ニュートピア
【にゅーとぴあ】
| ジャンル | アクションRPG |  
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| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | 3MbitHuカード | 
| 発売・開発元 | ハドソン | 
| 発売日 | 1989年11月17日 | 
| 定価 | 5,800円(税別) | 
| 周辺機器 | バックアップRAM対応 | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2007年5月1日/600Wiiポイント
 【WiiU】2014年4月16日/617円
 【PS3】PCエンジンアーカイブス:2010年6月16日/600円
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ほぼゼルダの伝説 | 
 
概要
ハドソンがPCエンジン向けに発売したアクションRPG。
悪魔ラファエルによって奪われた8つのメダリオンを取り返し、メダリオンの力を導くララン姫を助け出すために勇者フレイが旅立つ。
作風面は『ゼルダの伝説』との共通点が非常に多い…それどころか、ほぼそのままだったりする。
特徴
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フィールドを探索し、ダンジョンを攻略してメダリオンを入手していく事が目的となる。
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フィールドには爆弾で破壊できる壁や岩をずらしたり、魔法で木を燃やすと出現する階段の下に人が住んでおり、彼らからヒントをもらえたりアイテムの購入が出来る。
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スタート地点である神殿や特定の場所でパスワードを聞ける。バックアップRAMを使用すればセーブも可能。また、神殿のみライフを全回復してもらえる。
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ライフ0になると最後にパスワードを聞いた神殿に戻されるが、ゲームスタートから神殿でパスワードを聞かずにライフが0になるとそのままタイトル画面に戻される。
 
 
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RUNボタンでメニューを開くと装備アイテムを交換出来る。
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装備したアイテムはIIボタンで使用。Iボタンは剣で攻撃となっている。
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アイテムの中には2個まで持てる回復の薬や最後にパスワードを聞いた(セーブした)場所に戻れるウイングなど特殊なアイテムも存在する。
 
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メニュー画面にはコンパスが表示されており、ダンジョンの場所やボス部屋を指し示してくれる。
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ダンジョン内ではクリスタルを獲得することで地図を見ることも可能。ただし、地図には表示されない隠し部屋も存在する。
 
評価点
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ゼルダの欠点を改善しており、非常に遊びやすい。
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ゼルダではヒントのまったくなかったフィールド上の破壊できる壁に壁画が描かれていたり、サイフの上限が多く金稼ぎもしやすいなど欠点を改善している部分も多い。
 
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グラフィック、BGMも良好。
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PCエンジンのグラフィック性能の高さを十分使っており、なかなか綺麗。ゼルダと違い、ゲーム進行に応じて新しいフィールドが舞台となるためガラリと見た目が変わり新鮮味があるのも良い。
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魔法はライフが増えると強化され、エフェクトも変化するなどなかなか凝っている。
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プレイを阻害せずに耳に残る曲も多く、ハドソンらしいサウンドを聴かせてくれる点も好評。
 
賛否両論点
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あまりにもゼルダそのままな内容。
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8つのダンジョンを攻略する、爆弾で壁を壊す、敵を全滅させたり岩を動かして道を開く、水から顔を出して弾を吐く敵…と見覚えのあるギミック多数。
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正直よく訴えられなかったものだが、バーチャルコンソールで配信されていたあたり、ある程度の理解は得られているようである。
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前述のように多くの改善点も存在するため、単なる模倣と呼べないのもまた事実。
 
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難易度が低め。
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初期ライフが多めで、よほど無理をしない限りゲームオーバーにはならない。序盤で無限に使える遠距離攻撃が手に入るなど本家に比べると難易度は低下している。
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序盤で店売りしている指輪を使うとザコが弱体化するなど救済策も多い。
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ヌルゲー化したと見るか万人が遊びやすく調整されたと見るかで意見が異なる。
 
