Birthday of Midnight
【ばーすでー おぶ みっどないと】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション4 Nintendo Switch Xbox One
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発売元
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ラタライカゲームス
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開発元
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Petite Games
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発売日
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2020年10月01日
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定価
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【PS4】499円 【Switch/One】500円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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超シンプルなゲーム内容 たがハマれる佳作安価ゲー
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プロローグ
主人公のミッドナイトは両親とともに誕生日を過ごしていたが、突如現れた地割れに落下してしまう。
ミッドナイトは両親のもとへ帰れるだろうか?
概要
四角いマシュマロに顔がついたような、主人公のミッドナイトを操作してゴールを目指す。
ジャンルをアクションとしているが、このゲームを一言で言えば2D視点のゴルフである。
しかしステージには様々な仕掛けが施されており、ミッドナイトが死亡したりするだけでなく、ギミックを活かしてゴールへのルートを切り開くなどパズル的な要素も備わっている。
Petite Gamesが手掛けた『Midnight』『Midnight2』『36 Fragments of Midnight』に次ぐシリーズ4作目。
システム
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ボタンを押しながら左スティックで角度と強さを決め、ボタンを離してミッドナイトを跳ばす。これがこのゲームの全てである。
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誇張なしに、跳ばしたミッドナイトを追加で操作したり、アイテムを使用したりといった要素は一切ない。他にできることといえば、リトライとメニューを開くことくらいである。
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全72ステージ。各ステージは1画面で収まるようになっており、ゴールとなる穴にミッドナイトが収まることで次のステージへ進むことができる。
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ステージをクリアすると、クリアにかかった打数によって1~3の星が獲得できる。星の数によって隠し要素が出現したりエンディングが変化するようなことはなく、単なるやり込み要素。星2以下の場合は、星3獲得に必要な打数が表示される。
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一度解放したステージはステージセレクトで選択できるようになる。
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各ステージには、触れるとミスになるトゲや炎や歯車、強くぶつかると爆発して弾き飛ばされるTNT箱、入ると別の穴に転送されるワープ穴、触れると道が開けたり重力が上下逆転するスイッチなど様々なギミックが存在することがある。
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天井からぶら下がっている鎖や床に落ちている三角コーンなどにも細かく判定が存在し、これらもステージによっては活用していくことが求められる。
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ゲームオーバーや残機の概念はなく、いくらでも挑戦が可能。
評価点
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超シンプルなゲームシステムでありながら奥深いゲーム性を有しており飽きがこない。
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「左スティックで角度と強さを設定」するわけだが、この左スティックの調整が非常に繊細になっており、指を動かしていないつもりでも矢印がぷるぷる震えるので思い通りの角度と強さで飛ばすのは至難。
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ミッドナイトが飛ぶ強さも微妙な加減でかなり変化するため、まさにミリ単位での微調整を要求される。すぐ隣の穴に転がすことすら容易ではない。
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加えて、システムの項に書いた以外にも様々なギミックが存在する。中には「ゴール穴に大量のカボチャが降り注いで塞いでしまうため、それより早くゴールしなければならない」など、スピードが要求されるステージもあるためシビアな操作を素早くこなさなければならないことも。
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ミッドナイトの形状もゲーム性に深みを持たせている。ゲーム中では丸みのない正方形になり、打ち出す際にも回転はしないのだがステージに接触した際に地形が少しでも傾いていればミッドナイトも角度が変わったり回転したりするため、時には激しく回転しながら床を転がっていったり、かと思えばストンと接地したりと予測がつきにくくなっている。
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リトライがワンボタンで可能。
