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小さな異邦人(短編集) - (2017/07/16 (日) 17:25:08) の1つ前との変更点
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-分類:短編集
-初出:別記(全て「オール讀物」)
-初刊:2014年/文藝春秋
-刊行回数:2回
-入手:入手可(電子書籍あり)
*解題
没後最初の刊行となった、2000年~2009年に「オール讀物」に発表された8編を集めた短編集。
表題作「[[小さな異邦人]]」は連城が生涯最後に発表した短編である。
> 表題作「小さな異邦人」は、二〇一三年十月に六十五歳で亡くなられた連城三紀彦さんが、生涯で最後に書き上げた短篇小説です。『造花の蜜』の大ヒットはまだ記憶に新しいところですが、同じ誘拐テーマを扱ったこの短篇も、冒頭の奇怪至極な謎から意外性に溢れた鮮やかな結末まで、ミステリの愉しみが凝縮されています。
> 二〇〇〇年から二〇〇九年にかけて書かれた円熟の八篇を収めた本書は、日本ミステリ界に一時代を画した連城さんの、まさに集大成と呼べる一冊。一人でも多くのミステリ・ファンにお読みいただきたいと願う所以です。
>(「ハヤカワミステリマガジン」2015年1月号掲載「ミステリが読みたい!2015年版」より 執筆者:荒俣勝利)
> 本書は連城三紀彦の最後の作品集であるが、もうほれぼれするような短編が揃っている。初期の作風に近い甘美なエロスと死「白雨」、現実と夢の境界の綱渡り「冬薔薇」、目眩むようなどんでん返しの連続「蘭が枯れるまで」、深層意識がサスペンスを生む渾然たる「無人駅」、異様な設定とツイストのきいた巧妙な語りの表題作と連城三紀彦らしい短編が並ぶ。
> テーマは時効、交換殺人、誘拐、記憶などお馴染みだが、プロットは先鋭的、それでいて連城らしい抒情をたたえ、どこまでも艶やかで、どこまでも狂おしく、どこまでもグルーヴにみちていて、もう陶然となる。このムード、この悲しさ、この切なさ。たまらないではないか。サスペンスの詩人ウールリッチ、どんでん返しの王者ディーヴァー、文芸的記憶サスペンスの巧者クックのファンなら必読だ。
>(「朝日新聞」2014年4月6日掲載 池上冬樹「[[つややかで狂おしい短編集>http://book.asahi.com/reviews/column/2014041000009.html]]」より)
> 全八編を収めた本書は、冒頭の「指飾り」から七番目の「さい涯てまで」に至るまで、大人の男女の不倫な関係が絡む恋愛を背景としたものがほとんどだ。そして「蘭が枯れるまで」や「白雨」で描かれる母娘は、いずれも娘が母親を追いつめるような、冷えた関係がベースとなっている。だからこそ、「小さな異邦人」の明るさは目立つ。思えば、『幻影城』でデビューしたころは、「消えた新幹線」のようなユーモア・タッチのミステリも書いていたのだ。それがいつのまにか、男女の暗い情念を描くのが連城作品の特徴ということになってしまった。その連城の、いわば遺稿集に、こんな愛すべき、楽しい世界を描いた作品が残されていたとは、嬉しい驚きだ。
>(中略)
> いずれの作品にも共通する、視点の錯誤と転換による意外性の演出、それを支える伏線の妙は、連城三紀彦という稀代の才能の持ち主が、巧い物書きである以上に、本格ミステリの世界の住人であったことを知らしめてくれる。
>(『2015本格ミステリ・ベスト10』より 執筆者:横井司)
亡くなったことへの追悼票という側面は強いだろうが、「このミス」4位、「週刊文春」4位、「本格ベスト10」3位、「ミス読み」3位と年末のランキングでも高い評価を集めた。
**各種ランキング順位
-年間
--「このミステリーがすごい!2015年版」 &bold(){4位}
--「週刊文春ミステリーベスト10」2015年版 &bold(){4位}
--「2015本格ミステリ・ベスト10」 &bold(){3位}
--「ミステリが読みたい!2015年版」 &bold(){3位}
**収録作
***[[指飾り]]
-初出:「オール讀物」2000年11月号
-雑誌時挿絵:三嶋典東
***[[無人駅]]
-初出:「オール讀物」2001年8月号
-雑誌時挿絵:荻野大輔
