その正体は他ならぬアッシュの先祖である。
ネイルアートの趣味があるアッシュと同様、中間デモにおいては自身の爪を気にする描写がある。
だが性格は 唯我独尊かつ傲岸不遜で、敵対者はおろか味方さえも、
「無能」 「虫ケラ」呼ばわりと見下しており、 言葉遣いも非常に汚らしい。
彼を気遣って進言した仲間の 無界を、「自分の命令に 即時に従わなかった」と、
理不尽極まりない難癖を付けて殺害し、吸収するほどの短気な男。
まぁ散々時間が無いと急かしていたにも拘らず、斎祀の手を煩わせたと言う点においては無界にも非があったと言えなくもないが……。
スタッフによると 「とにかく嫌な奴」がコンセプトで、ネット上で見かけた様々な暴言などを参考にした結果、完成した人物像だとか。
彼の目的は無界や 禍忌と同様、KOF優勝者の力を利用してオロチの復活を図ること。
そして、そのオロチの力を西洋の地球意思の復活に利用し、
時空の扉を開いて元の過去に帰還し未来を思いのままに作り変えることにある。
優勝者が決定すると瞬時に 時を止め、優勝者の前に現れて時空の扉を開き、正体を現して挑んでくる。
しかし優勝チームに敗北し、配置についた同胞も 説明なしにほとんどが敗北*2。
直後に隙を突かれてアッシュの攻撃を受けるが、諦めの悪い彼はそのアッシュの肉体と精神を支配 *3、
真のボスである 「血の螺旋に狂うアッシュ」となって再度戦うこととなる。
最後はアッシュと自身の力を使い、時空の扉を使って過去の世界に帰還することをアッシュに促すが、
アッシュは扉を潜ることを拒否し、「ボクはこの世界のことが結構気に入っているんだ」と返答される。
扉が閉ざされ、過去に戻れなくなった彼は「歴史上最初から存在しなかったもの」となってしまい、子孫のアッシュ共々消滅。
結果、散々罵詈雑言を吐きながら悪逆非道の限りを尽くしてきた自分自身が 「いやだ!死にたくない!」と悲痛な叫びを残して消滅するという、
因果応報にして自業自得な呆気ない最期を迎えることとなった。「 時間を統べるもの(笑)」が「時間に喰われるもの」として消えるとは、皮肉な末路と言うべきか。
「貴様……。自分が何をしたのかわかっているのか?
今からここで起きることは、死などという生易しいものではない……
タイムパラドックス……
過去と未来の矛盾が生じれば、俺はどうなる? 俺の存在は……
いやだ……
いやだ……
いやだ! 死にたくない!
う、うう…… ぎゃあぁああああああ!!」
ここまで見ればわかる通り、歴代の黒幕・オロチや イグニスと比較しても かなりの小物となってしまっている。
オロチはともかく、イグニスの場合はやっていることはまさに「 ありふれた悪党」そのものだったが、
ネスツという組織のトップとしての貫録はそれなりに持ち合わせていた。
しかしこいつの場合は貫禄や器量といった大物らしさを感じさせる描写が 全くといっていいほど無く、
ただ力と自信だけが極端に肥大化しているなど、救いようの無いまでの小物ぶり。
設定上は ゲーニッツとか 社あたりと同格のはずなのに、 そいつらとすら比較にならないレベルである。
実際、 バイスからは「一族を率いる器ではない」、 マキシマからは「大物の風格が無い」、ホアからは「 ギースの方がよっぽど貫禄があった」、
ロバートからは「 自ら神と名乗る奴ほど寒い奴はいないし、その上弱いとなるといいとこなし」……と、ボロボロに突っ込まれている。
そのためか、一部のプレイヤーからは中ボスとしてもう一度戦いたいと期待されていた無界との対戦をフイにしてしまった失望の方が大きく、
今まで「ムカイさん」「マガキさん」などと「さん」付けで呼ばれてきたアッシュ編のボスの中で、
こいつは基本的に呼び捨て(慣例的に「サイキさん」と呼ぶ人もいないわけではない)。
尤も彼らが例外なだけでラスボスキャラなんかは呼び捨てにされるのが普通なのだが
禍忌も嫌味な皮肉屋ではあったが、相手の本質を突き、認めるに値する所は認めているなど、
アッシュ編のボスは遡るほど威厳を感じる辺り、シリーズ開始時点から狙ってやっていたのかもしれない。
加えて覚醒前はアッシュの コンパチに近く、そして覚醒後はこの 全裸と、とことん哀れである。
上記のように「とにかく嫌な奴」がコンセプトだったので、この嫌われようはキャラコンセプトとして大成功だったとも言えよう。
ただ、『XIII』は操られたローズ(と散々伏線らしきものを張っていた アーデルハイド)の設定がほぼ活かせていなかったり、
「遥けし彼の地より出づる者」がデモだけでいつの間にかほぼ全滅状態になっていたりと、
彼の存在以外にも色々と問題のあるストーリーなのは確かだが。
まぁそれも半分以上は全キャラドット絵チェンジの弊害があるため仕方がないのかもしれない。
なお、家庭用のストーリーモードではこの点がかなり補完されている。
後にアッシュは非常に特殊な経緯を経て復活したが、斎祀は何故か復活したような様子は見られない。
…復活したらしたで面倒な事態になりそうだが。
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