ゴブリンスレイヤー -ANOTHER ADVENTURER- NIGHTMARE FEAST
【ごぶりんすれいやー あなざーあどべんちゃー ないとめあふぃすと】
ジャンル
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タクティクスRPG
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対応機種
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Nintendo Switch Windows(Steam)
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発売元
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ブシロードゲームス
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開発元
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アポロソフト メビウス
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発売日
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2024年2月29日
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定価(税10%込)
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【通常版(パッケージ・DL)】5680円 【限定版】9880円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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ゴブスレ初のコンソール向けゲーム化 原作の外伝ストーリー 全体的に快適性が低くて不便な作り 原作者が関わったテキスト面は好評
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GA文庫シリーズ
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概要
蝸牛くも氏によるファンタジーノベル『ゴブリンスレイヤー』を原作としたゲーム作品。
これまで『ゴブスレ』はソーシャルゲーム化やテーブルトークRPG化がされた事はあるが、コンソール向けゲーム化は本作が初となる。
位置付けは原作から見た外伝にあたり、本作オリジナルの登場人物を主軸に原作側の登場人物が交わっていくストーリーとなっており、雰囲気も原作小説の短編集や外伝シリーズに近い。
システム
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主人公が冒険者ギルドの支部長であるためか、ワールドマップは存在せず拠点となる冒険者ギルドでクエストの受注やアイテムの購入、武器防具の強化、冒険者の雇用などを行う。
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ゲーム進行はノベルゲーム風の会話パートを挟んだ後に戦闘マップへと移行。オーソドックスなターン制のシミュレーションRPGとなり、戦闘が終わるとリザルト画面に移行し、ギルドでクエストへの支度を繰り返す事となる。
メインクエストはフルボイスで進行するが、サブクエストはパートボイスとなる。他、会話パートの無いノーマルクエストやトレーニングクエストが存在する。
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メインクエストは進行させる前にノーマルクエストを規定数までクリアする必要がある。また、一部のサブクエストには戦闘パートが存在しないものも見られている他、メインクエスト以外は戦闘を撤退する事が可能。
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エンドコンテンツとして高難度ダンジョンである「遺跡調査」が存在する。
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戦闘パートでは出撃前の準備の際にマップに、障害物や爆発物など罠を仕掛ける事が出来る。
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また、「宿命と偶然の骰子」というシステムが存在し、キャラクターの行動に合わせて回数分までサイコロを振る事が出来る。
これが成功すると、攻撃の必中やクリティカルヒット、敵の攻撃の軽減などが発動するが、失敗すると何も起こらない。
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原作がテーブルトークRPGを意識した作風である事を踏まえた再現ネタと言える。
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魔法や必殺技は回数制となる。これも原作を再現した部分である。
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道具は戦闘前に使いたいものを選択しなければ戦闘中に使用する事は出来ない。
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出撃キャラは主要キャラクターの他、クエストをクリアする度に登録(補充)されるモブ冒険者が登場し、ギルドで雇用する事で装備の変更などが行える。
登場人物
キャラクターたちに名前らしい名前がほとんど無く肩書がキャラ名のように扱われているが、これは原作の特色のひとつである。
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ギルドマスター(CV:高橋李依)
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本作の主人公。父親の死に伴い辺境の冒険者ギルド支部の長へと就任した貴族の少女。行動力が旺盛でありギルド長でありながら自ら依頼の現場に出る。
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殲血姫(CV:水瀬いのり)
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永き眠りから覚めた吸血鬼の少女。プライドが高い女王様気質であり、人間を見下している。
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拳闘従士(CV:小野友樹)
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ギルドマスターの幼なじみである青年。無茶の多いギルドマスターの抑え役。
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白熊僧侶(CV:小野大輔)
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地母神を信仰している熊人の神官。温厚で落ち着いた性格で知識も豊富。なお、その肩書きが示すとおり、クマの獣人である。
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≪コナン≫(CV:島袋美由利)
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本作で唯一名前が明かされているキャラクター。駆け出しの冒険者である魔法戦士…らしい。
原作既読者には正体がバレバレ
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なお、緑色の前掛けを着けた魔法戦士で鉄の槍が武器、名前がコナンとどう見ても…
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隣領公女(CV:金元寿子)
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ギルドマスターの幼なじみである隣の領土の貴族令嬢。慈悲深く気高い性格。
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ゴブリンスレイヤー
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原作小説の主人公。ゴブリンばかりを狩る偏屈な冒険者で常に鎧姿。
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原作設定を反映してか、彼だけ装備の変更が不可能。
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女神官
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ゴブリンスレイヤーの相棒である駆け出しの神官。神官らしい慈悲深く大人しい性格。
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妖精弓手
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ゴブリンスレイヤーとよくパーティを組んでいるハイエルフの野伏(レンジャー)。鉱人道士や蜥蜴僧侶とは長い付き合い。
金床
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ゴブリンスレイヤーの突飛な行動には半ば呆れているが、強い信頼を置いている。
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鉱人道士
