大工の源さん ゴーストビルディングカンパニー
【だいくのげんさん ごーすとびるでぃんぐかんぱにー】
ジャンル
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アクション・シューティング
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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アイレム
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開発元
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タムテックス
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発売日
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1992年7月31日
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定価
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3,800円
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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ゲームボーイのスピンオフは意外と突飛な世界観 木槌アクションだけでなくシューティングも複合
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大工の源さんシリーズリンク
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概要
1992年にアイレムからゲームボーイで発売されたアクションゲームであり『大工の源さんシリーズ』ではゲームボーイでは初作品、全体では3作目にあたる。
ゲーム性そのものは旧来作からそのまま受け継いでいるが、若干異なる部分がある。
内容
あらすじ
黒木組との戦いから数ヶ月後、源さんとカンナちゃんが街を散歩していると突然まわりの建物が崩れ出し、まるでお化け屋敷のような形に改築され、源さんが驚いているすきに一匹の大きなゴーストがカンナちゃんを連れ去ってしまったのだ。
ゴーストは大工集団「ゴーストカンパニー」の手の者で、魔界向けに改造する企みを明かし、カンナちゃんの命をタテに源さんにその計画の邪魔をしないことを要求した。
「きさまが正義の大工、源さんだな!我々は魔界の大工集団ゴーストカンパニーだ!これより地上のあらゆる建物を魔界向けに改造させてもらう。この娘の命が惜しかったら我々の邪魔をせず大人しくしていることだな!」
しかし、ここで引き下がっちゃあ江戸っ子の名がすたる。源さんはゴーストビルディングカンパニーの野望を打ち砕くべく敵地へ乗り込むのだった。
FC版との相違点
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基本的なシステムは既存作のFC版のゲーム性を引き継いでいるが、本作のみの要素もある。
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AC・FCとも2周してエンディングだったが本作は1周のみ。
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アイテムが一部仕様変更。
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木槌の回転攻撃(スーパードリンク)がなくなっている。
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アイテムはFC版等では木箱から出てきたが敵がドロップする形に変更されている。
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AC版にあった「1UPアイテム」が「木彫りの源さん人形」として復活。
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セレクトボタンで使えた「特殊アイテム」は本作では未導入。
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ダメージを受けるとハイパー木槌が元に戻ってしまう。
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ただし「安全ヘルメット」があればダメージを受けないのでセーフ。
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FC版の「ビッグハンマー」とは見た目が全然違い、まるでモーニングスターのような見た目で更に鉄球の大きさも源さんの体なみにでかいため振った時の有効範囲も広い。
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ライフの最大値は初期値は3で、最大は5。
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ハンマーの形で画面下に表示されている。
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回復アイテムは「愛のおにぎり」のみで、常に1ポイント。
ステージ構成
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ステージ1「襲われた街」
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ボス:釘夫
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市街地ではギミックらしいギミックはないが、ビルに入ると所々にクモの巣があり、引っかかると動けない(木槌でなぎ払う)。
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「カンナちゃんを追え」(ステージ1クリア後に突入)
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源さんが飛行機に乗って、ミサイルを発射して戦う。
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説明書によるとボーナスステージとなっているが、何のトクになるものもなく、やられることもありボスもいるので実質的にステージ1.5のような扱い。
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ステージ2「幽霊工場」
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ボス:爆弾卓球ロボ
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前半は水柱のステージになっている。後半のビル内ではベルトコンベアによる動く足場が多数配置されている。
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「人間大砲源さん」(ステージ2クリア後に突入)
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源さん自身が空を飛んでミサイルを撃って戦う。