***[[蘭が枯れるまで]]
-初出:「オール讀物」2002年7月号
-雑誌時挿絵:荻野大輔
***[[冬薔薇]]
-初出:「オール讀物」2004年11月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[風の誤算]]
-初出:「オール讀物」2005年2月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[白雨]]
-初出:「オール讀物」2005年7月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[さい涯てまで]]
-初出:「オール讀物」2006年2月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[小さな異邦人]]
-初出:「オール讀物」2009年6月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
**刊行履歴
***初刊:文藝春秋/2014年3月10日発行
#amazon(4163900306,image,left)
>&bold(){ミステリー&恋愛小説の名手からの最後の贈り物}
>8人の子供と母親からなる家族へかかってきた1本の脅迫電話
>「子供の命は預かった、3千万円を用意しろ」
>だが、家には子供全員が揃っていた!?
>生涯最後の短篇小説にして、なお誘拐ミステリーの新境地を開く表題作など全8篇
>(単行本オビより)
単行本/316ページ/定価1600円+税/入手可/電子書籍あり
装画/小泉孝司 装丁/上楽藍
***文庫化:文春文庫/2016年8月10日発行
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>高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。だが、家の中には子供全員が揃っていた。果たして誘拐された子供とは誰なのか? 連城ミステリーのエッセンスが満載された、最後のオリジナル短篇集。
>(文庫裏表紙より)
文庫/379ページ/定価830円+税/入手可
解説/香山二三郎
イラスト/浦上和久 デザイン/上楽藍
#comment
-分類:短編集
-初出:別記(全て「オール讀物」)
-初刊:2014年/文藝春秋
-刊行回数:2回
-入手:入手可(電子書籍あり)
*解題
没後最初の刊行となった、2000年~2009年に「オール讀物」に発表された8編を集めた短編集。
表題作「[[小さな異邦人]]」は連城が生涯最後に発表した短編である。
> 表題作「小さな異邦人」は、二〇一三年十月に六十五歳で亡くなられた連城三紀彦さんが、生涯で最後に書き上げた短篇小説です。『[[造花の蜜]]』の大ヒットはまだ記憶に新しいところですが、同じ誘拐テーマを扱ったこの短篇も、冒頭の奇怪至極な謎から意外性に溢れた鮮やかな結末まで、ミステリの愉しみが凝縮されています。
> 二〇〇〇年から二〇〇九年にかけて書かれた円熟の八篇を収めた本書は、日本ミステリ界に一時代を画した連城さんの、まさに集大成と呼べる一冊。一人でも多くのミステリ・ファンにお読みいただきたいと願う所以です。
>(「ハヤカワミステリマガジン」2015年1月号掲載「ミステリが読みたい!2015年版」より 執筆者:荒俣勝利)
> 本書は連城三紀彦の最後の作品集であるが、もうほれぼれするような短編が揃っている。初期の作風に近い甘美なエロスと死「白雨」、現実と夢の境界の綱渡り「[[冬薔薇]]」、目眩むようなどんでん返しの連続「[[蘭が枯れるまで]]」、深層意識がサスペンスを生む渾然たる「[[無人駅]]」、異様な設定とツイストのきいた巧妙な語りの表題作と連城三紀彦らしい短編が並ぶ。
> テーマは時効、交換殺人、誘拐、記憶などお馴染みだが、プロットは先鋭的、それでいて連城らしい抒情をたたえ、どこまでも艶やかで、どこまでも狂おしく、どこまでもグルーヴにみちていて、もう陶然となる。このムード、この悲しさ、この切なさ。たまらないではないか。サスペンスの詩人ウールリッチ、どんでん返しの王者ディーヴァー、文芸的記憶サスペンスの巧者クックのファンなら必読だ。