問題点
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フィールドのマップは用意されていないため、現在地が分かりにくい。
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フィールドは複数存在するため個々の広さはゼルダに比べると狭く、あまり行き詰ることはないが。
 
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一部のボスが非常に面倒。
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海の国最初のダンジョンのボスは、大ガニで、口を開けた時だけ攻撃が効くのだが…その口を開ける機会が、異常なまでに少ない。酷い時は、
何分粘っても1回も口を開けないことさえある。
しかも、開けてもすぐ閉じてしまうため、離れていると攻撃はまず間に合わないし、開けると同時に泡を吐くので、たとえ攻撃できても相討ちの危険がある。
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こいつ自体が強いというより、攻撃チャンスがあまりに少な過ぎて戦闘が無駄に長引くのが問題。単調な敵の体当たりをひたすらかわし、口を開くのを待つしかない。
 せめて、爆弾の爆風を当てたら必ず口を開けるとか、そういう仕組みがあってしかるべきだったろう(ゼルダにも似たようなタイプのボスがいるが、ここまで酷くない)。
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口さえ開ければどの方向からでも攻撃が通用するのが、せめてもの救いだが…。
 
 
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ボス戦の後。
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後半のダンジョンでは、ボスを倒した後のメダリオンがある部屋にも敵や仕掛けがある場合があり、下手をすると、ボス戦で消耗した後にここでとどめを刺されてまたやり直し、なんてことにもなりかねない。そこまでやるか?
 
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アイテム関連。
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敵を倒すとチェリーのようなアイテムを落とすことがあり、取るとライフが1コ回復するのだが…ドロップ率が低過ぎてほとんど出ないため、全く当てにできない。
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魔法の杖。コスト0で剣より遠距離から攻撃できる便利アイテムだが、ダメージを受けてライフが減るごとに威力が落ちる仕様なので、ライフが少な過ぎると、回復するまで使い物にならなくなる。
 
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敵がちょっと面倒。
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パワーアップしても剣や杖の一撃で倒せる敵がほとんどいない。それが大量に出現するため、なかなかに手間がかかる。
 
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ゲーム進行の自由度は低い。
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ダンジョンを攻略することで新しいフィールドに行けるようになるため、基本的な進行順は決まっている。好きな順番で攻略することは出来ない。
 
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ゼルダと違ってブーメランが存在しないため、取れない場所に出現したアイテムを回収できない。
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ブーメランは『II』で搭載された。(ただし、1個しか持てないのに戻ってくるのをキャッチし損ねると消滅してしまう、半使い捨てのアイテムになっている。)
 
総評
「ゼルダの模倣」という部分が取り上げられやすいゲームであるが、よくある安易な模倣に終わらせずに対象をよく研究しており、原作のよさを活かす形でより遊びやすい作りに仕上げられている良質なゲームである。
元の良さをほぼ殺さず万人が遊びやすく調整されており、本家と比べてやや難易度は低いが、その分、初心者にもおススメできる。
ただの模倣と馬鹿にせず遊んでみるのもよいだろう。
余談
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高橋名人が本作の開発の経緯について述懐している。
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それによると、元々は本作の発売と同年に入社した新人の開発者に「ゼルダを参考にしたゲームをPCエンジンで作ってみなさい」という指示があり、ゲームの面白さを追求するにあたって人気の高い他社のゲームを移植してみる事でそのゲームの楽しみ方を知ってもらうという目的があったとのこと。
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ところが、いつの間にかこのゲームが販売予定リストに挙がったことで、当然ながら社内会議でも営業や企画は「ここまでゼルダにそっくりなのはまずいから内容は変えるべきだ」というのと、開発からは「そっくりに作ってみろという指示を出していたのだから、それを今更変更するのはおかしい」と意見がぶつかっていたのだが、当の新人開発者は「ただ模倣したのではなく、新たなアイデアを追加したり、元から改善してみた部分もある」ということから、そのまま発売することになった。
 
最終更新:2025年04月10日 12:15