大工の源さん ロボット帝国の野望

【だいくのげんさん ろぼっとていこくのやぼう】

ジャンル アクション・シューティング
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 アイレム
発売日 1994年3月25日
定価 3,800円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 『ゴーストビルディングカンパニー』から直接続くもSFに急変
序盤のステージから難易度は高い
大工の源さんシリーズリンク


概要

1994年3月にアイレムからゲームボーイで発売されたアクションゲームであり『大工の源さんシリーズ』ではゲームボーイでは3作目、全体では7作目にあたる。
1992年7月に発売された『大工の源さん ゴーストビルディングカンパニー』(以下「前作」と表記)の続編でストーリーも直接続いており、一部オマケ程度の簡素な構成のシューティングを併載しているなどゲーム性そのものもそのまま受け継いでいる。
前作との間にはFC・GB・SFCの作品が3作品存在するが、それらとの直接の繋がりは持っていない。


内容

あらすじ

前作のラストから続く…

ゴーストビルディングカンパニーの野望を見事打ち砕いた源さんは、そのままミサイルにつかまってカンナちゃんと脱出し、あとは町へ帰ってめでたしめでたし………かと思いきや予想外に宇宙まで出てしまう。
息ができないと思った矢先に謎の宇宙船に激突。気が付けばカンナちゃんの姿はなく、牢屋に閉じ込められていた源さん。
そこで同じく閉じ込められていたロボットにしてコマンド部隊の元軍曹の「アルジュール」(ぐんそう)*1からこの船の主「デスロボス」の野望を聞き、彼とともにそれを阻止すべく牢を脱出した。

システム

  • 基本的な仕様は前作からそのまま持越し。
    • アイテムのバリエーションはそのまま持ち越し(効果もまったく同じ)。
    • パワーアップした木槌が「デカハンマー」という名称になっているがモーニングスターのような形で大きさが一際でかく、ダメージを受ければ元に戻る仕様まで同じである。
    • コンティニュー仕様も同様。
  • 上記に加えて、本作のストーリーで登場するロボット「ぐんそう」と協力して進むところが多々ある。
    • 詳細は後述するが「ぐんそう」がジャンプ台になったり足場になったりと、いろいろ助けてくれる。
    • 前作では「ボーナスステージ」(実質は中間ステージのようなものだったが)があったが、本作ではそのようなものはなくなった。

ステージ

  • ステージ1「博士を救え!」
    • 途中でスクロールが止まって床がせり上がってくるギミックがあり、その上にいるロボットを倒すまで足止めとなる。
    • ボスは攻撃に混じってサッカーボールを飛ばしてくるので、それを上に跳ね返し「ぐんそう」がまた跳ね返すことで攻撃することができる。
  • ステージ2「エンジンを壊せ」
    • 基本的に足場がないが「ぐんそう」が足場となり、源さんの向かう先に見える次の×印にまで「ぐんそう」の体が伸びて橋をかけるような形で移動する。×印が見える位置にないと対応できず落下死してしまう。
    • ボス戦も移動方法は同じで、源さんがしゃがんで足場になっている「ぐんそう」を叩くと黒い弾が発射され(1発ずつ)、これを連続させて攻撃する。下からはものすごい数のミサイルがドンドン飛んでくる。
  • ステージ3「格納庫」
    • 特定の個所で突然足場が切れて不気味な顔のような黒い穴に変わる。この穴に落ちると即死だが、それは敵も同じ。
    • ステージ後半では「ぐんそう」が高い位置を飛んで援護射撃をしてくれる。ボス戦も「ぐんそう」との共闘になるが源さんは自己防衛のみで、攻撃はほぼ任せる格好になる。
  • ステージ4「デジタル源さん」
    • 前半の移動の仕方はステージ2と同じ。
    • 後半は電脳空間でシューティングとなる。特に意識する必要はないが設定上ではデジタルデータとしてコンピュータに入り込むということで二人は「コンピュータバグ」になっている。
  • ステージ5「デスロボスを倒せ!」
    • 三段構成で、まずは1段階目は敵に一方的に攻撃されるので、かわすことしかできない。移動しているため移動が遅いと後ろから追ってくるアームの棘に触れてダメージを受ける。
    • 2段階目は見た目『ジョイメカファイト』のような巨大ロボットと源さん戦いで、敵の攻撃(両腕の棘鉄球と両足の1トン錘)をかわしながら頭の部分を叩く。
      + そしてラストは(ネタバレ)
    • 仲間と合体した「ぐんそう」が「ロボノドン」となって最後に戦いに臨む。左右の腕で現れては消えるラスボスを叩いて倒す。
      • 叩けなかったり途中から出てくるダミーを叩いたりすると反撃でダメージを受ける。