>(「朝日新聞」2014年4月6日掲載 池上冬樹「[[つややかで狂おしい短編集>http://book.asahi.com/reviews/column/2014041000009.html]]」より)
> 全八編を収めた本書は、冒頭の「[[指飾り]]」から七番目の「[[さい涯てまで]]」に至るまで、大人の男女の不倫な関係が絡む恋愛を背景としたものがほとんどだ。そして「蘭が枯れるまで」や「白雨」で描かれる母娘は、いずれも娘が母親を追いつめるような、冷えた関係がベースとなっている。だからこそ、「小さな異邦人」の明るさは目立つ。思えば、『幻影城』でデビューしたころは、「[[消えた新幹線]]」のようなユーモア・タッチのミステリも書いていたのだ。それがいつのまにか、男女の暗い情念を描くのが連城作品の特徴ということになってしまった。その連城の、いわば遺稿集に、こんな愛すべき、楽しい世界を描いた作品が残されていたとは、嬉しい驚きだ。
>(中略)
> いずれの作品にも共通する、視点の錯誤と転換による意外性の演出、それを支える伏線の妙は、連城三紀彦という稀代の才能の持ち主が、巧い物書きである以上に、本格ミステリの世界の住人であったことを知らしめてくれる。
>(『2015本格ミステリ・ベスト10』より 執筆者:横井司)
亡くなったことへの追悼票という側面は強いだろうが、「このミス」4位、「週刊文春」4位、「本格ベスト10」3位、「ミス読み」3位と年末のランキングでも高い評価を集めた。
**各種ランキング順位
-年間
--「このミステリーがすごい!2015年版」 &bold(){4位}
--「週刊文春ミステリーベスト10」2015年版 &bold(){4位}
--「2015本格ミステリ・ベスト10」 &bold(){3位}
--「ミステリが読みたい!2015年版」 &bold(){3位}
**収録作
***[[指飾り]]
-初出:「オール讀物」2000年11月号
-雑誌時挿絵:三嶋典東
***[[無人駅]]
-初出:「オール讀物」2001年8月号
-雑誌時挿絵:荻野大輔
***[[蘭が枯れるまで]]
-初出:「オール讀物」2002年7月号
-雑誌時挿絵:荻野大輔
***[[冬薔薇]]
-初出:「オール讀物」2004年11月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[風の誤算]]
-初出:「オール讀物」2005年2月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[白雨]]
-初出:「オール讀物」2005年7月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[さい涯てまで]]
-初出:「オール讀物」2006年2月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
***[[小さな異邦人]]
-初出:「オール讀物」2009年6月号
-雑誌時挿絵:小泉孝司
**刊行履歴
***初刊:文藝春秋/2014年3月10日発行
#amazon(4163900306,image,left)
>&bold(){ミステリー&恋愛小説の名手からの最後の贈り物}
>8人の子供と母親からなる家族へかかってきた1本の脅迫電話
>「子供の命は預かった、3千万円を用意しろ」
>だが、家には子供全員が揃っていた!?
>生涯最後の短篇小説にして、なお誘拐ミステリーの新境地を開く表題作など全8篇
>(単行本オビより)
単行本/316ページ/定価1600円+税/入手可/電子書籍あり
装画/小泉孝司 装丁/上楽藍
***文庫化:文春文庫/2016年8月10日発行
#amazon(4167906759,image,left)
>高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。だが、家の中には子供全員が揃っていた。果たして誘拐された子供とは誰なのか? 連城ミステリーのエッセンスが満載された、最後のオリジナル短篇集。
>(文庫裏表紙より)
文庫/379ページ/定価830円+税/入手可
解説/香山二三郎
イラスト/浦上和久 デザイン/上楽藍
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