大工の源さん2 赤毛のダンの逆襲
【だいくのげんさんつー あかげのだんのぎゃくしゅう】
ジャンル
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アクション・シューティング
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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アイレム
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開発元
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日本システムハウス、カオス
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発売日
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1993年10月22日
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定価
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6,800円
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プレイ人数
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1人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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八波弾がライバルポジションを固めた作品 まるでファミコン草創期のような高難度 反面シューティングステージはヌルめ
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大工の源さんシリーズリンク
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概要
1993年10月にファミリーコンピュータソフトとして発売されたアイレムのアクションゲーム。
『大工の源さん』(AC・1990年7月稼働開始 FC・1991年11月発売)の続編。
『2』というナンバリングだが前作との間にゲームボーイでスピンオフ作品があるため、それらを含むと5作目にあたる。
主人公の「源さん」こと「田村源三」を操作して、様々なパワーアップアイテムを取りながら進んでゆくアクションゲームではスタンダードなスタイル。
またゲームボーイ版『大工の源さん ゴーストビルディングカンパニー』で導入されたシューティングのステージも導入されている。
ファミコン草創期からソフト供給してきたアイレムにとっては最後のファミコンソフトとなった。
内容
あらすじ
悪の天才科学者ドクターパラレルは日本の建築業界を牛耳ろうと企むが、彼の悪巧みは田村源六(源さんの父)が作り出す巨大木製メカによってことごとく打ち砕かれていた。
このままではダメと思ったパラレルはターゲットを息子の源三(源さん)に切り替えて助けに来た源六もろともやっつけようという新しい作戦に打って出たのだった。
そのための手段として「源さんの宿命のライバル」を自称する赤毛のダン(八波弾)をそそのかし、源さん親子を襲わせるのだった。
ゲームのシステム
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基本的な操作は初作品以来、特に変更はない。
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前年GBで発売された『大工の源さん ゴーストビルディングカンパニー』にあった「ダメージを受けて木槌がデフォルトに戻る」という厄介な仕様もないため全般的にはFC初作品『大工の源さん』に近い。
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違いとしてはアイテムの「パワードリンク」が「ハート」になっていることと「巨大木槌」が「ハイパー木槌」と呼称が変更されていることぐらいでアイテム自体は実質前作をそのまま持ち越し。
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ただし難易度は前作とは比べ物にならないほどに急上昇している。
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前作からスコアによる1UPは継承されており、常に2万点毎に1人増える。
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アクションステージは旧来通りだがシューティングステージの特徴は先の『ゴーストビルディングカンパニー』とは若干異なる。
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ゲームオーバー時のコンティニューではステージの最初からやり直しだが、ボスでゲームオーバーとなった場合、『ゴーストビルディングカンパニー』同様コンティニュー時はボス戦からの再開となる。
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前作同様1周目をクリアすると2周目に突入し、それをクリアーしてはじめて本当のエンディングになる。
ステージ構成
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ステージ1「べらんめ町商店街」
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ボス:お好み焼きロボ「鈴木さん1号」
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特に目立ったギミックのないステージ。
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ステージ2「パラレルビル建設現場」
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ボス:なんにもクレーン(笑)
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上方向へのベルトスクロールで踏むと落ちる足場が多い。
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クリアーするとボーナスステージ「黒木組叩き」へ。
3×3の窓から出てくる黒木組の組員をもぐらたたきよろしく叩く。カンナちゃんも時折出てきて誤打するとマイナスポイント。
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ステージ3「カタブツ製作所」
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ボス:ようせつするゾゥ(小笑)
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パイプの先から出てくる油に触れるとダメージ。下は溶鉄がマグマよろしく溜まっていて時折溢れて足場を埋めてしまう。これも触れるとダメージ。
死なないのが不思議…
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ステージ4「海底トンネル」
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ボス:たっつんロボ(中笑)
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走る貨物列車の上を先頭車両目指して走り抜ける。道中で貨車に載ったロボットが起き上がって銃撃してきたり、トンネルの裂け目から漏れた海水に触れてもダメージ。
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クリアーするとボーナスステージ「スプリングでドン!」へ。
並べられたスプリングの上でぴょんぴょん跳ねながら上から降ってくる敵を叩く。カンナちゃんのような誤打はなし。
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ステージ5「秘密工場」
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ボス:すくらっぷロボ「ぱークス」(失笑)
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3階層になっており下層階は動く足場のベルトコンベア。中層階ではダメージを受けるクレーン、最上階ではプレスマシンが並んでいる。
