ゴルフ倶楽部 バーディ・ラッシュ
【ごるふくらぶ ばーでぃらっしゅ】
| ジャンル | スポーツ(ゴルフ) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | 2MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | データイースト | 
| 発売日 | 1987年12月9日 | 
| 定価 | 5,500円(税別) | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 当時にしては珍しいお手軽なゴルフゲーム 初心者でもそこそこのスコアをキープしやすい
 トーナメントで優勝するためにはバーディラッシュでも足らない
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概要
1987年12月にデータイーストが発売したファミリーコンピュータのゴルフゲーム。
当時ゴルフゲームは『ゴルフJAPANコース』『ゴルフUSコース』など繊細なテクニックを必要とするものが多かったが、その中でかなりお手軽なシステムを採用している。
タイトルの「ゴルフ倶楽部」は「会員制団体的なクラブ」と「ゴルフ用具のクラブ」のダブルネーミングと思われる。
内容
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縦方向に広がるホールをトップビューでプレイするゴルフゲーム。
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そのため、ショット画面やコース全景といった別画面にすることなく常に同じ画面でプレイする。
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ショットしたボールはトップビューのまま飛んでいく。
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ホールによってはティグランドが2つあり、トーナメントモードとそれ以外のモードで、スタート地点が変わる。
 
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ゲームモードは3種類。
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ストロークゲーム
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トーナメントゲーム
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基本的には上記「ストロークプレー」で、世界のトッププロ相手に順位を競い合う。
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ホールアウトする毎に、その時点での順位表が見られ、スコア(順位)に応じてエンディングが変化する。
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なお、このモードの場合のみギャラリーがいる。
 
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マッチゲーム(2P限定)
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いわゆる「マッチプレー」で1ホールの勝ち負けを争う。
 
 
ショットの仕方
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まず体の向く方向(根本的なショットの方向)を決める。
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クラブを選びAボタンでゲージを作動させ、MAXからMINの間に伸び縮みを繰り返し、ここでAボタンを押してショットする。
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このゲージ作動中に左を押してフック、右を押してスライスを3段階で調整できる(パターを除く)。
 
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所持しているクラブは下記の14本。
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下記の飛距離はフェアウェイでのもので、下記の飛距離が長いほどラフやバンカーでの減衰度合いも大きい。
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パター(PT)はグリーン上でのもので、それ以外では大幅に落ちる。
 
| クラブ | 飛距離(ヤード) | 
| 1W | 250 | 
| 3W | 230 | 
| 4W | 200 | 
| 5W | 190 | 
| 3I | 170 | 
| 4I | 160 | 
| 5I | 150 | 
| 6I | 140 | 
| 7I | 130 | 
| 8I | 120 | 
| 9I | 110 | 
| PW | 100 | 
| SW | 90 | 
| PT | 30 | 
 
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クラブの中に「CD」というものがあり、これを選ぶとキャディに助言を仰げる。
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パターのグラフィックはなく「<<」などの矢印になっており、これがグリーンの芝目になっている(グリーン全面共通)。
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ショット前にセレクトボタンを押すと、視点を動かしてホールを見ることができる。
評価点
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直感的にプレイしやすい構成。
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方向を定めるのは点線のついたカーソルで直感的でわかりやすく、風の読みが多少必要になる程度なので、目的に向かって真っすぐ打ちやすい。
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ショットの強さもゲージの伸び縮みだけで強さを決めるためタイミングを取るだけで、狙った強さでのショットはそこまで難しくなく、空振りやトップ、ダフリ、ソケットなどのミスショットは発生しない。
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フックやスライスといった横回転も3段階までながら余裕をもって任意につけられる。
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これにより、立木の前などのスタイリーな状態でも、曲げてショットしたりなどプロらしい打ち方をそこまで苦もなくできる。
 
 
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後述の通り、トーナメントで優勝するとなるととんでもなくハードルが高いが、普通に楽しむ分にはそこそこのスコアは保ちやすい。
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そのため上達までのモチベーションも維持しやすい。
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また友達同士などで対戦する場合でも、それなりのスコアで対戦ができるのでだれにくい。
 
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当時にしては珍しく、ストロークプレー、マッチプレーが可能。
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上記の通り、そこそこのスコアは取りやすいため、こういった部分も対戦ゲームとして重宝する。
 
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画面以上に大きく広がりを見せるコース。
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トップビューのみの視点ながらコースは何画面分もあり、それだけに飛ばす爽快感も既存作以上に感じやすい。
 
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ダメならダメなりのエンディングがある。
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後述の通り優勝するとなると非常に厳しいものの、トーナメントモードで1ラウンドを終えるとスコアに応じたエンディングにはなる。
 