評価点

  • デモなどの演出系は非常に凝っている。
    • グラフィックはいずれも当時のゲームボーイでは屈指の出来。
      • 前作のエンディングで使われていたような一枚絵が早くもステージ開始前に見られる。
    • ストーリーデモはふんだんにキャラが動きまくってそのストーリーをとことん見せている。
      • 台詞には漢字まで使われいる上、それでいて見やすさのバランスまで取れた構成になっている。
    • 背景も細かいところまで動きがみられ力の入れようが感じられる。
  • 音声もゲームボーイにしては多く搭載されている。
    • 初作品から続く伝統の源さんの台詞「いくぜぃ!」「てやんでぃ!」だけでなく、敵側キャラの高笑いなどまで実装されている。
    • 源さんの声も前作ではかなり音割れしてしまっていたが、今作では据え置き機に近いほどに向上している。
  • お助けキャラ「ぐんそう」との協力要素。
    • 前作とも先に発売されたSFC版『がんばれ』や、FC版『赤毛のダンの逆襲』にもなかったもので非常に新しい要素になっている。
    • ジャンプ台や足場になってくれたりと要所要所で、しっかり連帯して戦う展開は本作でしか味わえない。
  • 前作同様にGBになってもアクション自体は非常にスムーズで、コントローラーの感応も良い。
    • アクションステージでも敵の攻撃は激しいがガンガン連打で攻撃を跳ね返して切り抜けることは充分可能。

問題点

  • 前作同様スコアがない仕様がそのまま。
    • アクションゲームの根幹としてスコアアタック要素も大事なので、それができないのはゲーム性の幅を狭めている。
  • 『赤毛のダンの逆襲』ほどではないものの難易度は高めで最初のステージから難しめ。
    • まず敵がのっけから一撃で倒せないタフサがあり、また上空からガンガン弾を撃ってきたり、障害となる鉄球を木槌で打ち払いながら狭い隙間を縫うようなコントロールジャンプと最初のステージにしてはかなり手強い。
    • 後半のステージでは、更にタフな敵が続々登場する。
    • シューティングステージのボスも嵐のようにミサイルをガンガン撃ってくるので、前作で慣れておかないとそのきつさが感じられる。
    • ラスボスはもちろんだがその前の準ラスボスはとにかくタフさが凄まじく、その上ダメージを受ける鉄球と錘のせいで動ける範囲がかなり狭い中でジャンプして頭を叩かなければならない。
      • ストーリーだけでなくこのような点からしても、前作をクリアーした者ありきで作られている節がある。
  • 上記に付随して飛び道具の攻撃が激しすぎるあまり、処理落ちで敵の弾が見えなくなったりすることも多々ある。
  • ステージ5導入部で攻撃ができないことがノーヒント。
    • わけがわからず攻撃され、ジャンプしたりしゃがんだりしてかわすのみゲーム性になっているのだが、そうしなければならないことはストーリーパートでも触れられない。
+ ラストバトルの展開(ネタバレ)
  • ラストバトルは源さんではなく「ぐんそう」が主役である。
    • 源さんは導入部でラスボスにやられてしまい「ぐんそう」と仲間が合体した「ロボノドン」が戦うのだが、いくら「ぐんそう」の方が敵側と因縁があるとはいえ主役の源さんがかませ犬で、おいしい所を持って行ってしまうのはどうかと思われる。
    • 加えてラスボスはデスロボス本人ではなくその親衛隊となる忍者型のロボット集団である。散々「デスロボスを倒せ」と言われ、最終ステージのタイトルすらもそうなっているにもかかわらず、肝心のデスロボスとは結局戦わずに終わってしまうので肩透かし感が否めない。
      • デスロボスはエンディングで別のキャラの行動によって戦わずして死亡する。主人公の源さんはおろか因縁のある「ぐんそう」ですらも直接引導を渡す事ができない。
    • また、源さんが敗北するイベントも「突然現れた忍者ロボに台詞も無く一撃で倒されてしまう」という情けないもの。しかもその後のデスロボスと対峙した際も、「ぐんそう」共々またあっさりやられてしまう。
      • よって今回の源さんは敵の親玉を倒す役も、カンナちゃんを助ける役も他のキャラに取られておりクライマックスで見せ場が無く、シリーズのヒーローにもかかわらず不憫な役回りにされてしまっている。シリーズの定石を崩したかったのかもしれないがもう少しやり方があったのではないだろうか。
    • ここは源さんがロボノドンに乗って戦うか、あるいは最後に復活した源さんとデスロボスの直接対決と言ったスタイルを取った方がお互いを喰い合わず活躍を両立できただろう。
  • ステージ数が実質減少。
    • 前作は5ステージ+ボーナスステージ(名目上の)で実質8ステージあったが本作ではそのままの5ステージ。
    • 難しくなったためプレイ時間はさほど変わらないにせよ、ステージそのものバリエーションで長く遊べた方が理想的には違いない。
  • エンディングが簡素。
    • ストーリー性が強化され、ラスボス後のイベントも従来より手が込んであるのだが、それが過ぎるとゲームもあっさり終わってしまう。
      • 決着後はその後の様子がスクリーンショット形式でスタッフロールと共に数枚映し出されるだけ。前述のラスボス付近の展開も含め、「え?これで終わり?」という感想を抱いても仕方ない。
    • 『がんばれ!』と同じ問題だが、せっかく演出が強化されたのに最後の一枚絵が無く、寂しい事になっている。
      • 一応、最後に表示されるグラフィックはあるものの、地球に帰還した源さんとカンナちゃんの影が小さく見えるのみ。ステージ開始時のアイキャッチのような演出が最後にあっても良かったのではないだろうか。

