売・開発元
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日本ファルコム
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発売日
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2005年10月27日
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定価
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6,510円(ダウンロード版:3,990円)
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ディスクレス起動
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不可(ダウンロード版あり)
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判定
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良作
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ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ
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概要
練りこまれた難易度が多くのファンを生んだファルコムの名作『XANADU』の20周年記念として製作されたアクションRPG。
ザナドゥの王国が滅んで数百年後を舞台としており、共通の世界観と「聖剣ドラゴンスレイヤー」の存在を除きストーリーの繋がりなどはない。
MMOのような操作性とシステムを持ち、ファルコムとしては『ぐるみん』に続くフル3D作品の第2弾でもある。
ストーリー
「騎士戦争」で騎士たちが敗北し、その存在が廃れてから3年。北海騎士団に所属していた主人公はそのショックから落ち込んでいた。
彼の姿を見かねた幼馴染のシャルに連れられ、オーウェル湖に現れるという幻の奇岩城の調査へ向かった二人。
湖の上に現れ、幻のように姿を消してしまう奇岩城と各地に残された遺跡……。
主人公は奇岩城に眠る伝説の聖剣に興味を惹かれ、遺跡の探索を開始するのだった。
ゲームシステム
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本作の基本操作はマウスをメインにして行われる。キーボードは一部ショートカットのみ。後のアップデートまでジョイパッドには対応していなかった。
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移動/攻撃は左クリック、会話やスキル使用は右クリックに割り当てられている。また、マウスホイールで画面を45度ずつ回転出来る。アイテム使用やスキル切り替えはキーボードのショートカットから行える。
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メニューを開いている間も止まらないリアルタイム制を採用。また、戦闘やアイテム入手といったログが画面左下に出るなどMMOを意識したインターフェースとなっている。
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本作はハーレックの街を拠点として、各地にある遺跡を探索する事で進行していく。
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ハーレックの街には武器屋、アイテム屋、教会といった施設が揃っており、セーブが行えるのもここだけ。
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教会ではレベルアップで入手したボーナスポイントを割り振ってパラメータを強化したり、後述するガーディアンの降霊、レベルダウンなどが行える。
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武器や防具には装備するためのステータス制限があるため、計画的に割り振っていく必要がある。
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アイテム屋では鍵を購入できるが、購入していくたびに値段が上がっていく点は従来通り。今作では時折入手できる骨を売ることで値段を下げる事が出来るが、序盤でとある人物から購入できる「骨削りのナイフ」を使えば骨から鍵を直接作ることも出来る。
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スキルは魔法書を使用したり、武器を装備する事で覚えられる。一度に装備できるスキルは4つまで。
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武器に付加されているスキルは武器を使い込んで熟練度を上げる事で習得でき、武器をはずしても使用できるようになる。
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スキルには任意発動の「発動系」、スキルスロットにセットするだけで発動する「状態系」、遠距離攻撃と属性が特徴の「魔法」が存在する。
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MPは存在しないが、スキルごとに使用回数が決められている。回数は特定のガーディアンを降霊することで増やすことが可能。
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ゲームを進めて行くとカードに封印されたガーディアンを入手出来る。教会で降霊することで能力強化や特殊能力が発動する。降霊できるガーディアンは一体のみ。
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ガーディアンにはプレイヤーとは別にレベルが設定されており、プレイヤーと同様にレベルアップしていく。また、特定の場所に設置されている女神像に触れることで降霊中のガーディアンのレベルを一段階上げることが出来る。
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当然ながら後半にいくにつれレベルアップしにくくなるので、代償なしにレベルアップ出来る像の存在は希少。
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ダンジョン内には箱を押したり破壊する「箱パズル」が用意されている。
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箱を破壊できる倉庫番のようなもので、箱を押す以外に攻撃1回で半分の高さに、2回で完全に破壊する事が出来る。
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半分の高さにした箱は踏み台に出来、これを活用して進む謎解きも多く用意されている。
評価点
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システムは違えどストイックさはそのまま。
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一応シナリオも存在するものの、シナリオよりもダンジョン探索やキャラクター育成をメインとしたゲーム性になっている。
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キャラクターの育て方、装備の買い方、スキル習得を重視するか攻撃力を重視するかなど選択肢が幅広い。