問題点
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トーナメントモードの優勝スコアがチート級。
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優勝者はなんと1ラウンドで15アンダーや20アンダーなど現実では考えられないレベルのスコアを平然と叩き出してくる。ベスト10に入るだけでも8アンダー前後と現実のトーナメントならブッチギリ優勝できるレベル。
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これではバーディラッシュどころか毎ホールバーディ必須で、もはやバーディが実質パーと思わなければならないレベル。
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なお、実史で1ラウンドあたりの最高記録はアル・ガイバーガーが1977年6月のメンフィス・クラシック2日目のラウンドで記録した59打=13アンダー。それを本作で出したとしても「運が良ければ(トップの成績が低くて)優勝できなくもない」程度。実際のプロトーナメントでは4日間の累計でも20アンダーに達することなど相当まれなケースといえばいかに異常なスコアかわかるだろう。
 
 
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セレクトボタンでホールを見ることができるとはいえショット時には元の位置からとなるので、視点を動かしたままショットできない。
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そのため、せっかくグリーンエッジでのアプローチなのにピンが画面外にあって狙いがつけにくくなってしまうことがある。
 
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木は全部に当たり判定があり下を通すことができず打球の高低の調整ができない。
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このため、実際にはアマチュアも含めて常套手段である「幹の真正面でなければ低いボールで下を通す」ができない。
 
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キャディの助言が全くと言っていいほど役に立たない。
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10ヤード単位で残りの距離を教えてくれるだけで、あとは今のライに依存した適当すぎる固定の台詞しか言わない。
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また残り距離はグリーン上でこそほしいところだが、グリーンではアドバイスが聞けない。
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説明書にも「あなたのプレイに的確(?)なアドバイスをしてくれます。」(原文ママ)と目立つ形で(?)を付けているので開発も承知の上なのかもしれないが。
 
 
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グリーンの芝目が均一。
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わかりやすいといえばわかりやすいのかもしれないが、実際のゴルフではこの微妙な芝目の細かい変化を読んで繊細なパットを決めることも醍醐味なので少々物足りない。
 
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場所によってはパワーゲージの最大ポイントがわかりにくくなる。
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ミスショットや空振りこそないものの、パワーゲージの枠がないため、どこがマックスなのかわかりづらく背景で大まかなあたりをつけるしかない。
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ゲージが出ている部分がほとんど無地の池だったりすると本当にまったく目印がない。
 
 
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パワーゲージを作動させてしまうと、もう後戻りできない。
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「Aボタンを慌てて押さなければいい」と言えばそれまでだが、Bボタンで取り消してクラブ選択に戻るぐらいはできたはずなので、それすらできないのは気が利かない。
 
総評
ゴルフゲームはのちに発売されたものを含め任天堂の『ゴルフ』やその発展形となった『ディスクファクスイベント』の『JAPANコース』『USコース』をさらに発展させたスタイルが大多数を占めている中、操作性やビジュアルは非常に個性的なものとなっている。
基本システムは、まっすぐをはじめ任意の方向へ打つことが安定しており基本難しいゴルフゲームの中では割と馴染みやすい方。
初プレイでも50オーバーなどのボロボロなスコアにはなりにくいバランスは初心者のモチベーション維持には良く、当時のゴルフゲームにしては珍しい万人向け。
しかしトーナメントモードで優勝するために現実ではありえない20アンダー級のスコアが要求される点は、1ラウンドで終わる構成にしたためあっさり終わらせるわけにはいかなかったのだろうが、いくら何でもやりすぎな印象が否めない。
その後の展開
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実に5年後となる1992年3月6日にスーパーファミコンソフトとして『スーパーバーディ・ラッシュ』を発売している。
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2ラウンドの合計スコア制になったので多少優勝しやすくはなっているが、それでも1ラウンド10~15アンダーを平然と出してくる。
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キャディは(本作に比べれば)親切になっているが、説明書にはやっぱり「大いに役立つ(?)助言をしてくれるはずです」(原文ママ)と頼りなさそうな書き方をしている。
 
余談
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任天堂発売のゴルフ3作品ではOBが2ペナルティと書かれていたが本作の説明書では「ショットした位置より1打加算されての打ち直しになります。」と、ちゃんとルール通りに説明されている。
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また説明書の同ページの記述によると「せっかく好スコアを維持できてもペナルティを受けてはガックリです。」(原文ママ)とあるが、すべてその場で付加されるものしかなくプレー終了時にペナルティを受けるようなことはないので、そもそもペナルティで好スコアはまずありえないし、受けてもなお好スコアだったならば別にガックリではない。
 
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ライバルを見るとしれっと実名(「゛」「゜」も1字と数えて6字までで可能な範囲)が使われている。
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上記の範囲に入るならば「G・ノーマン」(グレッグ・ノーマン)「T・カイト」(トム・カイト)「セベ・B」(セベ・バレステロス)「なかじま」(中嶋常幸)「あおき」(青木功)など、ちゃんとその範囲に収まるならモロ実名。
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入りきらなかったり、対象の拗音文字がない「J・ニクラス」(ジャック・ニクラウス)「L・トレヒノ」(リー・トレビノ)「ジヤンボ」(ジャンボ尾崎=尾崎将司)なども一目瞭然。
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にもかかわらず当時恒例の「実在のものとは関係ありません」「すべて架空の人物です」のような注釈は説明書にもゲーム内でも一切ない。
 
 
最終更新:2025年10月08日 07:43