総評

デモ演出に関してはキャラの動きまでふんだんに使って展開されているだけでなくゲームボーイでは苦手な台詞に漢字まで使われているなどその秀逸さは目を見張るほど。
その反面ゲーム本編は、全体的な出来はアイレムらしく総じて良い作りではあるもののハード性能の限界で激しい攻撃に対応しきれず処理落ちなど多少気になるところが垣間見える。
また、敵の攻撃の激しさだけでなく序盤から特殊なギミックが出るなど難易度が難しめなことや、ノーヒントでわかりにくいところもあるなど初心者には若干障壁があるように思えるような部分もある。
トータルバランスでの高いクオリティは保っているものの、前作にあったとっつきやすさは薄れておりステージ構成は難しいものに凝縮されどちらかといえば続編らしく経験者向きといった感じではある。


その後の展開

  • この年、アイレムがゲーム開発から撤退することとなりシリーズ作品は本作がひとまず最後となる。
    • その後2年の時を経た1996年に再開(形式的には同名の別会社として)、次のシリーズ作品は2000年4月28日と6年を隔てて『大工の源さん カチカチのトンカチがカチ』がゲームボーイカラーで発売。
      • 後述のパチンコの影響もあって、この作品以降パチンコでのキャラデザインが逆輸入されている。
  • 上記の作品との間にあたる1996年にパチンコとして『CR大工の源さん』が導入され、この影響でアイレムではないが日本テレネットから当該機を収録したパチンコシミュレータゲームが4作品ほど出ている。
    • 後の源さんシリーズのパチンコ機種のシミュレータゲームはアイレム自身が『三洋パチンコパラダイスシリーズ』(後に『パチパラシリーズ』と改題)として発売している。

余談

  • 前作のエンディングでは確かに源さんとカンナちゃんがミサイルに捕まって飛んでいくところまでは描かれている。
    • 前作はガイコツ、ゾンビ、オバケといった類だったのにラストステージが急に機械じみた構造になっていたりエンディングでミサイルが出てくるなど本作への伏線と取れそうなものが垣間見える。実際「めでたしめでたし」のようなことは言われていない。
      • ただ、その後はそのまま人工心臓が復活してオバケが次々とよみがえっていくという本作とは全然繋がりのないエンドレスデモで終わっていたので、恐らく前作発売時点から本作へ続くなど想定していなかったと思われる。
  • 前作同様パワーアップしたハンマー「デカハンマー」はモーニングスターのような形をしているが、アイテム自体のシンボルは何故か普通のハンマーになっている。
  • エンディングで「おわり」のまましばらく放置しておくと、敵側キャラの笑い声が連続再生されて少々不気味な雰囲気になる。
  • 前作は初代同様の『Hammerin' Harry』シリーズとして欧州でリリースされていたのだが、今作は香港版のみのローカライズとなっている。
    • タイトルは『Carpenter Genzo: Robot Empire』。前作は『Carpenter Genzo: Ghost Kingdom』だったので、一応「王国」から「帝国」になったという形で続編らしい雰囲気は出ている。
    • 次に欧州でローカライズされるのは現状のアクション最終作の『いくぜっ! 源さん 夕焼け大工物語』であり、こちらは『Hammerin' Harry』ではなく『GenSan』として原語版通りの内容となっている。アメリカでも『Hammerin' Hero』のタイトルでローカライズされた。
  • 源さんの青半被は前年末に発売された『がんばれ!大工の源さん』で初披露*2し、この辺りからカンナちゃんもセーラー服で固定されるようになり、現在では二人の服装としてすっかり定着している。
    • しかし本作は、それ以前に発売された『ゴーストビルディングカンパニー』からストーリーが続いているためか源さんは青半被は踏襲されていない。また、何故かカンナちゃんはキャラドットはいつも通りながら、オープニングデモやステージ開始時の演出ではポニーテールだったり半袖だったりと差異が激しい*3
    • 源さんの青半被は木槌に並ぶトレードマークの如く現在に至るまで踏襲されているが、カンナちゃんは2020年のパチンコ『P大工の源さん 超韋駄天』にてとうとうセーラー服をやめ、シリーズ初期以来の私服姿になった。
最終更新:2024年02月25日 16:10

*1 アルジュールが正式名称だが、作中では最初に名乗る時以外は「ぐんそう」としか呼ばれない。

*2 一応『木づちだ クイズだ 源さんだ!』のパッケージイラストでは青半被を羽織っているが実際には着たのは『がんばれ!』が初。

*3 髪型はともかく、以降は半袖セーラー服が標準化し、『がんばれ!』でも既に半袖だったので過渡期だったと言えなくもないか。