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本作はまごうことなき死にゲーであるためリトライを繰り返すことになるが、これが専用のボタンとして割り振られている。ある意味では本作最大の評価点である。
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このリトライは状況を問わずに可能。ミッドナイトが飛んでいる途中や死亡演出中などでも、ボタンを1つ押すだけで画面が暗転してスタート地点に戻る。
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上述のような、中々思い通りにはいかないミッドナイトの動きは一見するとストレスに繋がる問題点のように見えるが、「あっ、ミスった」と思ったその瞬間にやり直せるためストレスをまるで感じさせない。
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リトライの容易さはステージクリア時の打数更新を目指す際にも便利。
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リトライが可能なゲームは多いが、大抵はメニューを開いたり、はい・いいえの選択をしたり、ボタンを長押しするなどのひと手間がかかるものだが本作はそのひと手間すら必要ない。
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リトライがやりやすすぎるせいで、打ってはリトライを続けているうちにうまくいったのに癖でリトライしてしまうのはご愛敬。
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独特のグラフィックと、それに合った音楽。
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地形やギミックは基本的に黒のベタ塗りとなっている。背景の青も合わせて、タイトルの「ミッドナイト」に相応しい夜の雰囲気を醸し出している。主人公ミッドナイトはほのかに発光しているため、地形などに陰を作るのも細かいことだが美しい。
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BGMは非常に少ないが、一貫して落ち着いたピアノ演奏となっている。ミッドナイトがミスした際のSEも「ガーン」というピアノの和音になっており雰囲気にマッチしている。
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主人公ミッドナイトのかわいらしさ。
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ステージクリア時などを含めゲーム中は一切表情を変えないものの、目が大きめに描かれておりかわいらしい。
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簡素ながらミッドナイトがゴールを目指しステージを進む理由もオープニングで説明されるため、プレーヤーがステージクリアを目指す動機付けがなされている。
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本作がもしストーリーやキャラクターといった要素をオミットして無機質な白い箱を飛ばすだけのゲームだったら本作の印象は全く異なるものになっただろう。
問題点
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一応ネタバレ回避
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一枚絵とともに「ミッドナイトはやっと誕生日ケーキを味わうことができた」の一文が表示されるのみ。このイラストはオープニングで表示されたものを使いまわしている。
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スタッフロールも短く、最終ステージをクリアしてからタイトルへ戻るまで10秒ほどしかかからない。
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システムの項目に書いた通り、星の獲得数などによるエンディングの変化などもない。
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RPGやアドベンチャーではないとはいえ、一応キャラクターが設定されシナリオがあるゲームなのだから親子の会話などいくらなんでももう少し盛れたのではと思うところ。全ステージクリアのご褒美としては味気ない。
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ポーズメニューに「ステージ選択に戻る」が無い。タイトルに戻ってからステージセレクトしなければならない。
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ステージセレクトの構造
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問題点とするかは微妙なところだが、ステージセレクトを開くとイージー・ノーマル・ハードという難易度を選択できるが、これは別に1つのステージに3つの難易度があるわけではなく、ステージ1~24がイージー、25~48がノーマル、49~72をハードというふうに区分けしているだけである。
もちろんステージ1と25が同じ構造をしているということもない。
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難易度として分けるのはやや違和感が拭えず、普通に1~72のステージをまとめて表示しても良かったのではないかとも思わせる。
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もしくは、初級・中級・上級のカテゴリ分け程度の意味合いしか持たせていないのだろうか。
総評
非常にシンプルなシステムでありながら、シビアなゲーム性と豊富なギミックで奥深さを作り出し、シビアなゲーム性を優れたリトライ機能で中和することでシンプルさと奥深さのみを際立たせた、安価ゲーのひとつのお手本ともいえる佳作。
1ゲーム・1ステージが短いため気が付けば「あと1回」「あと1ステージ」とどんどんプレー時間が伸びてしまう不思議な中毒性がある。
良作判定ではないが、ゲーム内容がシンプルすぎるがゆえであって大きな問題点による減点でゲームの評価を落としたがゆえではないため、手頃な価格もあってまったり遊べる暇つぶしを求めるユーザーにはお勧めできる一作である。
最終更新:2023年11月15日 15:00