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ステージ6「Dr.パラレルの島」
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ボス:メカゲラドブス(笑止)
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フライング木槌に載ってのシューティングステージ。
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クリアーするとボーナスステージ「木槌バッティングセンター」へ。
4台の巨大なピッチングマシーンから出てくるボールを木槌でガンガン打ち返す。
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ステージ7「パラレル研究所」
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フライング木槌に乗ってのシューティングステージとアクションステージの二部構成。
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前半
ボス:不在
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前ステージとの違いは道中に壁などがあること。スクロールと通過できない壁に挟まれるとライフ無関係でミスとなる。
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ラストはスクロールが止まって、ザコキャラが上下からドンドン出てくる。一定時間耐え抜けばクリアー。後半のアクションパートへ
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後半
ボス:組み立て式ガードロボ
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アクションパートで、アルコールランプや放電機、電磁コイル(一定時間ごとに通電される)といったギミックがある。
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組み立て式ガードロボはボスというより、ラストで登場するザコラッシュに近い。
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ステージ8「コントロールタワー」
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ボス:Dr.パラレル
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上に向かって強制スクロールのため、スクロールアウトした足場は無効で落ちたらミスとなる。
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動く足場はそのスピードもかなり速い。
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サブタイトルに「赤毛のダンの逆襲」とあるように、ほとんどのステージのメカはダンが操縦してくる。
シューティングステージ
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源さんの親父、源六から譲り受けた「フライング木槌」に乗って空中戦。
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デフォルトはBボタンの「木槌ショット」のみ。
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途中から反転するブーメランのような弾道。
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連射が効かないので少々使いにくい。
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Aボタンで使う武器は3種類あり、途中で対象のアイテムを取ると使えるようになる。
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対空のこぎり
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反射ノミ
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フライング木槌から上下斜め前に45°の角度で2発動時に発射。壁などに当たると直角に反射する。2連射まで可能。
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対地かんな
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フライング木槌から斜め下に向かって発射され、地面沿いに走っていく。3連射まで可能。
評価点
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ジャンプや木槌を振ったりする操作は旧来通りスムーズで扱いやすい。
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ただしジャンプで地面を叩いて地震を出すタイミングはシビアになった。
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ステージ間のデモをはじめ演出はファミコンとはいえさすが末期作品らしいクオリティ。
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それがただの一枚絵ではなく、ちゃんと動いてアニメーションしたりもする。
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更に源さん自身のメッセージも出るようになり、これは単純にステージ名だけだった前作よりもキャラの感情などが感じ取りやすい。
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ステージの背景なども前作以上に細かい所まで描かれ、雑な部分が少ない。
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前作から受け継いだ様々なボーナスステージは本作でも踏襲されており、いろいろとバリエーションに富んでいる
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元々の難易度が高いだけに、ここで得られるアイテムは前作以上に重宝する。また、このステージは本編の高難度を思うと嘘のようにお手軽。
賛否両論点
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コンティニューの仕様。
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前作はボスだろうがそのステージの最初からのやり直しを強いられたが本作はボス戦から再開できるのは戻りが小さいので面倒くささがない。
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ただ、その反面アイテムのない状態からなので特にステージ5や6は、その不便さを感じやすい。
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下記に付随して難易度曲線が上がったり下がったりとちぐはぐ。
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順当に上がらず、例えばステージ7のようにアクションでも低難度なステージも入ってくるなど不安定さが目立つ。
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裏を返せば最初のステージから高めな難易度で全体的に高難度なのでちょっとしたインターバルになっているとも取れるのだが。
問題点
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全体的にかなり高難度。
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ライフ制ではあるもののヘタをするとステージ1から苦戦するレベル。
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まず、序盤から飛び道具をブンブン投げてくる敵がいて、これが非常に厄介。