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ドワーフのシャーマンである冒険者。豪胆な性格であり、ゴブリンスレイヤーを初対面時から強く信頼している。
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蜥蜴僧侶
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冒険者の中では珍しいリザードマンの神官。落ち着いた性格でありパーティの良きまとめ役。
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評価点
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良質なテキスト
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原作者が直接監修を手掛けた事もあり、原作同様の硬派な雰囲気を保っている。本作オリジナルのキャラクターたちも原作に登場しても違和感のない造形となっている。
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原作の雰囲気を落とし込んだシステムやシナリオ描写の数々
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魔法や必殺技が回数制である事やサイコロを振っての特殊効果、ギルドとクエストを繰り返すハクスラ的な構成など原作を踏襲しつつゲーム的に落とし込めている。
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本作のバトルがSRPG形式なのも「ギルドマスターのスキルである『ロードモナーク』により戦闘マップ全体を俯瞰して指揮を執っている」という理由付けがされている。
装備の支度もギルドマスターがわざわざ冒険者たちに買い与えているとサブストーリーで描かれてもいる。
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罠システムも原作においてゴブリンスレイヤーが罠や道具を駆使して敵を撃破する場面の再現とも言える。ただしこちらの方はゲーム的に問題が多い(後述)。
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戦闘パートではキャラクターたちはデフォルメされたドット絵で描かれており、これの原作キャラクターの再現度もなかなかに高い。
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ちなみに背景は3Dポリゴンで描かれており、HD-2Dライクとなる。
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戦闘ではキャラは攻撃か移動をした後に行動終了となり動かせなくなる事は無く、動かしたい場所にまで移動させたあと、別のキャラを行動させて、その後に改めて攻撃を行うという手順も踏める。
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セーブ&ロード時間はかなり早くほぼ待たされることは無い。
問題点
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肝心の戦闘パートの出来が悪い。
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スティックでのカーソルの動きが妙に重く、動きが遅めに感じられる。方向キーの方は軽快に動く。
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敵味方共に攻撃力が非常に高く設定されており、レベル差や物理・魔法との相性にもよるが一、二撃でキャラが撃破できる・されてしまう事がよく起きる。
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マップは広めだが、敵は基本的に味方キャラが敵の索敵範囲にまで近づかなければ動き出す事が無いため戦略性があまり無い。
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また、街中のマップでは建物などにキャラが隠れてしまいがちで見づらい。
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攻撃が回避されたり反撃される事があるにもかかわらず、それらの成功率が全く表示されない。
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罠システムだが、単純に移動の邪魔になったり、火薬類は弓使いや魔法使いのキャラなどの遠隔攻撃で攻撃しないとキャラが巻き込まれたりと、非常に使い勝手が悪い。威力も低く、何のためにあるのかも解らなくなる。
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マップに標準で罠が設置されている事もあり、わざわざ新たに設置して使う必要も無い。クエストによっては罠も置けない。
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敵味方の識別表示機能が無い。
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キャラドットが暗く表示されるなど、味方の行動終了を示すグラフィック表示も無く、行動終了していないキャラを見落としてフェイズ終了してしまう事も起きる。
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中断機能はあるが、必ずタイトル画面に戻されるため煩わしい。上述の通りセーブ時間が短いのは救いだが。
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キャラクターの種類は多いが、クラスチェンジは無いため、育成に幅が無い。
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出撃人数は10人まで。標準的な人数だが、中盤以降は本作オリジナルのキャラと原作キャラだけで全て埋まってしまい、彼らが強力なキャラという事もあり、雇用した冒険者をわざわざ使う必要がない。
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ノベルパートの問題点
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ボイス再生中にオートモードにしたりバックログを開いたりするとボイススキップとなりメッセージが進んでしまう。
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オートモードにするとバックログを開いたままでも勝手に会話が進行してしまう。
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これでもアップデートでマシになった方であり、初期ver.では会話すらも勝手にオートで進行して半ばスキップ状態という有様だった。
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ノベルパートではセーブ・ロードが出来ず、オプション画面を開くことも出来ない。
総評
単純にゲームとしてみると快適性が低くて不便さが目立つが、原作者監修という事もあり原作の世界観の再現度は高く、外伝ストーリーとしては見所が多い。
ファンアイテムとして手に取る価値は十分あるといった所だろうか。
余談
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原作小説『ゴブリンスレイヤー』について。
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原作小説は昨今において多く見られるWeb連載のアマチュア小説が原型となっており、書籍版はそれをリビルドしたものとなっている。
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それだけなら多くのライトノベルが該当するが、本作の場合はWeb小説、といってもネット掲示板にてキャラクターを描いたアスキーアートに台詞を貼り付けて漫画のように進行するスタイル…
いわゆる「やる夫スレ」と呼ばれる作品であった。
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このためWeb版での登場人物は既存の版権キャラクターが使われており、例えばゴブリンスレイヤーはドラゴンクエストシリーズの「さまようよろい」が使われることも多かった。
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それらは書籍化の際にオリジナルキャラ達へと一斉に差し替えられたが、デザインそのものは面影を残しておりWeb版を読んでいた読者へのファンサービスにもなっている。
中にはさまようよろいそのものにしか見えないゴブスレのSDイラストが見られていたりも
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他、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」といったテーブルトークRPGや「Wizardryシリーズ」などの古典ダンジョンRPG作品をモチーフにもしており、それらのパロディ描写も多く見られている。
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後に原作者は「Wizardry」のノベライズと言える作品「ブレイド&バスタード」を執筆している。
最終更新:2025年02月17日 09:39