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飛行機に乗っているか、自分で飛んでいるかの違いはあるがゲーム性や操作方法などは「カンナちゃんを追え」と同じ。
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説明書によるとこれもボーナスステージとなっているが、何のトクになるものもないのでこれも実質的にステージ2.5のような扱い。
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ステージ3「空飛ぶ幽霊船」
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ボス:巨大な空飛ぶゴースト
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前半(船外)は足場の切れ目がある程度。船内に入る前に巨大なゴーストを倒さなければならない。倒すと船内へ移行。
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後半(船内)では回転のこぎりの付いたロープを渡ることになる。回転のこぎりは木槌連打で叩き落とせる。
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ステージ4「遺跡の戦い」
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ボス:マグマ鉄砲魚
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前半(外部)は傾ぐ足場があり、乗ると傾いて落とされてしまう(まもなく水平に復帰し、再度踏めるようになる)。遺跡の入り口に入ると後半部へ突入。
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後半では(内部)では狭い3列の道でドクロの戦車が押しつぶそうとしてくる。それに画面端まで押し込まれるとスクロールで挟まれた場合と同様ライフ無関係で即死となる。
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「火山弾を防げ」(ステージ4クリア後に突入)
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火山からドンドン岩石が吐き出され降り注いでくる。
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説明書では「カンナちゃんを追え」「人間大砲源さん」同様ここはボーナスステージの扱い。
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実際ここでは降って来る火山岩を壊すとアイテムがゴロゴロ出てくるのでまんざら間違いではない。
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ただしやはりダメージは喰らってやられるので、そう呼んでいいかは微妙。
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ステージ5「ゴーストビル本社」
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ボス:社長ロボ
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前半(外部)は壊れる足場があり、ステージ4と違って壊れたら二度と復帰はしない。入り口に入ると後半部へ突入。
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後半(内部)ではスクロールがストップする場所で上から人工心臓のような球体のメカが出てくるのでそれを立て続けに叩いて破壊(その間はもちろん敵キャラが邪魔してくる)すると左記に進めるようになる。
評価点
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GBになってもその操作性は滑らかで、低性能なGBにありがちなスムーズさがなかったり、動きがもっさりになるといった悪癖は見られない。
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特に操作はFCで慣れていれば、その馴染んだ操作性そのままなので非常に扱いやすい。
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源さんのボイス「いくぜぃ!」「てやんでぃ!」なども劣化しやすいGBながらも可能な限り再現されている。
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簡素ながらシューティングを織り交ぜ、それまでのアクション一本では味わえなかった新しさがある。
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元々アクション一本でも充分楽しめる出来でゲームボーイ初作品でもあるためそのまま引き継ぐだけでも充分なほどだが更なる+αが加えられている。
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シューティング本家ほどではないが連射にもそれなりに対応できており、遠距離では限界があるものの接射しての連射なら充分なほど対応できている。
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前作や以後の作品とはまた一味違ったストーリーや世界観。
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前作はいかにも現実の日本ベースで作られていたが本作は源さんらしいキャラクターを維持しつつも、より個性的なストーリーに仕上がっている。
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スピンオフとして脱線したノリとして考えれば面白いもので、またステージ間のデモにもそういった部分が反映されておりストーリーも読み取りやすい。
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タイトルデモからステージ間デモの演出もGBながら非常に凝ったものになっている。
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ステージタイトルは何故か劇場で公開される演出になっており、ステージが進む度に観客が増えていくのも芸が細かい。しかし最終ステージでは…。
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エンディングのラストでは恒例とも言える一枚絵が表示され、いつになく男前な源さんが描かれる。
カンナちゃんはまた髪型が変わっているが。
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ステージ1のBGMも源さんの王道テーマをホラーっぽいアレンジが上手くできており、源さんらしさと怪しげな雰囲気を殺すことなく両立できている。
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グラフィックが描き込まれながらも、ゴチャゴチャせずまた何を現しているかもよくわかる出来。