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近づくと落ちてくる罠もいきなりステージ1から登場するので、これも気付きにくく引っ掛かりやすい。
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ステージ4の高速スクロールはちょっと油断すると、よくある「スクロール挟まれ即死」があっさり発生するしギミックのロボットがビームを撃ってきたりもすれば、途中に噴出している水に触れてもダメージと目も当てられないほどギミックラッシュ。
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中でも最終ステージの難易度は理不尽に近く、上に向かってかなり速い強制スクロールするため、足場がなくなって落ちるとミスになるのは勿論だが、動く足場が非情に多く、すぐ上の足場にワンチャンスで飛び移らなければ即ミスに直結するポイントが連続する。
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しかも、シビアなタイミングのものや足場が見える前(画面外にある状態)に、あたりをつけてジャンプしなければならないポイントまであるなど、さすがに過剰な高難度と言わざるを得ない。
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それでいてスコアによる1UPは2万点毎ながらスコア自体の伸びしろがゆるやかになったことで前作よりもペースダウンしている。
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反対にシューティングのステージはかなり難易度がヌルイ。
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ステージ6は源さんの親父から「フライング木槌」を譲り受けてシューティングで戦うのだが敵の数が少ないので、相当ヌルく感じてしまうほど。
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デフォルトの武器は連射できず追加武器でも対応した連射は低いのでシューティングの醍醐味である爽快感が今一つ。
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ラスボスがかなり弱くて拍子抜け。
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上記の通りラストステージの難易度は、とんでもなく高いのだがボスは非常に弱く、しかも特に工夫の必要もなくただ殴りまくるだけで倒せてしまうので、超難関を突破してきたプレイヤーからすれば手応え今一つ。
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一応背景にあたる部分に攻撃のギミックが搭載されているが、あまり気にせずゴリ押せる程度の攻撃しかしない。
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ジャンプして地面を叩いて出す地震を出すタイミングがかなりシビアになった。
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特に本作の場合難易度も急上昇しており、特に「ハイパー木槌」がない状態でステージ5のボスに来ると、これをマスターしないとまず勝てない。
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そして上記の通り、ステージ5のボスでコンティニューすると、まずそれが必須になる。
総評
基本の操作性こそ旧来通り良好なものの、ジャンプしての地面打ちの地震が出しにくかったりと少々操作が難しくなり、使いこなすには慣れが必要となる。それを抜きにしても難易度は高めで前作経験者ありきと考えても高難度。
とはいえGBから持ち越したシューティングも導入、ステージギミックの多彩さや敵キャラの豊富なバリエーションなどに加えて、デモ演出などは順当にグレードアップされており、そこはさすがのアイレムらしいクオリティ。
全体的に高難度ながらシューティングステージのいきなり低難度になるなど、アンバランスな点は少々残念に思えるが、前作からのグレードアップを図ろうとした意欲は充分見受けられる。
誰でもウェルカムなバランスだった前作と比べると少々きつく感じられたりするが、前作をマスターした上で更なるやりごたえや、高難度ゲームの刺激を求めるプレイヤーにとってはうってつけの一作。
その後の展開
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本作発売から間もない1993年12月22日にスーパーファミコンの初作品『がんばれ!大工の源さん』を発売。
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ゲーム自身はシューティングの要素がなくなり完全なアクションに戻っている。
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源さんの青い半被やカンナちゃんのセーラー服など、キャラの基本イメージはこの辺りで固まったとも言える。
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現在ではサブヒロイン級でゲーム、パチンコ、アニメなど作品自体で欠かせないキャラの一人となった「刃渡ミカ」のデビュー作でもある。
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当初は完全な敵としての登場であり、あるステージのボスキャラクターを務めている。
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ゲームボーイでのシリーズ作品は少し間が空いて1994年3月25日発売の『大工の源さん ロボット帝国の野望』となる。
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ストーリーは『ゴーストビルディングカンパニー』のエンディングから直接続いている形になっている。
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この作品は本来のスタイルであるアクションゲームだが名前の通り敵がロボットなど機械系、モチーフ観点で一捻り加えたものとなっているなどが同じゲームボーイ作品として上記作品と共通している。
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こちらも『がんばれ!』以上にストーリー性が強く、源さん以外を操作するパートも存在する。
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上記スーパーファミコンと同時期にアクションクイズゲーム『源さんのクイズ・トライアスロン』がファミコンソフトで発売される予定だった。
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開発中の情報では4人対戦可能なアクションゲームを織り交ぜたクイズゲームとのこと。
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一度1994年1月に延期されたものの、そのままお蔵入りとなり発売されることはなかった。
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つまり発売されていればこの作品がアイレム最後のファミコンソフトになるはずだった。
余談
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本作のシューティングステージのAボタン武器のラインナップを見て、なんとなく想像は付くと思われるが同社シューティングの看板作『R-TYPE』をモデルにしている。
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対空のこぎり→対空レーザー・反射ノミ→反射レーザー・対地かんな→対地レーザー、といった感じである。
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残念ながらフォースやチャージショットは取り入れられていないが。
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本作はファミコンでもかなり末期にあたる作品のため現存数が少なく現在ではカセット単品でも入手にはかなりの高額が必要となる。
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箱、説明書付きとなるとまず何万クラスの出費は確実と思っていいだろう。
最終更新:2023年11月12日 17:06