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街から遠く離れた場所に存在するダンジョンもあるが、序盤で入手するワープアイテムにより街へ一瞬で戻れるうえ、ショートカットやワープ装置もあるため行き来が面倒になることもない。
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敵もなかなかの強さを持っており、背後から攻撃すると必ずクリティカルになるといったシステムもあってアクション性は良好。
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中には魔法や属性付加スキルを使わないと復活してしまうアンデッドのような厄介な敵も存在する。序盤から集団で襲ってくるザコも多い。
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ボスキャラもHPが減ると特殊攻撃が追加されたり、攻撃を受けるたびに分裂して襲ってくるなど一筋縄ではいかない強敵ばかり。
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クリア時にはプレイ評価も行われるため、より高いスコアを目指すやりこみプレイも可能。
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当時のファルコムゲーでは珍しいフル3D採用ゲーム。
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グラフィックレベルはそこそこだが、大きな破綻はなく、草原や遺跡の雰囲気は良好。
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その辺に生えている草花やタルなどを斬ることも出来る。この行動でも武器熟練度は溜まるので、熟練度を早く上げるには有効な行為になっている。
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装備によってプレイヤーキャラのグラフィックも変化する。属性付加スキルをつけると武器にエフェクトが追加されるなど芸が細かい。
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旧作のBGMのアレンジを含め、曲も良いものが揃っている。
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特に各場面で流れる初代メインテーマのアレンジは美しい旋律もあって印象に残りやすい。
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OP曲は、オリジナル版を作曲した高橋俊弥氏から「アレンジャーさんの卓抜した腕前に脱帽」と高評価を得ている。
賛否両論点
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旧作と異なり、敵は無限湧き、かつ一部の宝箱も復活するようになった(中身は少量のお金)。
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初代の「いかにリソースをやりくりして攻略していくか」に魅せられた古参プレイヤーからの評判はイマイチ。
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一方、リソース制限のせいで非常に高かった難易度が中和され、間口が広がり万人向けなゲームとなっている。
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プレイ評価が行われる事の弊害。
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高評価を得るには、基本的に「短時間で効率よく」というプレイスタイルに固定されてしまう為、旧作の売りである自由度が損なわれている。
問題点
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マウスをメインとした操作性。
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当然ではあるが、アクションRPGをマウスオペレーションで操作するのは慣れないうちは難しい。PCゲームでは当然のキーボードオンリープレイにも未対応というゲームデザインは発売当初から不満が多かった。
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特にスキルの使用と宝箱の開閉などが同じ右クリックのため、箱を開けようとしてスキルを誤発動してしまう事故が起きやすいという問題点がある。
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後に配布されたアップデートパッチにてコントローラーでの操作も可能となったが、スキルやアイテムがショートカット制から切り替え制になるため一長一短。
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女神像でのガーディアンのレベルアップの際、確認が行われないため限られた回数を無駄にしてしまう事がある。
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また、最終ダンジョンで登場するガーディアンもいるが、少々活躍させづらい。
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前述の通りシナリオは薄味。
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かつてのザナドゥ王国などの重要な部分は、各地で手に入れる石版を解読して読むだけになっている。
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ただし、具体的なシナリオの記述がマニュアルのみで、ゲーム中の文章が古典の引用だった旧作に比べれば。ストーリー性は大幅に増している。
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追加ダンジョンの理不尽な難易度
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拡張プログラムでプレイ出来る(Vista対応版以降は最初からプレイ可能)追加ダンジョン「死者の異界」は、27階層にも及ぶ上、構造がランダム&全てのモンスターを倒さないと次のフロアに進めない(時の狭間と同じ仕様)・途中セーブ不可・脱出した場合は最初からやり直しという鬼畜仕様。勿論登場するザコモンスターは、本編のラストダンジョンに出て来るザコモンスターより遥かに強い。本作では回復アイテムが9個しか持てないのも、この理不尽な難易度に拍車をかけている。
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一応あるアイテムを取ることにより、フロアの障壁を通り抜ける事が出来る(=モンスターを全滅させなくてもよい)ようになるが、そのアイテムは最深層近くまで進まないと入手出来ない。
総評
マウス操作メインというシステムに慣れるまでが大変だが、慣れてしまえばサクサク遊べる。
探索と戦闘、育成をメインに据えておりシナリオよりもゲームを楽しませる方に重点を置いているゲームとなっている。
旧作から大幅に変更された内容に古参ファンからは不満も出たが、丁寧なつくりで楽しませてくれる良質なタイトルである。
余談
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初回限定版にはProjectEGGのシステムを使って移植された『風の伝説ザナドゥ』『同II』が収録された。後にProjectEGGのサイトで通常販売もされている。
最終更新:2025年03月27日 00:47