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GBにありがちな色数不足により何が何だかわからなくなるようなこともなく、描き込まれた背景、キャラにしても敵と入り乱れても見失うようなことになりにくい。
賛否両論点
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木箱の破壊がなくなった。
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アイテムは敵が直接落とす形になった都合上、木箱などをガンガン壊す爽快感がなくなり、アイテムを探索する楽しみがなくなった。
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ただ反対に人によっては進行がスムーズになったと思うこともできる。
問題点
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スコアの概念が全くない。
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完全にステージクリアーに徹しているのは悪くはないのかもしれないが、やはりこのようなゲームならばスコアの概念がないのは少々物足りないところがあり、スコアアタックができないのはゲームの幅を狭めている。
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またスコアによる1UPという概念も取り入れられない。
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難易度上昇曲線は規則的ではあるものの、ステージ3あたりでの急上昇は少々バランスが悪く感じられるかも。
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ステージ1や2こそ、それなりにとっつきやすく作られているものの、ステージ3以降は素早い木槌の振り、シビアなジャンプタイミング、ギミックの特性が複雑に絡み合って急に極端に難しくなりすぎる一面もある。
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またステージ3で登場するザコ敵の子供のようなゴーストが特定のタイミングでしか攻撃が効かず、距離を取られると一方的に攻撃され、追いかけようにも足場が少ないなどかなりイライラさせられやすい。
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ステージ4のドクロ戦車は止めて一瞬のスキを逃すとそのまま猛突進してダメージを喰らうだけならまだしも挟まれて即ミスになったり、ステージ5は足場がない所に特に敵の攻撃が極端に激しかったりと急激に上がりすぎる一面がある。
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ボーナスステージが実質ボーナスステージではない。
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説明書によればステージ1・2間の「カンナちゃんを追え」ステージ2・3間の「人間大砲源さん」、ステージ4・5間の「火山弾を防げ」はボーナスステージとなっているが「火山弾を防げ」はアイテムが1UPを含めゴロゴロ手に入るのでともかく、他2つは特にアイテムが手に入るわけではなく、上述の通りスコアそのものがシステム上存在しないため障害エリアでしかない。そしてやられればミス扱いとなって残り人数が減る。
総評
木槌アクションはそのままでGB化で悪化しがちな操作性は依然として良好で前作(AC・FC)とは一味違った全く新しい世界観を実現し、また「お化け」というファンタジー要素と大工キャラの融合もバッチリ。
大工にすぎない源さんが空を飛んだりと設定にはかなり勢い任せなところもあるが、これもスピンオフならではの利点で当時はゲームらしいゲームが多かったことを考えると突飛な面白さという強みに転換できている。
簡素ながらシューティングも導入し、ゲームそのものの要素でも+αを加えているなどハードの低性能を加味しなくても出来は良く、これほどの内容をGBで実現しただけでも頭が下がるほどである。
強いて贅沢を言うならスコアがないことや少々ボリューム面で物足りない程度だが容量が少なくお手軽なスタイルが推奨されるGBでこれだけの内容が盛り込まれていれば十分すぎるほどだろう。
その後の展開
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ゲームボーイでは更なるスピンオフとしてクイズゲームの『木づちだクイズだ源さんだ!』を1992年12月18日に発売。
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これまでとは一転してクイズゲームとなっているが、一部ミニゲームでアクションステージもある。
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そのミニゲームの1つに本作を踏襲してか源さんが木槌でオバケを退治するものがある。
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ファミコンでは1993年10月22日に『大工の源さん2 赤毛のダンの逆襲』を発売。
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世界観は元通り初作品に準じていおり、本作との直接的接点はないが、この作品でも本作を引き継いでアクションとシューティングを併載した構成になっている。
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ゲームボーイでの直接的シリーズ作品は少し間が空いて1994年3月25日発売の『大工の源さん ロボット帝国の野望』となる。
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この作品は本来のスタイルであるアクションゲームだが名前の通り敵がロボットなど機械系、モチーフ観点で一捻り加えたものとなっているなどが同じゲームボーイ作品として共通している。
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本作との間にはハード違いで3作品を挟んでいるが、ストーリーでは本作から直接続いている形になっている。
余談
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前作(FC)ではカンナちゃんはキャラドットではセーラー服、イベント絵では私服というスタイルだったが、本作ではイベント絵も含めてセーラー服で統一されている。後のシリーズではそれがスタンダードとなっていくので、本作がその起点とも言える。
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しかし次作『木づちだクイズだ源さんだ!』では全て私服、後に発売したFC版の続編『大工の源さん2 赤毛のダンの逆襲』は前作と同様と、この頃はまだ統一性は無かった。
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海外では欧州と香港向けにローカライズされており、前者は初代を踏襲した『Hammerin' Harry: Ghost Building Company』、後者は『Carpenter Genzo: Ghost Kingdom』のタイトルで発売された。
最終更新:2023年11月12日 17:07